年収1千万超の勤務医の開業も考えた住宅ローンシミュレーション

高額所得者の住宅ローンのポイントとシミュレーションのやり方

年収1千万超の高額所得者であっても、住宅ローンを組んで家を買うからには『買い物』という感覚で家を買うわけにはいかないものです。また、住宅ローン控除という制度がありますので、現金で買うよりも住宅ローンを組んだ方が得という側面があるのですよね。

 

住宅ローン控除とは当初の10年間、12月31日時点の住宅ローン残高の1%が所得税及び住民税からマイナスされて還付(返金)される減税制度です。ですから、高額所得者=高額納税者であればあるほど住宅ローンの残高が多い方が得をするという側面があるのです。

住宅ローン控除について、詳しくは 税金ラボ をご一読ください。

高額所得者が住宅ローン控除を受けるにあたって注意すべきポイント

高額所得者がこの住宅ローン控除を受けるにあたって注意しておくべきポイントは3つあります。

  1. 控除を受ける年分の合計所得金額が3000万円以下でなければならない。
  2. 控除される税金の上限は、一般の住宅では最高40万円(売主が個人で消費税が非課税又は5%消費税の場合20万円)、認定長期優良又は低炭素住宅では最高50万円まで。
  3. この認定には法律に定める認定基準をすべて満たさなければなりません。そのため、これに違反して認定の取り消しを受けて長期優良住宅として認められなくなると、『一般住宅』としても住宅ローン減税の適用を受けることもできなくなる。

1.稼ぎすぎると住宅ローン控除は受けられない

まあ、これはそういうことですね。それだけ稼いでいるなら減税の恩恵は必要ないでしょうという趣旨です。その後、所得が3000万円以下になれば再び住宅ローン控除が受けられるようになります。

住宅ローン控除が停止していた期間は復活しません。最長10年ですが、所得が3000万円を超えた年が1年あったら、住宅ローン控除を受けられるのは9年ということです。

2.住宅ローン残高が多すぎても意味ない

年末残高の1%を税金から控除する制度ですが、一般の住宅ではその控除の上限は40万円です。住宅ローンの残高に換算すると40万÷0.01=4000万円ですね。4000万円超の住宅ローンを借りていても税金から控除される上限は40万円ですよ、ということです。

また、『売主が個人で消費税が非課税』というのは平たく言いますと中古住宅です。中古住宅の場合は控除の上限が20万円と少なくなってしまいます。新築なら建築会社の売り上げからも税収が入りますけど、中古の場合はそういう税収の増加が見込めないからです。

認定長期優良住宅や低炭素住宅については、上質な建築物の増加に寄与しますし、建築費用もその分高くなりますので減税の上限を50万円に上げてやろうという趣旨です。

3.認定長期優良住宅や低炭素住宅の場合はその性能を維持する必要がある

長期優良住宅、あるいは低炭素住宅を取得して「認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例」で最大50万円の控除を受けている人の注意点です。

この認定には法律に定める認定基準をすべて満たさなければなりません。そのため、これに違反して認定の取り消しを受けた場合には、長期優良住宅と認められなくなります。

そして、長期優良住宅として認められなくなると同時に、住宅ローン減税の適用も受けられなくなります。『一般住宅』としても住宅ローン減税の適用を受けることもできません。建築後に増改築などする場合には注意が必要ですね。

今日のご相談者は高額所得者の代表選手であるお医者さんです。

相談:無理なく返せる住宅ローンの金額と金利タイプとは?

初めまして。今後住宅購入を考えており、色々調べている内に千日ブログに出会いました。

職業は医療関係で勤務医をしております、年収は1500万前後あるため、住宅ローン控除で十分なメリットを得られるような住宅ローンを組みたいと思っています。

家族構成:自分(38歳)、妻(33歳)、長男(5歳)、次男(1歳)

生命保険は自分が第一生命保険、妻:アフラック、長男:ソニー生保の積立式保険

ご相談したいのは以下の2点です。

自分の年収ならいくらまで無理なく借りれるか?

同僚・先輩からは年収の7倍はOK、医師なのでいくらでも貸してくれるよ、自分は****万借りたよ』などの助言はありますが、将来的に開業する可能性もあり(親の跡継ぎではなく、新規開業)、子供が私立の学校行く可能性もあり、3年目の子供も考えています。

借りられるだけ借りるような考え方ではなく、無理なく借り入れしたいというのが本音です。

注文住宅ですが大手ハウスメーカーではなく工務店で建築予定です。

住宅ローン金利タイプはフラット35か変動金利か、どっちが良い?

以前の住宅フェアで世間の平均年収よりは高いため、変動金利も勧められた経緯があります。千日ブログを読ませて頂き、個人的にはフラット35S(団信付き)が良いと考えています(長期優良住宅の予定)。

自分の年収ではある程度のリスクには耐えれるため変動の方が良いのでしょうか?

