単身女性が戸建てを建替える住宅ローンと団信の選び方

2024年2月26日

最近、独身女性からの住宅ローンのご相談が増えてきています。女性の社会進出に伴って、家を購入したい単身の女性の数も増えています。

しかし、あくまで主流はファミリーですし、独身女性が安全確実に住宅ローンを完済するための方法は確立されていません。

各々が調べて自分に合った方法を模索しているのが現状です。なので私は女性が単身で住宅ローンの計画を立てるやり方を、プロの視点から公開していこうと思っています。

まず手始めに、当サイトでは独身女性の住宅ローンの相談事例を独立したカテゴリーに分けることにしました。こちらから、過去の独身女性の相談事例を一覧することが出来ます。是非利用してください。

独身女性の住宅ローン相談事例のカテゴリー

今日は同居の親が所有する家を建て替える30代独身女性からのご相談です。

  • 一人娘で親の持ち家を相続する予定であり、
  • 収入の安定している今のうちに建て替えるプランです。

千日太郎のYouTube動画では、金利動向を分析し、最新の住宅ローン金利予想をリアルタイムに公開しています。チャンネル登録と更新通知(🔔をタップして設定)しておけば、最新の更新情報を見逃しません。

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独身女性が戸建てを建て替える住宅ローンシミュレーション

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相談:単身女性で戸建てを建て替えます同じケースの女性の参考のためぜひブログにしてください

住宅ローンに関する書籍などをあたっても、ファミリー(子持ち夫婦向け)の事例が多く、単身女性の住宅ローンに関する情報が乏しいなか、幸い千日太郎さんのblogにたどりつくことができました。

単身女性の相談事例に関して、「やっと見つけた!」という思いで拝読しました。大変ありがたかったです。

家族の年齢と年収 娘=私30歳代 年収600~700万(地方公務員)
母60歳代   年収180万円(年金)
自己資金の額 1700万円(娘=私の貯蓄)
※母の貯蓄は使用しない予定です。
物件価格 3000万円(現建物の解体費、諸費用なども含む)
物件のタイプ 既存住宅の取り壊しと新築
建築契約取り交わし
2019年6月中旬予定
物件引渡し
2020年2月中旬予定
借入予定額 2000万円
住宅ローン 未定
相談内容 (1)団信または疾病保障の必要性
・単身女性であり、わたくしの死後、住まいに困る者はありません(自分が母に先立つ場合、母は戸建てを売却し、マンションに転居したほうがよいと思います)。
・「団信なしのフラット35」で、利率を抑えるべきか? それとも、「疾病保障ありの銀行系ローン」で、病気に備えたほうがよいか?
(2)借り入れ年数
・住宅ローン減税があり、利率が低い「20年以内」でローンを組むべきか、減税の恩恵を十分に受けられる「21年以上」で組むべきか、迷っています。
・2,000万円のローンを、「20年で組む」のと、「30年で組み、減税期間の10年が過ぎた後、繰り上げ返済も行いながら返す」のとでは、どちらがおすすめか?

もし、相談を受けていただけるのでしたら、質問内容と回答はぜひblogに公開してくださいますよう、お願いいたします。単身女性で戸建て、というのは、(自分でいうのもなんですが)稀なケースかと思います。

わたくしも千日様のblogを見つけて、大変うれしく思いました。 ぜひ、他の女性のかたにも、共有していただきたいと存じます。

回答①:団信の生命保険は要らないけど疾病保障は欲しい

ご相談者の言う通り、独身女性の団信については2通りの最適解があります。

  1. 単身なので「生命保険」は不要(親に対して先立つ心配は、この際しないこととします)。
  2. 単身だからこそ「疾病保障」は必要

団信は住宅ローンを借りる人が死亡または高度障害となった場合にローン残高がゼロになる、いわば生命保険です。メインの死亡保険については、独身女性にとってメリットの無い保険です。

