家を買った後の転職と住宅ローンの返済計画について

2018年10月28日

転職と住宅ローンの資金計画

私の同僚に住宅ローンの実行日の3月31日付で会社を辞めて独立する人がいます。辞めるとほぼ無職ですから、当然ですけど住宅ローンの審査に通るはずがありません。

融資実行日までは勤務しておけばいいでしょ、なんて言ってました(笑)。

良い度胸してますよね(笑)。

まあ、間違ってはいません。住宅ローンの審査は、過去から現在を見ます。住宅ローンの実行後は会社を辞めるつもりだというのは、未来のことです。

住宅ローンの審査は融資実行日までの状況について、収入に関することで変化があれば申し出ないといけませんが、融資の実行後はそういう必要はありません。

本当は関係あるんですけど、そういう仕組みにはなっていないんですよね。

彼も、もしかしたら辞めないかもしれません。あと2日ですが、彼が辞めるのをやめるという話しは聞いていません。

では、今日のご相談者です。

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相談:転職するつもりの住宅ローンは変動か固定か?

初めまして、

以前からずっとチェックしていた地域に魅力的な物件が出てきたため内見に行った結果、妻も私も非常に気に入り購入を検討しています。それが1週間ほど前の話です。

ただ、物件購入をはじめ住宅ローン等に対して全くと言っていいほど知識がなく、この1週間で勉強をしながらローンの検討している段階でありますが、ぜひ私のような状況の場合はどのようなローンを組むことが最善なのか、アドバイスをいただければと思いご相談させていただきました。

年齢、年収、家の価格、住宅ローン、頭金

夫年齢 35
夫の年収(万円) 700
妻年齢 29
妻の年収(万円) 専業主婦
共働き世帯年収(万円)
家の価格(万円) 4,400
住宅ローン(万円) 4,200
頭金(万円) 200
  • 子ども3歳、1歳
  • 預貯金:300万円程度
  • 購入物件:中古戸建
  • 購入価格:4,400万円
  • 諸費用:250万円

実は私たちの他にもう一組この物件を気に入っている方がいます。借入無し現金一括で購入できる方だそうで、不動産屋さんとしてはもちろんリスクのないそちらの方を売り主にお勧めしたいというのが正直なところだと言われています。

ただ、その方が決断をする前にまずはどこかのローンだけでも通しておきましょうという事で申請を急がされ、ローンが通りやすい三井住友と静岡銀行の変動に申し込みをされてしまいました。

4,400万円の物件に対して、可能であれば諸経費も含めて4700万円ほどの借り入れを考えていましたが、融資可能額が500万ほど少ない4,200万円ほどであれば融資可能だとの回答があったそうです。
おそらく、兄が昨年購入した飲食店の料理器具に対しての保証人になっていることが原因かと思われます。

個人的には今年中に転職を考えており、年収が1,200~1,500万ほどに上がるヘッドハンティングのオファーがあれば決断しようと思っています。

保証人になっていてもフルローンで融資可能な銀行は?

この融資額が減額された場合は、どこの銀行でローンをお願いしても同じような結果になってしまうのでしょうか?せめて融資額を物件と同額ほどにキープさせる方法、または有利に動いてくれる銀行等はないでしょうか。

固定金利か変動金利か?

最悪融資額が少ない状況でも親に借りる等で何とかできそうですが、その際はやはり年収最低ライン700万円として、固定金利が良いのでしょうか。

もったいない気はしますが、転職が成功し年収も上がるなら、10年後に繰り上げ返済をすることで多少なりとも無駄は省けるかとも考えています。

それとも、700万であれば変動にトライする価値があるかどうか。

アドバイスをいただきたくよろしくお願いします。

回答:金利変動リスクより転職後の収入リスクの方が大きいです

ではお答えして行きますね。

住宅ローンに関して言えば、現在の年齢と年収、物件価格から考えて、まずどこに審査を出しても通るはずです。

融資希望額に届かなかった理由は債務保証が原因と推測できますね。都銀は厳しい傾向がありますが、他の借り入れや債務保証に関しては、どこの金融機関も厳しいです。

住宅資金の贈与税の非課税枠が700万円又は1,200万円まで使えますので、さしあたりはそれを使うか、什器備品の債務を完済してしまうか、どちらかです。

債務の残高はいくらでしょうか?債務残高が少額であれば、担保物件となる家に何か問題があるのかもしれません。つまり外から見てすぐ分からない部分に瑕疵があって担保価値が足りないという可能性もあります。

 

金利変動リスクよりも転職による収入変動リスクの方が高い

住宅ローンの金利タイプと返済計画については、転職の前後で年収が倍近く変わってしまいますのでそこが一番のポイントです。

もし転職されるのでしたら、審査の観点からは以下の2択になります。

  • 転職後は審査が厳しくなるので転職前に審査を通す。
  • 転職してから約1年の就業後に審査を通す。

つまり後者の場合は、今回の物件は見送りです。

トランプ政権による金融情勢の変化は予測がつきませんが、それ以上に予測が付かないのが転職による収入の変動です。

収入が2倍以上になる可能性を否定する訳ではありませんよ。ヘッドハンティングであれば、そういうケースもあります。しかし、提示される年収が高いほどその後のリスクも高い傾向にあります。

転職後の職場で相応のバリューが期待されているからです。

なのでヘッドハンティング先の未知の環境下でその年収に見合う働きが、継続して可能であるという一定の保証が無ければ、そこにはリスクがあるという事です。

  • その保証があると判断するのであれば、倍増する年収を前提に収入を考えます。
  • ヘッドハンティングに応じない場合は今の年収です。
  • ヘッドハンティング先で評価が上がらなかった場合は今の年収に70%を乗じます。

固定金利ではどうか?

