年収1100万円・7000万円ローンは安全?住宅ローンをシミュレーターで数字検証【返済継続力】
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- 1. 相談者のデータ(年齢、年収、所有資金の総額、物件価格、借入金額など)
- 2. 無料相談の主旨とポイント
- 3. シミュレーターに入力:変動(7000万フルローン)とフラット35(頭金1割)で比較
- 4. レーダーチャートで露骨に出る弱点:返済継続力だけが標準を大きく下回る
- 5. 毎月返済額と定年時ローン残高:重いのは「月次」と「定年残高」
- 6. 最優先は返済継続力の引き上げ:ペア団信を外して金利を0.2%下げる
- 7. ペア団信は本当に必要か:夫の立場と妻の立場で分けて考える
- 8. 妻に別途の生命保険を掛けるほうが経済的
- 9. フラット35をより賢く借りる:保証型×頭金2割で金利を下げ、返済を標準に戻す
- 10. 変動でも固定でも安全に借りる:リスク管理のやり方は2つ
- 11. まとめ
相談者のデータ(年齢、年収、所有資金の総額、物件価格、借入金額など)
| 家族の年齢と年収 | 夫42歳672万円 妻35歳441万円 子0歳、もう一人2年後を予定 |
| 所有資金の総額 | 4,200万円(投信など) |
| 物件価格 | 7,000万円 |
| 物件のタイプ | 注文住宅(2027年2月完成予定) |
| 借入予定額 | 7,000万円 |
| 検討している住宅ローン | 地銀43年ローン変動金利0.9%(内、ペアがん団信0.2%) 連帯債務(夫7:妻3) |
現在、妻と、政令指定都市内での注文住宅の購入を検討しています。その際、千日さんの本を全て拝読させていただき、我が家の住宅ローンの計画について、ご意見を伺わせていただけたらと思い、メールをさせていただきました。
85歳までの43年間、地方銀行で収入合算の連帯債務(夫7:妻3)で変動金利0.9%(内、ペアがん団信0.2%)で借りようと考えています。
支払いは、毎月返済額16.4万円、ボーナス払いなし。購入予定の土地は、立地適正化計画内の都市機能誘導区域(地域拠点型)近接の都市機能誘導区域(一般地域型)で、JR駅から徒歩10分圏内)です。
退職金は、少なく見積もって、私1500万円、妻800万円の見込みです。65歳定年時住宅ローン残額は、その時の金融資産で返済を考えています。
毎月の返済額は18.2万円以下であれば余裕を持って返済出来ます。安全幅を更に1万円見込んでいます。よって、今の生活レベルを変えずに、19.2万円までの月額返済が可能です。住宅購入後も、ボーナスで年間152万円の資産運用が可能です。
千日さんに伺いたいのは、
①私の定年退職までの期間が23年と短く、子どももまだ小さいのに、この金額の住宅購入が可能か。
②固定金利3%で試算すると、返済月額が24万円となり、月次は支出超過となってしまう。(この場合、ボーナス年間152万円を活用しての返済は可能)
③本心は、もう一駅、中心部に近いJR駅近辺に購入したい(借入予定額8600万円)が、やはり難しいか。ということです。
私の場合に合う住宅ローンの組み方、返し方をご指南いただけないでしょうか。
無料相談の主旨とポイント
今回のご相談は、42歳と35歳の共働きご夫婦、世帯年収は約1100万円。お子さんは2人。買いたい住宅は7000万円で、ローンも7000万円(いわゆるフルローン)を検討中です。気にしているのは、定年までの期間が23年と限られること、子どもが小さいこと、そして変動金利が上昇局面にある中で「この予算で本当に大丈夫か」という点です。
結論から言うと、7000万円ローンは成立させられます。ただし、いまの条件のままだと「返済継続力」だけが致命的に低い。ここを最優先で標準ラインまで引き上げる必要があります。ポイントは、保険(ペア団信)を付け過ぎて金利と返済額を重くしていることです。
シミュレーターに入力:変動(7000万フルローン)とフラット35(頭金1割)で比較
ここから千日太郎の住宅ローンシミュレーターに入力します。詳細シミュレーションで、ユーザー情報(年齢・年収・扶養2人)と物件情報(新築7000万円、環境性能は省エネ基準程度)を入れます。
プラン1:変動 7000万円・43年(当初0.9%→その後1.9%想定)
変動はご相談の条件に寄せて、借入7000万円、43年。当初2年は0.9%、その後は金利が上がって1.9%という置き方にします(2年間で1%程度上がる想定)。
プラン2:フラット35 6300万円・35年(子育てプラスで当初5年1.08%→2.08%)
フラット35は頭金1割が必要なので借入6300万円。子育てプラスで当初5年は2.08%から1.00%下がって1.08%、残り30年は2.08%という設定で比較します。
レーダーチャートで露骨に出る弱点:返済継続力だけが標準を大きく下回る

結果を出すと、かなり極端な形になります。破産安全度と老後安全度は満点。無理なく購入できるし、現時点で老後破産の心配も小さい。資金が4200万円あるので、ここは強い。
