住宅ローンを量と質で決める4つのセオリー

住宅ローンをどうやって決めるかという教科書はありません。なぜかというと住宅ローンの決め方についての巷の情報は、基本的に売り手によってつくられたものだからです。

それらは決め方・選び方ではなく、『ウチの住宅ローンを利用してください』という遠まわしなメッセージです。

世の中にはそんなメッセージがあふれているので、私たちはいつの間にかそれが『住宅ローンの決め方』だと錯覚してしまっているんです。恐らくですけど、銀行の融資担当者もそうだと錯覚しています。

でも、その決め方で住宅ローンを選ぶと、彼らの利益を最大化するような住宅ローンしか組めません。

このサイトでは住宅ローンの売り手ではない千日が、住宅ローンを無理なく確実に完済し、なおかつ老後の資金を貯金できる合理的な決め方を量と質の2つの側面から解説します。

安心してください、とてもシンプルな話です。

  • 量とは元利均等返済額です。
  • 質とは金利変動等のリスクです。

量~月々の支払と住宅ローン控除の限度

住宅ローンを選ぶとき、どうしても金利に目が行きますよね。しかし、金利ばかり見ていると思わぬ失敗をしますよ。金利は割合です。金利が高くても元本が小さければ大した負担にはなりません。逆に金利が安くても元本が大きければ大きな負担になります。

金利で判断せず必ず元利均等返済額に引き直す

金利で判断するのではなく、必ず月々の元利均等返済額に引き直して判断してください。金利が安いという理由で選んだ住宅ローンは、ひょっとしたらリスクが高いかもしれません。

そのリスクと引き換えにして妥当なのか?そういうことは単純に金利を比較して決められることではありませんよ。

返済額は月収の4割未満にし、ボーナス払いにはしない

また、住宅ローンの返済額は月収の4割未満が一つの判断ラインです。これを超えるとちょっとづつ辛くなってきますし、老後やいざという時の貯蓄が難しくなってきます。

また、ゼッタイにボーナス払いにしてはいけません。住宅ローンは一度でも返済が遅れたら債務不履行です。

35年ならば420回一度も遅れず払いきればクリアです。420回やってくる約定日にその金額を払えるか?という判断が必要です。自分が420回ノーミスで出来そうなことを考えてみてください。

  • 自分の住所を420回ノーミスで書く
  • 縄跳び420回ノーミスで跳ぶ

かなりハードルを下げなければ、出来るとは言い切れませんよね。これが、ミスできないミッションにボーナス払いを入れることの危険性なんです。

住宅ローン控除の恩恵を受けられる上限

また、もう一つ量のポイントは住宅ローン控除(10年間にわたり年末のローン残高の1%が所得税と住民税から控除される減税措置)の限度額です。下手したら払う金利よりも大きいので当初の10年間は住宅ローンを借りていることで逆に儲かってしまう人も少なくありません。

まず購入する住宅によって以下の上限があります。

  • 一般の住宅で40万円
  • 認定長期優良又は低炭素住宅で50万円

これは有名ですね。しかしもう一つの所得による上限があることは見落とされがちです。

もう一つの上限とは所得税+翌年度の住民税(上限13万6千500円)です。つまり、納める税金以上に控除することが出来ないということです。

税込み年収と住宅ローン控除の上限とそれに相当する年末借入残高は以下のようになります。

税込年収⇒控除上限(年末借入残高)

  • 200万円⇒9万円(900万円)
  • 300万円⇒17.5万円(1,750万円)
  • 400万円⇒22.2万円(2,220万円)
  • 500万円⇒27.5万円(2,750万円)
  • 600万円⇒34.1万円(3,410万円)
  • 700万円⇒40.0又は45.2万円(4,000万円又は4,520万円)
  • 800万円⇒40.0又は50.0万円(4,000万円又は5,000万円)

つまりどういうことかというと、住宅ローンを借りる名義人の年収が300万円なら住宅ローン控除できる上限は17.5万円で頭打ちなので、恩恵を受けられる住宅ローンは1,750万円が上限だということです。

この住宅ローン控除の恩恵を受けられる金額の範囲内で住宅ローンを借りるようにすれば、身の丈を超えた住宅ローンを背負って生活が苦しくなってしまうことが防げます。

例えば年収600万円の上限は3,410万円ですね。

元本3,410万円を金利1%で35年元利均等返済ボーナス払い無しで返済するとすれば月の元利均等返済額は9万6千円ですね。

年収600万円の人の手取りはボーナスを除くと26万円から30万円ですね。住宅ローンの返済は手取り月収の35%位になります。

住宅ローンの返済額は月収の4割未満が無理なく返済できるラインだと書きました。住宅ローン控除の面でもこれは有効だということです。多分ですけど、住宅ローン控除があるからといって無謀な住宅ローンを組もうとするのを抑制しようという考えがあるのかもしれません。

