フラット35は民間銀行よりも支払いが多くメリットがないですか?

2019年10月1日

フラット35は民間銀行の固定より基本的にメリットしかありません

どんな場合でも、どんな人でもって訳ではありませんけど、フラット35は多くの民間金融機関と比較してメリットの多い金利タイプです。

特に市場の長期金利が低い今のタイミングでは、金利変動リスクを抑制するコストは最もフラット35が安いです。

なんでそう言い切れるのか?

フラット35の金利が市場価格だからです。

民間銀行は、銀行が市場で資金を借りる調達金利よりも高い金利で住宅ローンを貸すことで銀行は利益を出しているのですね。仕入値に利益を乗せた売値という感覚なんです。

それに対してフラット35は機関投資家が買う機構債の利回りに事務コスト(機構と取扱金融機関)を足して決まります。

より市場に近いところで金利が決まります。

言ってみれば、

  • 民間銀行の住宅ローンはスーパーの売り場の値段に近い。
  • フラット35は卸売り市場の値段に近い。

こういうことです。仕組みとして最も調達元の原価に近いところで購入できる商品なんですよ。

もちろん、ごくたまに卸売り市場より安い値段をつけているスーパーもあるかもしれませんし、たまたま自分の求める商品が市場には無く、スーパーにしか無かったということもあるでしょう。

ですから、『基本的に』という前置きをしたまでのことです。

今日のご相談者は、不動産屋の営業マンからは『フラット35は民間銀行より月々の支払いが多く、メリットがない』と説明されたそうです。

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今後50:50の共働き夫婦が住宅ローンの主流になる!年収と世帯年収のギャップでリスク増大 |千日のブログ

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相談:常勤の妻の名義で住宅ローンを組み、出来れば今年中に子どもを作りたい

住宅ローンの選択で迷っている中,千日様のブログに辿り着き,大変勉強になったため,ご連絡させて頂きました。

戸建新築物件を購入予定なのですが、住宅ローンの選択で、固定と変動の選択で迷っています。

年齢、年収、共働き世帯年収、家の価格、住宅ローン、頭金

夫年齢 27
夫の年収(万円) 470
妻年齢 35
妻の年収(万円) 500
共働き世帯年収(万円) 970
家の価格(万円) 4,980
住宅ローン(万円) 4,980
頭金(万円) 0
  • 物件価格:4980万円(2月末引き渡し予定)
  • 家族構成:夫27歳、妻35歳、子12歳、8歳の4人暮らし
  • 夫300万(非常勤)→4月から400万(常勤)+70万(非常勤)→計470万(手取り月収30万)
  • 妻500万(常勤)+100万(非常勤)→計600万(手取り月収35万)

夫が子持ちの妻と結婚し、戸建を購入する決心をしました。

夫は現在非常勤ということで、収入として扱ってくれない銀行がほとんどであり、妻の収入のみでローンを組むことになるのですが、現在固定と変動で一社ずつ事前審査が通っている状況です。

  • 固定:三井住友銀行35年固定(金利1.54%、月返済16.2万)
  • 変動:中央労働金庫(金利0.855%、月返済13.7万)

将来的に、もう一人子供を作りたいと考えております(できれば年内)。育児休暇中は妻の非常勤分の収入がなくなり、常勤の分の年収も1年半ほど265万前後まで減少する(月収は恐らく10万程度)予定です。妻は復職後は60歳までフルタイムで働く気満々です。

妻のみで契約すると住宅ローンの控除で損をすること、ローンが通る銀行がかなり限られることから、5年前後でより好条件の銀行への借り換えも視野に入れております。

現在の選択肢としては

  1. 変動金利で繰り上げ返済をしつつ、5年後くらいに二人で合算して借り換え
  2. 固定で借り換えなし
  3. 固定で5年前後で借り換え

の3つで考えています。

1.は月々の支払額は少ないが、1/4貯蓄原則で考えると月々の負担はむしろ大きく、借り換え手数料がかかてしまう。

2.は安定しているが、完済まで妻しか団信に加入しないので、若干不安あり。現在低金利ではあるが、将来もっと好条件のローンへ借り換え可能なのでは。。とも考えてしまっています。

