40代からの住宅ローンは金利タイプも繰上げ返済の計画も大事です

住宅ローンの金利タイプと同じ位大事な繰上げ返済の計画

住宅ローンを借りるとき、金利タイプをどうするか?についてはすごく悩みますよね。特に変動金利か固定金利かというのは大きな分かれ道です。千日のブログにもこの無料相談ドットコムにも『変動か固定か』というキーワードで訪れる人が多いです。

しかし、変動金利か固定金利かという問題と同じ位重要なのが『いつどのタイミングで繰上げ返済するか?』です。

多くの人は最長の35年ローンで住宅ローンを借りますけど、本当に35年借りるのではありません。定年退職はそれより早くやってくるからです。

特に40代になってから住宅ローンを組む人は、そのまま何となく返していると定年退職の時に完済できないレベルのローン残高が残ってしまいます。

なので、金利タイプの選択と両輪で繰上げ返済の計画を立てていく必要があるんですよね。

どっちが抜けても上手くは行きません。どっちも大事なんです。

では、今日のご相談者です。

相談:40代共働き公務員の住宅ローンの金利タイプとは?

始めまして住宅ローンについて調べているうちにブログにたどり着きました。

相談に乗っていただけると幸いです。

変動と固定で迷い、固定が気になりだしたところ、フラット35Sで頭金を入れたほうが良いのか・・・わからなくなってしまいました。

家族構成と年収

  • 夫 44歳 地方公務員 年収手取り400万
  • 妻 34歳 地方公務員 年収手取り350万
  • 子は11月出産予定

自己資金と住宅ローン借入額

貯金は300万、建築業者へ設計手付けとして100万支払い済み、実家より建築資金として200万の援助予定です。

3700万を借りようと考えております。

変動で借りて繰上げ返済かフラット35Sか?

変動で借りて、貯蓄を増やし繰上げ返済をするべきか、援助と貯金を合わせてフラット35S(9割以下)を借りるべきか・・・、団信の費用等も考えるとどちらが良いのか・・・迷っております。
業者からは35Sの適用になる仕様と確認しております。

35年で借りて、なるべく早めに返せるようにとは思っております。

突然の質問ですが、よろしくお願いします。

 

回答①:一見変動金利も可能なようですが、変動はリスクが高すぎます

お待たせしました。ではお答えしていきます。

まず、変動か固定(フラット35S)かというところのお悩みですね。変動にするか、固定にするかというところはまず多くの人が悩むポイントです。

こちらの記事がおそらく参考になるかと思います。

住宅ローンは変動か固定か金利タイプの決め方を分かりやすく解説します-千日のブログ

しかし、フラット35Sという当初の10年又は5年間は金利が0.3%安くなるという点で、さらに悩ましくなりますね。

まずは普通に両者を比較してみたいと思います。

変動とフラット35S の比較

《前提条件》

  • 借入金額:3,700万円
  • 借入期間:35年ローン
  • 金利:変動は0.6%(三井住友信託6月適用金利)、フラット35Sは当初10年0.79%、その後1.09%(月適用金利)
  • 返済方針:最長の35年で借りるが、奥様の定年退職となる26年までに返済する。

(単位:円)

右下の支払い合計を見ると、変動金利が400万円も得なように見えます。ですが、千日メソッドは『得な方』を選ぶということはしません。

長期の住宅ローンを確実に払えるか?というところに重きを置きます。

これをさらに分解すると、二つのポイントに分かれます。

  1. 毎月の元利均等返済は余裕をもって返済できるか。
  2. 定年時に退職金を温存したまま無理なく完済できるか。

毎月の元利均等返済の判定

では、毎月の支払いを見てみましょう。

✓固定金利ならば毎月の支払いを手取り月収の4割以下にする。
✓変動金利ならば毎月の支払いの25%を貯蓄した上で貯蓄込みで月収の4割以下にする。

ということをお勧めしています。こちらをどうぞご一読ください。

住宅ローンのセオリー

夫婦の年収を合算してボーナスを除き、手取り月収を推定計算すると46万円位であるとします。46万円の4割は18万4千円です。

ということは、固定でも変動でも大丈夫ということになります。しかし、奥様は11月に出産を予定されています。

旦那様一人の収入になったとしてどうか?という計算をしてみます。手取り月収は25万円位とすると、4割は10万円ですね。固定金利ならばほぼギリギリセーフです。しかし変動金利では25%を貯蓄すると4割を超えてしまっています。

