ワイド団信で高い金利を払い続ける?借り換えを前提としたお勧め住宅ローンの金利タイプ

2018年11月6日

ワイド団信を将来借り換えで通常の団信に変えることを考えた住宅ローンの選び方

 

民間金融機関の住宅ローンを借りる場合は団信への加入が必須です。

団体信用生命保険(以下、団信)とは、住宅ローンの返済中に主債務者が死亡、または高度障害になった場合、保険会社が代わって住宅ローンの残金を払ってくれる保険です。つまり、人に掛ける保険です。保険料は住宅ローンを貸す金融機関(債権者)が支払います。

なので、持病があって通院しているなどの事情がある場合は、その告知義務があり保険会社の審査に通らなければ団信に加入できず、住宅ローンを借りることもできません。

そこで、健康状態の条件を緩和することで持病がある人も加入できるようにしているのが、ワイド団信です。

しかし、ワイド団信に加入すると、0.3%金利が上乗せされるんですよ。それだけ家計を圧迫するのですね。とりあえずワイド団信で借りて後から完治すれば借換によって一般の団信(無料)に乗り換えることが可能です。

今日は、ワイド団信で住宅ローンを借りることを検討されている方からのご相談です。

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相談:今はワイド団信で借り、完治したら借り換えて通常団信で住宅ローンを借りたい

毎日ブログを拝見し、日々住宅ローンについて勉強させていただいております。

現在、住宅ローンを組める金融機関を探しておりますが、健康状態に問題があり(社会不安障害のため3月から月イチ通院服薬中、今は徐々に薬も減り、先日医者からは完治に近いと言われた)、でワイド団信のある銀行で検討しています。

年齢、年収、家の価格、住宅ローン、頭金

夫年齢 40
夫の年収(万円) 520
妻年齢 不詳
妻の年収(万円) 専業主婦
共働きの世帯年収(万円)
家の価格(万円) 2850
住宅ローン(万円) 2750
頭金(万円) 100
  • 夫40歳 年収520万円
  • 妻 専業主婦
  • 2歳の子ども一人

建売住宅(2850万円)の購入の申し込みをしました。11月の第1週までに金融機関とプランを選び、11月13日(月)までに金銭消費貸借契約を結ぶように急かされ、焦っております。

ワイド団信での本審査でみずほ銀行とりそな銀行に通過しました。

みずほ銀行

  • 変動金利(ワイド団信):0.925%
  • 借入金額:2750万円(頭金100万円)

できればフルローンが希望なのですが、みずほ銀行より電話があり、頭金を100万円入れないと保証料が跳ね上がるということでした。

保証会社よりフルローン(2850万円)だと、保証料が150万円必要になってしまう、借り入れ2750万円だったら、もともと予定どおりの保証料60万円で 大丈夫そうですが2750万円ですすめて大丈夫でしょうか?

とのことでした。

りそな銀行

  • 変動金利(ワイド団信):0.875%
  • 借入金額:2850万円(フルローン可能)

借り換えを前提にどんな金利タイプがベストですか?変動で進めて大丈夫ですか?

フラット35(Sの条件を満たすようです)は団信が任意なのですが、10%の頭金と手数料など諸々で420万円必要だと不動産会社の営業から言われてまして、それは用意できないので、フラット35は候補から外れます。

そこで、今後社会不安障害が完治したことを考えて“借り換えを前提”に金融機関を選んでいこうと考えております。

選択基準としては単純に“変動”で“より安い金利”を選ぶということでよいのでしょうか。

千日様のほかのブログで、借り換える場合はりそなのネット限定がお得というのを読みましたので
最初にみずほ銀行にしておいて、りそなに変える方がいいのかな?と考えたり。

また、みずほ銀行の10年固定も気になります。

借り換えを前提の場合は元金均等か元利均等かどちらを選ぶべきか、、考えるほど頭が混乱しています。

また、借り換えるなら、早目がよいと思うのですが(不動産屋さんによれば2~3年は借り換え実績が必要とのこと)、10年以内に借り換えをしてしまった場合に住宅控除の対象から外れることなどはありませんでしょうか。

いろいろ質問してしまい、申し訳ありません。アドバイスいただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。

追伸:

千日さんのブログを読む中でアルヒのフラット35が気になり、フラット35Sなど金利優遇が受けられる住宅かどうか確認のため不動産屋に聞いたところ、

フラット35SかどうかというかAパターンBパターンがあり、5年もしくは10年か金利優遇は受けられる。ただ、ゆくゆく借り換えを考えるなら正直勧められない。また、時間がないので、ここにきていろいろ考えるのはいい加減にしてもらいたい。

と。正直、??と思いました。

 

回答:フラット35以外では低金利で5年ルールと125%ルールのある変動金利はお勧め

選択肢としては2通り考えられます。

  1. フラット35(団信抜き)で借りて、完治してから借り換える。借り換えはフラット35からフラット35への借り換えも出来ます(ただし1年の返済実績が必要)。
  2. ワイド団信の変動金利又は当初固定金利で借りて、完治してからその時に有利な住宅ローン(通常団信)に借り換える。

今、フラット35で借りる場合、不動産会社から420万円のキャッシュを用意してくれと言われており候補から外れるので、必然的に2.の変動金利又は当初固定金利ということになりますね。

みずほ銀行は地方の2018年度に住宅ローンから撤退するので、条件を厳しくして収益性の高い客にふるいをかけているのだと思います。金利も高く、融資額も少ないので今の条件ならばりそな銀行が最も有利な選択になるでしょう。

