離婚による債務承継10年固定と20年固定のミックスローンのポイントとは?
唯一、千日がお勧めするミックスローンは10年固定と20年固定のミックス
ミックスローンは基本的に利用者が損をする又は大きなリスクを負うことになりますので、原則としてお勧めしていません。
特に変動金利と固定金利のミックスはお互いの良さをも相殺してしまいます。変動金利と当初固定も同じです、当初固定期間が何年であっても同じことです。
ただし例外が2つあります。
一つ目の例外はタイプの異なる2種類の収入がある人です。
- 変動金利の金利変動と連動するような収入
- 固定金利と同じく変動しない収入
この二つがあるんです。という方を除いては、です。
もう一つの例外は、10年固定と20年固定のミックスローンです。
ミックスローンってどんな組み合わせでも組むことが出来ます。10年固定と20年固定がその一つですね。あんまり知られたパターンではありませんので、その考え方を今回は詳しく説明したいと思います。
これってミックスじゃないでしょ?
初めにこう思った方は高いセンスの持ち主です。ミックスローンという銀行の商品で可能となる方法ではありますけど、本質的にはミックスではないのです。
相談:離婚による債務承継で住宅ローンを負うことになりました。10年固定と20年固定のミックスの考え方を教えてください
年末より色々参考にさせていただいております。
2月末に中古マンション取得に向けて、三井住友信託銀行の仮審査・団信審査も終わっている段階なのですが、ここしばらくの金利の動向に翻弄され、金利プランに悩んでいます。
年齢、年収、家の価格、住宅ローン、頭金
夫年齢 | 45 |
夫の年収(万円) | 不詳 |
妻年齢 | |
妻の年収(万円) | |
共働き世帯年収(万円) | |
家の価格(万円) | 2,830 |
住宅ローン(万円) | 2,830 |
頭金(万円) | 0 |
- 借入額:2,830万円
- 期間:31年
- 2o年固定金利の当初期間引下幅はフルで、仮審査で上記の承認を得ています。
年数や金額について、実は離婚による債務承継ということで、私の年収等に関係なく、上限が決められてしまっているのです。年齢は45です。
また、団信にはがん保障を付ける予定で、いずれの金利に対しても+0.2%上乗せ予定です。
一応、20年固定でシミュレーションして、31年ローンを組み、10年経過後に貯蓄できた分を数百万ずつ繰り上げ返済していき、極力20年に近い期間に短縮していこうと考えていたのですが、お勧めのミックスローンのシミュレーション-千日のブログを見て、そういう方法もあるのかと驚きました。
20年固定と10年固定をミックスするとして、半々がいいのかどちらかを増やすべきか、割合はどう決めていけばいいのでしょうか。
考え方を教えていただけると助かります。
回答:10年固定を確実に10年目に完済し、20年固定は元本を安全圏にすることです
まずは、下のグラフを見てください。
- 紺と黄色が10年固定の支払利息の推移です。
- 水色と赤が20年固定の支払利息の推移です。
- 紺と水色は当初の固定期間の利息を意味します。その間、金利が上がることはなく、固定されています。
- 黄色と赤は当初の固定期間の終了後の利息を意味します。急激に上がっているのは優遇金利が減ることが分かっている分だけ増やしているからです。
10年固定を固定期間終了後に一括繰上げ返済すれば黄色い折れ線グラフで表した多額の利息は発生しません。
20年固定の固定期間終了後は、元本もかなり減っていますから少々金利が上がっても影響は小さいですね(赤い折れ線グラフ)。
その時の金利が高ければ20年固定も一括返済しちゃっても良いですね。
つまり、当初固定金利の低さというのを利用し、当初固定期間が終わった瞬間に一括返済してしまう方法です。
- 当初10年の固定期間が終わった瞬間に一括返済してしまえば、金利変動リスクは無い。
- 当初20年の固定期間が終わったところで、元本が安全圏まで減っていれば、少々金利が上がっていても怖くない。
こういうことですね。上記の太字にしたところがポイントです。
