フラット35低金利の裏にある“E55債”とは?フラット20・35・50どれが安全か

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相談者のデータ(年齢、年収、所有資金の総額、物件価格、借入金額など)

家族の年齢と年収 夫37歳600万円
妻35歳500万円
妻の母と同居予定、子供なし
所有資金の総額 1,800万円+援助2,000万円
物件価格 5,000万円
物件のタイプ 注文住宅(土地は既に夫名義で所有)
借入予定額 3.000万円
検討している住宅ローン フラット20(5ポイント)
当初5年0.5% その後1.5%

 

いつも住宅ローンの関係で参考にさせていただいております。
当方フラット20が住宅ローンの候補にあり、情報収集をしましたが、他の発信者含めフラット20に関する情報発信が少ないと感じましたので、相談させてください。

フラット20の金利引き下げ制度で5ポイント獲得でき、当初5年が0.5%、最終的に1.5%で固定できる点に魅力を感じています。
ボーナス払いで20万円ほど投じれば、月々10万円前後で収まるため、支払いも問題ないと考えています。
すでに投資信託である程度のリスクを取っているため、昨今の情勢において住宅ローンは確実性を取りたいと考えています。
レアケースかと思いますが、フラット20の是非についてご教示のほどよろしくお願いいたします。

千日太郎の住宅ローン無料相談とは

「千日太郎の住宅ローン無料相談ドットコム」は、一般の方からの質問に千日太郎が専門家として答える人気シリーズです。今回は「フラット20」「フラット35」「フラット50」──つまり返済期間の違いによる住宅ローン戦略がテーマ。さらに、住宅金融支援機構が新たに導入した資金調達手法「E55債」により、低金利が今後も続く可能性がある点にも注目しています。

フラット35低金利を支える「E55債」とは

住宅金融支援機構はこれまで、フラット35の資金を「月次債」で調達してきました。しかし低金利での融資を続けるには赤字が拡大するという課題がありました。そこで登場したのが「E55債」です。これは従来よりも利率を抑え、長期的な投資家を呼び込むことで、機構の調達コストを安定させる仕組み。結果として、私たち利用者にとっても“低金利の延命”につながる可能性が高いというわけです。

相談者のプロフィールと相談内容

今回の相談者は37歳の夫と35歳の妻。共働きでお子さんはいません。土地はすでに自己資金で購入済みで、建物価格は5,000万円。母親からの援助2,000万円と自己資金1,800万円のうち1,500万円を投資信託に回しており、残りの3,000万円を住宅ローンでまかなう計画です。
相談内容は、「金利が低いフラット20で借りるのは得か?」「ボーナス払いで月々の返済を抑えるのは賢い選択か?」というもの。

フラット20は30代にはおすすめできない理由

フラット20は「20年で完済できる代わりに金利が低い」というローン商品です。表面上はお得に見えますが、実は30代には向いていません。 理由は単純で、金利差がわずかでも「返済期間の短さ」がもたらす負担の方がはるかに大きいからです。

例えばフラット20の金利が1.5%で当初5年間0.5%の優遇があるとしても、フラット35(当初5年間0.75%・以降1.75%)との差はたった0.2%程度。にもかかわらず、返済期間が15年も短くなれば、毎月返済額は大幅に上昇します。

住宅ローンは「長く借りるほど安全」という鉄則があります。低金利時代の今、期間を短くしても得られる経済的メリットは限定的なのです。

フラット20が合うのは50代から

フラット20は「長く借りられない人のためのローン」です。 住宅ローンは満80歳が完済上限とされており、たとえば60歳から組む場合、最長でも20年ローンしか選べません。つまりフラット20は「やむを得ず短期で組む人」──50代以降の住宅購入者向けの商品といえます。

逆に30代・40代前半なら「借入期間をできるだけ長く取る」のが基本です。時間を味方につけて、無理のない返済計画を立てることが最大のリスクヘッジになります。

フラット50は30代前半までなら特におすすめ

今のフラット50は金利がフラット35より0.1%高い程度に抑えられています。たとえば37歳なら80歳完済まで43年ローンを組める計算です。 つまり「金利0.1%上乗せで7年返済を延ばせる」──この長期化によって、毎月返済をぐっと抑えることができます。

特に30代前半までなら、定年までにゆとりを持って繰り上げ返済できるため、リスクをコントロールしやすく、精神的にも安心です。

ボーナス払いで返済額を下げるのは危険

ボーナス払いは一見便利に思えますが、長期的にはリスクが大きい手法です。 理由は「ボーナスが必ずしも継続しない」から。景気変動や転職、昇給スピードの鈍化など、30年先の収入を誰も保証できません。

ボーナス払いを設定する代わりに、ボーナスを貯蓄しておき、必要に応じて通常返済に回す方が柔軟です。ローン返済は「確実に支払える額」で設計するのが鉄則。ボーナス頼みの計画は、長期的には破綻リスクを高めます。

シミュレーターでフラット20・35・50を比較

千日太郎の住宅ローンシミュレーターを使い、3,000万円借入・全期間固定・元利均等返済で比較した結果がこちら。
・フラット20(当初0.5%、以降1.5%):毎月13.1万円、総支払額約3,400万円
・フラット35(当初0.75%、以降1.75%):毎月9万円前後、総支払額約3,800万円
・フラット50(当初0.99%、以降1.99%):毎月8万円台、総支払額約4,100万円

つまり「総支払額の安さ」ではフラット20が勝ちますが、「毎月返済の軽さ」では35年・50年が圧倒的。生活に余裕を持たせたいなら、やはり期間を長く取る方が安全という結果です。

総支払額の得よりも毎月返済の安全を

住宅ローンは「効率」より「継続」が命。 返済期間を長くすれば利息は増えますが、その分だけ月々の負担を抑えられます。住宅ローン破綻の最大の原因は「返済不能」であり、総支払額の数十万円の差より、月々の安定を優先すべきです。

たとえ400万円多く払っても、その分だけ生活にゆとりが生まれ、リスクを回避できるなら、それは“高い保険料”ではなく“安心への投資”と考えるべきでしょう。

返済期間が短いと住宅ローン控除が減る

住宅ローン控除は年末残高の0.7%が最大13年間税額控除される制度です。つまり、ローン残高が多いほど還付額も大きい。 フラット20では控除総額は約180万円ですが、35年なら225万円、50年なら236万円。期間を短くするとこの差がそのまま損になります。

控除期間中は「借りている方が得」な時期もあります。したがって、あえて期間を長くして控除を最大化し、控除終了後に繰り上げ返済する戦略が最も合理的です。

千日太郎の結論

フラット20の「低金利」というメリットは確かに魅力的です。しかし、30代の人にとっては「期間の短さ」というデメリットの方が圧倒的に大きい。 安全に返せる住宅ローンを選ぶなら、まずは「長く借りてリスクを下げる」こと。フラット35やフラット50のように、期間の長い全期間固定を選び、将来の余力で繰り上げ返済する方がはるかに合理的です。

まとめ

・フラット20は基本的に50代以降向け。
・30代ならフラット35、できれば50年ローンも選択肢に。
・ボーナス払いは不要。手元資金を厚くして安全性を確保。
・短期ローンは住宅ローン控除が減り、結果的に損になる。
・E55債の導入で、今の低金利はしばらく続く可能性が高い。

投資でリスクを取る人ほど、住宅ローンでは安全を取るべきです。長く、安く、無理なく返せる──それが30代の“最適な住宅ローン戦略”です。

以上、参考になりましたら幸いです。

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