住宅ローンの思わぬ誤算 あるあるをまとめます

2018年11月24日

こんなはずじゃなかった…住宅ローンで良くある誤算について

住宅ローンでは意外な誤算が付き物です。今日はそんなありがちな誤算(あるある)をまとめてみたいと思います。当サイトには、毎日様々な相談が寄せられていますので、そういったネタには事欠かないのですよね。

これを、一通り読んで、ご自身は大丈夫か?一度確認してみてください。

住宅ローンの思わぬ誤算

では始めますね。

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妊娠した妻が銀行の審査に通らなくなった

銀行によって審査の基準は様々です。ですから必ずしも妊婦に関して審査が通らないとは限りませんが、銀行によっては妊婦については融資をしないという基準を設けているところもあります。

子育ての環境を考えて都心の賃貸から郊外の広い家を買おう。

このように考えて、家の購入を思い立つ人も多いですよね。妻が妊娠するまでは共働きで、世帯年収は1千万位ある、まだ結婚間もない30代前半までの世帯に多いケースです。

二人とも若いですし、購入予定のマイホームにしても人気の地域で広く、新しい家が買えますので、審査の属性上とても有利なケースです。

しかし妻が妊娠すると、当然に産休ということで収入は減ります。また、出産についてはリスクもありますから、妻が住宅ローンの名義人となる(ペアローン)については認められないという銀行もあるんですね。

  • 審査時の収入は夫のみ。
  • 住宅ローンの名義人は夫のみ。

審査をする上でのスペックは妊娠前の約半分となります。いきおい、妊娠前に購入を想定していた家は手の届かないところに行ってしまうというわけです。

再度、マイホームの価格や立地、広さなどをゼロから見直す必要性に直面します。

つまり、子どもをきっかけにマイホームを、と思ったのに、子どもが理由となって購入するマイホームのスペックが著しく下がってしまうんです。レベルアップするのは希望があって楽しいですけど、ダウンさせるのはテンション下がりますよ。

これ、順番が逆なら、何の問題も無いんですよね。

銀行は借入当時の時点において住宅ローンの申込者と担保物件を審査するんです。その後は返済が遅れない限りは審査しません。建前的にはすることが望ましいのですが、そんな仕組みになっていないし、事実上不可能なんです。

借入後に妻が妊娠したから、産休に入ったから、といってそもそも金融機関に報告する必要はありません。もちろん、約定弁済期日にちゃんと払い続けることが出来ることが前提です。

類似例:転職すると住宅ローンの審査が厳しくなる

住宅ローンの審査においては、勤続年数というのも重要なポイントです。マイホームの購入直前に転職していると、その前のキャリアがいかに高く、また今の就職先の給料がいかに高くても、審査上は厳しく査定されます。

ただ、最近の審査のトレンドでは前の会社での勤続が長く、収入も安定していれば、合算して審査する銀行(保証会社)もあります。

これも、順番が逆なら、何の問題も無いんです。妊娠と同じ理由です。

借入後に転職したからといって、必ず銀行に報告する必要はありません。もちろん約定弁済期日にちゃんと払い続けることが出来ることが前提です。

もちろん、報告してはいけないということはありません。

例えば、転職や退職に伴い結果としてその後の支払いが滞ることになった場合は、転職や退職をしたことを銀行に報告していなかったことが、後々の支払い条件の緩和交渉に影を落とすことがあります。

そういう場合は、事後報告しておいた方が良いです。なお、報告しただけで約定弁済の条件が厳しくなったり、緩和されたりすることはありません。

類似例:車のローンや消費者金融の借入残高

車のローンや消費者金融での借入残高があると、住宅ローンの審査が厳しくなると言われます。ただ、これも銀行によるというところはありますが、一般的には審査の前に完済しておいた方が良いですね。

例としてフラット35のオフィシャルサイトにあるシミュレーションを見てみましょうか。

年収450万円で車のローンが幾ら残っていると、借入残高の上限が幾らになるかというシミュレーションです。

金利1.12%(フラット35)35年、元利均等返済ボーナス払いなし。

(単位:万円)

借入残高 月返済 借入限度
450 13 1,085
350 10 1,085
250 7 1,085
200 6 2,474
150 4 3,169
100 3 3,516
50 1 4,211
0 0 4,558

