変動固定のミックスからりそな借換ローン10年固定への借り換え

2019年10月1日

変動と固定のミックスローンはお勧めしません

5年以上前に住宅ローンを組まれた人の中に比較的多いのが変動と固定のミックスローンです。当時は固定金利が高くて、高値の花だったんですよ。

今から5年前のフラット35の金利は以下のような感じでした。今の倍近いですよね。

(単位:%)

フラット35 借入期間15年~20年 借入期間21年~35年
2012年12月 1.53 1.81
2012年11月 1.57 1.85
2012年10月 1.6 1.88
2012年9月 1.62 1.89
2012年8月 1.56 1.84
2012年7月 1.62 1.94
2012年6月 1.71 2.01
2012年5月 1.76 2.07
2012年4月 1.86 2.16
2012年3月 1.83 2.13
2012年2月 1.88 2.18
2012年1月 1.86 2.14

なので、多くの人は変動金利を選択したのです。そして、それでも金利変動リスクを抑えたいと考えた人は変動と固定のミックスを選んだのです。

固定金利が高い理由としては、金利はこれから上がるという予想が市場を占めていたからであり、当時の状況として固定金利を選ぶのは間違っていないと思います。

しかし、金利が下がる可能性もある。そうした場合には、借り換えれば良いのですが借換にはコストがかかります。

借り換えなくても機会損失が少なくなるように変動金利をミックスさせるという考え方があります。

例えば、金利が下がる可能性が50%ということであれば半分を変動金利にするんですね。

つまり、

  • 変動と固定を半分づつのミックスローンにする=2分の1回、固定から変動に借り換えた状態から住宅ローンをスタートさせる。

勿論これは現実には不可能な事ですが、財務的な視点からスタート時点のミックスローンを見ると、このように捉える事が出来るのです。

一見良さそうに見えるのですが、変動金利も固定金利も5年前より下がっている現在では、以下のようなジレンマに陥ります。

  • 安い変動金利に借り換えたとしても、元の住宅ローンには安い変動金利がミックスされているので借換のメリットが少ない。
  • 固定金利に借り換えたとしても、同じ理由で借換メリットが少ない上に、もともと半分は固定されていたので金利を固定させるメリットも少ない。

これは何故かというと、前述したように「既に半分借り換えた状態」からスタートしているからです。ジレンマに陥るということは、皮肉にもミックスローンの目的が成功していることでもあるんですよね。

では本日のご相談者です。

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相談:ミックスローンからの借換はりそな10年固定か三井住友信託20年固定か

はじめまして。購入当時はあまり深く考えずに勧められるままローンを組み、更に何も考えず繰上げ返済を一部行いながら残金が3700万。もっと早くにこちらのブログに出会いたかったと思いながら日々勉強させて貰っています。

定年まであと20年。子供は1人で現在低学年の為、これから学費などが大きくかかり、一応中学受験も視野に入れております。

年収は1100万円。今後はそれほど上がらないと考えております。

現在の住宅ローンは変動とフラット35Sのミックス

平成23年11月25日からフラット35sと変動金利のミックスローンを組んでおり、あと数年で金利が上がる為、借り換えを真剣に検討しております。

金利変動リスクを考え、当初はフラット35で全額と思っていましたが、低金利の為ミックスローンにしたらとのアドバイスで、以下のよう変動と固定のミックスローンとなっております。

現在借入中の金融機関名

  • 変動 三井住友信託銀行
  • フラット35S イオン銀行

当初借入金額

  • 変動 1,500万
  • フラット35S 3,180万

フラット35と変動の借入期間、適用金利

  • 変動借入期間 30年 0.775%
  • フラット35S借入期間 30年 当初10年1.20%それ以降2.20%

借り換えるなら住信SBI変動かりそな10年固定か三井住友信託20年固定か?

