2017年後半の住宅ローンは変動か10年固定かどっち?

2017年10月26日

足もとでは上昇する長期金利…しかし提携ローンでは今から住宅ローンの選択を迫られる

住宅ローンの金利の指標になる長期金利(新発10年国債利回り)が上がっていますね。2017年7月5日の終値は0.09%にまで上昇しています。主要国の中央銀行トップが金融引き締めを示唆したことを受け、世界的な金融緩和局面の終わりが近づいたとの見方が広がり、欧米の長期金利が急上昇した影響です。

金利上昇の傾向は世界的な広がりを見せており、利上げはまだまだ先だろうと言われていたオーストラリアにまで波及したそうです。しかし、日本は?というと依然としてイールドカーブ・コントロール政策による金融緩和の姿勢を崩していません。

欧米の長期金利が上昇していることから、円を売って、利回りが見込めるドルやユーロを買う動きが出ています。また、ヨーロッパでの株価の値上がりを受けて、投資家がリスクを取ろうとする姿勢が強まり、安全資産とされる円(日本国債)が売られやすい状況になっているようです。

  • 日本国債が売られやすい→国債の価格が下がる→国債の利回りが上がる→住宅ローンの固定金利が上がる

こんな状況ですが、不動産会社の提携ローンで住宅ローンを借りる人は3カ月から4カ月前に住宅ローンを借りる銀行、その金利タイプを決めるように言われていると思います。

大手デべの提携ローンのメリットとデメリット

大手デべの提携ローンは金利が安い、審査に通りやすいなどのメリットがある反面、融通が利かない、早い段階から住宅ローンの決定を迫られるなどのデメリットがあります。今のように金利情勢が活発に動いている時に住宅ローンの決定を迫られるのはキツイですね。

今日はそんなご相談者です。

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相談:提携ローンで11月引き渡し予定ですが7月に住宅ローンを決めなければなりません。どうすればいいですか?

千日さん、こんにちは。

いつもブログを楽しみに読ませていただいております。この度新築のマンションを購入することになり、ローンで悩んでいますので、相談させてください。以下、マンションと私達のデータになります。

家族構成と年収

新築マンション 5800万円

  • 夫(38歳 年収750万円)
  • 妻(相談者 36歳 年収650万円)
  • 貯金は約2000万円

不動産会社の提携ローンでは引渡しの4カ月前に住宅ローンを決めなければならない

タイムラインは以下の通りです。こんなに早くから住宅ローンを借りる銀行を決めないといけないんですね!販売会社には今月中旬までには住宅ローン会社を決定するようにといわれており、今後変更はできないとのことです。

引渡しまで時間があることもあり、その間に他に金利が良い銀行が出てきたら変えたいと思うこともあると思うが、その場合は変更できるかたずねたところ、それは出来ないとの答えでした。

  • 2016年9月 マンション契約
  • 2017年7月 中旬までにローンの会社を決定する必要あり。本審査。
  • 2017年10月 内覧会
  • 2017年11月 金消契約 引渡し

3点悩んでおります。

 4カ月後の実行なら10年固定か、変動か?

住信SBIの提携ローンの6月の金利は、固定10年0.530% 変動0.525%(自己資金20%以上 0.474%)です。

十年後にある程度繰上げ返済するつもりなので、固定でいくか、自己資金を入れて変動にして金利を抑えるか悩んでいます。

住信SBIネット銀行は低金利ですが融資手数料が繰上げ返済で返金されない

不動産会社の提携ローンの中では住信SBIが一番低金利のため、ほぼ決定なのですが、ネット銀行のため、繰上げした場合は事務手数料が戻ってこないことがネックです。

都市銀行の中では三菱UFJがいいかと思いますが、10年固定で0.7%とのことです。他にお勧めの会社等ありましたら、教えていただけるとありがたいです。

 ペアローンにすべきか?迷っています

ブログを拝見してペアローンのリスクも知り、ペアローンにすべきか悩んでいます。夫一人でも4700万円程度は組めるとのことですので、自己資金を入れれば一人で組むことはできます。