3人目の子供を作ることで大黒柱である妻の収入が減少する予定であるという家庭状況も加味すると、最良の選択がなかなか下せない状況ですので、一度千日様のご意見を伺えると幸いです。

宜しくお願い致します。

千日による追記:

ちょっとチャレンジングなプランだと思いました。そこで幾つかの追加確認をしました。

フラット35の仮審査に通ってましたが不動産屋からメリットが無いと言われ候補から外しました

フラット35については、事前審査までは通りました。

固定でいく場合は三井住友銀行より月々の支払いが多く、メリットがないと不動産会社から説明されました。恥ずかしながらその後詳細に調べず、真に受けて本審査にかけていません。

不動産屋からは、

三井住友は35年固定で1.79%で保証料103万円を支払うと1.59%、

フラット35sは1.56%で当初10年間は1.26%、保証料108万円の支払い必須で更に団信は別途加入が必要

上記を考慮し、三井住友の方が良い

とのことでした。

千日様のブログを見るとフラット35が優良であると感じてきています。

不動産屋に確認したところ、今回のフラット35は全宅ローンという会社でした。

他のフラットを扱う金融機関は夫の収入や妻の非常勤枠の収入を考慮してくれず、融資額4980万まで出せない銀行が多かったとのことでした。全宅ローンは夫の収入を補助的に入れてくれたようです。

しかし、夫は主たる債務者の扱いにはならないので、団信は100%妻のみの加入になるのではないかと、不動産屋からは説明がありました。

一応、他にもう少し有利なフラット35がないかは今も探してくれているようです。

振り出しに戻ってしまったような感覚です。

やはり変動で繰り上げ返済をしつつ、二人で住宅ローンが組める時期になってから借り換えという方向が宜しいでしょうか。。

借り換えは夫の勤続年数がある程度経過し、妻の出産が終わり年収が安定した頃になるかと思うので、現在のような低金利での加入は難しいでしょうか。。

千日による追記:フラット35は国の審査基準で審査を行いますので、民間銀行の住宅ローンの審査とは異なる結果となることが多いです。

国の考え方としては、雇用条件がどうであれ返済できそうな人には住宅資金を融資して、家を購入してもらい、経済を回そうという考え方です。儲けが目的じゃないんです。

つまり、ご相談者のケースは実は他の銀行でも通る可能性のあるパターンです。

フラット35は国が銀行から債権を買い取り又は保証するので銀行にはリスクは無いのですから、特定の銀行の判断で審査を緩くすることも逆に厳しくすることも、殆ど無いんです。もちろん人間の判断が入るところですから、結果がすべて同じになるとは限りません。

それにしてもこの不動産屋さん、まるで隣で見てきたかのように話しますよね…(太字斜体のところです)個人情報がうるさく言われている昨今、そんな現場を見れるはずも知れるはずも無いんですが。

しかも最高の条件であるフラット35sの金利Aプラン(当初10年の金利が0.3%引下げ)をバッサリ切り捨てさせています。

購入のタイミングは夫婦ともに今しかないと思っています

家の購入のタイミングについては、夫婦ともに今しかないと考えています。現在住んでいる場所を離れての購入となるのですが、上の子が中学校に進学するため、今回を逃すと引越し自体が難しくなってしまうためです。

回答:フラット35sがお勧めです

ではお答えしていきますね。

借換を前提にする場合の基本的な方針

借り換えには一定の費用がかかりますよね。ですから、借換を前提にするのであれば、その分安い金利が確定できることが漏れなく前提だと考えています。

また、将来の借換の時点の金利水準は分かりませんよね、リスクがあります。ですから、借換を前提にするのであれば、その分安い金利が確定できることが漏れなく前提だと考えています。

