夫婦の収入合算(orペアローン)で最大限借りる場合は変動か固定かどっち?

単独では完済できないが夫婦2馬力の収入であれば完済できる住宅ローンは変動か固定か?

 

住宅ローンは変動か固定か?というのは一番難しい問題なんですよね。今は固定金利が安いです。変動金利はもっと安いです。

変動金利が安いのは金利の上昇リスクを自分で負っているからなんですね。ですから固定金利はその金利上昇リスクの保険料が上乗せになっているということです。保険料と考えれば、人類史上最も安い保険料になっているのが、現在の固定金利です。

ですから固定金利がオススメです。基本的に固定金利を選んでおいて、間違いは無いです。

しかし、それを差し引いても、べらぼうに安いのが変動金利ですね。

もし金利の上昇リスクに対応できるのであれば、今の安い変動金利を享受したいというのが人情でしょう。また、変動金利の元利均等返済額を見てしまうと、固定金利のそれが高く感じてしまうのも確かです。

その判断を画一的にすることは難しいのですが、ケースバイケースであればお答えできます。今日は、ペアローン(収入合算)にて住宅ローンを借りる場合に変動か固定か?というご相談です。

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30代後半公務員の共働き夫婦で組む住宅ローンは変動か固定か?

居住予定の家族の年齢と年収 夫38歳(公務員650万程度)
妻36歳(公務員650万程度)
長女6歳
次男1歳
義父61歳
自己資金の額 1500万
物件価格 7500万
物件のタイプ 注文住宅
借入予定額 6000万(35年ローンで組んで妻の退職金で完済予定)
住宅ローン 固定 財住金フラット35エース当初10年1.0%、11年目~1.25%
変動 りそな銀行0.470%
相談内容 ①固定か変動か悩み中です。固定で安心を買うか、変動でこどもが小さいこの10年くらいのうちに貯めて、住宅ローン減税が終わる11年目あたりか、金利が上がる前にたくさん繰り上げ返済するか…。正解は無いのだと思いますが、ご意見ください。

②二人でローンを組む場合に6000万をどう割りふりすれば、住宅ローン減税をフルに活用できるでしょうか。

回答:夫婦2人でギリギリ返済できる場合は金利上昇リスクに見合う貯蓄が必要です

ではお答えしていきましょう。まず、借り入れ額が年齢、収入に対して妥当な範囲かを判定します。年収と年齢によってある程度、無理なく返済できる住宅ローンを見積もることが出来ます。ルールは以下の4つです。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

これをザックリ当てはめて無理なくへ完済できる住宅ローンの金額を出すと以下のようになります。

(単位:万円)

 年齢/月収 15万 20万 25万 30万 35万 40万
25歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
30歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
35歳 1997 2663 2972 3535 4125 4714
40歳 1997 2357 2630 3043 3550 4057
45歳 1768 2029 2263 2515 2934 3354

前提条件:元利均等返済、ボーナス払いなし、定年60歳、固定金利1.38%

38歳夫の年収650万は月収では32万円。近いところは40歳月収30万円で借入額は3043万円ですね。

36歳妻の年収650万は月収では32万円。近いところは35歳月収30万円で借入額は3535万円ですね。

つまり、来年から6000万円の借り入れということは、夫婦それぞれの許容額の2倍だということです。夫婦2馬力で、ジャストサイズという住宅ローンですね。

変動金利を選ぶ場合は、金利の上昇リスクに対応できるようにしておく必要があります。具体的には毎月の返済額の4分の1を貯蓄した上で、手取り月収の4割以下にするというものです。これを二つの「4」と呼んでいます。

詳しくはこちらをどうぞ。

金利タイプ選びのセオリー

ただ、このルールは変動金利には5年ルールと125%ルールがあるので、すぐに金利が上がっても、当初10年については返済を継続できるというだけのハードルです。

当初5年は毎月の元利均等返済額は上がらないのですが、返済額のうち利息の占める金額が増えて、元本の減りは遅くなります。底だまりになった元本は最終回にまとめて払わなければ終わりません。

