住宅ローンの金利で借りるリフォームローンの返済は元利均等か元金均等か?

2018年10月28日

リフォームでも家に抵当権を設定すれば住宅ローンの金利で借りられます

住宅ローンというと、家の購入をするときしか使えないと思っている人は多いです。でも家に第一順位の抵当権を設定できるのであれば、リフォーム費用も住宅ローンの金利で借入をすることが出来ます。

また、これもあまり知られていないのですが、住宅ローン控除も受けることが出来ますよ。

条件は以下の6つです。

  1. 増改築等工事証明書の提出。
  2. 工事費用100万円以上であること。
  3. 工事費用の半分以上を居住用スペースにかけたこと。
  4. 工事をした後の床面積が50㎡以上であること。
  5. 工事をした後の床面積の半分以上を居住用スペースとしていること。
  6. 工事をした後の家屋が主に居住用と認められるものであることこと。

税金ラボ

今日は大規模なリフォームを行い、住宅ローンを借りることとなった方からの返済計画についてのご相談です。

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相談:リフォームローンは元利均等返済か元金均等返済か?

リフォームローンについて相談させてください。

中古物件を平成13年に購入し、三井住友信託銀行で住宅ローンを借りていましたが、その家のリフォームローンを借りるために、去年全額完済しています。

年齢、年収、家の価格、住宅ローン、頭金

夫年齢 55
夫の年収(万円) 750
妻年齢 不詳
妻の年収(万円) 専業主婦
共働き世帯年収(万円)
家の価格(万円) 2,000
住宅ローン(万円) 2,000
頭金(万円) 0

同じ三井住友信託銀行で仮審査に通っています。

【借入予定額】2,000万円

【金利タイプ】10年固定金利0.55%

【借入期間】15年で借入、10年後に一括繰上げ返済

【借入実行日】リフォームの受け渡しの2017年4月

  • 貯蓄は800万円
  • 子どもの学資保険は今年の7月に満期200万円

ちなみに、子どもは2人で1人は社会人で独立しており、もう一人はまだ高校2年生です。希望大学は地元の国公立を目指しています。

主人が今55歳なので、65歳には完済したいと思っています。他の銀行さんには当たっていません…

三井住友信託銀行の10年固定は4月の金利が現状維持で良かったです。上がると思って居たのでかなり気持ちが楽になりました。主人が65歳になる時に500万円の満期が上がってくるのでそれを返済にあてます。なので、退職金は手はつけません。

返済方法については、元利均等返済と元金均等返済払いがありますが…10年固定金利で返済するならどちらの方がお得なんでしょうか?

私は、一応元金均等返済払いにしようかと思っています。

よろしくお願いします。

回答:元利均等返済でも元金均等返済でもほぼ同じです

ではお答えしていきます。

元利均等返済と元金均等返済についての基本的な考え方としては、

金利ラボ

で詳しく書いています。

  • 元金均等返済は初期のローン残高の減りが早いので、支払利息の面で有利。
  • 元利均等返済は初期のローン残高の減りが遅いので、住宅ローン控除の面で有利。

結局両者の差は大したことない、ということです。実際にどれだけの支払いの差が出るのか?についてはシミュレーションしてみなければ分かりません。そこで実際に出てきた金額でもって、以下の2つの判定を行います。

  • 毎月の返済額に余裕があるか?
  • 定年時の残高は高すぎないか?

ではやってみましょう。

元利均等返済と元金均等返済の差は10年で約2万5千円

【借入元本】2,000万円
【借入年数】15年
【金利タイプ】三井住友信託銀行10年固定0.55%
【返済方針】65歳となる10年後に一括繰上げ返済する。

(単位:円)

三井住友信託10年固定0.55% 元利均等返済 元金均等返済
月返済額 115,783 120,278
前払保証料 239,640 204,160
10年支払い額 13,893,949 14,069,722
10年後残高 6,850,775 6,666,667
返戻保証料 -31,370 -28,707
住宅ローン控除 -1,282,757 -1,266,667
支払合計 19,670,236 19,645,176

元利均等返済と元金均等返済は前払いする保証料も違ってきますね。

元金均等返済の方が元金の減りが早い分だけ保証料が安くなるんですね。前払い保証料は元金均等返済の方が約3万5千円安いです。そして支払い合計は、元金均等返済の方が約2万5千円安いです。

つまり、返済額というよりは前払い保証料の差で元金均等返済の方が有利だという結果になりました。約2万5千円というのはとても僅差ではありますが…

  • 5年後の近い将来に旧定年の60歳となり、その後の収入が減少すること。
  • 当初の5年間の間に大学生のお子さんの学費が発生すること。

これらを鑑みると、決してないがしろにしてはいけない金額であると思います。

60歳から6割に減ってしまう収入での返済にイエローシグナル

毎月の返済額に余裕があるか?を検討しましょう。ご主人の現在の年収は750万円で手取り月収を37万円とすると、その4割は約15万円ですね。しかし、60歳を超えると一般的に月収は6割位に減ってしまうそうです。そうなると手取り月収は23万円にまで減ってしまう計算になります。

下表のようになります。

(単位:万円)

収入の変化 年収 税抜年収 手取月収 手取月収×0.4
当初5年 750 584 37 15
5年~10年 450 360 23 9

元利均等返済の場合の毎月の返済額は11万5千円です。

元金均等返済の場合の最初の月の返済額は12万円です。元金均等返済は最初は返済額が大きいですが、だんだん減っていきます。最終回となる120回目の返済額は11万4千円まで減ります。

前半の5年では、元利均等でも元金均等でもクリアしていますが、後半の5年ではオーバーしています。なので後半の5年については貯蓄を取り崩しながらの住宅ローンの返済になるということです。

ですから、前半の5年間は手取り月収の4割である15万円と返済額との差額(約3万円)を毎月積立貯蓄しておき、後半の5年間にオーバーしている金額の返済に充てるようにしていきましょう。できるだけ、今ある貯蓄を減らさずに済む方法を模索することが大事です。

既にリフォームを行い、支払い金額が確定しているのですから。

10年後の一括返済はボーナスを貯蓄すれば可能、プラスα老後資金の貯蓄を

ご主人が65歳になるときに500万円が何かの満期で入金されるのであれば、あと166万円~185万円が足りないということになりますね。これは、ボーナス分を貯蓄しておけば、余裕をもって可能であると思います。

ただ、現在の貯蓄が800万円というのは、何かアクシデントがあると少し不安な金額ではありますよね。支給される予定の年金と生活に必要な金額を比較すると、基本的には貯蓄を取り崩しながらの生活にならざるを得ません。

少しでも多くの貯蓄を貯めておくことが、ゆとりある老後につながります。学資保険が200万であれば、お子さんが国公立に進学すれば初年度の学費は余裕ですね。

しかし、出来れば奨学金も貰えるようになれば更に助かります。学費に関しては、これはあくまで千日の考え方ですが、国に払ってもらうか子ども本人が後から返済する形が良いと思っています。

今後は少子高齢化が進んで、若い人の社会保険料の負担が大きくなっていきます。つまり、社会保険制度として若い人が親世代を支える負担が倍増していくんですね。それに加えて、自分の親の老後資金が尽きて仕送りや同居によって支えなければならないとなった場合、子どもの負担はさらに増えていきます。

将来の老後資金に不安があるのならば、大学の学費は当然に親が負担するものだという考え方にとらわれずに柔軟に考えて、お子さんと相談されることをお勧めします。

以上、参考になれば幸いです。

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