妻が主債務者で夫が連帯保証人になる住宅ローンの考え方

妻の収入の方が多く夫が連帯保証人になるケース

男女雇用機会均等法があるとはいっても、それでもまだ全体的に男性の方が収入が高い傾向はあります。

こちらは下記は国税庁の調査による平成27年度の年齢階層別のサラリーマンの平均給与(税込み)です。

この18年前の平成9年度の年齢階層別のサラリーマンの平均給与は以下のようになっています。

自分がこれより高いか低いかは横に置いておいて、男性は全体的に下がっているのが分かります。これに対して、女性の方は伸びてはいるものの、それでも男性と比べるとまだまだ低いです。雇用機会均等法の施行は1986年(昭和61年)ですから、今から30年以上前のことです。

それでもこの程度の変化しか及ぼすことはできていないということです。この背景にあるのは女性が出産と子育てによって、キャリアに空白が生じることが影響しているのではないかと思います。もちろん、子どもを産みながら、育てながら男性よりも稼ぐ女性はいます。しかしそういう女性はごくごく一部の、能力にも、環境にも恵まれた人達です。

そうでなければ、雇用機会均等法から既に30年経過した今、もっと男性と女性の平均給与は似通ったものになっても良いはずだと思います。

今日のご相談者は、そのごくごく一部に属する女性です。出産し、育児と仕事を両立させながら、一家の大黒柱として家の購入を検討されています。

相談:妻が大黒柱となる住宅ローンの連帯債務

こんにちは。今日初めてブログを拝見させていただいたものです。現在中古マンションを購入予定で水回りなどのリフォームを予定しています。

夫婦共働きで妻が大黒柱

私たちは連帯債務で団信はデュエットにしようと思っていたのですが、ブログを拝見して、これはダメなのか⁈と不安になったのでご相談させていただいた次第です。

  • 私=妻33歳 年収400万程 時短勤務中
  • 夫33歳 年収240万円
  • 子 1人 2歳

私が大黒柱として働いており、定年まで働き続ける予定です。旦那は来年あたりに転職を考えておりますが、自宅での仕事に切り替え、私がフルタイム復帰するかたちも考えております。

中古マンションを購入してフラット35リノベ

中古マンション2980万円、リフォーム200万円を予定

給湯器やキッチン、お風呂もリフォームするのでフラット35リノベを使えるのではと思っています。ちなみに住宅ローンはリノベが使えるアルヒか三井住友信託銀行かな、と思っています。

ちなみに三井住友信託とみずほのフラットは不動産経由で手数料が安くなるようです。みずほの35年固定金利も気になっています。団信込みですし…

夫婦収入合算で審査は通過したが…連帯債務はやめた方がいいか?

今の所事前審査には収入合算で申し込み、全て通ったと不動産会社から連絡がありました。住宅ローン控除のこともありますし、連帯債務&デュエットと思っていたのですが、やめたほうがいいでしょうか?

頭金は1割を準備し、融資額は2862万円の予定です。

フラットは10月から団信込みになりますし、そこまで待ったほうがいいのかなど悩みは尽きません。アドバイスいただけますと幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

回答➀:連帯債務のリスクは夫がOKならば負ってもらって良いと思います

冒頭にも書いていますが、レアなケースです。私は基本的に住宅ローンの連帯債務に関しては否定的な意見を持っていますが、その理由は出産のリスクと育児を担う代償として、収入が少なくなることが多い妻の方に過大なリスクを負わせることになるのが連帯債務だからです。

しかし、今回は全く一般的なケースから外れています。

奥様は育休に入りブランクがあることで、キャリア上のハンデを負っている上に今も時短勤務ですが、それでも一家の大黒柱としての収入を維持し、定年まで勤めあげる覚悟をされています。

ですから、今回のケースでは旦那様の方に連帯債務のリスクが重くなっている状態です。

旦那様としては、奥様が払えなくなったら自分が全額払わなければならないということですね。その額は2862万円ということです。

旦那様を連帯債務に入れることで増加する住宅ローン控除は年に10万円弱ということで10年で90万円位でしょうか。

  • リスクは2862万円
  • リターンは90万円

割に合いませんよね。

リスク商品には2通りあると思います。どんなリスクか良く理解した上で買うべきものと、どんなリスクか理解していれば普通は買わないものです。これは、旦那様にとっては後者の商品ということです。自分で頑張りようのない要素でリスクを負う。そのリスクの金額は自分の返済能力を超えている、ということです。

普通のケースであれば、『夫の方が収入が多く、今後も増えていくという中で妻を連帯保証人にしていいか?』という相談なんです。

夫に対しては『妻に過重な責任を負わせるべきじゃない』と諭し、妻に対しては『連帯債務で持分を登記しなくても財産分与で半分の権利はあるんだから、わざわざ過重な責任を負うべきじゃない』と諭しているんです。

男女平等なんだから、今回のケースも同じか?

