良い提携ローンと悪い提携ローンの見分け方

2017年10月26日

メリットの無い提携ローンで高いローン代行手数料を払ってはいけない

提携ローンって聞いたことあると思います。不動産会社と住宅ローンを取り扱う銀行が提携していて、利用者にもある程度のメリットがあることが普通です。

例えば、こういうメリットです。

  • 金利が通常より優遇されることがあります。
  • 審査のスピードが速く、審査に通りやすいです。(提携銀行で審査に通らないようであれば、他でも通らないといわれます)

多くの提携ローンの金融機関は不動産会社のメインバンクであることが多く、金融機関にとって我々はお客様のお客様というわけです。

これに対して、メリットの無い提携ローンというのもあります。

  • 10万円を超す高額な手数料を請求する(自分でやれば0円ですし普通は自分でやります)。
  • 提携銀行の金利が相場より高い、又は相場と同じ(何の為に提携してるの?)。
  • 提携銀行以外を使うと手付放棄になると言われる(んなアホな)。

こういうのは、提携ローンというよりも不動産会社が手数料を上乗せして利益を取るための「方便」です。大抵は、ローン取扱手数料などと称して、10万円位請求してきます。

悪徳業者の高額なローン取扱手数料の例
悪徳業者の高額なローン取扱手数料の例

今日は中古マンション購入のケースと、新築マンションでのケースを2本立てでご紹介しましょう。

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相談:30万以上のローン代行手数料…!不信感が募ります

おはようございます。初めまして。

いつも千日さんのブログを楽しく拝見しております!

コメントを何度か入力しようとしたのですが、なぜか弾かれてしまったのでメールさせて頂きました。

早速なのですが、今月の初めの土曜日にオープンハウスに行き、翌日にはその中古マンションを購入することになり、売買契約を結びました。

住宅ローンについては不動産屋を通せば金利優遇しますので書類揃えて下さいと言われたものの、自分で仮審査をいくつか申し込み納得のいく金利であったため不動産屋に伝えました。

すると、提携外の銀行でローン組む場合は書類等を作り直さないといけないし、手付金も一度放棄することになりますと言われました。

ちなみに売買契約書等には都市銀行としか書かれていなかったので、本当に書類を作り直さなければならなかったのか疑問です。ただ、ローン代行手数料として30万以上の高額な金額は明記されていました。

そして、仕方なく提携銀行の審査を受けたら、仮審査を受けていた銀行より高い金利で、とても優遇されてるとは思えない結果でした。

11月30日の引き渡しにしたかったので涙を飲んで昨日ハンコを押しましたが、実際にこんなことってあるのでしょうか?
今更もうどうにもならないのはわかっていますが、事実だけでも知りたいです。

もしご存知でしたら、教えて下さい。

よろしくお願い致します。

回答:典型的な悪徳業者です!

いつも読んで頂きありがとうございます。

お急ぎですね。早速お答えします。

契約書や申込書にどのように書いてあるにせよ、絵に描いたような悪徳業者です。涙を飲んでハンコを押すというのは、みすみす彼らに『カモだ』と認定させる行為です。

引渡し後も隠れた問題が噴出し、最終的には買った値段よりもかなり低い値段でその業者が買い戻す。そしてその業者はまた次のカモを探す。その繰り返しです。

私なら手付を放棄してもその業者からは購入しません。住宅ローンを借りるのにもさらに費用がかかりますし、銀行との関係では一旦借りたら返さないといけなくなってしまいます。

住宅ローンは引渡しをしないと成立しません。今、手付を放棄すれば、住宅ローンの負債を負わずに済みますので、傷を最小限におさえられます。

しかし、出来れば手付も取り戻したいですね。

私よりも公的な機関に相談する事をお勧めします。

こちらは土日も電話での相談を受け付けています。

(公社)全国消費生活相談員協会 土曜日・日曜日電話相談

30日引渡しまで間がありませんので、まず電話をして相談される事をおすすめします。

返信:今回はどうしても気に入った物件なので契約続行を希望します

千日様

早速ご丁寧に回答頂きまして、ありがとうございます!

