築古マンションのリノベで資産は増えない!快適性と資産価値どちらを取る?

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相談者のデータ(年齢、年収、所有資金の総額、物件価格、借入金額など)

家族の年齢と年収 シングルマザー42歳410万円
21歳の大学生の娘
所有資金の総額 預金260万円
物件価格 築41年マンション880万円
+リノベ約600万円
物件のタイプ 中古マンション購入とリノベ
借入予定額 1,500万円
検討している住宅ローン 北洋銀行
3年固定0.5%、10年固定1.42%
ARUHIスーパーフラット9団信不加入に中古プラス金利引下げ
当初5年1.34%その後1.59%

 

老後の住宅費を考えて働いているうちに住宅を購入しようと考えており年内に行動しようと思っています。
札幌在住であり北洋銀行の3年固定か10年固定かARUHIの全期間固定で検討している。
①ローン費用は1700万位でも大丈夫でしょうか
築古物件なので200万位ローン費用を追加したら配管や断熱材など全て新しくできるフルリノベーションができそうなのですが如何でしょうか
②もうすぐ社会人になる娘がいる場合、団信はどう考えればよいでしょうか
③性格上固定金利が合っていると思っています。頭金を入れるべきでしょうか

ご教示いただきたくよろしくお願いいたします。

千日太郎の住宅ローン無料相談とは

「千日太郎の住宅ローン無料相談.com」は、一般の方が匿名のまま住宅ローンに関する質問を投稿し、千日太郎が専門家として無料で答える企画です。相談者の実際の条件を踏まえ、金融機関の金利プランや団体信用生命保険(団信)の選択など、リアルな判断基準を具体的に示していくのが特徴です。今回のテーマは「築41年中古マンションをリノベして購入する場合のローン戦略」。中古+リノベという組み合わせは人気ですが、注意点も多く、今回の相談はその典型例です。

相談者のプロフィールと相談内容

相談者は42歳のシングルマザー。年収410万円、大学生の娘さんが1人。購入を検討しているのは築41年・880万円の中古マンション。ここに600万円のリノベーションを加え、総額1,500万円を予定しています。さらに「配管や断熱材も入れ替えてフルリノベにしたい」と考え、最大1,700万円までのローンを想定しています。

検討しているローンプランは次の3つです。
・北洋銀行の3年固定0.5%
・北洋銀行の10年固定1.42%
・ARUHIスーパーフラット(団信不加入で金利1.49%、中古プラスで当初5年▲0.25%)

相談内容は次の3点です。
1. 1,700万円のローンを組んでも大丈夫か?
2. 成人前の娘がいるが、団信は入るべきか?
3. 固定が性格的に合っているが、頭金を入れるべきか?

リフォームの限界:共有部分と管理規約に注意

中古マンションのリフォームで最も注意すべきは「できる範囲」です。専有部分であっても、配管・断熱材などは共用部分に含まれるケースが多く、管理組合の承認が必要になります。たとえば配管は「自分の住戸内で完結する部分」は可能でも、縦管や構造体に関わる部分はNG。断熱材も構造壁内にある場合は共有扱いです。したがって、リノベ前に「どこまで手を入れられるか」を管理組合に確認することが絶対条件です。

リフォームでマンション価値はどこまで上がる?

880万円の物件に600万円、あるいは800万円のリフォームをかけても、資産価値が1,500万円に上がるわけではありません。中古マンションの売却価格を決める3大要素は「立地」「築年数」「向き・日当たり」。間取り変更や内装更新はあくまで“住み心地”を改善する要素に過ぎず、売却価格には限定的にしか反映されません。つまり、リフォーム費用は「投資」ではなく「消費」。快適に暮らすための支出と割り切る必要があります。

住宅は投資ではなく「消費財」

この物件を売るとき、評価の基準となるのはリノベ前の880万円の相場。リフォーム費用は、売却時に回収できる可能性が低く、住んだ分だけ「消費」されるコストです。たとえば1,500万円の中古+リノベよりも、「築20年前後の1,500万円前後のマンション+軽いリフォーム」の方が、資産価値の減少幅は少なく、結果的にコスパが良くなります。

少し築浅のマンションに変える選択肢

築40年以上のマンションは、フラット35などでチェックされる「耐震・省エネ基準」を満たせない場合が多く、ローン商品によっては利用できないケースもあります。したがって、「リノベ費用を抑えて築浅物件を選ぶ」という戦略は合理的です。中古プラス(ARUHIスーパーフラットの優遇制度)などの対象にもなりやすく、当初5年間の金利優遇(▲0.25%)が得られる場合もあります。

団信は必須ではない?

今回のケースでは、娘さんがすでに成人しており、近く独立予定です。この場合、団信(団体信用生命保険)は“必須”ではありません。団信の受取人は金融機関であり、遺族ではない。したがって、万一のとき娘さんが家を使わないなら、住宅ローン完済よりも「生命保険で現金を遺す」方が合理的です。団信を外すことで金利を下げるスーパーフラットの仕組みは、この相談者にとって理にかなっています。

頭金を入れるべきか?

手元資金260万円のうち、頭金150万円+諸費用30万円を支払えば残り80万円。この金額では、学費など突発支出への備えが乏しくなります。したがって「頭金を入れずに現金を残す」のが安全。手元流動性を確保し、返済を続けられる力を優先すべき局面です。

金利タイプの選び方:フラット35が最有力

北洋銀行の3年固定0.5%は、終了後に「基準金利3.075%-1.5%」=1.575%の変動金利へ移行。10年固定1.42%も決して低くはなく、満期後の再選択リスクが大きい。一方、ARUHIスーパーフラット(団信なし1.49%)なら、35年間固定で金利が変わらず安心。しかも中古プラス適用なら当初5年▲0.25%で実質1.24%。42歳から35年返済を始めるなら、10年固定満了の52歳時点での借り換えは難しくなるため、「最初から最後まで固定」のフラット35が現実的です。

40代からの10年固定をおすすめしない理由

10年固定は、固定期間が終わった後に金利交渉や借り換えができる年齢層――つまり30代に有利なプランです。40代からの10年固定では、満了時は50代。再審査では勤続年数や定年時年齢がネックとなり、借り換え条件が悪化するリスクが高い。また、金利が高止まりした局面では、交渉余地も小さくなります。したがって、40代からの住宅ローンは「長期固定で安全圏を確保する」方が合理的です。

まとめ

築40年以上の中古マンションは、リフォームで住み心地は向上しても、資産価値の上昇は限定的。リフォーム費用は“投資”ではなく“消費”と捉えることが大切です。団信は家族構成によっては不要で、頭金よりも現金の手元確保を優先。そして、42歳からの住宅ローンなら、35年固定のフラット35(団信なし)を軸に組むのが最も現実的です。

リフォームで家を再生するのは素晴らしい選択ですが、「住宅ローンは家を守るためのリスク管理ツール」です。金利、年齢、家族構成、将来の収入見通し──それぞれの条件を冷静に見極め、最も安心して暮らせる選択を取ることが、長い人生で“後悔しない家の買い方”です。

以上、参考になりましたら幸いです。

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