提携ローンの優遇金利のウラ側、高い手数料を払って高い金利で借りる?
提携ローンの高い手数料を払って高い金利で住宅ローンを借りる?
不動産会社の提携ローンで住宅ローンを借りるメリットは、一般的に審査が甘くなり通りやすくなることに加えて、優遇金利が設けられていることです。銀行のホームページなどで一般に公開されている金利よりも低い金利で借りられることがあります。
これは不動産会社と銀行の力関係なんですよ。銀行にとって不動産会社は多額のお金を借りて多額の利息を払ってくれる上得意さまなんです。その上得意さまの利益になる(売り上げになる)我々ユーザーもその恩恵にあずかれるということですね。
反対にデメリットとしては、手数料を取られることと、早くその提携ローンで決めなくてはならない(3カ月とか4カ月前)などの縛りがあることです。手数料は3万円程度のところもあれば10万円を超す高額の手数料を取る会社まで様々ですが、金利が安くて取り戻せるなら良いですよね。千日としては3カ月とか4カ月前に銀行と金利タイプを決めなきゃいけない、というのが最大のネックかと思ってます。
そもそも提携ローンって不動産会社にもマージン(紹介料)が入ってるんですよ。そして融資の事務代行なんて、大したことやってません。書類を右から左に流すだけです。そこであんまり高い手数料を取る不動産会社を私は信用しません。
都合の悪いことは黙ってるだろうし、バレない範囲でウソもつくんだろうな。
と思うようにしています。今までの経験上、当たらずとも遠からずだと思いますよ。
では今日のご相談者です。
相談:この提携ローンの金利優遇が本当に有利なのか?
はじめまして。住宅ローンに関して自分なりに勉強を行っている最中で、千日様のブログを読ませて頂いた結果当初は変動金利を考えていたのですが固定の方が自分には向いていると思いご相談のメールをさせていただいた次第です。
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年齢、年収、共働き世帯年収、家の価格、住宅ローン、頭金
夫年齢 | 35 |
夫の年収(万円) | 580 |
妻年齢 | 30 |
妻の年収(万円) | 200 |
共働き世帯年収(万円) | 780 |
家の価格(万円) | 4,670 |
住宅ローン(万円) | 3,670 |
頭金(万円) | 1,000 |
- 夫(私)35歳(会社員 年収580万)
- 妻 30歳(派遣社員 年収200万)
- 子供なし(近いうちに一人は欲しいと考えています)
- 新築マンション
- 価格:4670万
- 頭金:1000万
- フラット35S(金利Bプラン)適用可能
- 2018年2月末引渡し予定
不動産会社の提携ローンの手数料と優遇金利が悩ましい
元々は、住信SBIの変動金利で考えておりました。しかし、千日様のブログを読ませていただいているうちに固定金利の方が自分には向いているのではと思いだし、フラット35と民間の35年固定などを調べてみて、以下の候補を悩んでいます。
金利はすべて2017年7月時点です。
①住信SBIネット銀行変動金利
- 変動金利(通気引下げプラン)
- 金利 0.474%(頭金20%以上)
- 不動産提携ローンで手数料は別途10万8千円
銀行ホームページではキャンペーン金利で0.444%なのです。なのになぜか提携ローンの方では頭金20%以上で0.474%、それ以下で0.525%ということです。提携ローンで10万8千円の手数料を余分に払うのに、です。
②住信SBIネット銀行当初固定金利
- 固定金利(35年 当初引下げプラン)
- 金利 1.01%(不動産会社の提携割引との事です)
- 不動産提携ローンで手数料は別途10万8千円
銀行のホームページでは35年固定は1.31%ですので、0.3%の優遇があります。なので今のところは提携ローンで10万8千円払っても良いかなと思っています。
③みずほ銀行35年固定
- 固定金利(固定35年)
- 金利 1.18%
不動産会社の提携ローンではありませんが、35年固定では団信込みで一番安い金利ですので、候補になっています。
④ARUHIのスーパーフラット35S
- 固定金利(フラット35S(金利プランB)+スーパーフラット)
- 金利 0.99%(当初5年 0.69%)
- 事務手数料 0.54%(不動産会社の提携割引との事です)
- 不動産提携ローンで手数料は別途10万8千円
2017年10月以降の申し込みになるので、フラット35の団信のリニューアル後となります。
②の住信SBIネット銀行35年固定(提携ローンで0.3%優遇)で間違いないか?
返済は妻の年収を考えず基本的には自分の収入だけでと考えています。
また、団信にも入ろうと考えています。
現時点では、②で進める方向で考えております。
ただ自分の考えが合っているのか自信が持てない状況です。千日さんのご意見いただけないでしょうか?もしくは、他に自分に適しているローンがあればご提案いただけないでしょうか?