ではりそな銀行として、変動金利か10年固定金利か?という点がありますので、シミュレーションで比較してみます。

住宅ローンのセオリー

《前提条件》

  • 2850万円借入、35年元利均等返済、ボーナス払いなし
  • 変動金利:0.875%(ワイド団信含む)
  • 10年固定金利:1.4+0.3(ワイド団信)=1.7%
  • 定年60歳まであと20年で完済する。

(単位:円)

変動0.875% 10年固定1.7%
毎月返済 78,802 90,082
10年後残高 21,226,608 22,003,220
定年時(20年後)残高 13,288,374  不明
  • 毎月返済は手取り月収の4割以下(変動金利の場合は支払の25%を貯蓄し、その貯蓄と合わせて4割以下)。
  • 定年時残高を1千万円以下にする。

こちらの住宅ローンの千日メソッドに沿って判定していきます。年収520万円の手取り月収を26万円とすると、その4割は10万4千円。

変動金利の毎月返済は7万8千円、この25%を貯蓄すると9万8千円ですから、レンジ内に入ってますね。ただし定年時の残高は1328万円ですから、1000万円を超えます。計画的な繰上げ返済資金の貯蓄が必要です。

10年固定金利は毎月9万円ですから、手取り月収の4割以下です。こちらは10年後の残高に注目です。2200万円ですね。これは何かあった時に大きな残高になっています。今から10年後の50歳の時点では、まだまだお子さんの教育費が嵩む時期です。

りそな銀行に限らず、今の金融情勢下では10年固定は金利が安い時期ではありませんので、お得感は無くなっています。現時点で変動金利は妥当な判断であると思います。

【金利予想】2017年フラット35は北朝鮮リスクで下がり、民間銀行の住宅ローンは10年固定から変動金利へシフト-千日のブログ

2018年安部政権下の住宅ローンはどうなるか?金融情勢の読み方をゼロから分かりやすく説明します-千日のブログ

質の良くない業者の特徴に当てはまる

ただ、この420万円というのは眉唾ですね。その後の対応を見ても、あまり質の良くない営業マンですね。時間が無いのは不動産屋の都合ですから、こっちには関わりの無いことです。舐めてますね。

建売でこの手数料というのは、仲介手数料も含まれているっぽいですね。家を販売する業者と仲介する業者を別会社にして、仲介手数料という名目で買い手から取る手口です。一応合法ですが、実態としては販売業者と仲介業者は同じですから、これは値切れるケースです。

お聞きした範囲では、顧客への説明も、対応も、中の下位の業者ですから、見積書や仕様などを専門家(ホームインスペクション)に見てもらえば、色々出てくる可能性があります。

家を買うのは人生最大のプロジェクトです。いまの「??」を見て見ぬふりをして後悔しないようにしてください。こちらも参考になると思います。

悪い業者、営業マンの見分け方のカテゴリー

借り換えするのに2年~3年の返済実績は必須ではない

これは金融機関によります。2年~3年の期間が必要というのは、マストではなくその方が審査に通りやすいという程度のことです。ちなみにフラット35では1年で、住信SBIネット銀行ではそもそも制限がありません。

ただ、長く返済していることが審査のプラスに働くことは確かですので、そういった言い方になっているのだと思います。

10年以内に借り換えると住宅ローン控除から外れない

借り換えによって住宅ローン控除から外れることはありません。ただし、借り換えでその直前の残高よりも多く借りた場合(借り換え費用も融資を受けた場合など)は多く借りた部分については住宅ローン控除が受けられません。これは住宅ローン控除はあくまで住宅の取得のための借入について税金を安くするものだからです。

たとえば車も買いたいから、ということで多めに借りて、それで住宅ローン控除も受けられたら不公平ですよね?ということです。

変動金利で借りるなら「元金均等」ではなく「元利均等」

借り換え以前に、変動金利であれば元利均等をお勧めします。元金均等では5年ルールと125%ルールの適用がありません。

【金利予想】変動金利が上がるXデーは銀行の営業戦略から2023年~2028年が濃厚-千日のブログ

また、当初10年は住宅ローン控除がありますので、返済額の損得の面で元利均等と元金均等に差はありませんよ。

金利ラボ

まとめ~相手のペースに乗る必要はない

我々がこれから購入するものは、その後何十年にわたって自分と家族の人生を守る家です。だからこそ、ある局面で営業マンは頼りになりますよね。全くの初心者にとってプロから適切な助言を受けることはとても重要なのです、しかし営業マンは不動産を売るまでがお仕事です。

お客様に寄り添い、二人三脚で物件選びをサポートします。

良く目にするキャッチ・フレーズですが、これを完全に真に受けるのは良くないですよ。彼らが我々に寄り添うのは、自分達の商品となっている家を売るためです。我々と利害が一致するのは、たまたま我々が買いたい家と彼らが売りたい家が一致した時だけなんです。それ以外の利害はことごとく相反しています。

  • 高く売りたい営業マンと安く買いたい我々。
  • 早く売りたい営業マンとじっくり吟味してから決めたい我々。
  • 手付金は出来るだけ多く取りたい営業マンと、少な目におさえたい我々。

目の前に引渡しの時期が迫ってくると、彼らの地が出てきやすいです。既に手付金を入れていれば、こちらの立場も弱くなります。そういうタイミングで急かしてきますけど、別に彼らの顔色をうかがう必要など無いのです。

横柄に対応するとかではなく、あくまで対等な立場で、重要な意思決定には納得がいくまで答えは出せない。という毅然とした態度を保持することが重要です。

以上、参考になれば幸いです。

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