金利変動リスクと病気のリスクどっちを優先するべきですか?

2018年10月28日

疾病保障付きの団信が無料で付くのはネット銀行の変動金利や10年固定ばかり…

ネット銀行では疾病保障付きやガン特約付きの団信が無料で付帯してくる住宅ローンの商品を良く見かけます。

これ、普通に大手銀行などで付けようとすると、その保障の程度に応じて0.2~0.3%位が金利に上乗せになってきます。それが無料で付く、お得ですよね。

利用者目線からは、ゼヒ固定金利でもやってほしいナと思うのですが、こういった商品を出している主にネット銀行が売り出しているのは、変動金利や当初固定金利ばかりです。

つまり、金利変動リスクに晒された住宅ローンの商品だけなんですよね。

もちろん、絶対に必要であるなら大手銀行やフラット35の固定金利で借りて、別途疾病保障付きの団信に加入すればいいのですが、当然に金利に上乗せとなります。

なので、こういう悩みが出てくるんですよね。

  • 金利変動リスクか
  • 病気のリスクか

では今日のご相談者です。こういう悩みでメールを送ってこられました。

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相談:ガン団信付きの変動金利かガン団信抜きの固定金利か?

はじめまして。6月に新築、引き渡し予定のものです。ガン団信抜きの固定金利か、ガン団信付きの変動金利かで迷っていますので、今の私の状況に合わせてアドバイスいただければ幸いです。

年齢、年収、家の価格、住宅ローン、頭金

夫年齢 34
夫の年収(万円) 500
妻年齢 不詳
妻の年収(万円) 専業主婦
共働き世帯年収(万円)
家の価格(万円) 2,800
住宅ローン(万円) 2,400
頭金(万円) 400

現在、34歳、年収500万の公務員です。家族は妻、専業主婦、将来働く予定ありますが、パート程度。子供1歳と5月に2人目が生まれる予定です。

借り入れ金額は2400万を予定しています。トータル2800万円ですが、頭金で400万円を払う予定です。

ローンの候補としては地元の銀行、変動金利で0.725%、優遇金利はずっとマイナス2%、キャンペーンでガン診断特約の団信が上乗せ金利なしでついてます。

他はみずほ銀行の35年固定で金利1.11%です。公務員ということもあり、アルプスカードの優遇で1.11%で大丈夫と担当からは話をいただいています。こちらは通常の団信のみです。

三井住友信託も候補でしたが、どの程度の優遇金利が出るかわかりませんし、金利が上がってきているので、今回はやめようかと思っています。

ガン家系であるという心配

私の家系はガン家系なので、できればガン団信があれば安心です。

みずほ銀行の疾病保障付き団信は0.3%上がるので考えていません。定年が今の状況では60歳なので、その時に一括で繰り上げ返済しようと考えています。それまでは子供の教育費もあるので、月々の繰り上げ返済はかんがえていません。

変動金利は魅力ですが、金利上昇のリスクを考えると、やはり高く、ガン団信が無くてもみずほ銀行35年固定がいいのでは?とも考えています。

もし、三井住友信託が最優遇であれば、半額のガン団信をつけて、三井住友信用信託でもいいかなと考えています。

6月まで時間もありますので、固定金利の上がるリスクもあるので、できれば複数行に申し込みをした方が良いのかも迷っています。いずれの銀行も仮審査は通っています。

アドバイス頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。

回答:危険性の度合と可能性の高さで優先順位を

ではお答えしていきますね。目の前に3つの選択肢があると思います。

  1. 固定金利にする代わりにガン団信に入らないか。→病気のリスクに晒される。
  2. 変動金利にする代わりにガン団信に加入するか。→金利の変動リスクに晒される。
  3. 固定金利にガン団信を付けるか。→貯蓄が減りいざと言う時や老後破たんのリスクに晒される。

