15年で確実に売却するとして総支払額が最小の住宅ローンは?
金利だけでなく事務手数料、保証料、全額繰上げ返済の保証料の戻りを勘案して決める
一般的に住宅ローンは、ずっとそこに住むことを前提に資金計画を考えるものですが、実家を継ぐなどで将来的には、売却する可能性が高いというケースもありますね。そういう場合はそもそも賃貸に住むという選択肢もあり得るわけですが、そう簡単に割り切れないのが人間です。
何で家を買うのか?
一時期の間、住むだけだったら賃貸でも持家でも同じです。同じならば、買いたいと思う人と賃貸でいいと思う人の二通りがあるんですよ。
賃貸か持ち家か?これを決めるのは損得ではなく、自分がどんな家に住みたいのか、というポリシーで決めるものだと思っています。
賃貸か持ち家どっちが得か?の怖い落とし穴は損得の価値判断‐千日のブログ
損得勘定は価値判断ではなく『道具』です。
そして、自分で決めた選択肢が賃貸ならば、賃貸で家族と自分の人生を守れる家と資金計画を立てる。持ち家ならば、持ち家で家族と自分の人生を守れる家と資金計画を立てる。
その資金計画を立てる上での道具として損得勘定を使うのですね。
今回のご相談者は、売却を前提とした持ち家を選択した方です。私はアリだと思います。
相談:将来15年以内の売却を視野に入れた総コストで最も有利な住宅ローンはどれですか?
いつもHP拝見し、参考にさせていただいております。早速ですが、この度、新築マンションを購入する運びとなり、住宅ローンを検討しております。
年齢、年収、家の価格、住宅ローン、頭金
夫年齢 | 36 |
夫の年収(万円) | 700 |
妻年齢 | 不詳 |
妻の年収(万円) | 専業主婦 |
共働きの世帯年収(万円) | |
家の価格(万円) | 2,800 |
住宅ローン(万円) | 2,800 |
頭金(万円) | 0 |
定年まで24年(36歳)
なお、年収は700万(税込)になります。
借入金額は2800万の予定です。住宅ローンを完済もしくは借り換えのご相談ケースが多いのですが、将来の実家等の兼ね合いもあり、15年程度以内での途中売却を視野に入れています。
現在、住信SBI銀行、みずほ銀行、新生銀行の変動金利~20年固定までで検討しています。
比較 | 住信SBI | みずほ | 新生 |
---|---|---|---|
変動金利 | 0.477% | 0.625% | 6カ月0.6% その後0.9% |
融資手数料 | 2.2% | 33,000円 | 110,000円 |
保証料 | ゼロ円 | 約2.1% | ゼロ円 |
保証料戻り | ゼロ円 | いくらか? | ゼロ円 |
このように、金利、手数料、保証料でそれぞれメリット、デメリットがあり、悩んでおります。(auじぶん銀行は、夫婦で収入にへだたりがあるため、選定外としました。)
- 15年以内に売却するとして、どの銀行がベストでしょうか?
千日さまのアドバイスを頂けないでしょうか。お忙しいとは思いますが、ぜひよろしくお願いいたします。
回答:総コストでのシミュレーションを行います
冒頭に書いたように、いずれ売却するのであれば賃貸という選択があることは、既にご承知のこととおもいます。ここからは、家を購入するという前提から行きますね。新築マンションで15年で売却するというのは、売り頃であると思います。
自分で住んだ瞬間から『中古』となり、ガクッと市場価値は下がりますけど、15年経過すると下落はなだらかになります。また、購入する側としてもそれだけ経過した時点であれば隠れた欠陥などが無さそうだということがある程度保証されますので購入しやすいんです。
幾らで売れるか?ということは分かりませんから、ここで検討するのは売却までに支払うお金の総額です。
では、やっていきましょう。
15年後に売却する場合は住信SBIネット銀行が最安
以下の前提で条件をまとめてみました。
借入2800万円、35年元利均等返済、15年後に売却
(単位:円)
比較 | 住信SBI | みずほ | 新生 |
---|---|---|---|
融資手数料 | 604800円 | 32400円 | 108000円 |
保証料 | 0円 | 577080円 | 0円 |
保証料戻り | 0円 | 115304円 | 0円 |
みずほ銀行の前払い保証料は、繰上げ返済することで戻りがあります。これは公表されていませんが、目安として三菱東京UFJ銀行のケースを当てはめています。保証料と全額繰上げ返済した場合の戻りの一覧表はこちらにありますのでご一読ください。
さらに、これに15年間の返済額と15年後の残高(売却により一括返済)、住宅ローン控除を加味すればよいのですね。
変動金利で計算しました。
- 住信SBIネット銀行:0.477%
- みずほ銀行:0.625%
- 新生銀行:当初6カ月0.6%その後0.9%
(単位:円)
住信SBI | みずほ | 新生 | |
---|---|---|---|
15年返済額 | 13,031,939 | 13,363,426 | 13,961,384 |