私は違うと思っています。奥様は既にお子さんを産まれていて出産のリスクを負われましたし、現に今も子育てのために時短勤務でハンデを負っているんです。連帯保証くらいは旦那様が負って然るべきだと思います。

回答②:団信は奥様だけで必要十分だと思います

次に団信ですが、これは奥様だけで良いのではないかと思います。審査の上では収入合算で通されていますが、この住宅ローンにおいては、奥様の収入のみで完済が可能だからです。

今検討されている住宅ローンのどれであっても可能です。また、同時にフラット35(団信加入)の場合とみずほ銀行(団信無料)の場合の比較も行いました。

9月までのフラット35リノベとみずほ銀行35年固定の比較

フラット35は9月までの申込で団信に加入する場合、団信保険料は年1回、その時の残高の0.358%となります。フラット35リノベは当初10年間0.6%引き下げとなる金利Aプラン、当初5年間0.6%引き下げとなる金利Bプランがありますね。

《共通の条件》

借入額:2862万円、借入期間:35年、支払い方法:元利均等返済、ボーナス払い無し

比較するのは以下の3つです。

  • フラット35リノベ金利Aプラン:当初10年0.48%、その後1.08%
  • フラット35リノベ金利Bプラン:当初5年0.48%、その後1.08%
  • みずほ銀行35年固定:1.19%

毎月の返済額と定年時の残高でクリア

まずは毎月の返済と定年時残高での比較を行います。住宅ローンとは毎月、決まった額を、決まった回数だけ払いきれば終わるものです。そしてそれは定年退職で終わらせるのが理想です。なので、毎月の返済額と定年時の残高というのが重要なポイントなのですね。

(単位:円)

9月申込まで フラットリノベA フラットリノベB みずほ35年
毎月 74,041 74,041 83,349
毎月 79,629 84,551 83,349
定年時残高 7,320,330 7,422,947 7,628,845

千日のお勧めしている住宅ローンのセオリーは、毎月の返済は手取り月収の4割以下にすることです。また変動金利の場合は金利の上昇リスクがありますので、毎月の返済額の25%を貯蓄した上で手取り月収の4割以下とすることを推奨していますが、今回は固定金利ですのでその必要はありません。

住宅ローンのセオリー

仮に年収400万円の手取り月収を20万円としますとその4割は8万円です。フラット35リノベ金利Aプランならば、ずっとこのレンジ内ですね。収入が今の時短勤務以上にならなくても大丈夫です。フラット35リノベ金利Bプランになると5年後から8万円を超えますが、それまでにフルタイムになれば問題ないでしょう。みずほ35年固定は3千円超えていますがこのくらいならば誤差の範囲です。

定年時の残高はどれも7百万円台です。今後定年までに27年ありますので、貯蓄ないし繰上げ返済によって退職金に手を付けずに完済できる安全圏にあると思います。

つまり、奥様に万が一のことがあった場合のみをカバーする団信で必要にして十分ということです。

総支払額での比較

次に総支払額で比較してみましょう。これは老後資金をどれだけ厚くできるか?という視点です。ここでは年一回の団信保険料と住宅ローン控除も加味して比較します。みずほ銀行は団信保険料が無料であるかわりに保証料がかかります。下記のシミュレーションでは最も安い金額で、一括前払いした場合です。

(単位:円)

9月申込まで フラットリノベA フラットリノベB みずほ35年
定年まで返済 25,129,256 26,763,833 27,005,122
団信/保証料 1,917,717 1,934,203 577,108
住宅ローン控除 -2,486,865 -2,494,382 -2,524,756
定年時の残高 7,320,330 7,422,947 7,628,845
合計 31,880,438 33,626,601 32,686,319