早速、教えて頂いた消費者センターに、何度も電話してみましたが、回線が混んでいるのかまったく繋がりませんでした…。

やはり千日さんから見ても悪徳業者なのですね。かなりショックです。

昨日はローンの申し込みをしに銀行に行ったのですが、不動産屋はオープンハウスがあって抜けられないとのことで、1人で30分以上電車に乗って遠い銀行まで行きました。

しかも収入印紙が必要だと前日の夜に伝えられ、どこで買えばいいのか聞くと渋々買って自宅までは持ってきてくれましたが、しっかりとその場で現金一万円を請求されました。

たまたま持っていたからよかったものの、なかったらどうするつもりだったのでしょう?

そう言えば、オープンハウスに行った時にいきなり申し込み金として一万円を払うように言われて、ビックリしたことを思い出しました。

でも値段もローン代行手数料等をプラスしても安い物件なのは確かです。

あとは30日に必要な現金がいくらになるのか、まだ連絡がないので心配です。銀行で聞いてみましたが、保証料しかわからないと言われました。

物件としては、初心者ながら半年以上前からずっと探し続けて、立地も間取りも気に入った物件なのであきらめたくないです。
なので、今回は腹をくくろうかなあと思っています。

長文で申し訳ありません。

アドバイス本当にありがとうございました!私のように高額のローン代行手数料をとられる被害者が増えないように、ブログでとりあげていただけたら嬉しいです。

千日による追記:この後何度かメールをやりとりしましたが、気にかかっていました。そうすると後日このメールが届きました。

千日様

先日は相談にのっていただいて、

ありがとうございました!

昨日、無事引き渡しが終わりました。

最後までいろいろ心配してましたが、特に何事もなかったので良かったです。

再度、物件を見に行ったら、カーテンレールがついてなかったのがショックでしたが(笑)

いろいろご心配いただいたので、ご報告まで。

どうもありがとうございました!

千日による追記:良かったですネ、ほんと。胸をなでおろしました。

相談:住宅ローンは大丈夫でしょうか?

はじめまして。

このような時間に大変申し訳ありません。

住宅ローンについて情報収集をするなかで、こちらのブログにたどりつき、藁をもつかむような気持で拝読させていただいています。

私は現在44歳、同い年の妻と7歳と4歳の子どもの4人家族です。

住宅購入を決意し、新築マンションの契約をしました。引き渡しは今年の4月上旬です。

モデルルームに出入りしているFPさんや銀行の方とローン金額(返済額)を相談したのですが、高くなりすぎてしまったかもしれないと今更ですが返済不安がよぎっています。

仮審査はSBIネット銀行、提携ローンの三菱東京UFJ銀行でいずれも変動で満額で通っています。

もともと変動で考えていたのですが、ここのとこ金利が上昇してきていることもあり、プランナーさんに10年固定はどうかと提案されたことがきっかけで、1月中であれば固定への変更も可能とのことで再検討しています。

三菱東京UFJの提携ローンは変動0.625%、10年1.25%、20年2.65%です。

収入は800万程度。貯金はほとんどないのですが、1,100万程度の相続予定があり、また私の副職を増やせば年間100万程度収入が上がる見込みがあります。

妻は子どもが大きくなれば将来的には働くと言っていますが、まだだいぶ先の話です。

それで、かなり難しいかもしれませんが、できれば65歳での完済を目指したいと考えています。

どのようなプランを組み、返済計画を立ててゆけばよいか、アドバイスを頂けたら大変有難いです。

勉強不足でまだまだ理解できていないことも多く、またブログをなかなか読み切ることができていない状況でのご相談で大変恐縮なのですが、検討できる時間が限られてきており、こちらで思い切ってご相談させて頂きました。

不足している情報がありましたら追ってご連絡させて頂きます。

何卒よろしくお願い申し上げます。

千日による追記:太字は千日が付けました。信用のあるご職業である割にあまりにも金利が高いので、「普通はもっと優遇金利があるはず」とお知らせして、不動産会社に確認してもらいました。下記はその返信です。

提携ローンについてですが、三菱東京UFJ銀行と住信SBIネット銀行以外にあるのか、それらしい書類がみあたらず現在ディベロッパーに問い合わせ中です住信SBIも提携ローンで利率は2.775%(変動金利―短プラ連動)です。

割引の記載がありません。

重要事項説明書には住信SBIと三菱東京UFJ銀行のみが記載されているのですが、「提携金融機関はおそらく30行ちかくあるが、あなたにとって一番条件が良いのが住信SBIなので、住信SBIとオーソドックスな三菱東京UFJの記載があります」とのことでした。