しかし、団信にオプションとして付帯できる疾病保障となると話は別ですね。単身だからこそ、病気になったときの保障があると頼りになるのです。

まずは1.2.それぞれのベストな住宅ローンの商品について解説し、その上でどういう考え方で決断するべきか解説します。

1.団信の生命保険に加入せずに金利を下げるベストチョイスはアルヒスーパーフラット8S

スーパーフラット8 は2割の頭金と一定の返済負担率をクリアすることでフラット35の金利から0.1%引き下げとなるSBIアルヒ株式会社の商品です。

そして、あえて団信に加入しないことでさらに金利が0.28%引き下げとなります。アルヒスーパーフラット以外のフラット35で団信不加入だと0.2%の引き下げなので、これはアルヒスーパーフラットだけのメリットです。

さらに住宅金融支援機構が定める一定の技術基準に達した住宅であれば「フラット35S」で当初10年間は0.25%の引き下げとなります。

つまり、トータルでフラット35の金利から0.63%も引き下げになるのです。

種類 金利引き下げ 団信抜き 「S」で当初10年引き下げ 引き下げ合計
アルヒスーパーフラット8S -0.1% -0.28% -0.25% -0.63%

例えば5月のフラット35の金利であれば、以下のような低金利で金利が固定されます。

  • 当初10年目まで:0.66%で固定
  • その後35年目まで:0.91%で固定

これは生命保険料が入っていない分だけリスクを取っているからなのですが、生命保険に加入する必要性の低い単身者にとってはデメリットが少なく、メリットの大きい方法です。

2.保険のプロと医療関係者が選ぶ疾病保障のナンバーワンは三菱UFJ銀行

死亡したときに後に残される人の心配はしないとしても、大きな病気を患った場合の心配は残りますよね。金銭的には、病気になったときのリスクの方が大きいです。

そこで例えば、auじぶん銀行であればガン50%保障(ガンと診断されたら住宅ローンが半分)と全疾病保障(全ての病気とケガで180日以上入院で住宅ローンがゼロ円)が金利上乗せなしで付きます。

しかし、単身でガンになって半分住宅ローンが残るというのは少しシンドイです。もちろん全く減らないよりはマシですけどね。

また、全疾病では180日以上の入院という日数がかなりのハードルの高さです。180日という入院期間について医療関係者に聞くと、ほぼ社会復帰は不可能なほどの植物状態だそうです。もちろん全く無いよりはましです。

そこで、無料の団信よりも頼りになる疾病保障団信としておススメしているのが三菱UFJ銀行の「7大疾病保障付き住宅ローン」ビッグ&セブン<Plus>です。

このうち「3大疾病保障充実タイプ」は、保険金が支払われる条件の広さと早さでピカ一です。がんの診断、脳卒中(脳梗塞など)・急性心筋梗塞の入院時点で、住宅ローン残高がゼロ円になります。多くの疾病を保障する団信は他行にもありますが、1日でも入院すれば保険金が出るという団信は現時点でここだけです。

これを医療関係者に話すと皆驚きます。例えば、急性心筋梗塞の入院日数は10日~20日ほどの短期間です。「その程度で数千万円もの住宅ローンがゼロ円になるんですか⁉」と驚かれるんですよね。

なので、保険会社の社員や医療関係者の加入者が多いのが特徴です。この3大疾病保障充実タイプについては、金利に0.3%の上乗せとなるのですが、2019年9月末の申込(かつ2020年4月30日までの借入れ)までは借入金利から0.1%引き下げになるので、実質0.2%の上乗せで加入できます。

金利上乗せで加入する疾病保障の中では最も頼りになると思います。さらに期間限定で安く加入できるのでおススメです。

貰える保険金は幾らか?保険料は幾ら払うか?を把握してから決める

どちらも捨てがたいですが、考え方を整理しましょう。端的に言えば疾病保障の保険に加入しないか?加入するか?という違いですよね。

  1. 疾病保障の保険に入らない=アルヒスーパーフラット8S団信不加入
  2. 疾病保障の保険に加入する=三菱UFJ銀行の「3大疾病保障充実タイプ」

つまり、疾病保障によって病気になって貰える保険金(チャラになる住宅ローン残高)と毎月払うことになる保険料を、実際に「円」で把握して決めればいいわけです。

  • 病気になって支払わる保険金=それぞれの住宅ローンの残高
  • 毎月払う保険料=それぞれの毎月の返済額の差

では実際に両者をシミュレーションで比較してみましょう。

回答②:独身女性の団信2択シミュレーション

では以下の2つの住宅ローンで比較を行います。

 スーパーフラット8S団信不加入三菱UFJ銀行10年固定「3大疾病保障充実タイプ」
金利当初10年0.66%
その後0.91%
当初10年0.69%+0.2%
その後変動金利で0.875%+0.2%
借入2000万円2000万円
返済方法35年返済とし、定年の30年後に完済する35年返済とし、13年後に完済する