借入残高の10倍くらい、借入限度額が減ってしまう状態ですね。

住宅展示場の人と話してて、こういうことを聴いたことがあります。若い夫婦が高級ワゴン車で乗り付けると、

ああこれは車のローン残ってるわ…ウチの家は買えないわ、パスパス。

車のローンや消費者金融の残高はキレイにしてから家の購入にあたるのが定石です。

ただし、上記の例はあくまでフラット35のケースです。最近の金融機関の住宅ローン審査のトレンドでは、信用情報については重視しない金融機関も増えています。

https://jutakuloan-muryousoudan.com/words/shinsa/

 

購入予定の物件が住宅ローンの条件を満たしていなかった

一般的な金融機関の基準では以下のようになっています。

  1. 延べ床面積で50㎡以上、マンションの場合は専有面積25㎡以上であること。
  2. 住居専用または併用住宅でも半分以上が自己使用であること。
  3. 建物の敷地が借地でないこと。
  4. 市街化調整区域内でないこと。
  5. 都市計画区域内にあること。
  6. 対象物件がセカンドハウスではないこと。
  7. 対象物件が建築基準法及びその他の法令の定めに合致していること。

住宅ローン控除の条件にも注意

住宅ローンの条件もそうですけど、住宅ローン控除の条件にも注意が必要ですね。10年間にわたり、12月31日時点の借入残高の1%を所得税及び住民税から控除できます。

これにも条件があって、住宅ローンの条件よりも厳しいです。

  • 床面積50㎡以上の家屋であること。
  • 総床面積の半分以上が自己居住用の家屋であること。
  • 中古の場合は、次のいずれかに該当すること
  • イ)家屋が建築された日から取得の日までの期間が20年(耐火建築物については25年)以内であること。
  • ロ)地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるもの(耐震基準)に適合する建物であること。
  • ハ)イ又はロの要件に当てはまらない家屋で、その家屋の取得の日までに耐震改修を行うことについての申請をし、かつ、居住の用に供した日までにその耐震改修により家屋が耐震基準に適合することにつき証明がされたものであること。
  • その家屋の購入時において自己と生計を一にし、その購入後においても引き続き自己と生計を一ににしている親族等から購入したものでないこと。

詳しくはこちらをご一読ください。

https://jutakuloan-muryousoudan.com/words/tax/

私が通っている美容師さんが最近新築マンションを買われたらしいのですが、隣の部屋がまさに内法面積48平米という部屋で住宅ローン控除が受けられないお部屋だったそうです。

入居後、すぐ転売に出されていると言ってました。なかなか厳しいと思います。

都市計画区域について

都市計画区域は、無秩序な市街化を防止し計画的な市街化を図るため、必要に応じて、「市街化区域」及び「市街化調整区域」に区分(線引き)し、さらに市街化を誘導する市街化区域等については、用途地域を はじめとする地域地区等を定めています。

  • 市街化調整区域内でない=市街化を抑制する区域(簡単にいえば、建物をあまり建てさせない区域)でないことです。
  • 市街化調整区域でなく、都市計画区域内である=どんどん建物を建ててもいい区域にあるということです。

間違えやすいのが、準都市計画区域は都市計画区域外にあるということです。例えば、 「高速道路のインターチェンジの周辺」、「幹線道路の沿道」などが準都市計画区域として指定されます。

そういうところに建てる家については、住宅ローンが借りられないということになります。

セカンドハウスで住宅ローンは利用できない?

住宅ローンは国の政策的に普通の借入よりも格段に金利が安く設定されています。例えば住宅ローンで借りてアパートを買って賃貸にすれば…?なんて考える人もいますが、そういうのはダメです。そもそも2.の条件で撥ねられてしまいますね。

さらに、自分が住む場合でも別荘やセカンドハウスについても住宅ローンを利用することが出来ないという銀行が殆どです。

住む家は普通一つでしょ。

ということです。

しかし、フラット35についてはセカンドハウスでも住宅ローンを借りることが出来ます!ただ、下記の制約があるので十分注意が必要です。

  • 賃貸するための住宅には利用できない。
  • 機構財形住宅融資との併用はできない。
  • 住宅ローン控除は受けられない。
  • 金融機関によっては取り扱っていない場合がある。