一方で、返済継続力だけが標準を大きく下回ります。手取り月収に対する毎月返済額に余裕がない、という判定です。ここがこの案件の急所です。
理由はシンプルで、夫単独の手取り月収に対して毎月返済が50%を超える水準に入ってしまうからです。共働きを前提にすると4割台に落ちますが、それでも「片方の収入が途切れた瞬間に詰む構造」になります。だから返済継続力が大きくマイナスに振れる。
毎月返済額と定年時ローン残高:重いのは「月次」と「定年残高」
月々の返済は、変動で約16.3万円、フラットで約18万円。差は約1.7万円で小さく見えますが、問題は変動が上がったときです。想定どおり金利が上がると、変動の毎月返済が19万円台まで見えてきます。そうなると、固定のほうがマシだった、という世界に入ります。
定年時のローン残高も見逃せません。シミュレーター上は老後安全度が満点でも、定年で収入が落ちるタイミングで大きな残債が残ること自体がリスクです。変動の残債はフラットより大きく出やすい。資金があっても、取り崩しのリズムが崩れると事故ります。
最優先は返済継続力の引き上げ:ペア団信を外して金利を0.2%下げる
ここからが具体策です。このケースは、返済継続力を標準ライン(ゼロ付近)まで戻すのが最優先。もっとも効くのが、ペア団信(がん団信)を外して金利を0.2%下げることです。
金利を0.9%→0.7%にすると、返済継続力がかなり回復して標準近辺まで戻ります。毎月返済も約15.7万円まで軽くなります。これは小さくない改善です。

ペア団信は本当に必要か:夫の立場と妻の立場で分けて考える
ペア団信は「片方が亡くなったら両方のローンがゼロになる」ので、見た目は強い。ただし連帯債務(夫7:妻3)では、メリットの出方が偏ります。
連帯債務×ペア団信で得をするのは夫側に寄りやすい
一般的な団信は、主債務者(夫)が亡くなればローンがゼロになります。ここはペア団信でも同じです。つまり夫側の死亡リスクには、ペア団信を付けなくても基本的に効く。
一方で妻が亡くなった場合、通常の団信ではローンはゼロになりません(連帯債務なので夫の返済義務は残る)。ペア団信にすると、ここでローン全額がゼロになります。ここは確かに強い。強いですが、そのために毎月いくら払っているかを直視したほうがいい。
ペア団信0.2%のコスト感:7000万円だと月1.1万円超
0.2%は小さく見えますが、元本が7000万円だと効きます。ざっくり年14万円、月にすると1.1万円台の負担です。毎月の支出としては重い。しかも、その保険の便益を実感するのは「妻が先に亡くなる」というケースが起きたときだけです。
妻に別途の生命保険を掛けるほうが経済的
結局、夫側が欲しいのは「妻が先に亡くなったときに、夫の返済が破綻しない」ことです。ならば、妻に必要額の掛け捨て生命保険を付ければ同じ効果をもっと安く作れます。
連帯債務が7:3なら、妻の負担感はざっくり2100万円分。妻35歳で2000万円程度の定期・収入保障を組むと、月の保険料は2000円前後で収まることが多い。ペア団信で月1.1万円払うより、1万円近く軽くできます。返済継続力を下げるのは保険の付け過ぎです。必要十分に落とすのが正解です。
フラット35をより賢く借りる:保証型×頭金2割で金利を下げ、返済を標準に戻す
固定でいくなら、もう一段うまい手があります。フラット35の保証型や、頭金を厚く入れて金利を下げる方法です。
例として、頭金2割を入れて借入を5600万円にし、金利を1.96%まで下げる(当初5年は0.96%)という置き方をすると、固定側も返済継続力が標準ラインに戻ってきます。毎月返済の初期負担も、変動0.7%に近い水準まで寄ります。
このご相談者は手元資金が潤沢なので、頭金2割を入れても破産安全度や老後安全度は揺るがない。だから、固定を選ぶなら「金利を下げるために頭金を使う」のが合理的です。
変動でも固定でも安全に借りる:リスク管理のやり方は2つ
ここまで整理すると、安全に持っていくルートは2つです。
変動でフルローンを狙うなら、ペア団信は外して金利を下げ、妻には必要額だけ生命保険を別建てする。返済継続力を標準に戻しつつ、金利上昇のバッファも確保する。
固定で確実性を取りにいくなら、頭金2割+保証型などで金利を下げ、毎月返済を変動並みに寄せる。さらに定年時残債を圧縮できるので、老後の見え方が良くなります。
期待値としては、どちらも成立します。違いは「金利上昇のストレスをどこまで許容するか」「実行時点で天井を確定させたいか」です。
まとめ
世帯年収1100万円で7000万円ローンは、やり方次第で安全に成立します。ただし、このままだと返済継続力が標準を大きく下回る。最優先でここを上げるべきです。具体策は、ペア団信を外して金利を0.2%下げ、妻には必要額の生命保険を別建てすること。固定でいくなら、頭金2割と保証型で金利を下げて返済を標準に戻す。やることはシンプルで、保険と金利の付け過ぎをやめて、月次を軽くする。これが7000万円ローンを「安全な数字」に変える一番の近道です。