なお、借入年数は20年か30年か?というご質問がありますが、住宅ローン減税の恩恵を得るなら、20年でも30年でもなく最長の35年がおススメです。

住宅ローン減税は年末の住宅ローン残高の1%を所得税等から還付(返金される)減税制度で、2019年10月の消費増税後は、最大13回すなわち13年の税金が安くなります。

なので、この住宅ローン控除の恩恵をフルに受けるために…

  1. 当初の借入は多い方がトク!
  2. ローン残高がゆっくり減るように借入年数は長い方がトク!
  3. 前半の期間にローン残高の減りが遅い元利均等返済がトク!
  4. ローン残高を減らすと損だから繰上げ返済はしない方がトク!

という4つのセオリーがあります。

年数を長くすると、それだけ完済までの期間が長くなり、定年時の残高が大きくなるという注意点もありますが、このご相談者のケースではもともと余裕のある住宅ローンの金額なので、問題ありません。

詳しくはシミュレーションの中で解説しますね。私は以下の3つの切り口からシミュレーションを行います。

  1. 資金繰りの比較
  2. 借入費用の比較
  3. 総支払額の比較

1.資金繰りの比較シミュレーション

(単位:円)

物件3000万円
借入2000万円
スーパーフラット8S団信不加入0.66%→0.91% 三菱UFJ10年固定0.69%+3大疾病充実0.2% 差異
頭金 10,000,000 10,000,000 0
毎月返済 53,343 55,437 -2,094
10年後毎月返済 54,985 56,684 -1,699
10年後残高 14,748,839 14,906,076 -157,237
30年後定年残高 3,223,999 3,309,815 -85,816

毎月の返済や10年後の残高、定年時(30年後)の残高で両者に大きな違いは無いです。(ただし三菱UFJ銀行の10年固定は11年目からは変動金利で1.075%と仮定しています。)

2.借入費用の比較シミュレーション

(単位:円)

物件3000万円
借入2000万円
スーパーフラット8S団信不加入0.66%→0.91% 三菱UFJ10年固定0.69%+3大疾病充実0.2% 差異
印紙 20,000 20,000 0
登録免許税 20,000 20,000 0
保証料 0 412,400 -412,400
事務手数料 440,000 33,000 407,000
司法書士報酬 70,000 70,000 0
フラット35物件検査 66,000 0 66,000
合計 616,000 555,400 60,600

借入費用ではスーパーフラットの方が少し高くなりますが、有意な差にはなっていないです。

3.総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

物件3000万円
借入2000万円
スーパーフラット8S団信不加入30年後完済 スーパーフラット8S団信不加入13年後完済 三菱UFJ10年固定+3大疾病充実13年後完済
頭金 10,000,000 10,000,000 10,000,000
借入費用 616,000 616,000 555,400
定年or13年返済額 19,597,560 8,380,620 8,693,064
30年or13年後残高 3,223,999 13,150,898 13,321,446
住宅ローン控除 -2,122,300 -2,122,300 -2,137,100
保証料払い戻し 0 0 -149,840
合計 31,315,259 30,025,218 30,282,970

前述のように、総支払額の比較では完済を変えて比較しています。スーパーフラット8Sは35年固定なので定年まで借りますが、10年固定の方は住宅ローン減税のある13年目で完済としています。

早期に完済する分だけ利息の支払いが少なくなるので、それによって103万円の支出の削減になっています。

スーパーフラット8Sで13年後に完済すると、総支払額は3,002万円で三菱UFJ銀行よりも26万円安くなります。支払額を安くするならスーパーフラット8Sで団信不加入にすることがお勧めです。