セオリー的にはまず固定金利で払えるか?を確認します。元利均等返済額を手取り月収の4割以下に抑えるのが無理のない返済です。

住宅ローンのセオリー

  1. 年収が増加する場合
  2. 変わらない場合
  3. 70%に下がる場合

でシミュレーションしてみます。

【借入金額】4,200万円
【借入期間】35年
【返済方法】元利均等返済ボーナス払いなし
【金利】みずほ銀行35年固定金利1.11%

  • 元利均等返済額 :120,725円

1,200万円以上に年収が上がるなら手取り月収は少なく見積もっても60万円〜ですから何の問題もありませんね、楽勝です。

年収が変わらない700万円の場合の手取り月収を35万から40万円とすると、これも問題なく4割以下に出来ます。

収入が70%に下がり500万円とすると手取り月収25万円位ですから4割を超えてしまいます。下がった200万円分の収入については、現在専業主婦の奥様が働きに出れば、2馬力で補う事が出来ます。

変動金利も可能

年収が見込みの通りであれば、その時に最も金利負担の少ない住宅ローンが良いと思います。10年固定は三菱東京UFJ銀行が0.75%に上げるので、もはや最安とは言えない状況ですよ。

今だとお勧めは変動金利です。変動金利には5年ルールと125%ルールがあります。

  • 金利が上がっても5年間は元利均等返済額を上げない。
  • 一度に上げる返済額の上限は直近の125%まで。

なので、金利が上がっても5年間は返済負担は増えないのです。繰上げ返済資金を貯蓄しながら、金利の上昇に備えれば問題ありません。

変動金利で借りる場合は元利均等返済額の25%を貯蓄した上で手取り月収の4割以下に抑えることをお勧めしています。

転職による収入の変動リスクはお金ではどうにもなりませんが、金利変動リスクはお金(貯蓄)で防止出来るのです。

  1. 年収が増加する場合
  2. 変わらない場合
  3. 70%に下がる場合

でシミュレーションしてみます。

【借入金額】4,200万円
【借入期間】35年
【返済方法】元利均等返済ボーナス払いなし
【金利】三井住友銀行変動金利0.625%

  • 元利均等返済額 :111,362円
  • その25%貯蓄  :  27,840円
  • 合計      : 139,202円

1,200万円以上に年収が上がるなら手取り月収は少なく見積もっても60万円〜ですから何の問題もありませんね。

年収が変わらない700万円の場合の手取り月収を35万から40万円とすると、25%を貯蓄した上で4割以下に抑えられますね。

しかし、収入が70%に下がり500万円とすると手取り月収25万円位ですからオーバーします。しかし、下がった200万円分の収入については、現在専業主婦の奥様が働きに出れば、2馬力で補う事が出来ます。

一度立ち止まって冷静になりましょう

このように、転職によって一般的に想定される世帯収入の変動リスクに対して固定でも変動でも対応可能という事です。

貯金が苦手というのでしたら、固定にするのもアリですね。あえて、そういう風にしている人もいますよ。高い気がするかもしれませんが、ベースとして固定金利が安いのは間違いありません。

25%の貯金の失敗もリスクです。

物件については、ここであれこれ言ってもしょうがないところはあるかと思います。ただ、トントン拍子に不動産屋のペースで進んでいる印象を受けました。

これは、危険信号です。

不動産屋の言う「現金一括で購入できる人」がフィクションである可能性は無いですか?

例えば実在したとして、その人がまだ決めない理由は何でしょうか?(マジメな話、娘が気に入る気に入らないで家の購入の決断を?)

また、全額融資が可能であるとしても、本審査にはさらに数週間の時間が必要ですし、本審査で落ちる可能性もあります。

もしも「現金一括で購入できる人」が居たら、いずれにしてもこちらは滑り止め位の位置づけなのです。

私はハッキリ言ってそんな人はいないと思っています。

客同士を会わせる必要など無いのですから、しっぽをつかまれる心配もありません。

一度立ち止まり冷静になる必要があります。

中古の木造住宅ならば築20年を超えると住宅ローン控除が受けられない可能性がありますので

税金ラボ

で条件などを確認してくださいね。

特に契約を急ぐ営業マンは信用出来ません。何かあると考えた方が良いと思います。

こちらが参考になると思います。

運悪く悪い不動産屋に当たってしまったらどうする?

 

また滅多に出ないというのも『先入観』のなせるワザです。

頭金を払った後から良物件が出るジンクス

相手は『スグに売れてしまいますよ』なんて言ってくるハズです。

『だったら縁が無かったという事でしょ』とクールに返せる位の冷静さが必要です。

頭金を借りなければいけないというのは、そもそも買う時期では無いとも言えます。たとえフルローンが可能になっても、引越しやら色々入り用になりますので、虎の子の300万円をかなり減らす事になります。

このタイミングでご主人に何かあったら、たとえ家を買わなかったとしても家族の生活は一変するでしょう。

それに、転職が成功して収入が上がればもっと良い立地で広い家が購入出来ます。

家の購入に必要なのは、十分な自己資金と冷静な判断です。今は、その両方が不足しているようにお見受けします。

急がず慌てず、です。

何かうまくいかないということは、問題点に気づけるチャンスでもあります。きっかけとしてはお兄さんの債務保証であったとしても、別の問題に気づけるチャンスですよ。今は不動産の提携ローンですから営業マンを通して話しを聞いているのではないでしょうか。

提携ではなく直接銀行とやり取りすることで見えてくることがあるかもしれません。もう一人の購入希望者のことは忘れて、あくまで自分のペースですよ。

 

以上、参考になれば幸いです。

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