住宅ローンを会社から借りるか?フラット35か?ネット銀行の変動か?

2017年12月4日

勤め先から社員貸付制度や利子補給がある人の住宅ローンの選び方

会社で従業員を対象に住宅資金の貸付制度や利子補給制度がある場合は、是非有効に利用したいところですよね。

しかし、会社の融資制度は一般的な住宅ローンとは違う点がある場合があり、フラット35や一般の住宅ローンとの比較が一筋縄ではいかないのがミソです。一点注意が必要なのが、住宅ローン控除の条件にあてはまるか?です。

サラリーマンが勤め先から借りる(または利子補給を受ける)場合で、以下の場合は住宅ローン控除が認められません。

  • サラリーマンが会社から住宅資金を借りている場合で、それが無利息又は利率が1%(2018年1月1日居住分から0.2%)未満の場合。
  • サラリーマンが会社から利息相当の手当を受けるなどして実質的に利率が1%(2018年1月1日居住分から0.2%)を下回る場合。

住宅ローン控除の条件全てを分かりやすく解説 新築・中古・増改築(控除の対象とならない借入金について)-千日のブログ

つまり、今年の2017年に引き渡しを受ける場合で、会社からの借りる住宅ローンの金利が1%未満になる(または利子補給で実質1%未満になる)場合は、来年まで入居しない方が良いということなんですね。

これは思わぬ落とし穴です。ほんの1か月早まって住民票を移してしまったら、(一般住宅の場合)10年間で最大400万円もらえる住宅ローン控除がまったく貰えなくなってしまうということです!

怖いですね、注意してください。

では今日のご相談者です。

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相談:勤務先から好条件で住宅ローンを借りられるのですが、どうやって住宅ローンを選べば良いですか?

新築マンションの購入を検討中で、こちらのサイトを拝見、日々勉強させて頂いています。検討中の物件は、千日さまの計算式のおかげで価格的に購入可能な範囲に入っておりますが、会社での借り入れも可能で、選択肢として検討中です。

主要な条件 内容
居住予定の家族の年齢と年収 夫33歳 800万 定年60歳
妻36歳 専業主婦
子供5歳、2歳
自己資金の額 940万円
物件価格 4700万円
物件のタイプ 3LDK新築マンション(2019年9月引き渡し)
借入予定額 3760万円
住宅ローン 勤め先の会社からのローン
変動金利 0.45%
5年ルール、125%ルールの適用なし。
抵当権設定不要(代わりに火災保険に質権設定)。
団信生命保険加入必須(金利にプラス0.339%)ただし1年で剰余金が出た場合は配当あり(過去実績40~50%)。
60歳時点で全額返済を要する。
アルヒスーパーフラット8と「S」金利プランBの併用
当初5年0.99%→その後1.24%
相談内容 ①住宅ローン選択についてのアドバイスを。②まだ2年ほど先だが住宅ローンはいつ検討すればいいか?
  • 10年間の住宅ローン控除はフルに活用予定。
  • 物件価格の2割は頭金用意可能。(ローン控除との兼ね合いで決定する予定)
  • 変動/固定どちらでも可。もっとも安い費用で済む形で借り入れ予定。

2019年完成ですので、まだ先ですがアドバイスお願いします。

回答:会社の住宅ローン、フラット35、住信SBIネット銀行で量的側面と質的側面から比較します

お勤め先の住宅ローンは、なかなか特徴的ですね。確かに同じテーブルで比較するのが難しい面があると思います。しかし、住宅ローンの重要なポイント(要素)で輪切りにすれば、その特徴が見えてくるように思います。

  • 量的側面
  • 質的側面

です。詳しくはこちらのページにまとめている考え方です。

住宅ローンのセオリー

では始めましょうか。

量的側面=月々の支払い(と住宅ローン控除)

まずは量の側面から以下の典型的な3つを比較します。

  • 勤め先の住宅ローン
  • アルヒスーパーフラット「8」とS(金利Bプラン)併用
  • 住信SBIネット銀行(変動金利最低金利)
量的側面 勤め先 スーパーフラット8とS(金利Bプラン) 住信SBIネット変動
毎月返済 金利変動で変動する ずっと固定 5年ルールと125%ルール
対応方法 会社の社員でいること 手取り月収の4割以下に抑える 25%を貯蓄したうえで月収の4割以下
金利 0.45% 0.99%→1.24% 0.477%
団信 0.339%但し半分返戻 金利に込み 金利に込み
合計 0.62% 0.99%→1.24% 0.477%
融資手数料 0.00% 2.16% 2.16%

(注)勤め先のローンの金利は0.45%+0.339%÷2でざっくり揃えました。

勤め先のローンは変動金利ですが、5年ルールと125%ルールの適用が無いというのがデメリットですね。変動金利の金利が上がるリスクに対応するために、千日メソッドでは返済額の25%を貯蓄したうえで月収の4割以下にすることをおすすめしています。

これは、5年間は毎月の返済額は上がらず(5年ルール)、一度に上がる返済額は直前の125%が上限(125%ルール)があることを前提にしています。つまり、借りた直後に金利がどれだけ上がっても当初の10年間は125%以上に上がることがないということですね。

勤め先のローンはそれが無いですから、一見リスクが高いように見えますが、社員としての身分に基づいて借りているのですから、条件変更にはある程度応じてもらえるでしょう。

