少しくらいならボーナス払いでもいいですか?

2018年10月10日

サラリーマンだから出来る住宅ローンのボーナス払いの甘い罠

住宅ローンは自営業者に厳しくサラリーマンに甘いです。

確かに自営業者は浮き沈みがありますから、35年という長きにわたる住宅ローンの支払いが難しくなるリスクが高いと言えます。

これに対してサラリーマンの場合、自営業者よりも安定した大きな会社に勤めていて、景気の浮き沈みによって収入の変動が少ないです。

なるほど、だからサラリーマン(給与所得者)は住宅ローンを借りやすいんですね。一定以上の規模の会社に勤めていれば、よほどのことをしなければクビにはなりません。そして労働の対価としての給料は労基署の指導によって、かなり保護されています。

また、サラリーマンには『ボーナス』というものがあります。月給とは別に夏冬の年2回支給される賞与ですね。賞与も労働の対価ですけど、これはどうでしょう?

月給ほど保護されているとは思えませんよ。

勤めている会社の業績が悪化して全額カットされた、なんていう話は特段珍しいことではありません。

ボーナスには浮き沈みがあるんです。

なのに、35年の長きにわたる住宅ローンには「ボーナス払い」というオプションがあります。

これが千日が「住宅ローンは自営業者に厳しくサラリーマンに甘い」と言うゆえんです。甘いといっても、払えなくなったら家を取り上げられるのは同じですから、あながち甘いとも言えないんです。

安易にボーナス払いを選ぶと痛い目を見ますよ。では、今日のご相談者です。

 

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相談:借換後もボーナス払いにしようと思いますが

現在、労金で住宅ローンを借りています。年齢は39歳で、60才定年まであと20年です。雇用延長でいくとパート扱いの67歳までです。年収は現在430万円です。

31年ローン、当初10年固定1.95% 7年目で 残高は1,750万円です。

同じ労金で、保証料なしで借り換えを諸費用20万でできると条件いただいております。

そこで、以下の二つで迷っています。

  • 全期間固定1.6%で23年返済
  • 当初10年固定1.05%残り13年は変動金利で基準金利から1.5%マイナス

どちらも金利に0.1%上乗せして3大疾病団信に加入します。

安心を買うなら全期間と思っております。ただ、いまひとつ変動金利のルールがわからないため、10年固定だとしたら、その先が、どうなるか想像できません。

5年ルールと125%ルールを加味したらやはり23年くらいなら、10年固定の変動金利の方がよろしいのでしょうか?20年目には、退職金で繰り上げ返済して終わらせるつもりです。

金利の上昇が予測不可能ということは存じ上げております。安心の価格の差、価値が適正か、自分では、よくわからないのです。

 

ボーナス払いの返済計画ですが少額なら大丈夫ですよね?

支払いについては、ボーナスで23年トータル180万予定してます。

10年固定で月々64,000円ちょっとでボーナス44,000円ほどです。10年以降は、今の基準金利で1.5マイナスの、1.275で月々65,000円くらい、ボーナス44,800円ほど。

返済予定表も、ずっと1.275で出されており、総額では、お得感につい揺さぶられてしまいます。

しかし、千日さんの言うとおり、基準金利上がる可能性が高いですよねー。やはり、仮に100万の差が出ても、全期間固定でリスクを避け、安心をとるべきなんでしょうか?フラットなども高額な団信、諸費用を上乗せすると高いですから、労金の1.6%の金利でも、それほど損してる感覚がないのです。

悩ましいです。

ボーナスの、支払いは、ゼロにしたいのですが、生活もあるため月々70,000円以内に納めたいというところから、苦渋の決断になりました。

ボーナスも本来、あてにしないのが原則ですが、50,000円以内なら問題なさそうです。千日さんのセオリーからは、少し?かなりですかね。脱線してます。

もっと、早く出会ってればよかったです(T_T)

しかし、負けてはいられないので、千日のセオリーに修正できるように、頑張ろうとおもいます。退職金には手をつけず、おそらく200万前後の残金ですが繰り上げ返済して60才までに終わらそうと思います。

老後破綻しないように、心がけます。数日前に、千日さんのサイトに出会いましたが、意識が改革されてきてます。ありがとうございます!

