自己資金ゼロでもペアローンでも完済できるなら問題ない?

払えさえすれば問題ないという考え方に潜むリスク

住宅ローンとは何か?と聞かれたら「35年なら420回決まったお金を銀行に払うことだよ」と答えます。

これが正確な定義でないことは百も承知ですが、これが途中で家を売らない人にとっての住宅ローンの本質なんです。

新築マンションのチラシには、自己資金ゼロで変動金利で借りた場合の月々の元利均等返済額が大きく書かれていますよね。

  • 変動金利だから今後上がるかもしれない。
  • 管理費や修繕積立金、固定資産税が入っていない。

こんな批判もあるでしょうが、体感的にそれが家の値段です。

金利が上がっても5年ルールと125%ルールがありますので、急に支払いが困難になるということはありません。

また、管理費や修繕積立金、固定資産税は家の値段ではありません。それに抵当権の設定をしていませんから、たとえ延滞したとしても、家を取り上げられるまでにはかなりの時間を要するでしょう。もちろん払わなくていいなどと言ってるわけでは無いですので、悪しからず。

ならば、新築マンションのチラシの言うとおり「家賃を払うより安いし自分のものになる」という理由で、住宅ローンに通りさえすれば、どんな方法でも購入すべきだとは思いません。

35年の間に降りかかるかもしれない様々なトラブルの中で、確実にその金額をその日までに払い続けられるのか?というまだ自分がやったことの無いミッションの実行可能性を見極めなければなりません。

では本日のご相談者です。

相談:自己資金ゼロでペアローンで新築マンションを買う場合にお勧めの住宅ローンは?

はじめまして。いつもこちらのブログで勉強させて頂いています。

新築マンションを購入する予定なのですが夫の年収が低いため、ペアローンでの借り入れを検討しており、金利選択について悩んでいます。

家族情報、物件価格

  • 夫:28歳 勤続年数:6年正社員 年収:300万
  • 妻:29歳 勤続年数:1年正社員 年収:440万

現在子供はいませんが、将来的には子供も欲しいと考えております。

  • 自己資金:400万
  • 物件価格:3,330万(手付金120万)

不動産提携銀行の事前審査は変動金利、ペアローンで審査が通っています。ローンはどこでも良いと言われているため、こちらでも何件か事前審査を申し込んでいます。

夫婦で話し合い、フラット35が良いかと考えていたのですがFPさんに相談したところ10年固定を勧められました。

個人的に調べている限り、10年固定にあまり良い印象を受けておらず、それなら変動のほうが良いのか悩んでいます。

事前審査は変動金利(頭金なし)

  • 関西アーバン銀行:2.675%(最大優遇金利0.625%)
  • 三井住友信託銀行:0.6%
  • 住信SBI:0.497%

フラット35S:金利Bタイプ適応の為、

  • 当初5年0.82%→1.12%
  • (頭金10%入れたいと思っています)
  • アルヒ、楽天銀行

いずれもペアローンで通っている状況です。10年固定はまだ事前審査は出していません。フラット35の場合は団信はつけない予定です。

どの金利タイプが良いか…アドバイス頂けましたら幸いです。

よろしくお願い致します。

回答:頭金を1割入れてしまうと貯蓄がゼロになり危険です

ご相談ありがとうございます。

承りました。

まずフラット35ですが、自己資金が400万円ですと諸費用を入れると1割の頭金に届かない可能性があります。また払えたとしてもほぼ貯金がゼロになってしまうでしょう。

ご両親からの援助、又は借りる事は出来ませんか?

もう1つお聞きしておきたいのですが、10年固定についてどんな点が良くないとお思いなのでしょうか?

お聞かせ頂けると幸いです。

相談:親から借りることは出来ません、10年固定は10年後の金利上昇リスクがこわいです

返信ありがとうございます。

夫婦共、両親は年金生活であり、両親からの援助は考えておりません。

フラット35で、自己資金が足りなくなる可能性もあるため、アルヒのフラットαも考えています。

10年固定は、10年後から金利が上がること、金利上昇についてのルールの適応がないということで、金利変動に対応できるか不安があります。

調べると10年後にまとまったお金が入る人、金利の変動に対応できる人とありましたので自分たちにはあまり当てはまらないかと感じたためです。

ただ、当初10年の金利は安いので、そこも悩むところになっています。

回答:フルローンかつペアローンで新築マンションを購入するリスク

お待たせ致しました。お答えしていきます。

  • 1割の頭金がどうしても用意出来ず、手数料も融資で賄う。
  • ペアローンで借りる。

この2点は金利の上昇リスクよりも高いリスクだと考えています。

新築マンションは買った瞬間に中古になり、2割から3割市場価値がダウンすると言われます。

グラフの青い線は使用価値です。

  • 経年劣化と修繕費増によって完成から徐々に下がる
  • 最後は取り壊しコストの分だけマイナス

グラフのオレンジの線は市場価値です。

  • 始めに3割ダウンする
  • 途中で使用価値を上回るのは買手視点からの立地の価値が残るため

途中で市場価値が使用価値を上回ります。これは単純な直線ですが、どこかでそういう地点があると思います。

市場価値に住宅ローンの残高の推移をかぶせると以下のような形になります。

このローン残高のカーブは最初に3割の頭金を用意したと仮定したものです。

  • 頭金がゼロという事は青いカーブが100の所からスタートすることです。
  • また、手数料も借りるという事は100以上の所からスタートすることです。

つまり住宅ローンの大半の期間で物件の市場価値が借入残高を下回るという事ですね。

ご夫婦二人のペアローンで返済という事は、どちらか一人が病気かアクシデントで返済出来なくなると、返済を継続出来なくなりますので、売却という事になります。

そうなった場合、その時のローン残高の約2割から3割にについては、借金だけが残る計算です。

もちろん、そんな不運に合わないかもしれませんし、そうならない人の方が多いです。

しかし、そうなった時のダメージが、十分な頭金がある場合よりも大きくなるんです。この振れ幅の大きさがリスクです。

もしそうなったら生活が一変してしまう。

嫌な話を書きましたが、これによって認識して頂きたい事は「金利の変動リスクよりも、自己資金が無くペアローンで住宅ローンを組む方が遥かにリスクが高い」という事なんです。

  • 自己資金が無い=家を手放しても借金が残るリスク
  • ペアローン=病気やアクシデントで返済出来なくなる可能性が2倍になる。夫婦両方が破産しなければ住宅ローンの債務は無くならない。

ペアローンについてはこちらもご一読下さい。

本来既にやっておくべき貯蓄を今後10年で行う

一般的な考え方として、家を買うには早過ぎるんです。少なくとも貯蓄を貯めてからスタートさせるのがセオリーです。

それでも、どうしてもこの家が欲しい。何か方法は無いか?というニーズに対しては、10年固定をお勧めしています。

ちょうど今は10年固定の金利が安く、最低金利は0.5%です。10年の間、金利が上がらない間に本来必要だった貯蓄をしましょうという事です。

自己資金ゼロで住宅ローンを組むならフラット35より10年固定?

家を買った後に貯蓄を低位で安定させてしまうより、貯蓄を増やすスピードを上げる方が前述の2つのリスク、

  • 頭金が無いリスク
  • ペアローンのリスク

に強い資金計画だと思いますよ。

以上、参考になれば幸いです。

Sponsored Link



匿名でメール相談

第三者の立場から専門家が回答します。