ソニー銀行で変動から固定に変えるタイミングとは
ソニー銀行は随時金利タイプの変更が可能ですが…
ソニー銀行は借入後からいつでも金利タイプを変更することができます。しかも、変動金利から固定金利に変更する場合は変更手数料が無料なんですね。
しかし、
固定金利適用期間中に、金利タイプを変更した場合、ソニー銀行所定の金利タイプ変更手数料がかかります。
ソニー銀行のホームページにはこう書かれています。
ソニー銀行の金利タイプの変更手数料
お客さまの金利タイプ変更手続きにより変更された固定金利について、ソニー銀行は新たな運用手段が必要となるためで、変更された固定金利による受取利息(月)に対して、現在の金利水準で運用した受取利息(月)のほうが少ない場合、固定金利適用期間満了日までのその差額の合計を現在の金利水準(割引率)で現在価値に還元したものを金利タイプ変更手数料(再構築コスト)として、お客さまにご請求いたします。
なんのこっちゃ?と思われるでしょう。わかりやすく説明しますね。
例えば金利が下がっている状況で『昔借りた時よりも今の固定金利の方が安い』と思ったら、利用者はいつでも金利タイプを変更できます。24時間、ネットで5分位で手続き完了です。
しかし、金利タイプの変更によって安くなる利息は銀行が取れなくなってしまいますね。
そこで、将来安くなる利息分を「今」一括払いしたら幾らかを計算して、それを金利変更手数料として請求しますよ。
ということです。
当初借入時よりも金利が下がっている時
- 安い金利に変更するとソニー銀行が当初の高い利息を取れなくなる。
- 取れなくなる将来の差額利息を一括清算したら幾らになるかを計算する。
利息の減少額≒変更手数料になるように計算するということです。
当初借入時よりも金利が上がっている時
- 高い金利タイプに変更することになるので、当初より多く利息を払うことになる。
- 残りの固定期間は清算せず手数料はゼロ円にする。
金利が上がって多く支払う分は銀行の儲けになるということです。
普通は金利が上がっている時にわざわざ高い金利に変更する人は居ませんけど、ね。
固定金利を手数料無料で安くする裏ワザ(リスク有り)
つまりこの仕組みを使えば、敢えて危険を冒しリスクを取ることで固定金利を安くすることが可能です。
- 借入当初よりも金利が上がっている時に固定金利から敢えて変動金利に変更する。
→支払利息の差額分はマイナスになりますから、手数料はゼロ円になります。
- その後、金利が下がったのを見計らって変動金利から固定金利に変更する。
→変動から固定への変更には手数料がかかりません。
『なるほどー』じゃないですよ。
金利が上がっている時にどこまで上がるか?いつまで上がるか?予測出来ます?
下がったとしても、当初借入時よりも下がらないと、初めからそのまま固定にしておいた方が得だったということになります。
それなりのリスクが伴うという事です。
前置きが長くなりましたが、今日はこのソニー銀行を利用している方からのご相談です。
では始めましょう。
質問:ソニー銀行の変動金利から固定金利に金利タイプを変更するタイミング
いつもブログを拝見して、勉強させて頂いております。
今月マンションを購入致しまして、ソニー銀行の変動0.799%で3,000万円借入を行いました。
頭金を約1,200万円入れて、手元には約1,700万円残っております。
H28年の年収は520万円、独身となります。
借入当初から長期固定の選択を考慮していたのですが、11月に入ってからの長期金利上昇の傾向を鑑みて、全額を20年超固定1.231%に変更しようと考えておりますが10年固定0.742%等の金利が低い商品との比較で迷っている所です。
例えば、全額を10年固定0.742%に切替て、5年後に500万円繰上返済した場合に、20年超固定1.231%で同額繰上げ返済した条件での総返済額と同じにとなるためには、11年後に変動金利が約2%まで上昇している計算となります。
現在の市況を考えると想定しづらいケースではありますが、あり得ないケースとも言えないと考えております。