また、一度に上がる金額は125%までですが、やはり返済額のうち利息の占める金額が増えて元本の減りが遅くなっているのは同じことです。底だまりになった元本は最終回にまとめて払わなければ終わりません。

あくまで、二つの「4」というのは、最低限、返済を滞らせないだけのハードルであって、完済できるハードルはさらに高いのですね。

結局のところ、完済するには支払を増やさなければなりません。特に、夫婦二人でギリギリ返済できるというレベルの場合は、金利が上がった場合には即座に繰上げ返済して元本を減らし、現在の返済額を維持したまま完済できるようにしておく必要があるのです。

なので、実践的な考え方でいくと、今の毎月の返済額を維持したまま完済するのに幾ら繰上げ返済すればいいか?という金額を貯蓄として持っていることが必要条件となります。

詳しくは千日のブログで書いています。

変動金利で住宅ローン金利が上がったら繰り上げ返済すべき金額の一覧表 -千日のブログ

この表を6000万円を変動金利0.5%、35年元利均等返済という前提で作りました。

毎月の元利均等返済額は155,751円です。

(単位:万円)

残期間 30年 25年 20年 15年
残高 5206 4391 3556 2700
0.5%→1.0% 370 259 171 97
0.5%→1.5% 698 496 331 192
0.5%→2.0% 1000 716 480 281
0.5%→2.5% 1270 918 619 365
0.5%→3.0% 1515 1107 750 446
0.5%→3.5% 1744 1278 871 521
0.5%→4.0% 1947 1440 989 594
0.5%→4.5% 2134 1590 1095 664
0.5%→5.0% 2311 1726 1198 732

この表の使い方を説明します。

例えば5年後(残期間30年)の残高は5206万円です。これが残期間30年の下にある5206の数字の意味です。

そのときに金利が0.5%→1.0%に上がったら→370万円という数字がありますね。これはその時に370万円を繰上げ返済して元本を減らせば、今の155,751円の毎月返済で最後まで完済出来るということです。

97万円~2311万円までかなりの幅がありますが端っこは極端なケースです。いちおうあり得ると考えておくべきなのはその真ん中あたりです。つまり1000万円前後ですね。

太字にしたところの5年後に2.5%になる、又は10年後に2.5%になるというのは有り得るラインとして考えておいて良いと思います。

これはもちろん上がると言う予言ではありません。上がったときに、今の時点でこの程度に上がることは考えられないことじゃないよ、というラインです。

回答:夫が先に定年退職するタイミングで繰上げ返済が必要

夫婦で返済します。そして夫が2歳年上ですので夫の方が2年先に定年となります。ということは、夫の定年退職の後は妻が一人で返済を続けることになります。

だとすると、夫が定年となった時点でその時点の残高の半分くらいは繰上げ返済しておきたいところですよね。また、その時点では既に住宅ローン控除の10年は終わっていますので、随時繰上げ返済しても良い時期です。

ただし、住宅ローンの金利はあらゆる借金の中で最も低金利ですので、他で借金しながら繰上げ返済するのは損です。繰上げ返済したお金は返ってきませんのでその判断は慎重にしてくださいね。

住宅ローン控除の恩恵を得られる夫婦の割合

ご夫婦の年収がほぼ同じですので、夫婦の割合も半々にしておけば問題無いかと思います。ただし10年間はご夫婦ともにフルタイムで働く場合です。

お子さんが小さいですので、時短などを検討されているのでしたら、少し旦那様に多めに配分するのが良いと思います。

年収と上限の目安は以下のとおりです。

  • 200万円⇒9万円(900万円)
  • 300万円⇒17.3万円(1,730万円)
  • 400万円⇒22.3万円(2,230万円)
  • 500万円⇒27.9万円(2,790万円)
  • 600万円⇒34.3万円(3,430万円)
  • 700万円⇒40.0又は45.8万円(4,000万円又は4,580万円)
  • 800万円⇒40.0又は50.0万円(4,000万円又は5,000万円)

税金のセオリー

ずっと同じフルタイムで働かれるのでしたら、3000万ずつとし、奥様が時短勤務などを考えておられるのでしたら、旦那様で3500万奥様で2500万というような傾斜配分とするのが良いと思います。

