変動金利は将来上がるから今のうちにフラット35に借り換えるべき?の考え方

2019年10月1日

今あえて変動金利からフラット35へ借り換えるのはアリ?

2018年7月からフラット35の金利は上がってきていますね。とは言っても、ついこのあいだの4年前の水準と比べたら半分くらいの低金利なんですよ。

ちなみに2014年のフラット35の金利はコンスタントに2%を超えていました。この当時は団信が金利に含まれておらず、団信保険料としてさらに0.358%を毎年払わなければなりませんでした。

2014年フラット35団信0.358%込み 借入期間15年~20年 借入期間21年~35年
12月 1.648 1.918
11月 1.698 1.968
10月 1.738 2.008
9月 1.738 2.018
8月 1.768 2.048
7月 1.808 2.088
6月 1.808 2.088
5月 1.808 2.088
4月 1.828 2.108
3月 1.838 2.098
2月 1.888 2.148
1月 1.878 2.158

さらに、今から4年前のフラット35よりも、今のフラット35の方が金利が低金利な上に団信の保障も厚くなっているんですよ。

2017年10月1日の申し込みからフラット35の団信が大幅にリニューアルされます。この制度変更の骨子は2つです。

  1. 団信保険料は実質値下げ。従来年一回ローン残高の0.358%を払う方式だったが、今後はフラット35の金利にデフォルトで含まれる。
  2. 住宅ローン残高がゼロ円になる保障の範囲は拡大。従来高度障害と死亡が条件だったが、今後は身体障害(身体障害者福祉法1級or2級)についても保障の範囲に含まれる。

保証内容の新旧を比較すると以下のようになっています。

項目 備考
死亡 住宅ローンがゼロ円
身体障害 身体障害者福祉法に定める障害等級(1・2級)の「身体障害者手帳」を交付されれば住宅ローンがゼロ円になる。保障の要件が具体的。 高度障害よりも軽い障害であっても保障される。
高度障害 非常に重い障害状態でその後の生活に重大な支障をきたす状態になると住宅ローンがゼロ円になる。保障の要件が抽象的。 高度障害の一部については、新団信では保障対象ではなくなるものもある。

ですから、今から4年前に住宅ローンを借りた人の中には本当は固定金利で借りたいと思っていたけど、しょうがなく変動金利を選んだという人が一定数いるのです。

特に最近はアメリカの長期金利が上昇し、そのあおりで日本の長期金利が上がるなど、ちょっと不安定な状況ですよね。去年からじわじわ上がってる住宅ローンの固定金利がさらに上がってしまう前に借り換えるか…?

なかなか悩ましいところです。2018年の金利情勢という前提で今からでも変動からフラット35に借り換えるべきか?に答える記事を千日のブログで公開しています。

2018年に変動金利から固定金利フラット35に借り換えるべき人とは?2つの条件 -千日のブログ

今日はそんなご相談者からの借り換えの相談です。

広告

相談:今の金利で変動からフラット35への借り換えはアリですか?

主要な条件 内容
居住予定の家族の年齢と年収 家族構成:自分660万(33歳)、妻(32歳)専業主婦、子供(5歳、2歳、もう一人予定)
当初借入額 3400万円
物件のタイプ 注文住宅
当初借入日 2014年
借入残高(2018年1月) 3150万円
現在の住宅ローン 35年元利均等返済
変動金利0.625%
相談内容 現在、固定金利が安くなっているため今後の金利上昇に備え、フラット35に借り換えを検討しています。ただ諸経費を考えると意味があるのかわからなくなりました。
借りている銀行で期間固定にするのも考えていますが、固定10年で1.5%、固定20年で2.5%なのでフラット35のほうがいいのではという思いがあります。
是非アドバイス頂きたいです。もう一人子供が増える予定で、妻が仕事に出るのはかなり先になりそうです。
マイホームを買うのは早かったかなーと、後悔する日もあります…

回答:数字としてはメリットが無くてもアリだと思います

変動金利が0.625%ですが、住宅ローンを組まれたときの金利情勢と今を比べると、明らかにフラット35の条件が良くなっているので、単純に支払額だけで「意味なし」と判断するべきではないと思います。

早速シミュレーションしてみましょう。

変動金利からフラット35への借換費用のシミュレーション

3150万円を借り換えるシミュレーションを行いました。借換え費用は約55万円と見積もれました。

(単位:円)

借換に伴う支出 金額
保証料返金額 -477,428
繰上げ返済手数料 32,400
印紙税 20,000
フラット35物件検査料 64,800
登録免許税 126,000
司法書士報酬 100,000
融資手数料 680,400
合計 546,172