既存不適格物件に注意

建築基準法の改正や用途地域の見直し等による不可抗力はもちろん、増改築を行ったことで容積率・建蔽(けんぺい)率オーバーとなった中古物件はかなりの数存在します。

こういう物件を既存不適格物件と言います。

建築基準法に違反しているということは、重要事項説明として伝える必要がありますので、このこと自体は隠される心配はありません。しかし、それ以前に手付など払ってしまうと?返ってきませんよ。

もちろん、一般的な住宅ローンは利用できません。

ただし、金融機関によっては独自の基準をもうけ、一定範囲内の違反建築物であれば融資を行う場合もあります。もしも、購入を検討している物件が建築基準法に違反しているようであれば、事前に金融機関へ相談してみましょう。

しかし、当然審査は厳しくなります。普通であれば融資できる枠が少なくなってしまったり、適用される金利が高くなってしまうというのは避けられないでしょう。

格安物件にそういうものが多いです。安かろう悪かろうですね。ただ、それは住宅ローンの経済面において不利ということですから、その建物自体が悪いとは限らないのです。場合によっては、それを分かった上で、購入するという選択もあり得るでしょう。

また、建て替えを前提として購入する場合は、それによって床面積が小さくなることや接道によって、出来る工事に制約が生じることもありますので、十分なリサーチが必要です。

知ってて購入するか、知らずに購入するか、両者の間には天と地との開きがあります。

 

保証料が高い!繰上げ返済しても返金されない

今、ちょっと調べていることではあるんですけど、保証料は結構高いですね。保証料には大きく分けて、一括前払い型と金利上乗せ型の2類型があります。

  • 一括前払い型:文字通り、保証料を一括前払いする方法です。
  • 金利上乗せ型:利息のように元本に対して一定の保証料率(0.2%がベースになることが多い)を支払う方法です。

ベールに包まれたその実態

保証料がかかることは、みんな何となく聞いて知ってはいるんですが、それがどのように計算されているのか?一括返済したら返ってくるのか?については良く知らないんですね。

なんか知らんが、コレだけかかるそうだ。というのが下記の表です。

【元利均等返済の場合】借入金額1,000万円あたりの借入期間別保証料の目安

年数 保証料 年数 保証料 年数 保証料
1 10,160円 13 106,870円 25 172,590円
2 19,410円 14 113,460円 26 176,670円
3 28,440円 15 119,820円 27 180,610円
4 37,240円 16 125,950円 28 184,370円
5 45,790円 17 131,890円 29 187,990円
6 54,270円 18 137,570円 30 191,350円
7 62,400円 19 143,070円 31 194,610円
8 70,310円 20 148,350円 32 197,660円
9 77,980円 21 154,200円 33 200,720円
10 85,450円 22 159,060円 34 203,480円
11 93,020円 23 163,780円 35 206,110円
12 100,060円 24 168,260円  

上記のような一括前払いの場合は、借換などの時に使わなかった部分が返金されることがあります。実際に当サイトに提供された情報によると、下記の例(三井住友銀行)で44万3千円返金されていますね。

  • ローン残高:3,900万円
  • 残り期間:27年3カ月

三井住友銀行、三井住友信託銀行の住宅ローンの保証会社は通常なら三井住友トラスト保証株式会社です。別会社ということもあって、銀行の担当者も書類のやりとりをするくらいで、その細かな決まりについては「知らない」ということが多いようです。

つまり、

  • なんか知らんが、一括返済したらけっこう返金されたor全然返金されなかった。
  • なんか知らんが、一部繰上げ返済したら返金されたor全く返金されなかった。

こういうケースが色々あるようなんですね。

当サイトでは、10年固定など、当初10年の金利が1%を下回る場合は積極的に借入残高を多くすることを推奨していますけど…

  • 一括返済や一部繰上げ返済で返金される保証料が無いとか
  • 一括返済や一部繰上げ返済で返金される保証料が著しく少ないとか

こういったケースについては、当初の借入はある程度抑えておいた方が、トータルで有利だという結果になりますよね。

なお、三井住友信託銀行の10年固定金利0.5%では、まだ残高が多い方が有利ですが、もう少し金利が高くなると、その関係が逆転することがあるでしょう。

これはまさに千日の誤算でした。

これについては、今後リサーチしてブログと固定ページの税金のセオリーに反映させていきます。

以上、参考になりましたら幸いです。