運悪く悪い不動産屋に当たってしまったらどうする?
VS悪徳不動産屋特集
信用できる不動産会社や工務店と二人三脚でマイホームを選ぶor建てるというのが理想ですね。しかし、運悪く悪い業者に当たってしまったら?
悪徳業者って聞くと、抜け目ない悪いヤツというイメージがあるかもしれません。しかし実は間抜けが多いのです。何か頼りない、言うことがコロコロ変わる。
だから何か油断してしまうようなことが多いのかもしれません。いままで、何度かそういう業者の営業マンや営業部長?とかいう名刺をもった人と商談したことがありますけど、そんな感じの人が多いです。
カチッとしてないんですよね。そういう垢のようなものが溜まっていくのかもしれません。
今日はそういう悪徳業者がらみのご相談で、2本立てです。
- メリットの無い提携ローンを借りることが条件になっている売買契約書
- 割高な仲介手数料に法外な住宅ローン代行手数料
まずは、こちらの相談者の続報です。
信用ある職業で年収も高いにかかわらず、金利優遇の約束されていない提携ローンを勧められている方からのご相談でした。私は以下のように答えています。
この提携ローンについて全くメリットがありません
提携ローンについては、あまりこれ以上不動産会社を通して聞いても収穫は無いでしょう。あちらの都合で『早く決めろ』と言われるだけでこちらに全く利益はありません。
金融機関の審査基準では特に属性の高いご職業です。また新築マンションですから担保にも全く問題ありません。
従って、頭金ゼロでどの金融機関でも通るのは道理です。惜しむらくは、高い属性と担保を反映した優遇が受けられていない事です。
(中略)
提携銀行に適当に客をあてがっているだけです。
腹が立ちませんか?私ならはらわたが煮えくりかえります。不動産会社を通さず銀行選びをやり直します。4月ですからまだ十分間に合います。
これに対して、昨日返信がありました。
相談1:ふつうの不動産業者の提携ローンと住宅ローン代行手数料ってこんなものですか?
大変お世話になっております。
メール並びにブログでのご助言をありがとうございます。
大変参考になりました。
属性や担保を考慮した金利の優遇については金融機関個別に仮審査を受けないとわからないということもあると思うのですが、タイプや優遇について不動産会社からは何も情報がなく、提携ローンの意味がないと思いました。
千日様のおっしゃるよう目先の金利の低いSBIにあてがわれているだけで非常に不満に感じています。
他の不動産会社のサービスを知らないのですが、このようなものなのでしょうか。
不動産会社からの提携金融機関、優遇についての回答は以下のとおりです。個別の具体的説明はなにもありません。
現状(お客様がではなく、世の中的に)ですと、一番低金利で融資が受けられる大手金融機関は住信SBIネット銀行になります。
変動金利に関しましては、ローンを組まれるお客様の属性(年収、資金、勤続年数等)で最大の優遇幅は変わってきます。
提携金融機関は一般的な銀行ですと以下の銀行だそうです。
- 三菱東京UFJ銀行
- みずほ銀行
- りそな銀行
- 三井住友銀行
- 三井住友信託銀行
- 三菱東京UFJ信託銀行
- 住信SBIネット銀行
- 新生銀行
- 横浜銀行
- イオン銀行
- ソニー銀行
- 東日本銀行
重要事項説明書には「買主は売主の指定する期間内に提携ローン融資金融機関に融資の申し込み手続きを行います」
とあるので、不動産会社を通さないでローンを組むことはできないようです。
ローン事務手数料として「5万円(消費税別途)を売主に支払う」ことになっています。
住信SBIであれば2.775%で借りなければいけないのでしょうか?
