大手デべの提携ローンのメリットとデメリット

2017年10月26日

大手不動産会社の提携ローンは金利が安い反面デメリットもあります

今回の相談者Y.Mさんは2017年2月完成予定の大手不動産会社の新築マンションで提携ローンを検討中。金利タイプを変動金利にすべきか固定金利にすべきか?というご相談です。

今のタイミングというのは、確かに悩ましいんですよね。特に2017年1月になって大手3行が10年固定と固定金利を上げてきましたので。2月以降に引渡しを控えている人にとってはなかなか判断が難しいです。

もともと、大手デベロッパーの提携ローンはその物件のブランド価値があるのと、それを購買する層の平均的な属性の高さから金利面で通常よりも優遇されていることが多いです。

良い物件を購入するというのは、もちろんそのモノも良いですけど、金利の面でもメリットがあるんですよ。しかし、提携ローンという点で、デメリットもあるんです。では、始めましょう。

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ご質問:2017年2月融資実行なら変動金利か固定金利か?

住宅ローン借り入れ直前になって、自分の判断が正しいのか悩んでおり、アドバイスを頂ければと思いご連絡させて頂きました。

<プロフィール>

  • 夫婦共働き、共に20代後半(17年夏に子供出産予定)
  • 年収: 夫550万円、妻500万円
  • 妻は出産後、4月まで育休取得後、現職に復帰する予定(しばらくは時短勤務)
  • 12月末時点貯金:1100万円

<ローン関連情報>

  • 購入マンション:4000万円
  • 手付金:400万円支払い済み
  • 引き渡し:2月末(=2月実行金利)

<審査済みローン>

  • ①:地方銀行(提携ローン):ペアローン(夫:2500万円、妻:1000万円)、変動(12月実行金利:0.775%)
  • ②:ソニー銀行(提携ローン):ペアローン(夫:1900万円、妻:1500万円)、変動(12月実行金利:0.449%)
  • ③:住信SBIネット銀行:夫単独3200万円(2割以下だと金利高い為)、全期間一律引下げ型の35年固定(12月実行金利:0.99%)

まだどの銀行を使うかは最終決定しておらず、1月中旬までには最終決定するよう不動産会社から言われている状況。

<ご相談事項>

上記審査済みローンのうち、当初は③の住信SBIネット銀行を考えておりました。理由は下記です。

  • この低金利下で35年固定でフラット35よりも低金利を抑えることができそう
  • さらにフラットとは異なり団信込、8大疾病保証込
  • 妻が育休(将来的には第2子も希望)に入ることを考えると、夫単独で組んだほうが住宅ローン控除を考えると良さそう

ところが、先日不動産業界に勤めている友人に相談したところ、①:ネット銀行、②:固定金利、であることに疑問を抱かれました。

理由としては、十分な収入があり、結局は35年もかからず20年ちょっとで完済するだろうから変動で組んだほうが良い、そして変動にするのであれば金利をいち早く上げそうなネット銀行よりもリアル銀行にしたほうが良い、という根拠でした。

私としても、直近のトランプノミクスによる長期金利上昇により、果たして③のままでよいのか、2月時にはさらに金利が上がっているのではないか、と不安になっているところでしたので、この直前期になって、悩みが強まってしまっている状況です。

上記状況を鑑みたとき、このまま③で進めるべきか、それとも①or②とすべきか、もしくは他リアル銀行で新たに審査を進めるべきか(果たして1/13までに間に合うか不明ですが。。)、その場合、どういった条件で進めるべきか、率直なご意見を伺えればと存じます。

なお、主なリアル銀行の提携ローンの12月実行金利は以下の通りです。

  • 3メガ:変動0.625
  • 三井住友信託、UFJ信託:変動0.575
  • UFJ:10年固定0.6(終了後0.875、現時点基準金利ベース)
  • 三井住友信託:20年固定0.9(終了後1.075、現時点基準金利ベース)

