不動産の購入は目に見えない所にリスクがある

不動産の検討では、売り手のアピールポイントをいくら検討しても十分とは言えません。むしろ、売り手が隠したいウィークポイントや我々から掠め取ろうとしている利益をどれだけ把握できるかにかかっています。

つまり、隠れている瑕疵(かし)や目には見えない権利関係、手数料の水増しなどです。

不動産の購入にあたって売り手がアピールする殆どの部分が目に見える部分です。

  • 立地の利便性
  • 設備の先進性
  • デザインのカッコよさ、などなど

でもそういう部分って立地を除いては、後からどうにでもなる部分なんですよね。買った後でどうにもならないのは、建物の基礎であったり、その権利関係です。

こういう事は、

いくらパンフレットを穴のあくほど見ても見えてきません。また、前提となる知識が無いまま営業マンのセールストークを受け身で聞いていても分かりません。

また、不動産業者は我々の味方ではありません、取引相手です。そんなことは分かり切ったことのようですが、いざその場に立つとそれを忘れて、言いなりになってしまう人が多いんです。しかも、本人にその自覚は無い。

ですから、不動産の購入にあたっては、けしてその日のうちに即決するなんてことはしてはいけないんです。ここでは、目に見えない法律面について重点的に話したいと思います。

提携ローンと住宅ローン事務代行手数料のカラクリ

不動産会社は、お客を提携銀行に紹介すると紹介料を銀行から受け取ります。マージンを不動産会社に多く払う住宅ローンというのは、その費用が金利に乗ってくるということです。つまり利用者にとってメリットの少ない住宅ローンということになります。

悪質な業者は、マージンの入る銀行をお客に紹介しつつ、購入者からは住宅ローン事務代行手数料と称して料金を上乗せします。

銀行からはバックマージンが入り、購入者からは手数料が入るという「ビジネスモデル」ですね。

色々な方からご相談を受ける中でこの提携ローンを上中下にランク付けするとこんな感じです。

提携ローン上

提携銀行から融資を受けると金利が世間レベルより優遇される。

住宅ローン代行手数料などの設定は無い。

提携ローン中

提携銀行から融資を受けても世間レベルと同じ。

住宅ローン代行手数料などの設定は無い。

提携ローン下

提携銀行から融資を受けると世間レベル以下の条件。

住宅ローン代行手数料は有料で悪質な程高額になる。

また悪質な程、提携銀行を利用する制約が強くなる。契約書に「購入者が提携ローンを利用する義務」がはじめから印刷されており、不動産会社の仕組みとしてマージンと手数料の両方を取れるようになっている。

ローンの事務手数料は宅建業法で規制されてない

物件に関しては、不動産業者が請求する報酬の上限が定められています。

でも住宅ローンは銀行との契約です。本来、不動産業者は関係無いんですよ。なので法律で事務手数料率の上限は無いという事です。

つまり、当事者間で納得してその料金を払うという建前になります。

そういう条項を売買契約書にしれっと入れて来る業者は悪徳業者です。私の聞いた中ではだいたい3万円から30万円くらいまでレンジがありますね。

そもそもは、払う必要のない手数料です。

重要事項説明での注意点

重要事項説明の際に契約書の読み合わせがありますね。注意深く読んで、そういった自分に不利な条項や手数料が無いか、よく確認する必要があるのです。

ホントに悪徳な程、そこをサラッと終わらせようとします。私も経験が有ります。相手は急かしてきますが、隅から隅まで読んでこういった手数料については『ゼッタイに払わん』という意思を伝えれば問題なしです。

また、提携ローンを利用することが条件となった売買契約もあります。

なんで、不動産屋がマージンを受け取れる銀行から選ばにゃならんの?

ですよね。

見つけたらそんな条項はきっぱり拒否して外させましょう。

建築基準法に違反した中古住宅のデメリット

建築基準法の改正や用途地域の見直し等による不可抗力はもちろん、増改築を行ったことで容積率・建蔽(けんぺい)率オーバーとなった中古物件はかなりの数存在します。

こういう物件を既存不適格物件と言います。

建築基準法の大きな改正としては1981年(昭和56年)の耐震基準改正があり、これ以降のものを『新耐震基準』と呼んでいます。

これ以後であっても細かな改正が行われており、比較的新しい建物であっても既存不適格物件になっている建物もあります。

建築基準法に違反しているということは、重要事項説明として伝える必要がありますので、このこと自体は隠される心配はありません。

そのことによって具体的にどんなデメリットがあるかということをよくわかっておく必要があるんです。

建て替えすると今の建物よりも狭くなる(セットバック)

購入後に建物自体を建替えたいという場合、容積率・建蔽率・斜線制限に違反していた場合は、元と同等の規模の建物にすることは出来ません。

町中で結構古い一戸建てやアパートが建て替えられずに残っているのを目にしますよね。何で建替えないのか?