当初10年のタスクは一括返済です。これが出来ない金額を設定してはいけません。
当初20年のタスクは元本を安全圏まで減らすことです。当初10年で楽をするために当初20年の方を大きくしてしまうと、20年後に元本が安全圏にならないのです。
割合は半々にするのがベスト
上記の10年固定と20年固定のポイントを見ると、どうですか?あちらが立てばこちらが立たず状態ですよね。つまり、最初が厳しいと後が楽になる。最初で楽をすると後が厳しくなるということです。
ということは、10年固定と20年固定の割合は半々がベストということです。
ご相談者のケースで実際にどうなるか、やってみましょう。
まず条件は2017年1月の三井住友信託銀行の10年固定0.5%と20年固定の0.95%で行います。
(単位:円)
金利タイプ | 月支払 | 固定期間後残高 |
---|---|---|
当初10年0.5% | 41,070 | 9,822,772 |
当初20年0.95% | 43,928 | 5,503,760 |
合計 | 84,998 | 15,326,532 |
いかがでしょうか。当初の10年間は8万4千円が支払い義務となり、10年後に980万円を一括返済できるだけの、貯蓄を貯めればよいですね。この貯蓄は純粋に繰上げ返済のための貯蓄です。それとは別にちゃんと老後資金は貯めておくのです。
そして11年目からは当初20年の4万3千円だけが支払い義務となり、20年後の残高は550万円となります。高級車1台分位の金額まで減らせるということです。今の時点では、一括返済しなければならないと決まったわけではありません。
相談者のケースでは団信にがん保障を付けるということですので一律0.2%加算した例も作りました。
(単位:円)
金利タイプ | 月支払 | 固定期間後残高 |
---|---|---|
当初10年0.7% | 42,325 | 9,916,293 |
当初20年1.15% | 45,238 | 5,606,624 |
合計 | 87,563 | 15,522,918 |
そんなにビックリするほどの差はないですね。何故かというと、短期間で一括返済するからです。
ゼロからスタートするとして、10年で約1千万円の貯金をするには月平均で83,333円の貯金が必要です。
イメージとしては、
毎月の支払額と同額の貯金をしていく。又は、ボーナスには一切手を付けずに貯金していくということで可能になるかと思います。
ボーナス払いにするよりは、このようにボーナスを一括返済用資金として貯蓄しておく方がリスクには強いですよ。
試しに10年固定と20年固定を1:3の割合にしてやってみましょうか。
(単位:円)
金利タイプ | 元本 | 月支払 | 固定期間後残高 |
---|---|---|---|
当初10年0.7% | 7,075千円 | 21,162 | 4,958,147 |
当初20年1.15% | 21,225千円 | 67,857 | 8,409,936 |
合計 | 28,300千円 | 89,019 | 13,368,083 |
いかがでしょうか。当初の月の返済は大して減りません。ほぼおんなじです10年固定が減った分、20年固定の元本が増えるからです。ただ10年後の一括返済は楽になります。500万ですから約半分です。
その一方で20年固定の方はしんどくなりますよね。約1.5倍位の負担となります。
基本は半分半分として、そこから少しずつ割合を変えて、
- 月の支払額がいくらになるか。
- 各当初の固定期間経過後の残高はいくらになるか。
リスクを測定するのがやり方です。これの良いところは、当初固定の金利が固定されているので、不確定要素は自分の収入と貯金能力だけだというところです。
読めない金融情勢についてあれやこれやと考える必要がありません。自分のやることをやっていれば大丈夫。そういうプランになります。
注意点としてネット銀行で借りると借入後の一括返済・借換は損って知ってました?にあるように、ネット銀行でこの10年固定と20年固定のミックスを行うと、融資手数料を損してしまうので注意が必要です。必ず、あわせてお読みください。