新年早々申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。

回答:金利動向が不透明な現在、異なる動きをする金利タイプ(フラット35)を通しておく

Y.Mさま

では早速お答えしていきます。

結論から先に申し上げます。大手デべの提携ローンの全期間一律引下げ型の中では、今検討されている住信SBIの35年全期間固定の0.99%が飛びぬけて有利な条件ですね。

ですので、このまま行くということに、まずは問題ないと思いますよ。

変動についてはどうか?ということですが、現在通されている2行の条件である『ペアローン』の『連帯保証』が大きなネックです。

  • 地方銀行(提携ローン):ペアローン(夫:2500万円、妻:1000万円)、変動(12月実行金利:0.775%)
  • ソニー銀行(提携ローン):ペアローン(夫:1900万円、妻:1500万円)、変動(12月実行金利:0.449%)

変動か固定かという点においては、条件が同じ場合にまだ少し固定の方が有利であるというのが、私の見方です。上がってきているとはいえ、日銀のイールドカーブコントロール政策によって上昇のペースは抑えられているからです。まだ十分に低い水準であり、その中でもフラット35よりも低い水準で設定している住信SBIの金利は魅力です。

日銀の政策と金利動向についてはこちらをご一読ください。

政治経済ラボ

住信SBIといえば、当初引下げプランは5年で上がってしまうというデメリットがあるのですが、審査を通されているのは全期間一律引下げ型であるためその心配はありません。

加えて、他行との大きな違いはペアローンではなくご主人単独で融資実行可能であるという点です。

もうこれだけで、他行を選ぶ理由など無いと私なら考えるでしょう。

そのうえで、この金利上昇局面で保険を打つならば、フラット35です。まだフラット35は検討されていないようです。

また、今の検討の材料としているのは2016年12月の適用金利ですので、実行時にどうなるかがまだ流動的ですね。ちなみに2017年1月の各行の長期固定及び10年固定金利は0.05%上昇しました。

これに対して、フラット35は20年以下の期間については0.01%下がり、21年以上35年以下の期間については0.02%上がりました。

もしこちらをまだご覧になっていなければ、ご一読ください。

【速報】2017年1月フラット35は下がり10年固定金利は上がる 今後の動向は?

つまり、大手銀行の長期金利は2月も上昇する傾向にあるだろうと考えるのが自然です。

ならば変動を…?

しかし、Y.Mさまが懸念されているとおり、間に合うかどうか分かりませんし、出た条件が『ペアローンの連帯保証』では、無駄足になってしまいます。

そこで、保険としてお勧めしたいのがフラット35というわけです。提携でもフラット35については公表している金利と同じです。これは、住宅金融支援機構(国)の代行だからです。

金利の動向についても、国の意向が入りますので、大手銀行とは異なった動きをするでしょう。(つまり上がらない可能性があるということです。)

また、審査の基準も銀行の商品とは違う考え方で行います。今のところ、住信SBIを除いてはペアローンの連帯保証が条件になっていますが、フラット35にはそもそもペアローンが無かったと記憶していますので、これで通るということは、単独で融資可能ということです。

その中でもお勧めなのが『アルヒ』です。審査の速さで定評があります。仮審査は当日、本審査は最短3日です。また、この銀行には『スーパーフラット』という商品があり、頭金を2割用意すれば、さらに0.01%金利が低くなります。この提携ローンには含まれていませんが、当然選択可能です。

1月中旬までに決めるようにと言われているのは、これはどうしようもありませんね。提携ローンは手続きをまとめることで金融機関と不動産会社の事務コストを削減し、その分金利を安くする側面がありますので、提携ローンを使う限りはこれに従わざるを得ないでしょう。

千日

提携ローンのメリットとデメリット

回答としては以上です。

Y.Mさんは住信SBIの条件のメリット(12月時点で35年固定で1%未満という金利の安さ)を超える金利上昇は無さそうだということで、一本で行くことにされたようです。

それとは別に、このように思われた人がいると思います。

提携ローンだとなんでそんなに前から決めないといけないの?

