なぜ10%しか元金均等返済を選ばないのか?
元利均等返済と元金均等返済ではどちらが得か?
当サイトで、返済シミュレーションをする場合は何も言われなければ元利均等返済で行います。しかし、返済方法には厳密には元金均等返済もあるんですよね。
ちなみに、
- 元利均等返済とは毎回の返済額が同じ額になる返済方法です。
- 元金均等返済とは元金均等返済とは、毎回支払う「元金」部分が均等になる返済方法です。
読んで字のごとしですね。
元利均等返済の場合、前半は元本が大きいですから、返済額のうち利息の占める割合が大きく、元本の減りが遅いのが特徴です。
その点、元利均等返済だと、均等に元金を返済していくので、前半も後半も同じペースで元金が減ります。ただし、前半は利息が大きい分だけ返済額が大きくなります。
今日は、この元利均等返済と元金均等返済についてのご質問です。
質問:皆が元金均等返済を選ばない理由はデメリットがあるから?
いつもブログを拝読しております。
1月以降に総額4500万円35年支払いの住宅ローンを組む予定です。
変動金利にするか固定金利にするかはまだまだ悩んでいるのですが、元利均等返済にするか、元金均等返済にするかもやはり悩んでいます。
- 子供が小さいので支出が少ない
- 初期に多めに払っておけば変動金利にした際の金利変動の影響が僅かでも抑えられる
- 銀行の保証金が元金均等返済だと2,30万円安い
という理由で変動金利+元金均等返済が優勢なのですが、元金均等返済を使われる方は契約者の中でも1割ぐらいしかいないという話も聞きました。
まだ私の知らない大きなデメリットがあるのでしょうか?
ちなみに固定金利+元金均等返済でも初期の返済額を支払える収入はあります。
どう選択するべきかアドバイス頂ければ幸いです。
よろしくお願い致します。
回答:特にデメリットはありません
ご相談を寄せていただきありがとうございます。
元利均等返済と元金均等返済については千日のブログでも詳しく書いたことがあります。
加筆:今回こちらに要点をまとめましたのでご一読ください。
https://jutakuloan-muryousoudan.com/words/jutaku-loan/
住宅ローン控除がある分、元利均等返済と元金均等返済の利息負担の差は小さくなります。
当初10年の金利が1%を超えると、借入残高はあえて温存するのではなく、早く返した方がトータルの返済額は減ります。
詳しくは税金のセオリーをご一読くださいませ。
https://jutakuloan-muryousoudan.com/theory-jutakuloan/tax/
従って、はやく元金の減る元金均等返済は支払利息の面で明らかに有利です。
デメリットがあるのか?についてお答えしておきましょう。
- 初期の支払が多くなるので、支払いが辛い。
- 初期の支払が多くなるので、貯金ができない。
これにあてはまらなければ、デメリットはありません。
デメリットが無いのに元金均等返済を選ぶ人が全体の1割しかいない理由は?
当初の支払が大きくなるため、同じ借入額でも銀行の審査が厳しくなるのです。なので不動産会社も銀行の融資担当者も、自ら勧めようとはしません。
また、マイホームを購入した当初は手数料や引っ越しなど、住宅そのものの代金以外にもいろいろとお金を使って貯金が少なくなります。
そんな時期に支払を低く抑えたいと考える人が多いのです。
なので、上記のデメリットと、元金均等返済を選ぶ人が1割しかいない理由を吟味して、『問題ない』と思われるのでしたら、一般的に致命的な見落としは無いと思いますよ。
以上、参考になりましたら幸いです。
千日
まとめ
どうしても1割くらいしか選ばないということを聴くと、元金均等返済を選ぶのは不安になりますよね。その理由というのはやはり量の面で均等に払うという方が、計画を立てやすいと考える人が多数派だからでしょう。
ただそれだけのことです。
前半の支払が多いのがデメリットですが、その額に負担感が無いのであれば、早く元本を減らせる=利息費用が減るというメリットしかありません。
気にせず、選択するべきだと思います。
ただ、利息費用が減らせるということで、無理してまで選ぶ必要はありません。それならば、負担を感じるということは、貯蓄が困難になってくるということです。
住宅ローンは良い借金です。
最近はアメリカのトランプ景気が波及して日本の長期金利が上昇しはじめ、住宅ローンの固定金利も上昇傾向ですが、それでも十分に安い金利なんですよ。
住宅ローン以外で銀行からお金を借りようとすれば、金利は一桁違ってきますよ。
返済してしまったお金は返ってきません。金利の安い住宅ローンは借りておいても毎月の返済さえ遅れなければ何のリスクもありません。
十分な貯蓄をして家族の生活を守ることが大前提なんです。だからといって、利息はタダではないというのがミソですね。
そのさじ加減をどうするかは、ご自身の感覚なのです。