政治経済ラボ
社会経済ニュースから住宅ローン金利と住宅市場の動向を読む
- 住宅ローンの金利はこれからどうなるか?
- 自分の家の資産価値はこれからどうなるか?
誰もが気になる事だと思います。このページでは、そんな将来を反映する今の社会経済ニュースの読み方と住宅ローンに関連する国の政策について解説します。普段殆どニュースを見ない、新聞を読まない人でも理解しやすいよう、分かりやすく解説します。
日銀の金融緩和政策ニュースの読み方
マイナス金利政策やイールドカーブコントロール政策といった日銀の金融緩和政策は住宅ローンの金利に多いに影響しますね。日銀が金利によって景気を操作する仕組みを知っておくことは、今後の住宅ローンの金利動向を知る上でとても大事なポイントです。
各国には必ず一つ、自国の金融システムの中心を担う銀行があります。それが中央銀行です。日本の中央銀行は日銀(日本銀行)、アメリカの中央銀行はFRB(連邦準備制度理事会)です。
中央銀行は政策金利の上げ下げを通じて、市中に出回るお金の量を調整しています。
景気が悪いときは利下げと量的緩和
景気が悪いときには、政策金利を引き下げてお金の流通量を増やします。政策金利とは日銀が民間金融機関にお金を貸すときの金利です。住宅ローンの変動金利に影響します。
金利が下がれば、みんなお金を借りて設備投資や住宅購入しますよね。
2008年12月以降の日本はゼロ金利政策といって、日銀はこれ以上金利を下げられないレベルまで政策金利を下げてます。そして物価上昇率を2%というインフレ目標を掲げているんです。
ゼロ金利というのは、これ以上景気が悪くなっても金利を引き下げることによって、景気の調整ができない最底ラインにいるという事です。
量的・質的緩和政策とは
そこで日銀が2013年4月打ち出したのが量的・質的緩和という金融緩和政策で、国の発行する国債を大量に買い取り(代金は自分で印刷した貨幣)市中にお金を増やす方法なんです。この方法でもお金の流通量を増やすことが出来ますよね。
- 『量』:日本銀行が供給する通貨(=マネタリーベース)を年間約80兆円のペースで増加させる。
- 『質』:金利の低下を促すために日銀の長期国債の保有残高が年間約80兆円のペースで増加するように買い入れる。
『量』の面をシンプルに説明すると、日本銀行が大量の貨幣を製造印刷して沢山のお金を市場に出回らせるということです。
市場にあるモノの総量が変わらず貨幣だけが増えると、モノの価格は自然と上がるよね。ということです。
『質』の面をシンプルに説明すると、日銀が長期国債を市場から買いまくり、国債の相場を吊り上げることで国債の利回りを下げるということです。
マイナス金利政策とは
量的・質的金融緩和も一定の成果を上げてデフレからの脱却には成功したんですが、2%の物価上昇目標は達成できずでした。そこで黒田総裁が2016年1月に打ち出したのがマイナス金利政策です。従来の量的・質的金融緩和政策にマイナス金利政策を付加したんです。
マイナス金利政策とは、銀行が今まで日銀に預けてい余剰資金に逆に利息を払わせる政策です。銀行は自分が預けている預金に利息を払うなんて嫌ですから、日銀に預けた預金を引き落とす。その資金は投資や融資に向けられて、経済を刺激するだろう。
これが日銀の黒田総裁が描いた絵です。
マイナス金利政策によって、10年国債金利は大きく低下して史上初の0%を下回る事態になりました。金融機関や機関投資家が一時に国債の購入に殺到したからです。
銀行のビジネスは金利で儲けるビジネスです。現金をそのまま置いておくというのはロスなんですよ。
- 何か利息の付く投資
- 日銀なみに安全な投資
- すぐに投資できる銘柄
そういう投資先として『とりあえず』日銀から引き揚げてきた資金を国債の購入に充てたんです。
日銀が大量に購入しているうえに、全ての金融機関がこぞって国債の購入に走れば、当然国債の価格は上がりますよね。国債価格の上昇=長期金利の下落という訳です。
この長期金利の下落は、マイナス金利政策の波及効果で、金融機関や機関投資家が一時に国債の購入に殺到したことによる国債価格の上昇を反映したものだという事です。
住宅ローンの金利は下がってよいコトばかりではありません。マイナス金利政策には大きく2つの副作用があったんです。