その理由は建替えると同じ条件の建物を建てられないからなんです。安いから余った資金で建替えればいいか。と思って買っても、建替えると今よりも狭くなってしまうのは避けられません。

住宅ローンの審査が厳しくなる(建築基準法に適合していない)

住宅ローンの審査基準として、建築基準法に適合しているかという項目があります。建築物がその許容範囲を超えた違反であった場合は、融資の対象外となってしまいます。

つまり、土地の担保価値までしか融資されません。建物はむしろ『障害物』扱いとなってしまうんです。

行政から是正措置を命じられる可能性

具体的な例はあまり聞いたことがありませんが、違反した建物である以上、その所有者に対して行政から是正措置を命じられる可能性は否定できません。

私が増改築したんじゃなくて、買っただけですよ、なんて言い訳は通用しません。

建物の違反についてはその所有者が責任を負うのです。

マンションの管理費・修繕積立金の滞納は新しい所有者が支払う責任を負う

中古マンションの売主が管理費や修繕積立金を滞納している場合は、これを買った人がその滞納分の支払義務を引き継ぐことになります。

マジです。競売物件などでは、この滞納額が1千万円超にのぼることも珍しくありません。普通の人は競売物件などには手を出さないとは思いますけど、任意売却の場合でも100万円を超える滞納というのもあります。

ただ、まともな仲介業者であれば、それほど心配する必要はありません。まず契約締結前に管理会社に滞納の有無とその金額を確認し、宅建業法に基づく重要事項説明で買い手に説明するからです。

そして売却代金から優先して滞納を払い、新しい持ち主に債務が残らないように段取りをします。

では、まったくノーマークでよいかというと、そうではありません。

もしも滞納が残っていた場合は契約が締結されて、引渡しが完了したら売主から当然に債務が移ってしまうからです。よくよくその処理の手順を確認し、契約書などに『売主の責任で滞納を解消する』などの文言を入れてもらい、売主が逃げられないように手を打ちましょう。

そもそも滞納している売主なんです。口約束を信用してはいけません。必ず、残代金の支払前か支払いと同時に管理会社へ振り込みを確認する必要があります。

お金を持ってそのまま消えられてしまったら、当然に自分がその延滞債務を払うことになるのですから。まあ、私だったらそもそもそんな物件(売主)は避けますね。

手付金と残代金は言いなりに払ってはいけない

手付金の相場はだいたい5%から10%と言われ、不動産の売買契約を結ぶ時に必要なお金です。物件選びにおいては買い手の『ファイナルアンサー』として位置付けられますね。

実際、それまでにそれこそ数多くのプロセスを経た末のイベントですよね。

  • ネットで再開発計画や物件を検索し、
  • いくつものモデルルームや現地に足を運んで部屋や共用部の間取りや仕様を検討・質問し、
  • 様々な金利タイプ(変動か固定か)、返済期間で住宅ローンのシミュレーションを何十回と行い、
  • 営業マンとの価格交渉で値引きを引き出し‥

やっと運命の物件に辿り着いた(と思った)時にやってくるイベントです。でも、それは錯覚です。

  • 手付金を払うと他の良物件が出る。

マーフィーの法則なんですよ。そういうものです。

新築物件なら、契約から完成引渡しまで1年以上間が空く事もあります。もう出るわけないと思っていても必ず良い物件は出てきます。実際はそんなに良い物件でなくても、決めた後に見る物件、特に広告で見る物件は魅力的に映るものです。

でも手付金で物件の10%も払ってしまうと、なかなかそれを放棄できないですよね。ですから、手付金は値切らないといけないんです。手付を入れ過ぎて後悔する人は多いですよ。

手付金は売買代金の一部ではない

誤解している人が多いですが、手付金は売買代金に充当されるまでは売買代金ではありません。本来の手付金は契約締結時に売主に一旦預けて、売買代金全額を支払う際に、売主から返還してもらうものです。