大事なことなので2度同じことを書きました。今検討されている住宅ローンの金利タイプは、いずれも厳しいということです。

  • 35年固定は金利が安くないです。
  • 変動金利は金利が確定ではありませんし、条件的にさほど安くもないです。

私なら、どちらも借りません。

借り換えないことを前提とする場合の基本的な方針

初めから良い条件で借りられていれば、借換を前提にする必要はありません。ここでいう良い条件とは、返済期間の全期間にわたって借り続けても、損をしないということです。

もちろん、その後に借換えた方が得であるという状況になれば、借り換えればいいと思います。そのまま借り続けてもいいし、金利が下がれば借り換えてもいい。

こんな状況からスタートするのが王道です。

それができないから…

という声が聞こえてきそうですが、試していないことがまだあるんです。

フラット35sは借り換えてもいいし、借り換えずに借り続けてもいい、オールマイティな金利タイプ

フラット35sで当初10年間の金利を0.3%引き下げ、その後の金利も固定されるオールマイティな金利タイプです。

当初10年引下げの金利Aプランと当初5年引下げの金利Bプランがあるんですが、優遇される期間が長い方の金利Aプランが適用できるのですね。

これ、S級レベルの条件です。

  • 0.3%引き下げになる10年が終わったところをきっかけに借り換えてもいいです。
  • そのまま借り続けても、今の低金利水準で金利は固定されていますので、損はありません。

不動産屋が『これ以外』にしましょうという結論になるのは、マージンが少ないからじゃないのか?と思ってしまいます。彼が「もっと良い条件のフラット35」をまともに探していると考えるのは人が良すぎますよ。

それは、自分で探すのです。

回答:住宅ローンに関しては不動産屋の説明を真に受けてはいけない

不動産屋からは

フラット35sは1.56%で当初10年間は1.26%、保証料108万円の支払い必須で更に団信は別途加入が必要

と、このように言われているのですね。

このフラット35sを取り扱っているという全宅住宅ローンのHPをご一読ください。この先で一番下まで行くと、『保証人、保証料とも必要ありません。』と書かれています。

フラット35sはフラット35の当初年数の金利を下げるタイプですから、sが付いているか付いてないかで変わりはありません。

フラット35は国が金融機関から住宅ローンを買い取る、又は保証するので、保証料が不要というのはすべての金融機関で共通のルールです。

108万円というのは保証料ではなく、融資手数料です。だいたい借入額の2%プラス消費税というところが多いです。

融資手数料は払いきりです。期限前に全額繰り上げ返済しても返ってきません。保証料ならば繰り上げ返済した分が返ってきます。

回答:フラット35sの条件を良くしていく方法を解説します

具体的にこのフラット35sの条件を良くしていきます。

頭金を10%用意すれば金利が0.44%安くなる。

まず頭金を10%準備しましょう。融資手数料とは別に498万円準備するのです。この頭金が無いばかりに金利が0.44%も高くなっているので、これを下げるのがまずやるべきことです。

4,980万円を35年で0.44%金利が高いと約4百万円の利息を多く払うことになります。

親、兄弟から援助してもらう又は借りるのです。

それが不可能な場合は、頭金だけをフラット35ではない住宅ローンで借りて、そちらだけを先に繰り上げ返済すればよいですね。

頭金ゼロで家を買ったその後の貯金と家計も考えよう

こちらが参考になると思います。この中の二人目のご相談者のケースではARUHIのフラット35αという頭金の10%を融資してくれるものがあります。

金利は高いですが、繰り上げ返済してしまえばいいのです。4,980万円全体に対して高い金利が適用されるよりもずっと利息の負担を減らせるでしょう。

ARUHIの審査は最短で3営業日です。今から月末に間に合う審査スピードだと思います。

融資手数料の安いフラット35の取り扱い金融機関

融資手数料はほとんどが2.2%です。そして団信への加入が義務になっています。

楽天銀行ならば楽天口座をつくると手数料は1.1%となり、半額になります。10%の頭金を工面できるのであれば、楽天銀行が最もコストが安いと思います(私の知る範囲ですが)。

月末に間に合うか、分かりませんので不動産屋を通してではなく、ご自身で確認してみてください。

原則として団信は任意加入です

フラット35の団信保険は任意加入です。取り扱い金融機関によって義務にしているところと、そうでないところがあるんです。

ARUHIと楽天銀行は、どちらも団信加入は任意です。

今のところ、奥様が大黒柱ですが、実質的にはお二人で返済するのだということですよね。あえて団信に入らないという選択肢もあると思います。

大黒柱が亡くなったらその後の住居費が実質無料になる。

これってとても、よい保険ですよね。なので任意に入ると、その分高いのです。

そもそもが2馬力で住宅ローンを払うので、共働きという点で、専業主婦の世帯よりも強いのです。さらに団信を付けるのは若干(ほんの少しですが)オーバースペックなんですよ。

