50代は定年住宅ローン完済までのラストスパートのタイミング

2019年11月15日

52歳からの住宅ローンの借換は定年までの完済を見据えて行いましょう

年齢も50代に入ると、60歳定年まであと10年です。65歳定年が義務化されましたので今なら15年ですかね。15年というと長いようですが、いままでの15年を思えばアッという間に過ぎてしまいそうです。

今年45歳になる千日の15年前は30歳、ついこないだじゃないですか。しかし明らかに歳は取りました。

そんな、長いようで短い定年までの10数年で住宅ローンを手じまう、そんな時期が50代ということです。

当初は最長ということで35年ローンを組む方が多いですが、それだと定年後も住宅ローンが続いてしまいます。今の年収の半分以下で払えるものか?

ちゃんと計算しなくても、何となくヤバいムードを第六感で感じると思います。それが「老後破産」のイエローシグナルです。

リタイア後の老後破産と老老介護のリスクを知る 思い描く老後を現実にするための年金の知恵-千日のブログ

では、今日のご相談者です。完済に向けてのラストスパートに差し掛かっています。

定年後も住宅ローンの返済を続けつつ老後破産しないための方法とは?-千日のブログ

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相談:定年まで13年の住宅ローンの借換は何がいいですか?

初めまして。参考になるものはないかと検索していたところこちらにたどり着きました。現在住宅ローンを他行へ借り換えをしたく近日中に銀行へ相談することとなりましたがどのようなプランに借り換えるのが良いのか調べるほど分からなくなってしまいましたので宜しくお願いいたします。

物件は築25年のマンションです。

現在返済中の住宅ローン

スルガ銀行のプレミアム(SHLプレミアム 返済サポートなし)

変動金利 35年払い 現在の金利3.3% 次回3月1日 195回目の支払い後 残債11,310,953円

近日中に面談予定の銀行

横浜銀行 固定金利型10年 全期間最大-1.875%(が良いのかどうか分かりませんが)

自身と家族について

今年で52才となります 定年は65才 配偶者あり

子供の大学はあと3年間です。

横浜銀行は日頃利用していることから何かと便利が良いのではと思ったことが切っ掛けです。

ブログ内で触れていらっしゃったりそな銀行の借り換えローンも口座を持っているので気になっています。

スルガ銀行へは金利交渉などしておりません。

子供の学費など考えますと自己資金の調達もなかなか難しいですが年収ならびに勤続年数も年が明けてやっと審査の土台に乗るのではないかと思い立ちこのようなご相談となりました。

よろしくお願いいたします。

回答:定年退職までの完済を目指すシミュレーションを考えました

ではお答えしていきます。

現在お借入れの住宅ローンの、スルガ銀行のスーパーホームローンプレミアムの特徴は審査条件等の面で以下の緩和が行われている商品のため、金利が高く設定されています。

  1. 担保評価の120%まで融資
  2. 最長1年まで利息のみの返済が可能
  3. 保証料無料

この中で、借換の際に気にかかるのは1番目の担保評価ですね。こればかりは、当時の時価と借入額との関係ですので、今どんな状態なのかは審査に出して見なければ分からないところです。

そのため、ここでの検討は審査に通ることを前提として最も有利で、適合した住宅ローンの金利タイプと年数のご提案をしていこうと思います。

ずばりこれからは、ラストスパートのタイミングです。

住宅ローンの完済に向けてラストスパートをかける時期

定年までは13年ですが、60歳を越えると収入が半分から6割位になるのが一般的であるようですので、できれば8年という期間になります。

なので、残りの年数と残高を意識して計画を立てます。

  • 残り13年での完済(必須)
  • 借換費用を含めて最も支払の少ない金利タイプ
  • できれば審査に通りやすいもの

こういうことです。

そこから導き出されるものは以下の2つです。

りそなの10年固定(借りかえ専用)かフラット35の20年以内

りそな銀行の10年固定(借りかえ専用)は業界最安レベルの0.5%であり、11年目からは優遇幅が減って金利が上がる可能性がありますが、その時は残り3年ですから一括返済出来る可能性が高いです。

団信保険料はりそな銀行が負担しますので、スルガ銀行と同じ保障内容です。

フラット35の15年~20年の2月金利は0.99%とこれも低金利です。3月は千日のブログで1%と予想しています。フラット35は独自の審査基準になっているので、都銀で通らない場合でもフラット35であれば通ることがあります。

なお、フラット35は団信が別料金となります。だいたい0.358%位が金利に上乗せとなります。勝手ながら、ここでは入らないという前提でシミュレーションしました。

  • もうすぐお子さんが独立される。
  • 完済までの期間が比較的短期である。

以上の理由です。これはあくまで千日の考え方ですので、その点は別途ゆっくりご検討ください。折しも昨日のこちらの記事が参考になると思います。

団信無料の大手銀行vs団信加入せずフラット35のどっちが得か?