優遇について確認する必要がありそうです。
回答:普通はローン事務手数料は無料です
返信ありがとうございます、早速お答えします。
今お聞きしている内容から察するに、業者としては質は良くないです。
リストに挙げて頂きました銀行から紹介マージンが入るので、買主がそのリストの銀行に不動産屋を通して申し込む事を契約書に謳っているのです。
銀行からはバックマージンが入り、購入者からは取扱手数料が入るという「ビジネスモデル」です。
色々な方からご相談を受ける中でこの提携ローンを上中下にランク付けして、まとめました。
物件に関しては、不動産業者が請求する報酬(仲介手数料)の上限が定められていますが住宅ローンは銀行との契約ですので法律で事務手数料率の上限はありません。
つまり、当事者間で納得してその料金を払うという建前になっていて、そういう手数料の条項を売買契約書にしれっと入れて来る業者は悪徳業者です。
今さらですが、重要事項説明の際に契約書の読み合わせがありますね。注意深く読んで、そういった自分に不利な条項や手数料が無いか、よく確認する必要があるのです。
ホントに悪徳な程、そこをサラッと終わらせようとします。私も経験が有ります。
私が条項を読んでるとこんな事を言ってくるんですよ。
まぁ大事な所は説明しますので、難しいですから全部読む必要無いですよ。
「ふん、少なくともオマエよりは知っとるわ」
と心で思いながら、
「こういう条項はフツー無いですよね?」
なんて笑顔で突っ込んでやると、彼の顔に貼りついた営業スマイルがスゥッと凍りつくのが見れて快感なS千日です。
この事務手数料の条項は「普通ではない」ので、今からでも、おかしいんじゃないの?と言えば、妥協案を出して来る可能性はありますので、トライする価値は有ります。
また、優遇については、信用のあるご職業ですから、悪い提携ローンでも良い条件が出る可能性はあります。
まず、不動産業者と交渉して提携と手数料で被っているデメリットをできるだけ減らす。その後に、審査に出す。という順番をお勧めします。
時間的な余裕がなく、どんな条件になるか早く知りたい場合は不動産業者を通さず、仮審査を出すのも良いですね。ネットで簡単に出せます。
以上、参考になりましたら幸いです。
相談2:高いのかもしれませんが、そういうものだと諦めます
千日による追記:こちらの相談者は千日のメールから始まります。細かな前提条件は省きますが、明らかな悪徳業者に当たってしまったものの、それを認めたくはないという気持がよく分かるケースです。
検討に入る前にお伝えしておかなければならないことを、取り急ぎお伝えします。私が融資手数料はそんなにしないはずと思った原因が分かりました。
- お送りいただいた明細のうち、仲介手数料の1,251,936円は宅建業法で定める上限を超えた額です。
- ローン取扱手数料も10万円というのは不当に高額で、絵に描いたような悪徳業者の値段です。
仲介手数料の上限については宅建業法で上限が定められており、物件価格の3%+6万円に消費税が上限です。
更地ということは、土地のみですよね。1,900万円です。
(1,900×3%+6)×1.1=69.3万円です。
倍くらいになってます。恐らくですけど、建てる建物の価格も仲介している体なんでしょう。
建築契約は工務店と施主との契約です。不動産会社は関係ありませんよ。
まともな不動産会社の仲介手数料は土地だけです。
そもそも、土地だってその工務店が持っている土地ですよね。不動産会社に仲介手数料を払う必要はないと私なら主張します。
ただ、工務店と不動産会社が別法人で、不動産会社の紹介でその土地を知ったのなら、まあギリギリ合法です。それにしても、上限ではなく半額くらいまで値切るでしょう。
いずれにしても、この明細を見せられたら、私なら不信感の塊になります。
- それでも、この工務店と不動産会社で家を建築されますか?
- 進めるとして、不動産会社の意見を尊重しながら、住宅ローンを決められますか?
返信:千日さん落ち着いてください誤解してますよ
千日さま
ありがとうございます。
誤解があったようなのでお伝えします。今回購入予定の土地建物はあくまで建売です。
本来なら建売として販売されるものを、未公開物件としてチラシが出ていたものです。すでに図面が引かれ設計が終わり建築許可が降りた時点で契約となりました。
現状建っていないと仲介手数料として不当という事なら分かるのですが、私たちの場合は公開後であれば建設後の物件を買っていた事になるので土地建物合算で何も問題ないと思っています。もちろん高いので値切れれば良いですが。
私たちのローン審査が通らず解約となった場合でも、建物は建ちます。新たな買い手さんが買うだけです。私たちの意見が通るのは多少のカラー変更程度で注文住宅ではありません。
ただ千日さんがおっしゃる通り、上限での金額なのでもうちょっと何とかなるならなんとかしたいです。
どう切り出せば良いでしょうか?交渉の材料はあるでしょうか?
また、ローン取り扱い手数料の部分も高いのがわかりました。すでに仮審査を通していても、今から自分たちでやりに行きますといえば不要になる部分ですかね?