即、生活保護になってしまうほど、困りはしないんですから。

なお、団信は途中から加入することもできます。ただしいったん脱退すると、2度と入れません。

団信は2017年10月から値下げになり身体障害保障へグレードアップ

2017年10月1日の申し込みからフラット35の団信が大幅にリニューアルされています。この制度変更の骨子は2つです。

団信保険料は実質値下げ。従来年一回ローン残高の0.358%を払う方式だったが、今後はフラット35の金利に0.28%上乗せとなり毎月の返済と一緒に支払う。

住宅ローン残高がゼロ円になる保障の範囲は拡大。従来高度障害と死亡が条件だったが、今後は身体障害(身体障害者福祉法1級or2級)についても保障の範囲に含まれる。

新制度では、保険料が値下げになった上、保障内容を身体障害者手帳の交付や介護認定等公的制度と関連付けることにより、利用者とってわかりやすくなり、同時に保障内容も充実するんですね。

具体的な例としては、ペースメーカーを植え込んだり、人工透析が不可欠になって日常生活活動が極度に制限される状態で1・2級の身体障碍者手帳が交付された場合などが当てはまります。なお、一定の保険料の上乗せを行って3大疾病保障団信に加入する場合には、3大疾病のほか、介護保障も保険金支払いの対象に加わることになりました。

大病を患っても入院期間が短期化する傾向があり、通院治療となっても重い障害が残ることもありますが、従来の疾病保障団信では、カバーされません。その点、身体障害が保障の範囲になっているフラット35の保障範囲は他の追随を許さないほどの広さだと思います。

また、身体障害者手帳の交付という基準も明確です。なお精神障害者手帳は保障の範囲外ですのでその点は注意が必要です。

頭金を多く入れるとさらに金利を引き下げるアルヒスーパーフラット

全期間固定住宅ローンのフラット35は、金利が上昇しないので安心して借りられ、また融資基準が比較的緩やかというメリットがあります。その中でも、アルヒが取り扱っている「スーパーフラット」は、通常のフラット35に比べて金利を0.1%、または0.05%引き下げている、おすすめの住宅ローンです。

従来は、頭金が2割以上必要な「スーパーフラット8」だけでしたが、2017年10月に、頭金が1割以上必要な「スーパーフラット9」も投入しました。概要は以下の通りです。

商品名

(通常のフラット35との金利差)

頭金(手持金) 返済負担率
スーパーフラット8

(金利▼0.10%)

2割以上 30%以内(年収400万円未満)

35%以内(年収400万円以上)

スーパーフラット9

(金利▼0.05%)

1割以上 20%以内

申込はこちらからどうぞ☟






さらにこのアルヒのスーパーフラットはフラット35Sとの併用も出来るんです。

不動産屋に任せきりでは損をしますよ

根本的な問題点としてあえて厳しいことを申し上げます。

『不動産屋に任せきり』という点です。断言してもいいですが、彼はお客の住宅ローンなど、どっちでもいいのです。

既にどこかで借りられることが決まっているんですから、それ以上の銀行をマジメに探すインセンティブなんて、彼の中にはありません。

それより、次のお客で契約を取る方が遥かに重要な仕事です。

彼が悪いのではなく、それが普通なんです。

家を買うときの心構え 不動産屋との二人三脚に注意-千日のブログ

こちらにも、書いています。ただ、『悪徳』と表現していますが、私の中では『それが普通』というのが正直な感覚です。

また、こちらもどうぞ。

悪質業者への対処法と成功事例を教えます

こちらには、千日の実体験も書いてます。既にお読みいただいかかもしれませんが。。

以上参考になれば幸いです。

千日

まとめ

ああ、またやってしまいました。気分を悪くされたと思います。

しかし。知っている者としては、このように答えざるを得ないのですよ。

もう少し私のサイトが有名ならば、質問メールを送る前の段階で、もう少し早く気付くことが出来たでしょう。

そうすれば、リスクを最小化してかつ低金利で住宅ローンを組めるところまで何の問題も無くできたでしょう。

フラット35sの条件に当てはまることを確認されているようですので、ホントにかなりいいところまで行ったんですけどね。

寸前で方向転換させられてしまったんです。

ただ、まだ実行されていませんので、今からでも十分に間に合うと思います。

以上、参考になれば幸いです。

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