住宅ローン減税も考慮しアドバイスを頂けると幸いです(減税が終了する10年後に繰り上げ返済したが良い?)。宜しくお願い致します。

 

回答①:無理なく返せる住宅ローンの金額は固定金利で計算します

ではお答えしていきます。お医者さんで、勤務医ということであれば、ご同僚や先輩の言うように住宅ローンの審査上の属性としてはS級です。

  • 手に職があり、国家資格によって独占業務として保護されている。
  • 高額所得者である。
  • 勤務医であればサラリーマンでもあり安定性もある。

なので家族4人が住居として住む家の値段という範囲で、ほぼ借りたい額を融資してもらえると思います。

ただ、ご相談に書かれているように将来的には開業し、サラリーマンから個人事業主として事業リスクを負うようになることを考えておられますね。今後の少子高齢化社会で健康保険料収入が減り、医療費の国家予算がひっ迫してくるので、病院経営は今よりもさらに逆風が吹いてくるということは、私などが言わなくてもよくご存知であると思います。

また教育費についても上がる傾向にありますが、それでも相応の教育を受けさせたいという考えもおありです。

だからこそ、銀行や工務店の口車に乗せられることなく、堅実な資金計画を立てたいと考えておられるのですね。こういった経済感覚は開業医としてやっていくのに必須のもので、やはり真剣に将来の開業を考えておられるのだと思います。

 

毎月の支払いを幾らに設定するか?

年収1500万の手取り年収は1000万位ですね。ボーナスを抜いて月収にすると63万円。その4割は25万円です。ただ、この4割という目安は手取り月収20万~30万円位の人を想定しているんです。手取り月収が63万円であれば、もう少し割合が高くても大丈夫ですよ。

そこで4割を中心として以下の3パターンが考えられます。

  • 家に多くを求めず貯蓄優先:手取り月収の3割で19万円
  • セオリーをそのまま適用:手取り月収の4割で25万円
  • 家にこだわりを持つ:手取り月収の5割で31万円

 

何年借りて何年で完済するか?

次は、何年借りて何年で完済するか?ということをザックリ決めます。

住宅ローンの借入年数は80歳までの年数と35年のいずれか短い方が上限となります。現在38歳であれば80歳までは42年ですから短い方の35年が最長となります。

しかし、35年フルに使って返済するのではありません。現役の間の収入で完済するのが住宅ローンのセオリーです。現在38歳で65歳まで働くとすると、27年ですね。

  • 35年の住宅ローンを組み、27年後に完済するという大きなポリシーが決まるということです。

 

買える値段、借りられる金額は固定金利でシミュレーションする

賭けてもいいですが、工務店や銀行に住宅ローンのシミュレーションをさせると変動金利でシミュレーションします。その方が高い家が買える、多額の住宅ローンを借りられるという結果になるからで、彼らの利益になるからです。

しかし、変動金利には金利の上昇リスクがあり、それに対して利用者が貯蓄によって対応しなければなりません。千日メソッドでは変動金利で借りる場合は、毎月の支払い額の4分の1を貯蓄することを推奨しています。そして毎月の支払いと貯蓄の合計が手取り月収の4割以下に抑えられることを条件としています。

住宅ローンのセオリー

この方法で100%金利変動リスクに対応できるか?というと、そんなことはありません。最低限、これだけはやっておきましょうというラインなんです。

なので、本当の意味で自分は幾らの家が買えるか?住宅ローンを幾らにすべきか?を知りたければ固定金利でシミュレーションするのが正解です。固定金利ならばそもそも金利上昇リスクはありませんよね。

つまり、金利変動リスクに対応するための貯蓄は不要となりますので、毎月の支払いが手取り月収の4割以下に抑えられればOKということになります。

なので、固定金利でシミュレーションします。これから建築を考えているのでしたら、完成引渡しは来年の2018年になるでしょう。その時の固定金利としてはこちらを参考にしてください。

2018年の住宅ローンフラット35の金利の動向を予想します-千日のブログ

  • 団信込みで1.38%
  • 団信抜きで1.18%

フラット35Sの場合は団信に入ることを前提とされています。『S』は補助金の予算が無くなると終わりますので、完成時に使えるとは限りませんので、上記の団信込み1.38%という金利を使ってシミュレーションを行います。

妥当な借入額は6千300万円~1億300万円という結果

  • 貯蓄優先で毎月の返済を19万とすると、6千300万円まで借りられる。
  • セオリーどおり4割以下にするように毎月の返済を25万円とすると、8千300万円まで借りられる。
  • こだわりの家で手取り月収の5割の31万円とすると1億300万円まで借りられる。

表にまとめると以下のようになります。

(単位:円)

3パターン 貯蓄優先
6千300万
セオリー
8千300万
こだわりの家
1億300万
毎月返済額 189,214 249,282 309,351
10年後残高 47,984,652 63,217,874 78,451,097
27年後残高 17,188,455 22,645,108 28,101,760

貯蓄を優先して借入を抑えた場合でも、10年後の残高は4千7百万円ですから長期優良住宅の控除の上限に近いローン残高となりますね。自然体でほぼ無駄なく使いきれる感じだと思います。

 

回答②:フラット35Sか変動金利か?

住宅の完成引渡しのタイミングでどのような金利情勢になっているかにもよりますので、今の時点で確定的なお話をすることは出来ません。

現時点の見方としては、フラット35Sが利用できるのであれば、フラット35Sがお勧めです。注文住宅ですので基本的に途中で売却を前提には考えておられないと思います。完済することを前提にするなら固定金利がお勧めです。

さらに『S』であれば当初の10年間(又は5年間)は0.3%の金利が引き下げとなり、その後の金利も固定ですので、どんな人にでもお勧めできる金利タイプです。また、フラット35は公的融資という面で、万が一のときに返済条件緩和の交渉が通りやすいというメリットもあります。

今後開業した場合に一時的に収入が減少するリスクも考えると、金利だけでは測れないメリットがあると思いますよ。

以上、参考になれば幸いです。

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