ペアローンにする場合は自己資金を入れないで(住信SBI変動の場合を除く)夫4000万、妻1780万円で組む予定です。

ペアローンの理由は住宅取得控除をフル活用したいことと、私も働いており今後も働く予定のため、自分も持分を持ちたいと思ったことです。

しかしリスクもあることを知り、少し悩んでいます。

ペアローン、収入合算、クロスサポートのメリットデメリット-千日のブログ

お忙しいところ申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

回答①:変動しない変動金利、変動する10年固定、そして第3の選択肢は新生銀行

お待たせ致しました。既に私の様々な記事をお読み頂いて、一通りの検討材料を手に入れ、あとは決断という段階になっているとお見受けしました。

ではご質問について1つずつお答えして行きますね。

10年固定か変動金利か?それぞれの特性を押さえる

10年固定と変動金利の金利水準がさほど変わらない現在においては、どちらも決め手に欠ける状態になっていると思います。

住信SBIについては、借入期間が9月29日までなら変動金利0.444%というキャンペーンがあるのですが、11月に融資実行ということで、この対象にはならないのが惜しいですね!

提携ローンということで、少し早めに住宅ローンを確定させなければならないので、この7月から実行月の11月までの金利変動リスクを負うことになっています。

借りるまでの金利変動リスク

10年固定金利>変動金利

借りた後の金利変動リスク

10年固定金利<変動金利

どちらを取るかという選択です。

上がる固定金利と変動しない変動金利

今の金融市場がどうなっているかは冒頭の通りですが、これを踏まえて検討してみました。

変動金利はおそらく11月まで変動しないと思います。変動金利の指標になる短期金利は短期プライムレート(略して短プラ)です。短プラは金融機関同士がお金を貸し借りするときの「市中金利」に連動し、市中金利は日銀の政策金利に影響を受けます。

この短プラは2008年のリーマンショックで「ゼロ金利政策」が復活してからずっと変わっていません。2016年のマイナス金利政策のときも変わらずだったのです。ですからこれから融資実行の11月までによほどの、未曾有の、経済事件でも起こらない限りは、変わらないと思います。もちろん期間限定で銀行がキャンペーンをしたり、やめたりといった小さな動きはあるかもしれませんが。

10年固定金利は、その時点での変動金利と固定金利の均衡するところの金利で決定されます。これから金利が上がるという予測になった場合は、長い期間(10年間)金利を固定しなければならないのですから、その金利上昇を見越した高い金利になるということです。つまり、その時点の金融市場の将来予測に左右されます。これはめまぐるしく変わるので今の時点から来月を予測するのも困難です。まして11月にどうなるか?それは神のみぞ知るところです。

直近の動きとして10年国債の金利は上がってますが、わたしも11月にどうなっているか?は分かりません。

第3の選択肢として新生銀行で借りてから住信SBIに借り換える方法もある

  • 住宅ローンを借りる11月までの金利変動リスクを取らずに、10年固定金利で借りる可能性を残す方法
  • 2割の頭金が無くても住信SBIの変動金利を最優遇金利の0.474%位で借りる方法

こんな方法があれば…と思われるでしょう。あります。保証料がゼロ円で、かつ融資手数料が一律10万8千円(7月31日までは融資手数料無料のキャンペーンですが、融資実行が9月29日までですのでこれは使えませんね)の新生銀行で借りて、その後すぐに住信SBIネット銀行に借り換えることで可能になります。

一度どこかの銀行で借りてから借り換える。

こうすれば、提携ローンのタイムスケジュールに合わせながら、直近の金利で借りることが出来ます。

こんなことをすると、普通は融資手数料やら税金やらで損をするのが常識です。しかし、新生銀行は融資にかかる手数料が『常識外れに安い』ので可能なんです。過去の相談事例で、実際にシミュレーションしてみると安くなることが分かりました。

住信SBIでフルローンで0.447%の借換金利で借りる裏技

こちらのシミュレーションでは10万8千円の融資手数料ゼロ円キャンペーンの対象ですが、メリットが10万8千円減るだけで、トータルで得になるのは変わりありません。もちろん、これはかなりの搦め手で、「裏技」です。リスクもあります。選択肢としてあるということでお伝えします。

 