また、旦那様の年齢は44歳で、公務員ということは今のところ60歳が定年です。65歳までは年金が支給されず、奥様の収入だけとなります。奥様の手取り月収は20万円位とすると、4割は8万円ですね。固定金利であっても超えてしまっています。

  • 変動金利の方が安いが、金利変動リスクと奥様の産休による収入減に耐えられるのは固定金利。
  • 固定金利であっても16年後に旦那様が定年退職すると、住宅ローンの支払いが家計を大きく圧迫する。
  • 旦那様の60歳定年退職の2年後にお子さんが大学入学で多額の出費がある。

つまり、16年後と18年後にダブルパンチで家計に大きなストレスがかかることが、今の時点で見えているということです。

定年時の残高の判定

奥様の定年退職がは26年後ですね。すくなくともそれまでには完済することが目標となります。その時点の残高は表の下から2行目にあります。

変動でもフラット35Sでも1千万円を超える金額です。これもリスクです。毎月の元利均等返済だけを何とか払っていって、夫婦両方が定年となり年金生活となると、夫婦両方が現役の収入を前提とした住宅ローンは確実に過重なものとなります。

ですから、約1千万円という金額を夫婦両方が定年退職するまでの間に繰上げ返済しておかねばならないんですね。これは変動でも固定でも同じです。

しかし、1千万円という数字は夫婦両方の手取り年収を超える金額です。何となく定年まで繰上げ返済せず支払いをしていくと、払いきれなくなってしまう数字なんです。

 

回答②:予測される収入減に対応した繰上げ返済のタイミングと金額の決め方(ミックスローンか繰上げ返済か)

ここまで厳しい話を書きましたが、大丈夫ですよ。ちゃんと方法はあります。

夫婦の収入に合わせて返済を軽減しつつ、良いタイミングで繰上げ返済する方法があります。共働きで10歳以上の年の差のご夫婦であれば10年と30年のミックスローンをお勧めしています。

年の差共働き夫婦にお勧めのミックスローン

こういうことです。

  • 10年固定と30年固定で半々ずつ借りる。
  • 10年固定を10年目に全額繰上げ返済する。
  • その後は30年固定だけを返済していく。

このようにすれば、10年経過後は元本が半分になりますから、旦那様の定年後、奥様の収入だけでも無理なく返済を続けることが出来るんですね。

具体的にシミュレーションしてみましょう。前提となる住宅ローン商品の金利は以下のものを使います。

三井住友信託 10年固定 0.65%
30年固定 1.05%
フラット35S 10年 0.79%
その後 1.09%

10年と30年のミックスローンのシミュレーション

《前提条件》

  • 借入金額:3,700万円(1,850万円を10年固定、1,850万円を30年固定のミックス)
  • 借入期間:35年ローン
  • 金利:10年固定は0.65%、30年固定は1.05%(三井住友信託6月適用金利)
  • 返済方針:10年経過したところで、10年固定の方を全額繰上げ返済する。10年固定も30年固定も最長の35年で借り、30年固定は奥様の定年退職となる26年までに返済する。

繰上げ返済は10年固定の方を10年の固定期間が終わった瞬間に行います。なぜかというと、当初の10年は金利が低金利で固定されていますし、住宅ローン控除があります。

住宅ローン控除はローン残高の1%を税金からマイナスして還付(返金)される減税措置です。つまり住宅ローン残高が高い方が、還付される税金は大きくなるんです。

税金のセオリー

(単位:円)