26万円の差額は、三菱UFJ銀行の場合には団信の生命保険が入っているということです。1年あたり2万円、1カ月で1,600円ですからかなり安い保険料です。ガン、脳卒中、急性心筋梗塞で最大2000万円、13年後の最小で1300万円の保険金ですから、かなり頼りになる保険です。

保険をクローズアップすると、借入額が大きい方がお得ということになりますね。そこで次は借入額を変えて比較してみましょう。

回答③:保険に注目するなら借入は多い方がおトク

三菱UFJ銀行の場合はフルローンでも借りることが出来ます。借入2000万円よりも3000万円の方が保険の恩恵を多く受けられます。さらに住宅ローン減税の面でも借入は多い方がおトクです。

そこで、三菱UFJ銀行の10年固定で「3大疾病保障充実タイプ」に加入したとして、2000万円の借入と3000万円の借入で比較を行います。借入費用は同じなので資金繰り面の比較と総支払額の比較を行います。

1.資金繰りの比較シミュレーション

(単位:円)

三菱UFJ10年固定0.69%+3大疾病充実0.2% 物件3000万円
借入3000万円
物件3000万円
借入2000万円
差異
頭金 0 10,000,000 -10,000,000
毎月返済 83,156 55,437 27,719
10年後毎月返済 85,026 56,684 28,342
10年後残高 22,359,079 14,906,076 7,453,003
13年後残高 19,726,314 13,321,446 6,404,868

もともとの借入額に違いがあるので、毎月の返済額や10年後、13年後の残高にも違いがありますね。

これだけでは判断が難しいです。注目すべきは総支払額です。

2.総支払額の比較シミュレーション

(単位:円)

三菱UFJ10年固定0.69%+3大疾病充実0.2% 物件3000万円
借入3000万円
物件3000万円
借入2000万円
差異
頭金 0 10,000,000 -10,000,000
借入費用 771,600 555,400 216,200
13年返済額 13,039,656 8,693,064 4,346,592
13年後残高 19,726,314 13,321,446 6,404,868
住宅ローン控除 -3,205,600 -2,137,100 -1,068,500
保証料払い戻し -224,760 -149,840 -74,920
合計 30,107,210 30,282,970 -175,760

合計に注目してください。総支払額では、3000万円借入の方が17万円少ない金額で完済できるということです。

これは、住宅ローン減税の恩恵が多いことが理由ですね。13年間で106万円も多く税金が返ってきます。支払利息よりもこの減税の効果が勝るということですね。

そして、団信の保障という面でも、借入額が多い方が保険の恩恵が大きくなります。借金が帳消しになるのなら、多く借りておいた方がおトクということです。

ですから、保険に注目して三菱UFJ銀行で借りる場合は、頭金をあえて温存して多く借りる方がおトクということですね。

まとめと今回紹介した住宅ローン

単身女性の団信は「生命保険は不要だけど疾病保障は必要」ということです。

なので、「不要な生命保険を抜くことが出来る住宅ローン」か「本当に頼りになる疾病保障が付く住宅ローン」という変則的な2択になるのですね。

アルヒのスーパーフラットは団信抜きで0.28%引き下げ

まず、団信を不加入に出来る住宅ローンということでは超長期固定金利のフラット35しかありません。

一般的なフラット35は団信不加入とすることで金利が0.2%引き下げとなりますが、アルヒスーパーフラットは0.28%引き下げになります。

なので、団信抜きで住宅ローンを借りるということであれば、アルヒスーパーフラット一択でしょう。

三菱UFJ銀行の疾病保障は保険のプロや医療関係者が選んでいる

疾病保障を付けるなら三菱UFJ銀行がおススメです。特に、急性心筋梗塞と脳卒中での保険金の条件が他と違います。

たとえ数日の入院であっても保険金が支払われるので、今後医療技術が進んで入院期間が短くなっていっても住宅ローンがゼロ円になる可能性は変わらず高いままです。

なので、保険を熟知した保険会社の社員や医療現場を知る医療関係者の加入が多いのが特徴です。ネット申込なら窓口より0.1%低金利となりますので、ネットから申し込んでみることをお勧めします。

アルヒと三菱UFJの両方で本審査を通しておき、実行の時におトクな方を選ぶようにするのが良いと思います。

以上、参考になれば幸いです。

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