今現在検討しているのは、変動金利、固定10年、固定20年の3パターンですが、このままミックスローンでいくのか、低金利の為全額借り換えた方がよいのかなど、よくわからなくなってきており相談させていただきました。

現在りそな銀行10年固定+団新革命(団新革命については思案中ですが、どうでしょうか)は無事本審査がおり、4月中に融資実行可能です。また住信SBIは、現在本審査中です。

三井住友信託銀行は現在変動で借りている為、フラット35Sをこちらで借り換えると、手数料も少なく借換効果が高くなる?などと、考えております。

私はこの際借り換えるなら、変動金利で良いのではと考えますが、妻は安全を取り20年固定でと考えているようです。今後の老後の資金も本格的に貯めたいと考えています。

ご意見をお聞かせいただければ幸いです。

回答:借換ならりそな借換10年固定が総合的に有利です

ではお答えしていきます。幾らか繰上げ返済されたとのことですが、これまで繰上げ返済が無いものとして、シミュレーションを行いました。

比較するパターンで残高を揃えておけば、結果には影響しませんのでその点はご安心ください。

まず、変動金利か10年固定か20年固定かという3つの選択肢から絞っていきたいと思います。ポイントはりそな銀行の10年固定の審査にすでに通っていることです。

りそな借換10年固定は変動金利よりも有利

りそな銀行借換ローンの10年固定は以下の条件ですね。

  • 当初10年0.55%で固定期間終了後は店頭金利(現在は2.475%)から▲1.978%

この固定期間終了後の優遇幅がとても有利なんです。今の変動金利の店頭金利は2.475%ですから、そこから1.978%マイナスすると0.497%ですね。

たとえば現在の住友信託銀行の変動金利は0.6%ですが、これは店頭金利2.475%から▲1.875%の優遇幅です。10年間、変動金利よりも安い金利で固定された上で、固定期間終了後も今の変動金利より安い金利になります。

ネット銀行で最安の住信SBIは0.447%です。さすがに金利の面では勝てませんが、当初10年間は固定されている点が大きいです。それにそもそもの金利が低いので、支払い金額ベースでは大した差になりません。

また、住信SBIとりそな借換10年固定はどちらも融資事務手数料2.2%ですので、借換費用に差がありません。

一般的な変動金利との比較であれば、私ならば当初10年の金利の固定メリットの方をとります。

りそな借換10年固定か三井住友信託20年固定か

なので、次の比較としては、りそな借換10年固定か三井住友信託20年固定かという比較になりますね。三井住友信託20年固定の金利は1.05%となり、約2倍になっています。ここは、どうなるか比べてみましょう。

  • 現在のミックスローン 変動 フラット35 元金均等返済
  • りそな借換10年固定 借入期間25年 元金均等返済
  • 三井住友信託20年固定 借入期間25年 元金均等返済

を4月からの費用面で比較しました。現在の2017年4月残高はこれまで繰上げ返済していないという前提で3,757万円としています。

住宅ローン控除はあと4回残っている計算です。また、借換後の返済年数を25年としたのは今後お子さんの学費の増加が見込まれているため、住居費の月々の負担を軽くするためです。

(単位:円)

費用比較 現在 りそな
10年固定
三井住友信託
20年固定
月返済 173,048 142,461 158,116
利息 6,156,399 2,974,233 4,947,792
住宅ローン控除 -1,357,481 -1,372,639 -1,372,639
保証料 0 0 431,475
融資手数料 0 811,560 32,400
登録免許税 0 150,289 150,289
一括返済手数料 0 32,400 32,400
印紙税 0 20,000 20,000
司法書士 0 100,000 100,000
費用合計 4,798,918 2,715,843 4,341,717

費用面では現在のミックスローンでは479万円の費用となりました。変動金利は今の0.775%で計算していますので、その通りになるとは限りません。

りそな借換10年固定は、当初の10年は055%で、その後は今の変動金利の0.775%としました。比較を行う観点からは今の変動金利よりも低くなるはずなのですが、あえてストレスをかけました。

りそなの保証料は借入金利に含まれているのでゼロ円、融資手数料は借入残高の2.2%です。その他の費用についてはこちらをご一読ください。一通り書いています。

借換と金利交渉のセオリー

三井住友信託20年固定は、当初の20年は1.05%で、その後も1.05%としました。その後は変動リスクはありますが、今の変動金利がずっと変動しない前提との比較であるためです。20年後のローン残高は7百万円で残り5年ですので、あまり大勢に影響は無いと思います。