資金繰り面での比較シミュレーション

(単位:円)

6000万円 ①フラット35エース1%/1.25% ②りそな変動
0.47%
差異
前半毎月返済 169,371 154,957 14,414
後半毎月返済 174,505 154,957 19,548
10年後残高 44,941,296 43,851,748 1,089,548
妻60歳残高 21,510,872 19,930,634 1,580,238
住宅ローン控除 5,184,100 5,118,100 66,000

ちなみに夫が60歳の残高は以下になっています。

  • フラット35エース:25,114,127円
  • りそな変動:23,445,036円

夫が60歳のときにこれらの半分を繰上げ返済すれば、つまり、12百万円くらいをくりあげ返済すれば、その後の妻の毎月の返済は半分になりますね。

  • フラット35エース:毎月返済87,252円
  • りそな変動:毎月返済77,478円

無理なく返済を続けられます。そして妻の60歳残高も半分になりますので以下のようになります。

  • フラット35エース:妻60歳残高10,755,436円
  • りそな変動:妻60歳残高9,965,317円

定年時の残高1000万円のセオリーに収まります。

総返済額の比較シミュレーション

融資手数料の比較

(単位:円)

住宅ローン経費 ①フラット35エース1%/1.25% ②りそな変動
0.47%
差異
印紙 40,000 40,000 0
登録免許税 60,000 60,000 0
保証料 0 1,236,600 -1,236,600
事務手数料 691,200 64,800 626,400
フラット35物件検査手数料 64,800 0 64,800
合計 856,000 1,401,400 -545,400

フラット35エースの方が事務手数料が最初にかかる費用は少なく済みますね。フラット35は保証料が不要であり、さらに財住金の事務手数料が安いためです。

では、夫の60歳定年で半分繰上げ返済し、妻の60歳定年で残りを返済するという計画での比較を行います。

(単位:円)

6000万円 ①フラット35エース1%/1.25% ②りそな変動
0.47%
差異
借入費用 856,000 1,401,400 -545,400
夫60歳まで返済額 45,453,240 40,908,648 4,544,592
夫60歳残高の半分 12,557,064 11,722,518 834,546
妻単独2年返済 2,094,060 1,859,484 234,576
妻60歳残高 10,755,436 9,965,317 790,119
住宅ローン控除 -5,184,100 -5,118,100 -66,000
保証料払い戻し 0 -58,560 58,560
合計 66,531,700 60,680,707 5,850,993

変動金利の方が585万円安いという結果になりました。

ただし、これは完済までの数十年にわたり金利が上がらないという前提の場合ですので、単純に変動金利が正解ということではありません。

変動金利については以下のような考え方となります。

  • 金利が上がった際には約1000万円のキャッシュが無いと安心はできない。
  • 金利の上昇に対処できるのなら、もし上がらなければ585万円、固定金利で借りるよりも少ない支払で完済出来るかもしれない。

マイナスの場合は不確定ですが1000万円のキャッシュが必要で、プラスの場合は最大で585万円の得ということですね。

つまり、不確定な1000万円の出金に対応できるなら、585万円を取りに行くのも良しということになります。

まとめ

変動金利を選ぶ場合は金利の上昇リスクに対応できるかどうか?という判断がまずあり、それでNoということになれば、固定金利にしておくことをお勧めします。

585万円というのは確かに少ない金額ではありませんが、最後に家を売却しなければならないか、それとも自分のものになるか、ということがかかっているとなると、絶対とりにいかなければならない金額ではないと思うからです。

変動金利は銀行が自分の判断で随時上げることのできる金利タイプです。だから安いのです。こちらも参考にどうぞ。

【金利予想】変動金利が上がるXデーは銀行の営業戦略から2023年~2028年が濃厚-千日のブログ

あとは、固定金利での毎月の返済が自分にとって妥当な数字なのか?という判断ですね。ちょっと高すぎると思うのであれば、それだけ身の丈を超えた物件であるということです。

以上、参考になれば幸いです。