フラット35リノベ金利Aタイプ→みずほ銀行→フラットリノベ金利Bタイプ、という順番になりました。9月までに申し込むのであれば、この順番になります。

みずほ銀行での前払いの保証料は繰上げ返済すれば一部が返金されますが、フラット35リノベ金利Aタイプとの順位がひっくり返ることは無いでしょう。金利Aタイプならばフラット35リノベが最も有利な選択です。

10月以降のフラット35リノベとみずほ銀行35年固定の比較

フラット35は10月1日以降の申込で団信に加入する場合、団信保険料は金利に上乗せで0.28%となります(0.358%からの値下げですね)。また、保障の範囲は身体障害にも拡大されます。これは国内団信初だそうです。ですから団信に加入するのであれば、10月以降が有利だと言われます。

フラット35リノベは当初10年間0.6%引き下げとなる金利Aプラン、当初5年間0.6%引き下げとなる金利Bプランがあるのは同じですね。

《共通の条件》

借入額:2862万円、借入期間:35年、支払い方法:元利均等返済、ボーナス払い無し

比較するのは以下の3つです。10月の金利はまだ分かりませんし、比較のために9月の金利で行います。

  • フラット35リノベ金利Aプラン(0.28%団信込み):当初10年0.76%、その後1.36%
  • フラット35リノベ金利Bプラン(0.28%団信込み):当初5年0.76%、その後1.36%
  • みずほ銀行35年固定:1.19%

毎月の返済額と定年時の残高でクリア

(単位:円)

10月以降申込 フラットリノベA フラットリノベB みずほ35年
毎月 77,629 77,629 83,349
毎月 83,414 84,551 83,349
定年時残高 7,583,433 7,686,778 7,628,845

フラット35リノベの方は団信が金利に込みとなるので、毎月の支払いが少しずつ高くなりましたね。それでも当初の引き下げ期間は月収の4割以下になっていますので、大丈夫です。みずほの35年固定は変わりません。定年時の残高も安全圏内ですね。

総支払額での比較

(単位:円)

10月以降申込 フラットリノベA フラットリノベB みずほ35年
定年まで返済 26,331,889 26,979,112 27,005,122
団信/保証料 0 0 577,108
住宅ローン控除 -2,502,086 -2,509,466 -2,524,756
定年時の残高 7,583,433 7,686,778 7,628,845
合計 31,413,236 32,156,423 32,686,319

フラット35の団信保険料は毎月の返済に含まれることになりますので、この表で見た目はゼロ円になります。みずほの前払い保証料は変わらずですね。

フラット35リノベ金利Aタイプ→フラットリノベ金利Bタイプ→みずほ銀行、という順番になりました。10月以降に申し込むのであれば、この順番になります。

9月申込と10月申込を縦にならべてみます。

(単位:円)

総支払額 フラットリノベA フラットリノベB みずほ35年
9月申込 31,880,438 33,626,601 32,686,319
10月申込 31,413,236 32,156,423 32,686,319

フラット35リノベの適用があり、団信に加入すのであればフラット35を選択するのが基本的に有利となる結果です。あとはこれに手数料を加味すればより厳密な比較が出来ると思いますが、それによって順序が入れ替わるほどのことは無いと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今までは夫の方が収入が多い前提での相談ばかりでした。女性が大黒柱で、連帯債務について答えるケースが無かったんです。

連帯債務についての考え方は男性と女性で違いがあるのか?経済的な面で完全に自立している女性がどう考えるのか?これは男の千日には取り得ない視点です。そこで、折しも千日のブログの方である女性から住宅ローンの連帯債務(保証)について書いてもらえるチャンスがありました。

交換寄稿というやつです。

千日はこちらの記事を寄稿しました。

【寄稿:千日太郎さま】愛があれば「連帯保証人」になれるか?-接客業はつらいよ!あけすけビッチかんど―日記!

それに答える形で頂いたのが、こちらの記事です。

愛があれば「連帯保証人」になれるか?←愛は関係ない【by かんど―】-千日のブログ

「愛」という面から考えるということは、千日はありませんでしたね。とても分かりやすく明解に書いて頂きました。まだ読まれていなければ是非一度読んでみてください。

以上、参考になれば幸いです。

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