回答:ボーナスを貯蓄しておき繰上げ返済に充てることをお勧めします

ではお答えしていきますね。月々の返済額を7万円以内に抑えつつ、60歳までに完済する返済計画についてご提案します。

そして、やはり少額であってもボーナス払いはお勧め出来ませんね。ボーナス払いにしている支払いを月々の返済額にならします。

考え方としては、ボーナスを貯蓄しておき、そこから毎月の返済に充てるということです。

もしかしたらボーナスもまた生活費の源泉になっている、と言われるかもしれません。そうなると、生活が出ない可能性のあるボーナスに依存しているということです。

これは、生活にリスクがあるという事ですね。

生活費は文字通り生活していくのに必要な支出ですから、景気や勤め先の経営成績、自分の評価の良し悪しに関わらず必要なお金です。

住宅ローンの支払いもまた同じです。景気や勤め先の経営成績、自分の評価の良し悪しに関わらず、払えなければ債務不履行となるお金です。

つまり、ボーナスが生活費の源泉となっている上に住宅ローンをボーナス払いにするのは、自分からリスクを倍増させている行為なのですよ。

住宅ローンもそうですが、家計の支出についても見直しが必要かもしれません。

全期間固定か10年固定か?

まず全期間固定と10年固定を比較しました。

  • 全期間固定:1.6% 23年 20年で一括返済
  • 10年固定:当初10年1.05%、その後変動1.275%(今の水準と仮定)20年で一括返済

(単位:円)

固定と10年固定 全期間固定
1.6%
10年固定
1.05%→1.275%
月返済 75,828 71,398
72,429
60歳残高 2,663,602 2,556,856
利息 3,362,370 2,315,978
住宅ローン控除 -486,515 -484,138
費用合計 2,875,855 1,831,840

ボーナス払いにしなければ、どちらも7万円を超えますね。10年固定はその後変動になるとしましたが、さらに10年固定の方が安い場合もあるかもしれません。ただ、その後のことは分かりませんのであくまで費用合計は参考程度です。

この場合、どちらもボーナス払いにしなければ月の返済が7万を超えてしまうことが問題なのです。千日メソッドの「月返済が余裕である」ことの条件を満たしていないからです。

そこで、ボーナス払いに流れるのが間違いのもとですよ。

そういう場合は、年数を増やすのです。

 

ボーナス払いにするより年数を延ばして一括返済額を増やす方法

以下の2パターンを比較します。

  • 10年固定:23年元利均等返済ボーナス払いなし
  • 10年固定:25年元利均等返済ボーナス払いなし

(単位:円)

10年固定返済年数 23年 25年
月返済 71,398 66,350
72,429 66,350
10年後残高 10,407,033 11,045,442
60歳残高 2,556,856 3,876,625
利息 2,315,978 2,300,512
住宅ローン控除 -484,138 -487,816
費用合計 1,831,840 1,812,697

いかがでしょうか。25年にすれば、ボーナス払いにしたのと同じ位になりますよね。しかも、それを20年で一括返済すれば、費用合計も23年払いよりも少なくなるというオマケ付きです。

もちろん25年にして2年延ばしたことで60歳残高は130万円増えました。

でも、毎年2回のボーナスにリスクを取る必要は無くなりました。ボーナスが出ない年があったとしても、今、ボーナス払いにあてようとしていた金額を貯蓄していけば、無理なく増加した残高を返済するための貯金をすることが出来るはずです。

官民半々の労金の経営が厳しくなって金利を上げてくるリスクなどより、確率の高いリスクがあります。

  • 自分の会社がボーナスを払えない経営状態になる確率
  • 自分がミスってにボーナスが出なくなってしまう確率

気を悪くしないでくださいね。ほとんどの人はそうです。自分には甘いんです。

以上、参考になれば幸いです。

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