回答①:不動産会社の提携ローンの優遇金利の裏側
不動産会社の提携ローンで借りる場合の優遇金利を見ていて、疑問に思われたのが変動金利についてですね。手数料を余分に払っているのに金利が高い。つまり、仮に2017年7月に借りるとした場合には変動金利で借りてはいけないということです。
(単位:円)
身も蓋もないですが、そういうことです。なぜこういうことになるのか?不動産会社と銀行が提携ローンの条件を取り決める時点で、変動金利0.444%のキャンペーンはやっていなかったからです。
つまり、不動産会社が銀行から紹介料のマージンを得るには0.474%の金利でなければならない、ということです。そういうウラ側をあえて黙って、顧客に対して平然と高めの金利設定の商品を勧めるモラルの会社であるということですね。
末端の営業マンに文句を言ってもしょうがない問題です。そういう会社の方針なのです。
変動金利では少しタイト
いずれにしても、この提携ローンの変動金利で借りることは無いのですが、変動か固定か?というところで判定だけはしておきましょう。
変動金利の場合は毎月の返済額の25%を金利の上昇に備えるために貯蓄することをお勧めしています。さらに、毎月の返済額とその貯蓄を合わせて、手取り月収の4割以下に出来ることを条件にしています。
毎月の返済額は9万4千円で、その25%は2万3千円、合計で11万7千円です。
年収580万円の手取り月収を28万円とすると、その4割は11万2千円ですから、5千円ほど足がでてしまう計算ですね。
派遣収入の奥様の収入も合わせて2馬力ならば、余裕のある感じになると思いますが、旦那様1馬力の場合は少しリスクが高いという結果になります。
回答②:固定金利では住信SBIかアルヒスーパーフラット35S
では本命の35年固定で比較してみましょう。
アルヒのスーパーフラット35で団信に加入する場合は金利に0.3%上乗せとなります。
当初5年0.69%は団信込みで0.99%、
その後0.99%は団信込みで1.29%です。
(単位:円)
こうして比較すると、住信SBIの35年固定が一番安いという結果になりますね。おそらくそういうシミュレーションの結果、住信SBIの35年固定が最も有力となったのだと思います。
確かに7月であれば、私も同意します。しかし、住宅ローンの実行は来年の2月です。
機構団信のリニューアル後にアルヒのスーパーフラットがどう変わるか?
2017年10月1日の申し込みから、住宅金融支援機構の団信保険料は実質値下げになります。従来年一回ローン残高の0.358%を払う方式でしたが、今後はフラット35の金利に0.28%上乗せとなり毎月の返済と一緒に支払うことになります。
つまり、0.078%の値下がりということです。
さらに、住宅ローン残高がゼロ円になる保障の範囲は拡大されます。従来高度障害と死亡が条件だったのですが、今後は身体障害(身体障害者福祉法1級or2級)についても保障の範囲に含まれることになります。
ところで、
アルヒのスーパーフラットの団信は住宅金融支援機構の団信とは別物です。
これ意外と知られないないのですが、別ものです。ですから、2017年10月1日から機構団信が値下げになったからといって、スーパーフラットの団信が下がるとは限らないのですね。もとから0.3%と安かったというのもあります。
じゃあそのまま0.3%に据え置き?
分かりません。実際にその時になってみないと分からないのです。もしかしたら、アルヒのスーパーフラットの団信も機構団信に対抗して値下げしてくる可能性もあるんです。
なので、今の7月の条件だけで住信SBIの方が安いと決まったわけでは無いと思いますよ。
住信SBIネット銀行が35年固定で『キャンペーン』を行う可能性もある
冒頭の文章と『回答①:不動産会社の提携ローンの優遇金利の裏側』の内容を読んで、このように思ったのではないでしょうか。
住宅ローンの実行の2018年2月に住信SBIが35年固定でキャンペーンをしたら、提携ローンの方が高くなってしまうんじゃないだろうか?
もちろん、その通りです。そうなります。
試しに営業マンに聞いてみてください。『まだ決まっていないので、金融情勢や銀行の方針によっては云々…でも多分そんなことにはならないと思います』と答えるでしょう。彼は現に今、キャンペーン金利よりも高い金利を『優遇金利』と称して堂々と出している会社の営業マンです。
特に彼が悪いのではありません、それが彼の会社では『普通』なのです。
まとめ
結論としては、まだ決める時ではないということですね。唯一信用できるのはアルヒのスーパーフラット35です。こちらは住宅金融支援機構が融資を行い、アルヒは事務代行の立場です。なので金利についてのキャンペーンなどはありません。
そういう理由から提携ローンの優遇も金利ではなく、融資手数料の割引になっているのです。手数料ならば金利情勢によって上下することは無いですし、キャンペーンがあったところで高々影響は知れています。
なので、今のところはまだ決めず、少なくとも10月以降の状況を見てから決めるのが、後悔の少ない決断になると思います。
また、もしも住信SBIの固定にするのであれば、35年ではなく、定年退職までの固定期間をお勧めします。定年までに完済するのであれば、それ以上の固定期間はオーバースペックになるからです。