10年固定金利か変動金利かを決める基本的な考え方

10年固定と変動金利の質的な違いを理解する

金融機関のサイトでは、住宅ローンの金利タイプと適用金利が載っていますよね。広告としてはそれで十分な情報なのです。シミュレーションすれば、毎月の元利均等返済額を計算できます。

毎月の元利均等返済額は、量の側面です。

しかし住宅ローンを選ぶにあたっては、量だけではなく金利タイプの質的な面について十分な検討が必要です。

質的な面というのは、リスクの面です。今回は、10年固定と変動金利のリスク(金利変動リスク)の側面について、掘り下げて回答しています。

質問:10年固定と変動金利のどちらを選ぶべきか?

千日さま

初めてご連絡をさせていただきます。

東京都在住のYと申します。

住宅購入を決意し、住宅ローンのプラン決定にあたり、千日さまのサイトに辿り着きました。

記事を拝見し、簡単なシミュレーションだけし、ローンの情報を十分に調べずに住宅購入を既に決定した事に焦りを覚えました。

物件と私の属性についてあらかじめお伝えいたします。不足があればご指摘ください。

  • 性別 男性
  • エリア 東京都杉並区
  • 物件価格 4,580万(中古)
  • 共働き 世帯年収 1,100万程度

物件を決定し、内金の支払いと仲介手数料の半金を支払い済みです。

住宅ローンの仮審査は3行(三井住友信託銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行)とも私の単独名義で通り、三井住友信託へ本審査にかけている段階です。

住宅ローンは4,580万の全額借入となります。

千日さまへご相談したい点が2点ございます。

①住宅ローンのプランについて

記事も拝見しましたが、固定と変動のどちらにすべきか悩んでおります。

検討しているのは、三井住友信託10年固定0.45%にオプションで0.02%追加優遇です。

※これであれば、現在の賃貸の家賃と同じ金額で生活できます。

金利優遇でこちらを検討してますが、5年、125%が無くなる事を知り、変動も考え始めてます。

②ローンの借り入れが1月になる

控除額が最大になるのが12月借入と拝見しましたが、やはり1月だとかなり損をするのでしょうか?仕方ないと諦めてはいますが、もし、何か回避策や小技?のような知恵があればご教授頂けると幸甚です。

以上、お忙しい中。抽象的で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

ご回答お待ちしてます。

千日の追記:②についてはすぐ回答しました。こればかりはしょうがないです。控除を受けるのに銀行発行の残高証明が必要となりますので、銀行に虚偽の証明をしてもらわない限りは不可能です。

回答:金利タイプごとのリスクに対応する方法

Yさま

ではお答えしていきます。世帯年収で1,100万円であり、更に単独で審査に通るということでしたら、4,580万円の住宅ローンは無理なく返済可能な範囲ですね。

三井住友信託であれば、当初10年間の固定期間の返済額は11万7千円、変動金利0.6%とすれば12万円です。

ご質問としては10年固定金利について5年ルールと125%ルールが無いため、10年後にリスクを取ってよいかどうか?ということですね。

10年固定は金利変動リスクを積極的に取るタイプ

当初固定タイプの住宅ローンはリスクを取る考え方で利用するものです。

10年固定のリスクに対応できるか否かは、10年後の残高をコントロールできそうか?という面で判断します。

三井住友信託で10年固定の住宅ローンを借りた場合の10年後の残高は3,339万円です。もし、貯金が十分にない場合は、この借入残は確かにリスクがあります。

しかし、これを年収の1.5から2倍程度に減らせるくらいの貯金があれば可能でしょう。仮に10年後の年収を今の1.1倍とすると、約1,210万円ですね。その1.5倍は1,815万円です。

ということは、だいたい1,500万円位の貯金があれば、ローン残高をほぼ安全圏に減らすことが可能ということです。

10年で1,500万円の貯蓄をするには、年間150万円のペースですね。1カ月にすると12.5万円です。全く自己資金が無いという前提で当初の10年間について、ほぼ家賃と同額を貯金することが出来れば、10年固定で後悔することは無いでしょう。

むしろ変動金利の方がリスクは小さい

また、上記の貯金が難しそうだ、ないしリスクがあるとお考えであれば、変動をお勧めします。

変動ならば、10年固定よりも、必要な貯蓄のハードルは低いです。毎月の返済額の4分の1を積立します。

金利タイプの選び方のセオリーについてはこちらをご一読ください。
金利タイプの選び方

住宅ローン控除の上限に注意

住宅ローン控除の上限に注意が必要です。住宅の資金を特に伺っておりませんが、もしもあえて頭金を温存するのであれば、住宅ローン控除の上限は通常の住宅で4,000万円です。

詳しくはこちらをご一読ください。

税金のセオリー

4,580万円の物件であれば、580万円-12月までの元本返済額は、頭金を入れた方が良いと思いますよ。省エネ住宅など特別な例では5,000万円までありますので、その点はご確認ください。

質問:10年で一括返済できないと、10年固定をえらんではいけないのか?