千日様のおっしゃるように一律優遇を付与するタイプではないのかもしれません。

この点についても一応確認してみます。

回答:メリットの無い提携ローンです

さしあたり、現在頂いております状況でお答えして行きたいと思います。

この提携ローンについて全くメリットがありません

提携ローンについては、あまりこれ以上不動産会社を通して聞いても収穫は無いでしょう。あちらの都合で『早く決めろ』と言われるだけでこちらに全く利益はありません。

金融機関の審査基準では特に属性の高いご職業です。また新築マンションですから担保にも全く問題ありません。

従って、頭金ゼロでどの金融機関でも通るのは道理です。惜しむらくは、高い属性と担保を反映した優遇が受けられていない事です。

例えば三菱東京UFJの10年固定は1.25%とのことですが、三井住友信託銀行なら0.5%です。この金利タイプに関しては一般的ではなく最も高い部類の銀行です。

また、住信SBIは変動の基準金利が2.775%とのことですけど、金利タイプや優遇幅については何も説明が無い。

住信SBIの変動には2つのタイプがあります。

  • 通期引下げ型は借入期間にわたり金利優遇のあるタイプです。
  • 当初引下げ型は5年後に適用金利が1%以上上がることが確定している商品です。

いったいどちらが合う住宅ローンなんでしょう?提携銀行に適当に客をあてがっているだけです。

腹が立ちませんか?私ならはらわたが煮えくりかえります。不動産会社を通さず銀行選びをやり直します。4月ですからまだ十分間に合います。

返済計画について

銀行の審査に通るのと、返せるのとは別です。シミュレーションをされたと思いますが、『払えることは払えるけどそれだと貯蓄の余裕が無い』というのが感想ではないでしょうか。

65歳までに返済ということでしたら、せめて4,000万円まで借入を減らしておきたい所です。

収入が高く、遺産が入る見込みがありますので変動金利をベースに考えてみました。

(単位:円)

金利 月返済 10年後残高 税抜き年収の2倍
0.50% 103,834 29,276,276 13,000,000

4,000万円を0.5%35年で借りると月の元利均等返済額は103千円ですね。

25%を繰上げ返済専用に貯蓄しながら、通常の貯蓄も行えます。5年ルールと125%ルールがありますので、急激に金利が上がっても、支払い額が上がるペースは緩やかですから、遺産が入るまで持ち堪えることが可能です。

変動金利の場合には25%を貯蓄するという考え方について、詳しくはこちらをご一読ください。

金利タイプ選びのセオリー

もちろん35年は借りません。住宅ローン控除が終わるタイミングで一度繰上げ返済してその当時の税抜き年収の2倍位までにローン残高を減らせるだけの貯蓄をしておけばリスクを減らせるでしょう。

保守的に今と同水準とすると当初の10年間で繰上げ返済専用に年160万円位の貯蓄を行うことで可能となります。

10年後は54歳です。あと約10年ありますので、ざっくりですが、1年に年収の20%というリスクの量的なボリューム感です。

金利が上がっても抑え込めそうな量という感じですね。

以上、とりあえずではありますが、参考になりますでしょうか?

まとめ~提携ローンにご注意ください

後の方は、その後連絡が途絶えてしまいましたので、その後どうなったのか分からずじまいになってしまっております。

不動産業者の営業マンが海千山千というところもありますけど、やはり、ほころびはあります。不動産に関する経験が無い人でもなんか変だな?とかどこか違和感を感じられて、千日にご相談いただいているんだと思うのですよね。

マイホームの購入って「ここに決めます」と言ってしまえば、トントン拍子に進んでいきます。

くれぐれも、即決はダメですよ。もちろんここでご紹介した相談者は即決したわけではありませんけど、それでも相手の質が悪いと、長く住む家のことや、長い住宅ローンのことで多くの悩みを抱えなければならなくなります。

大事なことですからもう一度書きますね。悪い提携ローン、悪徳不動産業者の特徴です。

  • 10万円を超す高額なローン取扱手数料を請求する。
  • 提携銀行の金利が相場より高い、又は相場と同じ。
  • 提携銀行以外を使うと手付放棄になると言われる。

以上、参考になりましたら幸いです。