15年後残高 | 16,569,689 | 16,745,175 | 17,057,664 |
住宅ローン控除 | -3,270,424 | -3,274,620 | -3,281,671 |
融資手数料 | 604,800 | 32,400 | 108,000 |
保証料 | 0 | 577,080 | 0 |
保証料戻り | 0 | -115,304 | 0 |
差引計 | 26,936,003 | 27,328,157 | 27,845,377 |
住信SBIネット銀行が総額で最も支払が少ないという結果になりました。2位のみずほ銀行との差は39万円です。なお、住宅ローンを借りるにはこの他に印紙税、登録免許税、火災保険などがかかりますけど、それは銀行によって差が生じない費用なので入れてません。
もちろん変動金利は金利が上がる可能性がありますので、この利率で計算した金額になるとは限りません。ただ、銀行の営業戦略の基礎を考えれば、上がるとすれば横並びであろうという想定は出来ます。
変動金利の上がる可能性、その時期、上がるとすればなぜ横並びになるのか?についてはこちらの千日のブログをご一読くださいね。
【金利予想】変動金利が上がるXデーは銀行の営業戦略から2023年~2028年が濃厚-千日のブログ
では、もう少し長く、定年まで売却せずに住むケースについても計算してみましょう。
定年(24年後)に売却する場合も住信SBIネット銀行が最安
同じ考え方で、24年後を計算しました。
(単位:円)
住信SBI | みずほ | 新生 | |
---|---|---|---|
24年返済額 | 20,851,102 | 21,381,481 | 22,351,752 |
24年後残高 | 9,308,560 | 9,468,183 | 9,760,141 |
住宅ローン控除 | -3,270,424 | -3,274,620 | -3,281,671 |
融資手数料 | 604,800 | 32,400 | 108,000 |
保証料 | 0 | 577,080 | 0 |
保証料戻り | 0 | -27,328 | 0 |
差引計 | 27,494,037 | 28,157,197 | 28,938,222 |
住信SBIネット銀行が最も有利という結果です。2位のみずほ銀行との差は66万円です。15年で売却する場合よりもさらに有利になっていますね。これは、保証料の返戻が年数が経つほどに少なくなる傾向にあるからです。
ですから、保証料が戻ってくるといっても15年前後借りるのであれば、金利の安いネット銀行の方が有利になる可能性が高いと思います。
新生銀行の変動金利(半年型)には5年ルールと125%ルールが無い
この3つの選択肢の中で言えば、新生銀行の変動金利(半年型)には注意が必要です。というのも変動金利で重要なキーになる5年ルールと125%ルールが無いからです。
5年ルールとは、金利が上昇しても5年間は直前の元利均等返済額を維持するというものです。つまり、急に金利が上がったからといって毎月の支払いが急に増えるわけでは無いんですよね。
125%ルールとは、金利が上昇してから5年経過して毎月の元利均等返済額を増やす時には、直前の125%までを上限にするというものです。つまり大きく金利が上がっても毎月の支払いは125%までしか上がらないということです。
5年ルールと125%ルールがあれば、金利が上がっても支払いが固定されているんですね。ということは元本が減らない、当初の予定どおりに完済することが出来ないということです。この底だまりになった元本は最終回に一括返済することになります。もちろん、繰上げ返済しても構いません。
新生銀行ではこれがありませんので、6カ月ごとの金利の見直しで金利が上がるとそれに合わせて毎月の支払額も増えるということになります。
なお、住信SBIネット銀行、みずほ銀行の変動金利でも元利均等返済にしていなければ、このルールの適用はありません。元金均等返済では、6カ月の金利見直しごとに支払い額も上がってしまうので、注意が必要です。
住信SBIネット銀行で借りるなら実店舗(SBIマネープラザ)での申し込みが可能となるミスター住宅ローンREALがお勧め
既にご存知かと思いますが、低金利が売りのネット銀行の住宅ローンの中でも、疾病保障が無料で付帯する付加価値で差別化しているのが住信SBIネット銀行ですよね。支払いが最安で、団信の全疾病保障が無料で付帯してきますよね。
それに加えて、実店舗での相談と申込を受け付けているのが特徴です。
《住信SBI全疾病保障の概要》
- 精神障害等を除く全ての病気やケガで働けなくなったらローン返済がゼロ円になる。
- 8疾病で12カ月継続して働けなくなったらローン残高がゼロ円になる。
- 8疾病以外の病気やケガの場合でも入院により12カ月継続して働けなかったら、ローン残高がゼロ円になる。
前の投稿でも出てきましたが、ミスター住宅ローンREALは、実店舗から住信SBIネット銀行の借入申込を受け付ける商品です。金利も全疾病保障も手数料も全く同じです。けしてここの回し者ではありませんよ!客観的にどう考えても有利なんです。