40代共働きで借り始める住宅ローンの返済計画 老後破たんしないためには?

2018年10月28日

40代からの住宅ローンは65歳定年を見据えて完済する住宅ローンの計画を

世にある住宅ローンのセオリーは、だいたい30代の前半から半ばくらいでマイホームを購入する人を対象にしたものが多いです。

結婚や第一子の誕生を機に家を買おうと考えるケースが多いからなんですね。

しかし、最近は晩婚化が進んで40代で初婚という人も相当数います。千日自身も結婚は37歳の時でした(たぶん)。多分というのは、30を超えたあたりから歳をとるにつれて、仕事が忙しくなり、自分の年齢に無頓着になってきたからです。

事実、千日は31歳になった時に誕生日をスルーして、翌年の誕生日に自分が知らずに2年歳を取ったことに気づき、ちょっと損した気分になったものです。

さて、今日のご相談者です。

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相談:41歳新婚で子供は二人希望2017年からスタートする住宅ローンの計画は?

はじめまして、千日さん。いつもブログで勉強させてもらっています。結婚するにあたり家の購入を考えています。

年齢、年収、共働き世帯年収、家の価格、住宅ローン、頭金

夫年齢 41
夫の年収(万円) 500
妻年齢 36
妻の年収(万円) 200
共働き世帯年収(万円) 700
家の価格(万円) 3,500
住宅ローン(万円) 2,900
頭金(万円) 600

価格は3500万円あたりで頭金は600万円用意するつもりです。

年収は自分が41歳、年収500万程、妻は36歳、年収200万程です(いずれもボーナス含む)。子供はまだいません。

頭金を払って残りは35年ローンで返していくつもりで余裕ができれば繰り上げ返済していきたいですが、65歳まで働いてその時に繰り上げして尚且つ老後も普通に生活できるか不安です。

65歳以上でもまだまだ働くつもりでいますが、先の事はなんとも言えないので。

子供も二人は欲しいのでその辺も気になっています。

ご教授いただければ幸いです。よろしくお願いします。

回答:住宅ローンのセオリーに沿った返済計画の立て方

ではお答えしていきますね。

基本的な流れは以下のセオリー(千日メソッド)に沿って行います。

住宅ローンのセオリー

ぜひご一読ください。

住宅ローンは量の面と質の面で考えます

  • 量とは元利均等返済額(又は一括繰上げ返済を計画するときの残高)です。
  • 質とは金利変動リスクです。

量の面から判定するために固定金利でシミュレーションする

まずは、量の側面から『ちゃんと返済できるボリュームの借り入れか?』ということを判定していきます。

この場合は借りるときの『全期間固定金利』で測ります。実際に固定金利で借りるかどうかは横に置いておきます。

量を測る際に質、すなわち金利変動リスクを排除するためです。

3,500万円の物件で自己資金は600万円ですね。手数料や引っ越し費用などに100万円として500万円を頭金にして3,000万円借り入れるという感じになると思います。

2017年3月時点の30年固定金利で最安は三井住友信託銀行の1.1%ですので、この金利で測定してみましょう。借入期間を何年にするか?は決まっていないので、25年と30年と35年の3パターンでやってみました。

  • 借入:3,000万円
  • 利率:30年固定1.10%
  • 返済期間:25年、30年、35年
  • 返済方法:元利均等返済、ボーナス払いなし
  • 住宅ローン控除の年収による上限は税金のセオリーからザックリで当てはめました。住宅ローン控除の年収による上限は年収が上がれば上がりますし、扶養家族が増えて課税所得が減れば下がります。

税金のセオリー

(単位:円)

30年固定1.1% 25年 30年 35年
月返済 114,425 97,876 86,091
総返済額 34,327,486 35,235,381 36,158,230
住宅ローン控除 -2,385,407 -2,492,895 -2,565,876
差引計 31,942,079 32,742,486 33,592,354

月の返済を手取り月収の4割未満にします。この場合、出産を予定している奥様の収入は度外視してください。あくまで保守的に行うのがポイントです。

年収500万円のボーナスを除く手取り月収は25万円位であるとすると、その4割は10万円ですね。ということは、30年での返済であれば、無理なく払えるボリュームであるということです。

住宅ローン控除は10年間で250万円位返ってきますので、3,000万円の住宅ローンを完済するのに必要な支出は3,274万円です。利息の負担は10年間で実質274万円で済むということですね。

特に考えてこのプランを立てた訳ではありませんが、現実的に無理の無い感じに収まっていると思います。

ただし、これは今後30年間、今と同じ収入が継続することが前提です。

また、住宅ローン控除が受けられることが前提となっています。候補となる家については

税金ラボ

を確認し、ちゃんと住宅ローン控除を受けられる住宅か良く確認する必要がありますよ。

変動金利、10年固定金利を選ぶ際の注意点(質の側面)