12月には米FOMCの政策金利が上昇しており、内外金利差の拡大に引きずられる形で、国内の長期金利も上昇する可能性は十分あると考えております。
テールリスクを考慮すると20年超固定を選ぶ必然性というのも、それなりにあると考えておりますし、何より1月から適用金利が上昇するため、この条件で切替出来るチャンスが今後出てこないことも考えうると判断している次第です。
纏まらない文章で大変恐縮ですが、御見識をお伺い出来ると大変幸いです。
回答:金利動向を読むより今のメリットを確定させましょう
ご質問ありがとうございます。
ソニー銀行は金利タイプの変更について、とても面白い仕組みなんですね(@_@)勉強になりました。
変動から固定への変更は手数料が発生しない。
固定期間中の変動への変更は銀行の運用手段変更コスト分を手数料として支払う。
面白いですね。
では20年固定か10年固定かという点について、思うところを述べさせていただきます。
- 固定期間に金利が下がると『もう少し待っておけばよかった』という機会損失が発生する。
- 固定期間後に金利が上がると『もっと長く固定させておけばよかった』という実損失が発生する。
こんな感じですよね。それを10年後か20年後かという長いスパンで予測するのは至難の業です。
現在の長期金利の上昇傾向については、それが10年を超えるスパンになるかはわかりません。
10年の間にいったん上がるとして、また下がる可能性も十分にあり得ます。そして当初固定期間が終わった10年後のピンポイントでどうなるか?ということについては、『そもそも今の時点からは予測を立てない』というスタンスです。
つまり、どちらになっても良いように準備できるか?という考え方をとります。
手許に借入額の半分以上の貯蓄があり、今後それを減らさないのであれば、10年後にリスクを取り、当初10年の住宅ローン控除の恩恵を受ける方が得策であると思います。
当初10年は借入残高×0.258%の確定収入になるんですからね。ざっくり計算ですが10年で66万円位の収入が確定します。
私ならこれを取りに行きたいと思うでしょう。
ここまでのことは考えておられたかもしれませんが、以上が私の思うところです。
どうしても、従来からの考えから逃れられないのですが、長期金利がここまで低いのは住宅ローン史上、極めてまれなことなんです。
- 史上まれにみる低金利のタイミングに固定を選ぶこと。
- 住宅ローン控除との関係で収入が確定する1%以下の固定を選ぶこと。
- 上がった際に元本を安全圏に減らせる十分な貯蓄があること。
この3つが揃っているならば当初10年の金利を最小にするのが定石であるというのが私の結論です。
以上、あくまで、現時点の公開情報に基づく私の予想ですので、実際の金利の動きとは異なる場合も多いにありえますが、参考になれば幸いです。
千日
まとめ
いかがでしたでしょうか。
- ソニー銀行は、随時金利タイプを変更できます。
- また、その手数料の計算はガラス張りで、とても理にかなった計算方法です。
もちろん、銀行側がゼッタイに損をしないようなルールにはなっていますが、それでもフェアな方だと思いますよ。
ですから、金利情勢を見ながらその時に適合した金利タイプに、軽快にサイドステップしていく。このご相談者のように経済に明るい方にはマッチした住宅ローンだと思います。
しかし、短期的な金利の動きに対応していく、という点においてはメリットを享受できると思うのですが10年を超えるスパンで予測していくとなると、もはやそれは占い師や預言者の領分です。
そこに踏み込んだ時点で、既に経済的に合理的な判断は不可能と思ってください。
特に今回のご相談のケースでは1%未満か1%超かという分かりやすい状況でした。住宅ローン控除を考慮に入れると、当初10年間の住宅ローンの金利が1%未満か、1%を超えるかというのは大きな違いになります。
つまり、
- 1%未満ならば、ローン残高が多いほどお金が儲かります。
- 1%超ならば、ローン残高を少なくしないと利息費用がかさみます。
お金が儲かることが100%分かっているならば、それを取りにいかないと損ですよね、指を咥えて待っている場合ではありません。
詳しくはこちらをどうぞ。