30代前半からのミックスローン繰上げ返済はどう計画するか?

ミックスローンと繰上げ返済はどんな違いがあるか?自分に合っているのは?

住宅ローン千日メソッドでおススメするミックスローンは、普通のミックスローンではありません。こんな方法です。

  • 10年固定と20年又は30年固定で半々のミックスにします。
  • まず10年後に10年固定の方を全額繰上げ返済します。
  • もう一つの固定期間(20年又は30年)終了時と定年退職時の早い方で残りを全額繰上げ返済します。

こうすることで、当初固定金利で金利を固定させられますので金利変動リスクを負わなくていいです。

また、普通は全期間固定にしたら金利も高くなってしまいますが、今金利の低い10年固定をミックスしますので、普通の全期間固定よりも低い金利で借りることが出来ます。

さらに、当初の10年は住宅ローン控除があります。その10年間は元本を減らさず、10年経過後に一気に繰上げ返済することで住宅ローン控除の恩恵をフルに受けられます。

税金のセオリー

それだけではなく、10年経過後からの毎月の返済は約半分になりますので、住宅ローンの後半に夫婦片方の定年退職で収入が半減してしまう人にとっての資金計画にもマッチします。

とても有利なプランなんですが、その一方でリスクもあります。

全額繰上げ返済できるか?という点ですね。繰上げ返済できなかった部分については、金利の変動リスクを負うことになりますよ。

30年固定で借りて、10年経過してから多額の繰上げ返済をすることでも、一定の利息削減効果はあります。

ほぼミックスローンと同じようなメリットを受けることが出来ます。少し利息面でロスがある位なんですよね。

どちらが自分に合っているか?

ポイントは全額繰上げ返済の自分にとっての難易度です。

では、今日のご相談者です。

相談:30年固定にすべきか10年と30年のミックスにすべきか?

現在建築中の者です。三井住友信託銀行のミックスローンを利用します。

NISA口座を開設したため0.03%の割引適用となりました。保証等諸費用は前払式です。提携ローンのため建築会社からまとめて請求がきます。

家族構成と収入

家族構成は夫(33歳)妻、子ども(保育園入所予定)。将来的にもう1人計画中です。売却予定はなく定年後も居住予定です。夫が転勤の可能性もありますが当面は単身赴任の予定です。

  • 夫 手取り所得600万/年 手取月収平均27~30万(残業手当次第) 賞与の割合が大きいです。
  • 妻 扶養内でパート予定 年間の所得見込96万~120万/年 月収見込8~10万。子どもが休園の際は休むので下がります。

住宅ローンは夫の月々の手取り給与からやりくりできるのが理想ですが、そうはいかないので妻のパート代も充てようと思います。

賞与は一部繰上返済用に貯蓄していければと思います。

土地の住宅ローンは10年固定

物件の総額は5,870万円です。土地(2,700万円)を購入する際に親から2千万円借りました。土地については4月にローン契約済み、残る建物は8月融資実行予定です。建物の住宅ローンについて迷っており相談させて頂きます。

土地については700万円借入(35年)、4月金利0.52%でローン契約済 10年後は一括繰上返済予定です。

建物の住宅ローンは30年固定か10年と30年のミックスか?

手付100万支払済。残額3,070万。下記の①~④のどれにすべきか迷っています。

①3,070万全額30年固定、借入35年、6月金利1.02% 保証料110万。

②頭金70万、残り3,000万を30年固定、借入35年、6月金利1.02% 別途保証料等105万

③頭金170万、残り2,900万を30年固定、借入35年、6月金利1.02% 別途保証料等100万

④建物3,070万をさらに10年固定6月金利0.62%と30年固定6月金利1.02%のミックスにする(ミックスローンは土地1本、建物2本の3本立ても可能だそうです)

※保証料等には保証料の他、ローンの諸費用と、土地の分も合算しています。

ミックスローンを採用して大丈夫なのか?迷いがある

10年固定の金利がまだ安いので④にして10年後に一括繰上返済できる分だけ10年固定にすべきと思いますが、10年後完済できるか自信がありません。子どもが産まれてから物入りで出費がかさみ、今後を考えると将来の貯蓄が不透明です。

どのくらい手元に生活費および貯蓄を残しておけばよいかも心配な点です。もし情報で不足している点があればご指摘ください。

ご助言よろしくお願いいたします。

 

回答:ポイントは繰上げ返済の難易度と将来の変化の可能性です

ではお答えしていきます。土地の方は金利が0.55%の時に借りられてラッキーでしたね。今月(6月)の10年固定は0.65%上がってしまいましたが、NISA口座を作ると0.03%引き下げになるのですね。

NISAで手数料込みで収支トントンに持っていければ、こちらの勝ちということですね。

ではまず、状況を整理してみます。

  • 土地700万は10年固定で10年後一括返済する。建物3,170万円の住宅ローンの金利タイプと返済方針をこれから決める。
  • 定年(60歳)までは29年あるが、毎月の収支はトントン位。

お悩みのポイントとしては以下の2点ですね。

  • 本体の3,170万円の住宅ローンをどうするか?30年固定として頭金は?またミックスローンは?
  • 今は子どもは一人だが、二人目を計画中であり今後の学費にどれくらいかかるか?不安がある。

まず、土地についてはこれで正解であると思います。今よりも安い金利で借りられましたし、年収と同水準の700万円のローンであれば、10年後の一括返済につまづく可能性は低いでしょう。

問題は3,170万円の方ですね。

未知の金額ですし、これから29年というのは社会人としての今までの経験年数の3倍の期間です。迷って当然です。では、千日メソッドに沿って考えていきたいと思います。

 

頭金を幾ら増やすと幾ら支払いが安くなるか

まず検討されている候補の①②③については、頭金と保証料の差異を検討されていますね。それに加えて頭金を増やすと、住宅ローン控除が減ってしまうという副作用があります。

頭金とは何か?