10年30年ミックス 10年固定 30年固定
毎月返済 49,260 52,655
10年後残高 13,636,078
26年後残高 5,423,790

当初の10年間の毎月の返済額は101,915円です。これを払いながら10年で13百万円の繰上げ返済資金を貯蓄します。

決して簡単なミッションではありませんが、まず10年目にこれが達成できれば、その後は毎月の返済は52,655円になります。この金額であれば、奥様一人の収入となった後でも無理なく返済を継続していくことが出来るでしょう。

また、旦那様の定年後も奥様の収入がありますから、一部は旦那様の退職金を充当しても良いと思います。

フラット35S で繰上げ返済するシミュレーション

フラット35Sの場合はもう一つの選択肢があります。多額の繰上げ返済です。

  • 10年経過したところで残高の半分を繰上げ返済する。

こうしても、同じような効果を得ることが出来ます。10年経過したところで元本を半分にするわけですから、奥様の収入だけでも無理なく返済を続けることが出来ます。

また、当初の10年は住宅ローン控除がありますので、ローン残高は多い方がトクなんです。これはミックスローンの時と同じことですね。

具体的に数字を入れてみましょう。

《前提条件》

  • 借入金額:3,700万円
  • 借入期間:35年ローン
  • 金利:10年固定は0.65%、30年固定は1.05%(三井住友信託6月適用金利)
  • 返済方針:最長の35年で借りるが、当初10年経過したところで、その時の残高の半分を繰上げ返済する。そして残りは奥様の定年退職となる26年までに返済する。

(単位:円)

フラット35S繰上げ返済 当初10年 11年以降
毎月返済 100,864 52,287
10年後返済 13,725,012
26年後残高 5,376,277

当初の10年間の毎月の返済額は100,864円です。これを払いながら10年で13百万円の繰上げ返済資金を貯蓄します。

決して簡単なミッションではありませんが、まず10年目にこれが達成できれば、その後は毎月の返済は52,287円になります。この金額であれば、奥様一人の収入となった後でも無理なく返済を継続していくことが出来るでしょう。

また、旦那様の定年後も奥様の収入がありますから、一部は旦那様の退職金を充当しても良いと思います。

デジャブですね。全く同じようなことをしていますし、金額もほとんど同じです。同じ表形式で両者の差分をとってみました。

(単位:円)

差額 当初10年 11年以降
毎月返済 -1,051 -368
10年後返済 88,935
26年後残高 -47,513

ほぼ、同じですよね。

フラット35は団信が高いが、その金額をどう考えるか?

違うのは保証料と団信保険料です。民間金融機関では保証料が必要ですが、団信は銀行が負担しますのでゼロ円です。これに対してフラット35は保証料は不要ですが、団信は我々利用者が負担します。

この団信が保証料より遥かに高いのですね。保証料と団信保険料を入れて両者を比較してみました。

(単位:円)

総返済額比較 10年30年ミックス フラット35S繰上げ返済
総返済額 43,926,854 43,753,793
住宅ローン控除 -3,185,395 -3,180,964
保証料 655,652 0
団信保険料 0 1,628,677
差引合計 41,397,111 42,201,506

団信保険料の方が保証料よりも百万円位高いです。これが差引合計にそのまま影響している感じですね。

この百万円をどう見るか?

この百万円は形式的には保証料と団信保険料の違いですが、我々利用者側の資金計画の立場から見ると、『金利変動リスクを負わないための費用』というものです。

10年30年ミックスには金利変動リスクがあります。例えば10年固定の方の残高を10年後に全額繰上げ返済出来なかったとしたら、そこから先はその時の変動金利になります。

一方でフラット35Sについては、例えば10年後に繰上げ返済出来なかったとしても今の時点で1.09%になることが決まっていますよね。金利の変動リスクはありません。

  • 差額の百万円を老後資金や学費の足しにするならば、リスクを取る。
  • リスクを取りたくないならば、百万円の費用を払う。

この2択でじっくり考えるということになります。

以上、参考になれば幸いです。

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