普通の銀行でも5年ルールと125%ルールが無い銀行がありますが、それほど問題視する必要は無いように思います。ただし、社員(従業員)としての地位がある間のことですので、これがなくなった場合には全くそういう厚遇は無くなる点がポイントですね。

では、金額で実際に比較してみます。

《前提条件》

  • 35年元利均等返済、ボーナス払いなしで、住宅ローン控除の恩恵を最大限得る。
  • 10年は繰り上げ返済しない。(シミュレーションでは簡単のために60歳まで繰り上げ返済しないこととしています)
  • 60歳で完済する。

(単位:円)

金額比較 勤め先 フラット35S 住信SBIネット変動
毎月返済 99,779 105,964 97,222
109,791
60歳残高 11,601,290 12,385,032 11,390,569
総支払額 41,534,990 45,092,712 40,557,169

この金額だけを見ると、フラット35は支払額が最も多くなりますが、変動金利では25%の余裕が必要なことを考えれば、フラット35が最もハードルの低い金利タイプであると言えます。

金利変動リスクを取るのであれば勤め先か住信SBIネット銀行のどちらかですが、総支払額で比較すると100万円ほど住信SBIネット銀行が安いですね。同じ変動同士の比較ですので、総支払額でだいたいの量的な比較ができると思います。

住宅ローンの実行は2年後ですので、まだこの状況になるとは限りません。基本的に複数の金利タイプの住宅ローンで審査を通しておくことをおすすめします。

質的側面:リスク

次はリスクの側面からの比較を行います。アクシデントで返済が厳しくなったときなどに条件変更にどれだけ応じてもらえるか?病気やケガなど万が一のときに保障があるか?といった側面からの比較です。

質的側面 勤め先 フラット35S 住信SBIネット変動
条件変更 甘い(ただし社員でいる場合) やや甘い 厳しい
転勤 問題なし 要報告 要報告
賃貸へ変更 問題なし 問題なし 原則として不可
転職 全額返済 問題なし 要報告
団信保障 通常の団信 身体障害保障 全疾病保障
死亡 100% 100% 100%
病気ケガ 高度障害 身体障害1級、2級 精神障害除く全ての病気とケガ(入院期間や就業不能期間の条件あり)
ポイント 社員でいる限りは厚待遇、転職退職すると厳しい バランスよく債務者保護される トータルで好条件だが基本的に融通は利かない

条件変更については、勤め先ローンは社員でいる限り、最も融通が利きます。フラット35はその次に融通が利きます。特に、賃貸への転用が認められているのは、フラット35だけですね。ネット銀行はもちろんリアルの銀行でも賃貸への転用は原則として認めていません。

こちら参考にご一読ください。

フラット35の知られざるメリットと銀行や営業マンがなぜお勧めしないのか?プロが答えます-千日のブログ

勤め先のローンは(勤め先によりますので要確認ですが)やはり会社を辞めたら、どこか別の銀行に借り換えるなどして一括返済しなければならないのが普通だと思います。

病気の保障については、フラット35と住信SBIネット銀行にメリットが多いですね。

フラット35の身体障害保障

フラット35は国内団信初の身体障害保障が付帯します。

項目 フラット35団信 普通の団信 備考
死亡 住宅ローンがゼロ円
身体障害 身体障害者福祉法に定める障害等級(1・2級)の「身体障害者手帳」を交付されれば住宅ローンがゼロ円になる。保障の要件が具体的。 高度障害よりも軽い障害であっても保障される。
高度障害 非常に重い障害状態でその後の生活に重大な支障をきたす状態になると住宅ローンがゼロ円になる。保障の要件が抽象的。 高度障害の一部については、新団信では保障対象ではなくなるものもある。

例えばペースメーカーが必要になって、身体障害者手帳の1級か2級が交付されるような場合でも、住宅ローンがゼロ円になるのです。

住信SBIネット銀行の全疾病保障

また、住信SBIネット銀行は全疾病保障が無料で付帯するのが魅力ですね。詳しい条件は以下のとおりです。

《住信SBIネット銀行の全疾病保障》

  1. 精神障害等を除く全ての病気やケガで働けなくなったら、最大12カ月まで、ローン返済がゼロ円になる。
  2. 8疾病で12カ月継続して働けなくなったらローン残高がゼロ円になる。
  3. 8疾病以外の病気やケガの場合でも入院により12カ月継続して働けなかったら、ローン残高がゼロ円になる。

またSBIマネープラザが販売する「MR.住宅ローンREALは、住信SBIネット銀行の商品です。ネット銀行の商品でありながら、実店舗での相談を受け付けており、実店舗から申込を受け付ける商品です。金利も全疾病保障も手数料も全く同じです。

《ホームページ》

ネット銀行は書類の記入に不備があるとその都度手戻りとなるなど、ネットならではのデメリットがありますが、実店舗で受け付けてもらえば、そうした問題は解消しますね。上のホームページで来店の予約を受け付けています。

まとめ

  • 会社からの住宅ローンは、社員でいる限りは厚待遇、転職退職すると厳しい。
  • フラット35はバランスよく債務者保護される。
  • ネット銀行(民間金融機関)はトータルで好条件だが基本的に融通は利かない。

こうした特徴を掴んで、それぞれの資金計画を準備しておき、直前の金利を確認して決めるのが良いと思います。

2年後となると、住宅ローン控除のルールも改正されていて、現在と違っている可能性もありますので、適宜情報収集を怠らないようにしておくことをおすすめします。

以上、参考になれば幸いです。