回答②:住信SBI10年固定との対抗馬は三井住友信託銀行10年固定

ご賢察のとおり、ネット銀行は手数料が返金されないので繰上げ返済を前提とした場合はその分損をするというのは確かです。

これに対して大手銀行の方は保証料になっていて、その時の残債と残期間に応じて保証料が返金されます。ただし、返金されても、手数料は引かれます。また、銀行によっては『全額繰上げ返済』なら保証料が返金されるが、『一部繰り上げ返済』では返金されないという銀行もありますので、注意が必要です。

たとえば、三菱東京UFJ銀行は一部繰り上げ返済でも保証料は返金されますが、三井住友信託銀行は一部繰り上げ返済では保証料は返金されず、全額繰上げ返済した場合のみ返金されます。

返金される保証料の目安についてはこちらにありますので、ご一読くださいませ。

借換と金利交渉のセオリー

これを踏まえてそれなりの早期に『全額完済』を予定しているのであれば、三井住友信託銀行もお勧めだと思います。7月の金利と保証料(ネット銀行は融資手数料)の返金有無についてまとめました。

  • 住信SBI10年固定:0.58%(一部繰り上げ返済、全額繰上げ返済しても返金なし)
  • 三井住友信託10年固定:0.65%(一部繰り上げ返済では返金なし、全額繰上げ返済で返金あり)
  • 三菱東京UFJ銀行10年固定:0.7%(一部繰り上げ返済、全額繰上げ返済で返金あり)

住信SBIネット銀行と三菱東京UFJ銀行では保証料(融資手数料)の返金では後者が有利ですけど、金利が違いすぎますね。最初の保証料と繰上げ返済の金額に不確定要素が多いのでシミュレーションは割愛しますが、あちらが立てばこちらが立たずという感じです。

その間にあるのが三井住友信託銀行ですが、一部繰り上げ返済では返金されません。早期の全額繰上げ返済、買い替えの可能性があるなら三井住友信託銀行も考慮の対象になると思います。

また、住信SBIネット銀行では全疾病保障が無料で付帯するのが魅力です。これは今のところ、ほかの大手銀行には無いメリットですが、ご夫婦の収入に比較的差がなく、片方が病気になってもある程度返済を継続できる可能性がありますので、そこまで恩恵は無いかもしれません。

全額繰上げ返済の時期、買い替えの可能性なども加味して判断してはどうでしょうか。

 

回答③:ペアローンにするかしないか?=今後自分一人が住宅ローンの全額を払うことになる現実を受け入れられる?

一通りペアローンについてのブログをお読みいただいていますね。メリットである住宅ローン控除を受けるための条件は以下のとおりです。

①所有権の保存登記は夫婦の共有にしてそれぞれの持分を定める。

②夫婦が連帯債務を負い、夫婦間の内部契約で債務の負担割合を定める。

③その他、家や借入金について、全て住宅ローン控除の要件を満たすようにする。

共働き夫婦で住宅ローン控除のメリットを最大化する方法

ポイントは②の夫婦が連帯債務を負うという点ですよね。所有権の保存登記がたとえ10%で夫婦間の内部契約で債務の負担割合が10%であっても、対銀行という関係ではお互いが全額の返済義務を負っているという状態が必要になります。

ですから、手放しでペアローンをお勧めできるのは、夫婦がそれぞれ一人でもその家を購入できる場合ということになります。

でも、そんな前提で家を買おうという人は皆無だと思いますよ。お互いがファミリーの一員として助け合い支えあうことを前提に家族というものが成り立っていて、そんな家族の容れ物として家を買おうとしているんですから。

その家族のコアになる夫婦関係を解消し、離婚するカップルは統計的に3割です。あくまで統計ですので、これが自分達に当てはまるかどうか?それがいつか?ということは分かりません。ただ、住宅ローンが残っている間にその時がやってきた場合も、互いに連帯債務者としての関係は残ります。

家を処分して住宅ローンを清算し、債務が残った場合は、既に信頼関係の破たんした相手とその割合を争うことになります。夫が自己破産したり行方が分からなくなった場合は妻が全額払う義務を負います。

判断の分かれ目としては、もし夫と結婚したことが失敗で、今後自分一人が住宅ローンの全額を払うことになったとしても、それはそれとしてしょうがない。という感覚なら良いと思います。私の住宅ローンは私の単独名義ですから、そういう感覚です。多くの住宅ローンの名義人になる人はそういう感覚で住宅ローンを組んでいるのだと思いますよ。

以上、参考になれば幸いです。