まず、安い金利や借換で金融機関の業績が悪化しました。
借換で高い金利の既存債務者はどんどん減っていきます。低い金利を提示して新たな債務者をゲットしていかなければ、さらに苦しくなるんです。
また、長期金利がマイナスということはサラリーマンの退職金にも影を落とします。長期の年金資産で運用している投資の利回りがマイナスになるわけですから、退職金が目減りしてしまうんです。
イールドカーブコントロール政策とは
マイナス金利政策の副作用で長期金利がマイナスとなっている好ましくない部分を是正するのが長短金利操作付き量的・質的金融緩和(略してイールドカーブコントロール政策)です。
日銀が長期金利を操作して現在マイナスとなっている10年国債利回りを0%で安定させる。
というのが一番の特徴です。
- 短期金利については民間の金融機関が日銀に預けている当座預金の一部に-0.1%のマイナス金利を適用し続ける。
- 長期金利については10年物国債金利がおおむね0%で推移するように長期国債の買入れをする。
- 長短金利操作のために日本銀行が指定する利回りによる国債の買い入れ(指値オペ)をする。
- 民間金融機関に低利の固定金利で資金を貸し出す期間を従来の1年から10年に延長する。
つまり、長期金利がマイナスにならないよう、かといって上がり過ぎないよう、0%程度で推移するように日銀が長期金利を操作することを目的にしているんです。
中央銀行が操作するのは短期金利までであり、長期金利については為替や資金需給関係など多くの要素が絡まりあって形成されるものというのが常識でしたが、それを覆す政策です。
2016年11月のトランプ氏の大統領当選で、その政策への期待からアメリカの長期金利が急上昇したことの波及効果で日本の長期金利が上がり始めましたが、日銀は指値オペによって急激な上昇を食い止めているんです。
日本の景気はまだよくないですので、アメリカに引きずられる形で長期金利が上がり、住宅ローンの固定金利が上がってしまうと、せっかく上がってきていた住宅取得の熱に冷や水がかかってしまうんですね。
黒田総裁には頑張って欲しいものです。
今後景気が良くなれば利上げする
日本の場合はまだ、ではありますけど。逆に景気が良くなれば中央銀行は政策金利を高くします。みんなお金を借りることを控え、市場のお金の流通量が減る。これを通じて、過度なインフレ(物価上昇)を防ぐことができるのです。
これを金融緩和の反対で「金融引き締め」と言います。
景気にブレーキをかける必要なんてあるの?って思いますよね。分かりやすく解説します。
利上げの目的は「過度なインフレ」の防止
景気が上がって人々の購買欲が上がっている時に大量のお金が市場にあると、その国の貨幣の価値がどんどん下がってしまいます。同じモノを買うのに必要な価格が上がる状態です。
これをインフレ(インフレーション)と言います。インフレには正常なインフレと過度なインフレがあります。
- 給与上昇=物価上昇となっていれば「正常なインフレ」。上がった価格が人々の労働に分配されていく。
- 給与上昇<物価上昇となった時が「過度なインフレ」で原材料や税金など、労働者の所得以外の部分が上がり、人々の生活を圧迫してしまう。
あまりに景気の上昇スピードが速いと、過度なインフレになってしまい却って国民の生活を脅かしてしまうからなんです。
2016年12月にトランプ景気に沸くアメリカでは、中央銀行(FRB)が利上げを発表しました。アメリカ国内景気がドン底から急激に良くなって来ていて、ブレーキをかけなきゃいけないレベルに来たと判断したんですね。
でも、この利上げ(金融引き締め政策)というのは、景気の上昇に対してブレーキを踏むわけですから、タイミングとさじ加減がとても難しいんです。
- 遅ければ、また、利上げが少なければ価格の上昇にブレーキがかからず過度なインフレになる。
- 早すぎると、また、利上げしすぎるとせっかく上向いた景気が減速し、不景気に逆戻り。
少しタイミングと量を間違えば、失敗します。どんなタイミングでどれくらい上げればベストかというのは、やってみないとわからないんですよ。ですから、アメリカの利上げにはみんなが注目しているんですね。