千日さま

ご丁寧にご返信頂きありがとうございます。

10年固定金利の月12.5万の貯蓄は厳しいですね。子供2人の養育費もありますし、、。

貯蓄に関する考え方ですが、

この1500万の貯蓄は、10年間で繰り上げ返済をする金額とは別途と考えておいた方がいいですか?

※繰り上げ返済は年末調整の控除分と、月々数万の貯蓄をしていくつもりでした。

つまりは手元に残しておくべきお金として必要と思っていた方がいいでしょうか。

繰り上げ返済+月12.5万の貯蓄であれば、変動を優先に考えていきたいと思います。

変動であれば、若干金利の低い三菱東京UFJ銀行にするべきとも考えてます。

上記の考え方について、ご教授頂けると幸甚です。

よろしくお願いいたします。

回答:10年固定のメリットとリスクの考え方

では回答致します。私のサイト「千日のブログ」で10年固定を推す理由は、何と言っても当初10年間のその金利の安さにあります。

そして、安い理由が利用者にとってデメリットを示すものではありません。

信託銀行は信託業務として顧客の資産を一定割合、安全投資で運用する必要があります。しかしここ最近までは安全投資の代表である国債の利回りがマイナスになってしまい、運用手段として利用できなくなってしまいました。

今は米国の長期金利の波及でプラスになり、マイナス状態は脱しましたがまだ低い水準であることに変わりはありません。

そこで、国債への代替投資として住宅ローンの獲得に力を入れてるんです。『10年固定』は彼らにとって『10年国債』のようなものです。

つまり、今の金利情勢で金融機関が損を承知で設定している金利なので「明らかに利用者にメリットがある」とお勧めしているものです。

ですので、5年ルールと125%ルールが無くなることについて、過敏になる必要は無いと思います。「特にリスキー」というよりは、変動金利なみの保護になっていない。という見方です。

変動金利は半年ごとに見直しですから、それと同列レベルを10年固定される10年固定に要求するのもやり過ぎですよね。

昨日例として挙げた1,500万円の貯蓄をする方法は、ほぼリスクを抑える方法です。この貯蓄額と実際的に可能な貯蓄額の差額がリスクの値段です。

なお、ここで言う貯蓄額は老後資金や教育費を除く、住宅ローンのリスクに備える積立です。

例えば毎月支払い額の25%を貯蓄するとすれば、毎月3万円ですね。10年で360万円です。(住宅ローン控除は固定資産税に使うという前提にします、首都圏のマンションだとその位になりそうです。)

すると1,500万円-360万円=1,140万円が、10年後のリスクの大きさということになりますね。

変動金利でも金利が上がるのに変わりはありませんが、「支払」を上げるまで5年という猶予と、「支払」が一度に上がる上限が125%ということです。もちろん金利が上がって支払いが変わらないと期間が長くなります。

質的なリスクは同じですけど、量の面で保護されているのが変動金利です。

このあたりを勘案して再度検討されてはいかがでしょうか。

まとめ~10年固定金利とは10年経過後変動金利である

10年固定金利は名前だけ見ると、10年固定されているのだなという言葉通りの見方になりますよね。しかし、住宅ローンは10年ではなく、最長で35年です。固定していない期間の方が長いんですよね。

  • それも、まだまだ残高が多いうちに固定期間は終了します。
  • それも、今の時点で金利動向が読めない10年後に変動になります。

ですから、10年固定を『固定』という先入観で捉えると、失敗のもとです。10年経過後変動金利だという見方が適切です。

変動金利という観点に立ち変動金利と比較すると、10年固定には5年ルールと125%ルールはありません。つまり10年後の金利情勢での元利均等返済額に、急に変わるということになります。

ですから、10年固定を選んだ人は、8年経過したあたりから、10年後はどうするか?ということについて、考えていかねばならないんですね。

そういうのは心配だという場合は、繰上げ返済で元本を安全圏まで減らすのが一番シンプルなリスクの回避方法です。

ただし、この繰上げ返済で老後の資金が底をついてしまうのは本末転倒ですよね。

住宅ローンのセオリーへ

以上、参考になりましたら幸いです。

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