変動金利であれば、さらに金利が低いですから月々の元利均等返済額を少なく抑えられます。また10年固定金利についても然りですね。

しかし、

これらは金利変動リスクに晒されています。

なので、これに対応するために、余分に住宅ローン用の資金として貯蓄を行う必要があります。

  • 変動金利の場合:毎月の元利均等返済額の4分の1を貯蓄していく。
  • 10年固定金利の場合:10年後の残高を繰上げ返済で安全圏にまで減らせるだけの貯蓄を計画的に貯めていく。

この貯蓄は老後資金や子供の教育費とは別に準備するものです。詳しくはこちら10年固定で10年後の金利動向に左右されない返済方法を教えます-千日のブログもご一読ください。

特に10年固定金利は今の金利情勢を反映してかなり低くなっていて、自分がそのタイプに適合するなら、お得な金利タイプです。色々とシミュレーションしてみても良いと思います。

回答:定年退職までの住宅ローンの『残高』に注目して計画を立てよう

現時点ですでに41歳ですから、65歳定年までは24年です。最初の『量』の検討で返済期間30年で問題ない感じでしたが、現時点で65歳を超えて仕事ができる保証はありません。

自分がやるつもりであっても、できるとは限らないのです。

  • 24年後に何の仕事をするか。
  • 24年後にその需要があるか。
  • 24年後にいくら収入があるか。

これらが具体的に決まってない限りは予定に入れてはいけませんよ。

24年後の社会なんて、まず予想は出来ません。つまり現時点で、70歳まで働いてローンを返済するという計画は少し甘いのです。

こんなことを言うのは、千日だけです。

老後破産の当事者は他でもない『自分』

不動産の営業マンは『売るまでがお仕事』です。そのお客が定年後にローンが返せなくなって、家を売却し、足元を見られて残債が残り、年金をやりくりして賃貸の家賃を払いながらローンを返済しようと関係ありません。

銀行の融資担当者は『貸すまでがお仕事』です。その債務者が定年後にローンを返せなくなったら、第一順位の抵当権を実行して家を売却すればいいのです。残債が残ってもだいぶ前の話です。覚えてもいません。

彼は銀行の審査マニュアルに沿って融資を実行したまでのことです。

自分の老後は自分にしか守れません。

残高に注目したシミュレーションの方法

では先ほどの返済年数で、19年後(60歳)、24年後(65歳)、30年後(71歳)の残高をそれぞれ見てみましょう。

(単位:円)

30年固定1.1% 25年 30年 35年
19年後60歳残高 7,969,074 12,163,353 15,150,243
24年後65歳残高 1,364,953 6,816,534 10,698,791
30年後71歳残高 0 0 5,023,741

ベストなのは、60歳までの完済ですね。第一子が大学入試位です。

  • 25年返済ならば残高8百万円
  • 30年返済ならば残高12百万円
  • 35年返済ならば残高15百万円

大学の入学金を工面しつつ、19年でこれらの貯蓄をすることは、奥様との2馬力であれば十分に可能であると思います。

セカンドベストは65歳までの完済です。第二子も大学生になる頃でしょう。

  • 25年返済ならば残高1百万円
  • 30年返済ならば残高6百万円
  • 35年返済ならば残高10百万円

65歳定年であっても60歳以降の年収は6割位に減ってしまいます。この間は第一子の学費を払いつつ第二子の大学入試が重なる可能性があります。

ちょうど、収入が下がる見込みのころに、多額の学費が必要になるので、この部分の計画をしっかり立てる必要があると思います。私なら奨学金を借りさせる方向で考えます。

35年は…やめておいた方がよさそうだと思います。その分貯蓄すればよいのでしょうが、利息の負担の方が大きいので、少しバランスが悪いですね。

結構多額の貯金を繰上げ返済用に置いておくことになりますが、もし私だったら十分に貯金があるように錯覚してしまいそうです。

まとめ~『35年』ローンではないという現実

住宅ローンの返済期間は長めに取るのがセオリーではあります。毎月の返済額を少なくしておく、すなわちハードルを低くしておくのですね。

銀行の担当者もそれを勧めると思います。

しかし、実態として35年も借りられないのが現実なのです。35年も借りられないのに、35年をベースとした返済額を設定するのは、錯覚を誘発するのです。

30年以上ある人は、35年でも問題ないと思いますよ。定年の時にはかなり残高が減っているはずですから、一括返済するのも楽です。

でも20年を切っているのに35年というベースで慣れ切ってしまうと、危険かもしれません。定年退職の時にまだドッシリと数千万単位の住宅ローンが残っています。

貯蓄計画をミスると、定年後に家を失う老後破たんのリスクを負うことになるのです。

以上、参考になれば幸いです。

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