実家の会社と愛媛銀行 新 愛のチカラ(預金連動型)どっちで借りる?何年で返す?

2018年10月28日

できれば銀行から借金したくない!実家の会社と預金連動型のどっちがいい?

 

レアなケースですが、実家が事業をしている場合、実家の会社から住宅の購入資金を借りるという手もあります。ただし、その場合は住宅ローン控除を受けることは出来ません。

住宅ローン控除の条件はこちら

税金ラボ

住宅ローン控除は年末のローン残高の1%が最大10回、所得税等から還付される(キャッシュバック)減税制度です。例えば4000万円の住宅ローンを借りたとすれば、10年で342万円の税金がかえってきます(35年長期固定1.41%で元利均等返済ボーナス払いなし)。

これは、大きいですよね!

そこで、この住宅ローン控除の恩恵を最大に受ける方法として、前に一度「預金連動型の住宅ローン」をご紹介したことがあります。

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今日のご相談者は実家の会社から借りるか?預金連動型で借りるか?どっちが良いのかというお悩みです。

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相談:30歳自営役員年収600万で借りるなら会社か預金連動か?

インターネットで住宅ローン控除について調べているうち、千日さんが無料で相談を受け付けていることを知りました。

よろしくお願いします。

居住予定の家族の年齢と年収 自分30歳600万 妻30歳専業主婦 子供2人 実家が会社を営んでおり、肩書だけ役員をしております。
自己資金の額 1000万(両親からの援助で500万 自己資金で500万)
物件価格 2400万
物件のタイプ 新築です引渡しは2019年3月
借入予定額 1400万~1900万
住宅ローン 年に100万程度かえす予定で15~20年返済予定。
①会社借り入れ年1.2%~1.6%(住宅ローン控除は受けられない)
②愛媛銀行 新・愛のチカラ(預金をすると住宅ローンの利息が戻る)
愛媛銀行に貯金した金額分(5口座まで自分100% 親、祖父母50%)の借り入れの利息が半年に一回戻ってくる制度を利用しようと考えております。3.0%の変動金利みたいですが実質0.3%程度です。
相談内容 実際に銀行等に金を借りるのに少し抵抗があり、保証料、諸費用等々が少ないほうがいいのか。

また、住宅ローン控除を使い10年後に、返済した方がいいのか。

はたまた、20年ローンを組み決まった額を返した方がいいのか。

今後こどももすこしずつおっきくなるのでお金がかかるとおもいます。自分にとって一番いい方法はなにかと考えております。

回答①:会社の節税、ご自身の節税、トータルで考えて銀行からの借入をお勧めします

ご実家の会社から借入れると、冒頭に書いているように住宅ローン控除を受けることが出来ず10年間の所得税からの数百万円単位のキャッシュバックを逃すことになります。

また、会社に対して1.2%から1.5%の利息を払うことになりますが、これに対して法人税が課税されることになりますね。実質的には家の中でお金が右から左に動いただけなのに、それに対して税金を取られるというのは勿体無いです。

会計士としては(一応わたし公認会計士です)、詳細なシミュレーションをするまでもなく、金融機関から借りた方がトクであるという結論になります。

ですので、気分的には進まないのかもしれませんが、金融機関から住宅ローンを借り入れるということをお勧めします。

年収と年齢から1900万円というのは余裕をもって返済できる金額ですよ。私の著書の家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本では、年収と年齢で、無理なく返済できる住宅ローンを見積もる4つのルールをご紹介しています。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

これをザックリ当てはめて無理なくへ完済できる住宅ローンの金額を表にすると以下のようになります。

(単位:万円)

年齢/月収 15万 20万 25万 30万 35万 40万
25歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
30歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
35歳 1997 2663 2972 3535 4125 4714
40歳 1997 2357 2630 3043 3550 4057
45歳 1768 2029 2263 2515 2934 3354

30歳で手取り月収で25万円位であれば、住宅ローンの金額は3329万円ですね。1900万円ならかなりの余裕があります。

回答:②会社からの借入と愛媛銀行の預金連動型をシミュレーションで比較

では、会社からの借入と愛媛銀行で、どのくらい違ってくるかシミュレーションで比較しましょう。

前提条件

  • 借入金額:1900万円
  • 借入期間20年、元利均等返済ボーナス払いなし
  • 愛媛銀行で借りる場合は家族の預金を総動員し、借入金と同額を預金口座に入れて利息負担をゼロにするものとする。

これで以下の3つの比較シミュレーションを行います。

  1. 資金繰り面の比較シミュレーション
  2. 借入費用の比較シミュレーション
  3. 支払総額の比較シミュレーション

1.資金繰り面の比較シミュレーション

(単位:円)

1900万20年 会社1.2% 愛媛銀行 3% 差異
毎月返済 89,085 105,373 -16,288
利息キャッシュバック 0 47,500 -47,500
10年後残高 10,069,051 10,912,671 -843,620
住宅ローン控除 0 1,475,100 -1,475,100

住宅ローン控除の恩恵を最大受けるには最長の35年が良いのですが、まずは予定されている年数の範囲ということで20年で検討します。

毎月の返済額は月収の4割以下が良いのですが、25万の4割は10万ですね。会社の場合は大丈夫ですが、愛媛銀行は5千円ほどオーバーします。

ただし、愛媛銀行の新 愛のチカラでは6か月ごとに利息のキャッシュバックがあります。表中に書いているのは一回目の支払いに含まれる利息額です。4割超が利息なんですね!この利息が6か月ごとにキャッシュバックされます。