保証料を前払いしていればその返金があります。返金額の見積もり方法は、こちらのページに一覧表があります。

借換と金利交渉のセオリー

100万円を35年元利均等返済で借りて、4年後に全額繰り上げ返済した場合の保証料の返金額は14,042円です。今回は3400万円を35年元利均等返済で借りているので、14,042×34=477,428円が繰り上げ返済によって返金される保証料と計算しました。

これは、保証会社によって違いますので、実際に借りている金融機関に問い合わせることをお勧めします。1週間ほどで回答してもらえると思います。必ずしもこの金額に近いとは限りませんので、ご注意くださいね。

それ以外はだいたいの相場で計算しました。融資手数料はかなり幅があるのですが、保守的最も高いケースの2.2%で試算しています。

この保証料の返金は全額繰り上げ返済した翌月に振り込まれるところが多いですので、必要キャッシュとしては102万円ほどですね(多めに見積もっています)。現在130万円ありますので、問題なく払えます。

資金繰り面の比較

次に毎月の返済と、定年時の60歳残高、住宅ローン控除などがどう変わるのかを比較してみましょう。

(単位:円)

3150万円 現在変動金利
0.625%
フラット35
1.4%
差異
前半毎月返済 93,167 104,426 -11,259
10年後残高 21,997,258 22,788,302 -791,044
60歳残高 4,415,373 4,871,729 -456,356
住宅ローン控除 1,708,000 1,727,000 -19,000
  • 毎月の返済は1万ちょっと増えます。
  • 60歳残高は45万増えます。
  • 住宅ローン控除はそんなに変わりません。

一番変化が大きいのは毎月の返済額ですね。これを検討してみましょう。家計へどのくらいヒットするのか?という面から見てみます。

千日メソッドでは以下を推奨しています。

  • 固定金利の場合は毎月の返済を手取り月収の4割以下にする。
  • 変動金利の場合は毎月返済額の4分の1を繰り上げ返済用に貯蓄した上で、貯蓄と合わせた金額を手取り月収の4割以下にする。

年収660万円の手取り月収を32万円とすると、その4割は12万8千円ですね。

  • フラット35の元利均等返済額は10万4千円ですからレンジ内です。
  • 変動金利の元利均等返済額は9万3千円でこの4分の1は2万3千円、合計で11.6万円です。これもレンジ内です。

但し、フラット35の方が余裕があります。今後、家族が増えて支出が増加し、奥様の収入が途切れる期間伸びるということは、より余裕をとっておくことが得策であると思います。

総支払額の比較

借換費用も含めた総支払額で比較を行いました。前提としては60歳の定年で全額繰り上げ返済するという前提です。

(単位:円)

3150万円 現在変動金利
0.625%
フラット35
1.4%
差異
借り換え費用 0 546,172 -546,172
60歳まで返済額 30,186,108 33,834,024 -3,647,916
60歳残高 4,415,373 4,871,729 -456,356
住宅ローン控除 -1,708,000 -1,727,000 19,000
合計 32,893,481 37,524,925 -4,631,444

合計で463万円の支払額の増加となりました。

但し、その大半は60歳までの27年間の返済額である364万円ですね。これは27年間金利が上がらなかったら、という仮定のもとに出てくる数字ですので「絵にかいた餅」です。

もし借入当時に現在のフラット35の条件だったらどうしたか?

家族が増えることにより、大黒柱の負う責任とリスクは大きくなっていきますよね。なので金利変動リスクを無くそうとすること自体は良いことだと思います。

あとは、フラット35の支払額というものが、この家の価格として妥当なのか?という物差しです。

つまり、もし借入当時の2014年に今のフラット35であったら?ということで考えてみてください。

つまり、団信込み(身体障害保障つき)で10万4千円の毎月返済額であったら、フラット35にしただろうか?という考え方です。

だったとしたら、フラット35に借り換えるべきタイミングであると思います。こうした借り換えの考え方については、過去のご相談者にもお答えしています。

この方はモゲチェックの無料相談にも相談されたようです。

モゲチェックの住宅ローン借り換え無料相談に行ってきた【口コミ情報】

単純に数字だけで測るのではなく、様々な角度から考えることをお勧めします。

  • もしも、当時に今のフラット35の条件だったらどうしたか?

フラットで借りていただろう、という結論になるのであれば、今からでもアリだと思います

以上、参考になれば幸いです。

年収600万円台の相談事例とシミュレーションを見る