千日の考え方としては頭金=繰上げ返済です。普通、繰上げ返済というと返済期間中に行うものですが、頭金というのはスタート時点で繰上げ返済するということなんです。

つまり、元本を減らすことが目的です。

そして、住宅ローン控除のある当初の10年間については借入元本が多い方がトクです。 税金のセオリーをご一読ください。

ではどういうことか、実際に数字をあてはめてみましょう。

(単位:円)

毎月の返済額の比較

  • 頭金100万の毎月返済は105千円
  • 頭金170万の毎月返済は103千円
  • 頭金270万の毎月返済は100千円

今、100万円多く先払いしても毎月2千円位の差しかありません。

『でも積り積もれば大きくなるかも?』

では合計で比較してみましょう。

支払い合計の比較

  • 頭金100万の支払合計は4,234万円
  • 頭金170万の支払合計は4,223万円
  • 頭金270万の支払合計は4,209万円

今、100万円多く先払いしても29年間で14万円の差しかありません。一年で4,800円、一カ月で400円です。

これ、どういうことかというと、今100万円使えなくなる代わりに29年後に14万円の貯金が増えるということです。この100万円は『繰上げ返済』ですから、なにも今払わなくても2千円づつ、ちょこちょこ払っても良いのです。

それを、最初にドカンと払い、毎月2千円づつ貯金していけば29年後に14万円の貯金になるということです。29年後に14万円というのを月平均すると月に400円の貯金増加になります。

『毎月2千円貯金しているのに、月平均で400円ってどういう事よ?』

住宅ローン控除の恩恵が少なくなるからです。

住宅ローン控除の比較

  • 頭金100万の住宅ローン控除は325万円
  • 頭金170万の住宅ローン控除は319万円
  • 頭金270万の住宅ローン控除は310万円

最初の元本が100万円少なくなると、住宅ローン控除の恩恵が9万円減るということです。つまり、頭金を多く入れたことによって9万円損しているからなんですね。

毎月の支払額については、手取り月収の4割以下にすることをお勧めしています。

住宅ローンのセオリー

数千円の差が命取りになるような年収ではありません。毎月の支払い額が上記のレンジに入っていれば、頭金については少なくしておいて良いと思います。貯金は貯金として温存してくことをお勧めします。

 

10年と30年のミックスローンか繰上げ返済か

ミックスローンのメリットは確かに魅力的ですよね。

  • 10年固定の金利の安さを利用して、当初の10年はできるだけ元本を減らさず、住宅ローン控除の恩恵をフルに受けられる。
  • 10年の固定期間が終わったら10年固定だけを一括返済すれば金利変動リスクも負わなくていい。(全額一括返済はよほどの資産家でなければできないが、部分的にならば可能な人は多い)

二つ目のメリットを受けるには、確実に一括繰上げ返済できることが条件ですね。土地の700万については余裕なので、この条件に不安は無いのです。

しかし、今回のは3千万円超の大物です。

私としては、一括繰上げ返済の可能性に懸念があるのなら、ミックスローンを採るべきではないと思います。仕組み債のような金融商品であれば、元本が減る程度のことで済みますけど、住宅ローンでしくじると家を失うからです。

それに、繰上げ返済してその後の毎月の元利均等返済額を減らすことでも同様の効果を得ることが出来るのですよ。

シミュレーションしてみましょう。

 

繰上げ返済とミックスローンの比較

先ほどのシミュレーションのうち、頭金100万円のケースを利用します。

【繰上げ返済】
建物の住宅ローンは3,070万円です。30年固定(1.02% 35年)で借りると月の返済は86,948円です。10年後の残高の半分1,150万円を繰上げ返済して、元本を半分にし、毎月の返済額も半分にすると、その後は毎月43,474円の返済になります。

【ミックスローン】
建物の住宅ローンは3,070万円です。うち1,535万円を10年固定(0.62% 35年)で借りて、10年後の残高1,129万円を繰上げ返済します。残る毎月の返済は30年固定(1.02% 35年)の40,666円になります。

どうでしょうか?似たような返済方法になりますよね。実際にどうなのか、表にして差額を出してみました。

(単位:円)

毎月の返済額の比較

当初の10年は、繰上げ返済105,181円、ミックス102,373円で繰上げ返済の方が2,808円だけ高いです。誤差のようなものです。

その後は、繰上げ返済43,474円(86,948÷2)、ミックス:43,474円で全く同じになります。

支払い合計の比較

  • 繰上げ返済:4,098万円
  • ミックス:4,024万円

ミックスの方が73万円安くなりました。これをどう見るか?ですね。

この73万円は10年後に1千万円の繰上げ返済資金を貯蓄できるか?というリスクを負うことで得られる73万円ということです。

金融商品としては、そこそこ魅力的な商品かもしれませんが、失敗したら家を取り上げられるかもしれないというリスクを負ってまで取りに行くリスクとは思えません。

ちなみにですが、住宅ローン控除では1万円位の差しかありませんよね。つまり繰上げ返済の方法をとっても住宅ローン控除の恩恵は十分に得られている(ロスは少ない)ということなんです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。ちょっと表が細かくなってしまいましたけど。

30代の前半からは、まだまだ色んなことがありますよ。ミックスローンで住宅ローンに余分なストレスを負うべきではないと思います。

住宅ローンって後ろ向きのテーマなんです。『有利』というのは『払いが少ない』という話ですから。

31歳からの10年間は、そんなことよりも優先すべきことが多いと思いますよ。

以上、参考になれば幸いです。

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