三井住友信託の保証料はホーム-ページの例示から計算しました。融資手数料は一律33,000です。その他の費用については先ほどの借り換えのセオリーをご一読ください。

費用面で大きなメリットがあるのは10年固定ですね。

20年固定では収支トントン位になります。今のミックスローンでも半分以上がフラット35ですから、ある程度金利は固定されています。

10年固定は10年後の残高に注意

ただ、10年固定にする場合は10年後にイキナリその時の変動金利ベースになります。それでも今の変動金利よりは低い金利なのですが、10年後の残高を確認しておきましょう。

(単位:円)

残高比較 現在 りそな
10年固定
三井住友信託
20年固定
10年後 20,794,444 22,543,333 22,543,333
20年後 4,016,667 7,514,444 7,514,444

10年固定で借りた場合、10年後の残高は2,254万円です。これの半分位の貯金を貯めておけば、少々金利が上がっても心配無いと思います。目安としては年収位の残高です。

また、重要なのが定年時の残高です。退職金によらず、一括返済できるような金額かがポイントです。20年後の残高は7百万円です。お子さんも独立した後ですので、この残高であれば全く問題ないと思います。

既存の三井住友信託に借り換えた方がトクか?

りそな銀行の借換ローンは金利が安いですが、融資事務手数料が高いですよね。これを三井住友信託の10年固定と比較しておきましょう。既存の金融機関ですので、フラット35の部分だけ追加で保証料を払うことで借換えられるという前提で計算しました。

ただし、ちょっと変則的なパターンですので、実際にどういう費用になるかは銀行に確認してくださいね。

費用では三井住友信託が有利ですが、金利では前述したように固定期間終了後の優遇幅が違います。

  • りそな10年固定0.55% 固定期間終了後▲1.978% 25年借入
  • 三井住友信託10年固定0.55% 固定期間終了後▲1.4% 25年借入

これは結構大きな違いですよね。実際にこの金利差も加味してシミュレーションしました。さっきのりそな借換10年固定は固定期間終了後は0.775%としましたので、それよりも優遇幅が0.538%少ないということで1.353%という前提で計算します。

もちろん、この金利になるという意味ではありません。固定期間終了後の金利差を金額にするための仮定です。

(単位:円)

費用比較 りそな
10年固定
三井住友信託
10年固定
月返済 142,461 142,461
利息 2,974,233 3,639,540
住宅ローン控除 -1,372,639 -1,372,639
保証料 0 431,475
融資手数料 811,560 32,400
登録免許税 150,289 150,289
一括返済手数料 32,400 32,400
印紙税 20,000 20,000
司法書士 100,000 100,000
費用合計 2,715,843 3,033,465

りそな銀行の方が32万円ほど費用が安くなりましたね。ちょっと微妙な違いですが、りそなの方に軍配が上がりました。りそな銀行の10年固定は手数料が高くても、それだけオトクということです。

なお、10年後、20年後の残高は元金均等返済ですので、同じになります。

(単位:円)

残高比較 りそな
10年固定
三井住友信託
20年固定
10年後 22,543,333 22,543,333
20年後 7,514,444 7,514,444

団信に疾病保障をつけるか?

団信に疾病保障をつけるかについては、前に公開したこちらの記事が参考になると思います。

家を買う(持つ)とはどういうことですか?

まとめ

基本的に変動金利と固定金利のミックスというのはおススメではありません。ご相談にも書かれている通り、良く考えずに決めて、かえって借換のメリットも減らしている面もあります。

いわば、当初の借入時からすでに一度借り換えているようなイメージなんです。固定2変動1の割合だとすると、固定金利から変動金利へ3分の1回借り換えてるような状態です。

こちらもご一読いただければ、お分かりいただけると思います。

ミックスローンからの借換・金利交渉のタイミングは?

これを機に完済までの妥協のないシナリオを再考することをお勧めします。金利が固定されている間にもしもの時のための繰上げ返済資金をためておくというものです。

以上、参考になれば幸いです。

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