悩ましい問題ですね。

目をつぶって1.か2.のどちらかを選ぶ考え方は精神的にしんどいと思います。

とはいえ、どちらも万全にする3.には、そのぶんお金がかかりますよね。ちょうど良い落とし所を探るのにお役に立てると思います。

以下のプロセスで行います。

  1. まずは問題を難しくしている、3つのリスクについて優先順位を付けます。
  2. そして、最も危険なリスクから先に厚くケアしていきます。
  3. 最も危険性が低いと判断したリスクには、必要最小限のケアをします。決して見て見ぬふりはしません。

では、始めますね。

⒈リスクに順位を付ける2つの要素と優先順位

  • 危険性の度合
  • 可能性の高さ

この2つで決めて行きます。マトリックス図に出来ると思います。

そうなった時の危険性が高く、起こる可能性が高いリスクは最優先でケアします。

そうなった時の危険性が低く、起こる可能性も低いリスクは後回しでいいですよね。

さらに言うと、危険性が極端に低いリスクについては起こる可能性が高くても後回しにしていいとも言えます。

重要なのは『危険性』です。

先ずは危険性の度合いで順位付けをしていきましょう。

以下の順番になるのではないでしょうか。

  • 1位:ガンを含む病気のリスク
  • 2位:老後破たんのリスク
  • 3位:金利変動リスク

世帯収入の大部分が夫婦のうちどちらか一方によっている場合は、そのどちらかは大黒柱ですね。

大黒柱が病に倒れたら?

これが最も危険性が高いのは言うまでもない事でしょう。

老後破たんについては、まだ老後まで30年近くありますので、まだ貯蓄を増やす時間が十分に残されています。

金利変動リスクについては、仮に金利が上がっても毎月の返済額が増えるだけです。返済額が上がったからといって、いきなり家族の生活が苦しくなる訳ではありませんよね。

次は『可能性』の高さです。

その病気によって収入が減るor仕事が続けられなくなる可能性です。

ガン家系という事で、普通よりもその可能性が高く、身近にそのような事例を見てきたのですね。

ならば、もう答えは出ているのではないでしょうか。

もちろん、ガンになどならず、金利が上がる可能性だってあります。しかし、これが逆になった場合の方が致命的なのは言うまでもありません。

 

⒉ガン保障付きの団信を前提とした住宅ローンを考えてみる

団信の保険金の受取人は金融機関です。

団信は無料なのではなく銀行が保険料を払い、銀行が保険金を受け取る保険だと言う事です。

利用者には保険料として請求しないだけで、保険料はちゃんと金利に乗っているのですよ。

ですから、住宅ローンを比較する場合は無料とか金利上乗せとかで考えるのではなく、全て、ガン保障を付けた場合の金利や元利均等返済額で比較してください。

その上で、下記の2つの条件を満たす商品を探すのです。

  1. 60歳定年退職までに退職金を使わず完済出来る借入額にする。←老後破たんしないため。
  2. 変動金利の場合は、返済額の25%を貯蓄した上で税込月収の4割以下にする。←金利変動リスクに対応するため。

編成額の25%を貯蓄したうえで支払いを税込み月収の4割以下にする理由については、こちらをご一読ください。

住宅ローンのセオリー

3.疾病保障団信が付帯したネット銀行の変動金利がお勧めです

ご職業が公務員であることから、収入は景気の変動に左右されにくいので変動金利ではなく固定金利を選ぶのはセオリーですね。

金利タイプ選びのセオリー

しかし、このセオリーだけでは答えの出ないケースです。

疾病保障付きの団信が最もお得に付けられるのは、大手銀行や地銀ではなくネット銀行です。

ネット銀行なら変動金利0.447%で疾病団信が付帯してます。元利均等返済額は61,739円ですから25%貯蓄を入れると77,173円です。

手取り月収を25万としてその4割は10万円ですから、安全圏で金利上昇をカバー出来るのです。元が安いというのは大きいですね。

変動金利か固定金利かを決める考え方-千日のブログ

こちらは、金利変動リスクと病気のリスクについて書いた千日のブログの記事です。合わせてご一読ください。

以上、参考になれば幸いです。

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