しかし、その手続きをするのは面倒なので、契約書には「手付金は、残代金支払いのときに売買代金の一部として充当する」と書かれるのが一般的なんです。

不動産業者ではない、一般の人がマイホームの購入で払う手付金は『解約手付』であると宅建業法で定められています。

解約手付とは、双方が一定のペナルティーを支払えば、契約を解除できる手付金です。

  • 買主は、売主が履行に着手するまでは、売主に対し、支払い済みの手付金を放棄して売買契約を解除できる(手付流し)。
  • 売主は、買主が履行に着手するまでは、買主に対し手付金を買主に返還するとともに、手付金相当額の金銭を買主に支払うことで売買契約を解除できる(手付倍返し)。

なお、違約手付と証約手付は、解約手付のように、手付金相当額をペナルティーとして支払って解除することは許されません。

契約書を見るときは、自分の払う手付金が解約手付になっていることを確認しましょう。なってない場合は詐欺的な業者である事を疑った方が良いです。

払い過ぎた手付金が頭金になってしまうと損

また、これも誤解が多いですが手付金と頭金は原則として、別物です。頭金とは、不動産購入代金の内、自分で用意できる金額の事です。親からの贈与や友人知人からの借入等も含められます。

頭金は銀行から融資を受ける時=物件引渡しのタイミングに払えば良いものです。

つまり、不動産売買契約の時に払った手付金は、いよいよ物件の引渡しになった時に頭金に性質を変えるんです。

引渡しまでは頭金ではありません。これ、大事なポイントです。当初の10年間は住宅ローン控除があるので借入金額は多い方が得な場合があるからです。

ARUHIスーパーフラット35という商品では、頭金20%を用意することで金利0.1%割引になるでは、頭金として物件価格の20%を入れることで金利が安くなりますね。

これは、手付金が20%ということではありません。たとえ手付金が5%でも、融資=物件の引渡しのタイミングで残り15%を用意すれば良いのです。

解約手付を値切る心構えと方法

解約手付の適切な相場は5%〜10%ですけど、 買う側からすると、安いに越したことはないんですよね。それに宅建業法では解約手付に20%という上限がありますけど、下限は規定されていません。

売り手と買い手が合意しさえすれば、いくら安くても良いんですよ。解約手付の性格のまま、売り手が同意するラインを狙うんです。

なお、手付金があまりに安すぎると預けたお金の保全措置が受けられなくなるという弊害があり、『保全措置が取れなくなるのでもう少し多い方が安心ですよ』なんて言われることがあります。

保全措置とは、手付金に対して銀行や保証会社等が保証したり保険会社の保険をかけることです。金額が一定以下だと、保全措置が不要になっています。

  • 完成物件の場合は、物件価格の1/10以下(10%)かつ1,000万円以下
  • 未完成物件の場合は、物件価格の5/100以下(5%)かつ1,000万円以下

売主が信用ある大手のデベロッパーなら引渡しまでの期間に倒産するリスクは低いです。それよりも、後から良物件が出てくる可能性や、その物件に住めなくなるようなアクシデントが起こる可能性の方が高いです。

保全措置が取れなくなる、なんて言われて揺らいでしまっては値切りはできません。

ベストな値切りトークは『ぶっちゃけ貯金が無いんです』

これがベストです。日本人の恥の文化を利用するんです。ここまで言われたら、しょうがないと思います。それでいて住宅ローンの審査はきっちり通しておくのです。

その際は頭金ゼロで通しておかないと、ですよね。辻褄が合わなくなります(笑)。

不動産会社の営業マンとしては、審査を通していて、購入する意思のある客は逃がしたくありません。当然でしょう。

それが上層部に例外処理(少額手付)の稟議を回すインセンティブになります。この方法で必ず値切れるとは限りませんけど、可能性は上がります。

私の同僚がこの方法で50万円の手付で4千万のマンションで手付を打ちました。

親からボーナスを前借りすれば何とか入れられます。

生々しいですね。実際に彼はそうだったので、本当の話です。

隣にいた奥さんの顔がみるみる真っ赤になり、後で「そこまで言う必要あるの?」ってかなり揉めたそうですが、後日電話がかかってきて彼が提示した手付金で契約しちゃいました。