3月まで育休中なので私1人であれば子連れで(あるいは母に預けて)何とか銀行回りはできると思います。
回答:なら違法ではありませんが交渉次第でゼロ円にも出来る費用です
なるほど、そういうことだったんですね。一応違法ではありません。
しかし、工務店からも仲介手数料を取ってますし、ほとんど何の広告も打つことなく成約しているんですから、払わないと言えば限りなく無料に出来た手数料ですね。
この辺が交渉のポイントかと思います。
一度応諾しているので、土地の分だけにするのが、落としどころでしょうか。
この不動産業者を通してだけ銀行と接していたら、仲介手数料だけで無く、これからも良いようにされてしまいます。
まずは、ご主人と銀行の住宅ローン相談会に行って銀行と直接話してみる事がスタートです。いかに10万円を支払うのが高いかが実感出来ると思います。
銀行で必要な書類を銀行に言われた通りに顧客に要請するだけのお仕事です。銀行に直接聞いて揃えるのと何ら変わりません。
ご主人1人では通らないなどというのも、まっとうな不動産業者が言う事ではありません。相手は焦らせて来ますが、焦る必要などありませんよ。
住宅ローン相談会は土日や平日夜間も開催されています。
返信:仲介手数料はこのあたりではそれが普通ですしローン代行手数料がかからない方法もあるそうです
千日さま
お返事遅くなりました。ありがとうございます。
仲介手数料の部分に関して、不動産関係に勤めている知人にお話を聞くことができました。このあたりで、建てれば売れるような立地の物件、大手~中堅の不動産屋だったら上限いっぱいで取ろうとするのはごく普通だと言われました。
首都圏でも少し外れて、ボコボコ建てたものの供給過多な地域だったら手数料値引いたりタダにするだろうけど、そこの地域ならまずありえないね、と。
もちろん工務店さんと直でやり取りできればいらなかった部分ですが、仕方がないですね。夫婦で納得しました。
ローンの仲介手数料に関しても直接担当者に聞きました。
不動産屋を通して決めた銀行以外(自分たちで調べた銀行)での融資が決まった場合は取らないそうです。また、本審査に通す書類の収入印紙代は不動産屋持ちだと(微々たるもんですが)。
金額としては大きいですし、半年後の金利次第ですが自分たちでも動いて、手数料がかからないようにかつ、金利が安いところを選べればと思います。不動産屋に手数料を支払う事になる銀行は今の所三菱東京UFJだけです。
まずは銀行のローン相談会に行ってみようと思います。
非常に勉強になる毎日です。千日さんにも相談にのっていただき大変感謝しております。
続報がありましたらお知らせします。
回答:ちょっと厳しいお話しをさせて頂きます
まずは相談会に行かれるとのこと、嬉しいです。ただ、ここからは少し厳しいお話しをさせて頂きます。
なぜ不動産業者に対して率直に『高い』と言えないのか?
仲介手数料の件につきまして、どこの土地であろうと関係ありません。たとえ銀座でも同じ話ですよ。60万~120万もの費用を節約できるかどうかというところで、トライする前からあっさり諦めてしまうのは、いかがなものでしょうか。
不動産屋として、両方から手数料を取りたいのは当たり前です。
知人の方も不動産屋なんですから、そういう視点になって当然です。そういう条件であっても、売れるでしょう。お客は他にもザクザクいますからね。
それがここらの住宅事情の「普通」であったとして、「普通」に購入できる資金があるのであれば、私もここまでのことは言いません。
そうではないから、交渉をお勧めしているのです。
やってみてその結果、「当然無理」であっても何も失うものは無いじゃないですか。
そもそも、「まだ建物は存在していない」んです。ここに誤解はないですよね?
不動産屋にこちらの主張を「言う」のは無料です。それでいくらかでも安くなるのであれば、その行動にはそれだけの価値があるんです。
ローン事務手数料がかからない条件が出てきたのは『高い』と言ったからです
ローン事務手数料に関しましては、「高い」と言ったから出てきた条件ですよ。
これを言わなければ、全額108,000円取られた上に、印紙代も請求されています。
不動産屋ってそういうものです。
「高い」と言ったから「印紙代はこちら持ちです」という話が出てきたんです。
明細にも「金銭消費貸借契約書印紙代40,000円」ってありますよね。これはメールに書かれている『本審査に通す書類の収入印紙代』ではないでしょうか。
つまり、言ったことによって、4万円安くなったんですよ。
言うだけで4万円ってすごくないですか?仲介手数料も同じことなんです。
完成が半年後ということは、住宅ローンの実行も半年後ですね。急ぐ必要なんてありません。
まだまだじっくり住宅ローンを選ぶ時間はあります。
最適な住宅ローンも、金利動向がどう転ぶかというところで変わってきます。
その間にいろんな情報をリサーチする時間はあります。
以上、率直に申し上げていますので、ご気分を害されるかもしれません。
しかし、私の兄弟や親せき、友人が同じ状況であれば同じように言うと思いますよ。そういう人間です。
でも、おそらく、お気を悪くされたと思います。
文字だけだと、ちょっとキツイ印象になりますものね。
ごめんなさい。
まとめ~こんなことも言うサイトです
お二人目のご相談者には言いすぎましたでしょうか?言い過ぎですよね。ハッキリいってここまで言われる筋合いは無いと考えるのが普通だと思います。
しかし、お見受けしたところ不動産会社の知人も他人事みたいなことを言ってますし、こういう事を言う人間が周囲にいないのだと思ったのです。
私のような、不動産屋からも、銀行からも、相談者からもお金をもらっていない存在は、こういう場面でこそ率直にものを言うことに価値があるんだと、今は考えています。
こんな無礼なコンサルタントは私だけでしょう。
安かろう悪かろうだと思われるか、どうかはご相談者次第です。
私はいつでもお待ちしております。
交渉方法についてはこちらをどうぞ。