りそな銀行と優良住宅ローンのフラット35の借換費用の比較

まずは、借換にどれくらいの費用がかかるかということですね。これはあくまで概算ですので、いくらか上下することがあるとは思いますが。概ねこのくらいということがお分かりいただければと思います。

フラット35への借換費用については株式会社優良住宅ローンで計算しました。私の知る限り、融資手数料と金利面で最安です。

(単位:円)

借換費用概算 りそな
10年固定
0.5%(2月)
優良住宅ローン
フラット35
1.0%(3月予想)
スルガ銀行一括返済手数料 定額 10,800 定額 10,800
スルガ銀行保証料戻り 無料 0 無料 0
融資手数料 2.2% 244,317 最低額 108,000
印紙代 定額 20,000 定額 20,000
登録免許税 0.4% 45,244 0.4% 45,244
司法書士報酬 概算 50,000 概算 50,000
フラット35検査手数料 なし 0 概算 50,000
合計 370,360 284,044

優良住宅ローンの方が8万6千円くらい安いですね。

借換費用を取り戻すのに必要な金利の低減幅の目安や、借換費用の見積もり方についてはこちらをご一読ください。

借換と金利交渉のセオリー

定年までの13年での完済を必須とし、借入期間を13年に設定するシミュレーション

まずは大原則である定年までの完済を前提としたシミュレーションです。

  • スルガ銀行の場合は残り18年9カ月ですので、13年経過後に残りを一括返済します。
  • りそな銀行10年固定の場合は13年より短い固定期間(10年)経過後に残りを一括返済します。
  • フラット35の場合は借入期間を13年とし、期間を全部使って約定どおり完済します。
  • 最後に先ほど計算した借換費用の概算額を足しました。

(単位:円)

定年までの年数重視 スルガ
18年9月
3.3%
りそな10年
13年
0.5%
フラット35
13年
1.0%
月返済 67,484 74,903 77,351
10年 8,988,382
13年 10,527,521 12,066,796
最終返済 4,236,006 2,675,838 0
合計返済額 14,763,527 11,664,220 12,066,796
借換費用概算 0 370,360 284,044
合計 14,763,527 12,034,580 12,350,840

合計額が定年までの支払い合計額です。

りそな銀行が最も安く、次いでフラット35、スルガ銀行と続きますね。借換によって2百万円から3百万円は得をするということです。

りそなの10年固定に審査が通るなら、支払い面ではりそな銀行が最もおススメということになります。

ただし、年数を短縮したことによって、月の元利均等返済額が増えてしまいました。お子さんの大学の学費が必要なこの1年の負担は大きくなります。また、借換費用も一括で払わなければなりません。

そこで、月ごとの元利均等返済額を今のスルガ銀行と同じになるように、借入期間を少し延ばしてシミュレーションしてみることにしました。

今の月ごとの元利均等返済額を維持するシミュレーション

まずは大原則である定年までの完済を前提としたシミュレーションです。

  • スルガ銀行は変わりなし。
  • りそな銀行10年固定の場合は借入期間を14年に伸ばすと、当初の10年は今と同じ位の支払となります。固定期間(10年)経過後に残りを一括返済するのは同じです。
  • フラット35の場合は借入期間15年とし、13年経過後に残りを一括返済します。
  • 最後に先ほど計算した借換費用の概算額を足すのは同じです。

(単位:円)

同程度の月返済重視 スルガ
18年9月
3.3%
りそな10年
14年
0.5%
フラット35
15年
1.0%
月返済 67,484 69,725 67,695
10年 8,367,007
13年 10,527,521 10,560,488
最終返済 4,236,006 3,312,874 1,607,888
合計返済額 14,763,527 11,679,881 12,168,376
借換費用概算 0 370,360 284,044
合計 14,763,527 12,050,241 12,452,420

合計は、さっきとさほど変わらないですよね。

これは、今の金利が極めて低金利だからです。良く確認していただきたいのは「最終返済」の額です。毎月の返済は変わらなくても、貯金をして、10年後ないし13年後の一括返済に備えなければなりません。

まとめ~全体の方針

ざっと駆け足ではございましたが、以上がご提案となります。横浜銀行の10年固定(0.875%)でも、もちろんメリットはありますがりそな銀行の0.5%の方がより支払いは少なく、メリットは高いでしょう。

また、りそな銀行は当初優遇が終わった後の優遇幅は1.906%ですので、もし10年で全額繰上げ返済できなかった場合の安全度でも上です。

ただし、りそな銀行は都銀ですので、審査の基準が最も厳しい部類に入ります。

最近の審査の傾向についてはこちらをご一読ください。

金融機関の審査ラボ

冒頭で述べた担保評価という点で引っかかる可能性も無きにしも非ずですね。もちろんトライはしてほしいと思っています。

りそな銀行の審査に通らなかった場合のフラット35、もしくは横浜銀行というところだと思います。

以上、参考になれば幸いです。