この利息のキャッシュバックは利息だけを返金するものなので、元利均等返済だと、最初は利息が多くてだんだん利息が少なくなり、最後はゼロ円に限りなく近づきます。

最初のうち、半年ごとの利息キャッシュバックは支払ったローンの返済額の4割近くになりますが、だんだん減っていきます。

毎月の返済額は繰上げ返済すれば減らすことが出来ますので、後半にキャッシュバックが減ることについては繰上げ返済で対応すれば大丈夫でしょう。

分かりやすい違いであり、一番の違いは住宅ローン控除ですね。銀行で借りれば、147万円の税金のキャッシュバックが受けられますが、会社から借りた場合はこれは受けられません。

そして、ご相談者が払った利息が会社では受取利息(益金)となり、課税されてしまうのです。

2.借入費用の比較シミュレーション

(単位:円)

1900万20年 会社1.2% 愛媛銀行 3% 差異
印紙 20,000 20,000 0
登録免許税 40,600 40,600 0
保証料 0 281,846 -281,846
事務手数料 0 162,000 -162,000
司法書士報酬 100,000 100,000 0
合計 160,600 604,446 -443,846

主な相違は銀行に払う手数料、保証会社に払う保証料です。会社から借りれば手数料で44万円少なく済みます。

しかし、前述の住宅ローン控除(147万円)を受けられないことの方が大きなデメリットですね。

3.総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

1900万20年 会社1.2% 愛媛銀行 3% 差異
借入費用 160,600 604,446 -443,846
20年返済額 21,380,400 25,289,520 -3,909,120
住宅ローン控除 0 -1,475,100 1,475,100
利息キャッシュバック 0 -6,289,520 6,289,520
合計 21,541,000 18,129,346 3,411,654

同じ1900万円を借りて20年で返済するまでに払った金額の総額です。実に341万円もの差が付きました。

  • 利息の負担が無い。
  • 住宅ローン控除を受けられる。

この2つが大きいです。

回答②:借入年数を長くする方が住宅ローン控除が増えて支払を少なくできる

住宅ローン控除の恩恵を最大限受ける4つのセオリーがあります。

  1. 当初の借入は多い方がトク!
  2. ローン残高がゆっくり減るように借入年数は長い方がトク!
  3. 前半の期間にローン残高の減りが遅い元利均等返済がトク!
  4. ローン残高を減らすと損だから繰上げ返済はしない方がトク!

1.借入が多い方がトクではありますが、預金額を超えた借入については3%もの高い金利がかかるのでやめておきましょう。

2.ローン残高がゆっくり減るように借入年数は長くした方がトクです。10年経過したときにお金が貯まれば繰上げ返済すれば良いので、当初の借入を長くしておいても利息の負担が増えるとは限りません。

なので、以下の2通りで比較シミュレーションをしてみることにします。

  1. 借入期間を20年にする場合。
  2. 借入期間を最長の35年にする場合。

1.資金繰りの比較シミュレーション

(単位:円)

1900万 愛媛銀行 20年 愛媛銀行 35年 差異
毎月返済 105,373 73,121 32,252
利息キャッシュバック 47,500 47,500 0
10年後残高 10,912,671 15,419,618 -4,506,947
60歳残高 0 4,069,405 -4,069,405
住宅ローン控除 1,475,100 1,711,900 -236,800

毎月の返済額は35年返済にした方が少なくなりますので、余裕が生まれますよね。しかも借入金額は同じですから、利息のキャッシュバックは20年返済と変わらない金額が受けられます。

毎月の資金繰りはグッと楽になります。その代わり返済期間は長くなります。60歳でも残高が407万ほど残りますが、これは4つのセオリーに従い、一括返済するものとします。

10年の住宅ローン控除の期間が終わったら、もっと早く繰上げ返済してもいいですね。

住宅ローン控除の金額に差があります。35年返済とした方が23万6千円多くキャッシュバックが受けられるという結果になりました。

2.総支払額の比較シミュレーション

借入費用の内訳についてはあまり変化が無いので詳細は割愛し、総支払額の比較を行います。

(単位:円)

1900万 愛媛銀行 20年 愛媛銀行 35年 差異
借入費用 604,446 714,190 -109,744
返済額 25,289,520 26,323,560 -1,034,040
60歳残高 0 4,069,405 -4,069,405
住宅ローン控除 -1,475,100 -1,711,900 236,800
利息キャッシュバック -6,289,520 -11,393,138 5,103,618
合計 18,129,346 18,002,117 127,229

借入費用が11万増えた代りに住宅ローン控除が23万増えたため差引で12万円少なくなるという結果になりましたね。

35年で住宅ローンを借りた場合、1900万円の住宅ローンを借りて1800万円で完済出来るのですから、あえて銀行から100万円トクするということです。

良かったら本も読んでみてくださいね!

家を建てる、購入するというのは、個人としては人生でもっとも大きなお金を動かすことであり、個人レベルで目に見えて社会経済に貢献することでもあるのです。

ですから国は、私たちが家を購入しやすくするために減税制度や補助金制度でその後押しをしているのです。

マイホームを買うことで出ていくお金のことばかりでなく、減税制度や補助金制度を知り、最大限に利用することで、今回の例のように何百万円もの違いが出てきます。


家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本

著書では、減税制度と補助金制度を最大限に利用する方法だけでなく、受けられる条件のポイントについても網羅しています。全国の大型書店と通販で発売中です。

こちらの本の方も是非ぜひ、お手にとって頂ければ嬉しいです!

以上、参考になれば幸いです。

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