これについて補足しましょう。不動産会社の提携ローンとは、住宅ローンを貸し出すまでの審査や引渡しの業務を一本化して事務コストを下げるのが狙いです。

金融機関、不動産会社、利用者にとって三者三様のメリットがあります。

金融機関にとってのメリット

住宅ローンの利用者を囲い込めます。対象となる物件の担保価値も一つ一つバラバラに調査するのではなく一括して調査することが出来ます。

また、冒頭に述べたようにブランド力の高い不動産会社と提携することで、粒のそろった抵当物件に担保設定を受けられますし、そういった物件を購入する高所得な顧客を囲い込めます。

また、審査の事務コストを削減できます。

不動産会社にとってのメリット

メインバンクですから、不動産会社の意向が通しやすく、融通が利きます。物件の引渡し業務についても事務を一本化できますので事務コストが削減できます。

また、真偽のほどは分からないですが、審査も甘い傾向があるといいますね。信用力は低いけど買いたいというお客さんを逃さずに売り切ることが出来ます。

住宅ローン利用者にとってのメリット

上記の二つのメリットがいわば利用者にとってもメリットになるものが多いですね。

審査のスピードが速く、審査に通りやすいです。

提携ローンで通らないようであれば、他の金融機関では、さらに通りにくいと考えていいでしょう。

また、銀行の事務コストの安さと顧客の囲い込みのため、公表されている金利よりも0.1%~0.2%位さらに優遇金利が適用されることも多いです。ご相談者のケースも公表されている金利よりもかなり優遇されています。

提携ローンのメリットに隠されたデメリット

これら利用者にとってのメリットは、あくまで不動産会社と銀行にとってのメリットの「おこぼれ」なんです。利害が一致している時には何の問題もありません。

しかし、交渉ごとになり、我々と不動産会社、銀行との利害が相反した局面ではデメリットが顕在化するんです。

つまり、

一人だけ例外的な扱いが出来ないんですね。

交渉による例外的な処理に応じられなくなります。提携ローンでは大多数の顧客の審査から引渡しまでの事務代行を不動産会社がやりますので、取扱いの公平性が大事になってくるんです。

一部の顧客だけ、金利が安くなるからという理由で引渡し日を遅らせたら、他の人達からは、不公平だと不満が出るかもしれません。

今はSNSとかですぐ拡散しますからね。(千日みたいなブロガーもいますし)

ネガティヴな風評を恐れるでしょう。

仮に全員が団結して交渉したら普通に応じてくれると思います。しかしそんなこと、まずあり得ませんよね。

ですから、新築マンションの提携ローンのように一斉に完成して一斉に引渡しになるようなケースでは、面倒とか事務コストかかかるという以前に、一部の人だけ特別扱いする訳にはいかないんです。

まとめ~提携ローンは融通が利かない

引渡しの日にしても、融資の実行日にしても、全体のスケジュールに組み込まれているんです。そしてその準備のために前倒しで色んなことを決めて、進めていかなければならないんですね。

もしも提携ローンを利用していなければ、『いや私はまだ決めません。2月に引渡しなら2月の金利が出てから決めます。』という主張も通ります。だって対等な立場なんですからね。そしてこちらはお客様なんです。

しかし提携ローンでは、一人だけそういうことを許すと、事務コストがかさみますし、他の人に示しがつかなくなってしまうんです。

じゃあ、銀行の方にもう少し待ってくれないか交渉すればいいじゃん?

と思われるかもしれません。しかし銀行にとっては、小口の住宅ローン利用者よりも、提携している不動産会社の方が大口顧客なんですよ。

当然、大口顧客を大事にします。不動産会社と同じ答えしか返ってこないでしょう。

このあたりのことを勘案して提携ローンを利用するかどうかを検討することをお勧めします。もしも時間的に余裕がある場合は提携外の金融機関も混ぜて審査に出してみるのも手かもしれませんね。

以上、参考になりましたら幸いです。