質~住宅ローンのリスク

質とは住宅ローンのリスクの側面です。このリスクには測れるリスクと測れないリスクがあります。一番に目につくのは金利変動リスクだと思います。

この金利変動リスクは測定することが出来ます。何パーセントの確率で上がるか?というじゃありません、それはもともと分かりっこないという前提を置きます。分かるのはこのリスクに幾ら払うのかということです。

お金で回避できるようなリスクは、大したリスクではありません。

もう一つは人生のリスクです。人生のリスクは何パーセントか分かりませんし、幾ら払っても回避できません。

金利変動リスクは全期間固定金利との元利均等返済額で測る

変動金利には金利変動リスクがありますよね。

当初固定金利も当初の期間が終わればその時の金利水準で変動か固定かを決めますので、リスクという面では変動金利に分類されます。

変動金利や当初固定金利がフラット35などの全期間固定金利よりも安いのは、その分金利の変動リスクに利用者が対応しなければならないからです。つまり、全期間固定金利というのは金利変動リスクを銀行に負ってもらう代わりに高い金利を払うというのが利用者側の経済的な判断です。

銀行には大きな資本がありますから、金利の変動リスクへの対応力は個人よりも大きいですので、銀行がリスクに対応する方が個人よりも容易いです。

ここで交換条件が成り立つんですね。

  • 変動金利:金利変動リスクを負う住宅ローンの値段
  • 固定金利:金利変動リスクを負わない住宅ローンの値段

ですから、利用者としては変動金利と固定金利との元利均等返済額の差額を計算して金利変動リスクという質に幾ら払うのか?という検討をするんです。

この場合も量がポイントですよね、金利を比較するんじゃありません。元利均等返済額という量で比較するんです。

つまり、金利変動リスクについては、その値段を測定できるということです。

将来の金利動向は予測するものではない

このサイトを始めてから、今後の金融市場の動向や金利動向についての見解を聞かれることが増えました。

基本的に将来の金融市場の動向についてのご質問にはお答えしません。なぜなら、誰も予測できないからです。

金融市場の動向を予測して備える。

聞こえは良いですけど、前提がオカシイのです。まず、予測できないので最初につまづきます。にわか経済学者の当てずっぽうの『予測』で備える内容なんて、そもそも備えにならないのですよ。

ですから、金融動向がどのようになってもある程度対応できるように『備える』んです。

予測してよいのは、自分にコントロールできることだけです。

例えば、以下のことは予測していいですし、予測すべきでしょう。どっちかというと予定や計画という概念に近いです。

  • 一括返済用の積立貯蓄額を予測(計画)すること。
  • 仕事での自分の付加価値を高めて収入を増やしていくこと。

もちろん100%自分の思い通りには行かないかもしれませんが、自分の事なんですからある程度はコントロールできるのです。金利の動向を読む場合よりも遥かに現実的かつ、的確な予測になるでしょう。

人生のリスクはお金でどうにもならない

これに対して、カネを払って回避できないのが人生のリスクです。

リストラで収入がなくなる。

病気にかかってしまう。

離婚して家族を解散してしまう。

地震や火災で家を失う。

これについては事前に回避することは出来ません。どうにもならない事については、いくら考えても答えは出ません。

しかし、そうなったときに備えられることについては、ある程度備えておくべきだと思いますよ。

4つのセオリー

このページでは以下の4つのセオリーに分類しています。これを一通り読めば、ファイナンシャル・プランナー並に住宅ローンのポイントが身に付きます。

法律や金利は常に最新のものにアップデートされています。

金利タイプ選びのセオリー

変動金利か固定金利かどっちにする?金利タイプを決める基本的なセオリー目次変動金利か固定金利かどっちにする?金利

借換と金利交渉のセオリー

借換(銀行の乗換)と金利交渉の3か条目次借換(銀行の乗換)と金利交渉の3か条借換で得する借入残高と残期間と金利

税金のセオリー

住宅ローン控除の2つの上限と賢い繰上げ返済目次住宅ローン控除の2つの上限と賢い繰上げ返済自分の前年の所得税と住

リスクに備えるセオリー

住宅ローンのリスクを具体的に正しくつかむ目次住宅ローンのリスクを具体的に正しくつかむ住宅ローンのリスクは財務面