都銀を凌ぐ低金利の伊予銀行の住宅ローンはどうか?
住宅ローンは都銀だけでなく地銀にも注目しましょう
最近、様々な方から住宅ローンのご相談を受けてて分かってきたのですが、都銀よりも低金利で住宅ローンを貸す地銀というのが、結構存在するみたいなんです。
私の住んでいる地域の地銀の住宅ローンは金利の面で、都銀に及ばない感じなので感覚的には低金利で借りれるのは都銀で審査に通る安定収入のある人だけというイメージだったんですけど、どうやらそうでも無さそうなんですよね。
今日は四国地方にお住まいの方からのご相談です。実は千日、今ちょうど四国に出張中なんです。
地銀ってその地域に住んでいる人やその地域で家を買う人しか利用できないんでしょ?
イヤいやいや、そんなこと無いですよ。
どこに住んでようが、どこの物件だろうが、住宅ローンを売るのが銀行です。まあ日本国内っていう条件はあるでしょうけど。
では、始めます。
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相談:伊予銀行の条件が飛び抜けて良いんですけど何とか競合できないですか?
千日様
はじめまして。最近になって千日さんのブログを知り,勉強させていただいております。
参考となる情報をいつもありがとうございます。
金利等の交渉(新規借り入れの場合)について,どのように行えばよいか,ご教示いただけないでしょうか。
年齢、年収、共働き世帯年収、家の価格、住宅ローン、頭金
夫年齢 | 35 |
夫の年収(万円) | 550 |
妻年齢 | 35 |
妻の年収(万円) | 570 |
共働き世帯年収(万円) | 1,120 |
家の価格(万円) | 3,480 |
住宅ローン(万円) | 3,000 |
頭金(万円) | 480 |
- 夫 公務員 年収550万(手取り月収25万) 貯金900万
- 妻 会社員 年収570万(手取り月収28万)
- 注文住宅(親所有の土地を使用、建物のみで3,480万円)
- 平成29年末頃完成予定(今年の夏ころ着工予定)
- 借入予定額 3,000万(私の単独債務,借入期間35年,元利均等返済)
- 頭金として,私の貯金から500万支出予定ですので,貯金残額が400万となります
- ネット銀行は考えていません
- つなぎ融資又は分割融資が必要です
- 固定金利を検討しています
現在,地銀3行(事前審査中)の全期間固定金利(保証料は3行とも金利上乗せ0.2%としています)を検討しています(工務店提携ローンではありません)。
伊予銀行の段階金利Bプラン
- 当初10年間0.76% , 11年目以降1.10%
- 融資手数料 融資額×2.0%
- 毎月返済額 当初10年84,127円 、 11年目以降87,614円
- 総支払額 36,979,279円(繰り上げ返済無しの場合)
地銀Aの35年固定
- 全期間1.20%
- 融資手数料 54,000円(定額)
- 毎月返済額 90,392円
- 総支払額 38,018,848円(繰り上げ返済無しの場合)
- その他 がん団信が金利上乗せなし(ローン残高が1/2となる)格付けが他2行に比べて低い
地銀Bの35年固定
- 全期間1.20%
- 融資手数料 融資額×2.16% , 保証料 金利上乗せ0.2%
- 毎月返済額 90,392円
- 総支払額 38,612,848円(繰り上げ返済無しの場合)
この場合,伊予銀行が一番有利な条件ですので,A銀行及びB銀行に頑張ってもらい,理想としては3行を競争させたいのですが,結果として,伊予銀行より条件が悪かった場合,本命となった伊予銀行に対しては,どのように金利等の交渉をすれば良いでしょうか?
そもそも,条件が均衡する相手がいない時点で,伊予銀行には交渉自体するべきではないのでしょうか?
それとも,無理やり条件が均衡する三井住友信託銀行(つなぎ融資や分割融資ができないので,候補外であることに加え,都銀となりますがやむを得ず・・)を引き合いに出しても良いものなのでしょうか?
三井住友信託銀行 30年固定プラン
- 当初30年間1.0% , 31年目以降2.45%
- 手数料 32,400円(定額)
- 毎月返済額 当初30年87,510円 , 11年目以降90,739円
- 総支払額 36,980,339円(繰り上げ返済無しの場合)
※伊予銀行との金利交渉に当たり,事前に三井住友信託銀行の本審査を受け,金利引き下げ交渉を行っておく。けれど,この場合,もし本命の伊予銀行に断られると気まずそうです・・
大変お忙しいところ恐縮ですが,よろしくお願いいたします。
回答:伊予銀行と競合できる地銀も都銀も私の知る限りありません
ご相談ありがとうございます。折しも出張で四国に到着したところで、このメールを見ておりまして、運命のようなものを感じております^_^
私見から結論から申しますと、お示し頂いた金融機関の中で、伊予銀行と競合出来る銀行は無いですね。
当初10年が1%を切る上に11年目以降も1.1%と低金利で確定する
元利均等返済額の合計ももちろんですが、当初10年の金利という面で1%を切るというのは、住宅ローン控除との関係で、他行と埋まらない差が生じています。
こちらをご一読ください。
https://jutakuloan-muryousoudan.com/theory-jutakuloan/tax/
- 保証料込みで1%を下回る場合は、ローン残高が多いほど得になります。
- 保証料込みで1%を超える場合はローン残高が少ない方が得になります。
つまり、保証料込みで当初10年の金利が1%を切るのは伊予銀行だけなんですね。
千日による追記:
当初10年固定で伊予銀行の0.76%よりも安い金利の住宅ローンは他にもあります。しかし、この期間後の金利が1.1%に固定されている銀行は他に知りません。
但し、全く方法が無い訳ではありません。もうお読みかも知れませんが、10年固定と20年固定のミックスで三井住友信託銀行を利用する場合です。
三井住友信託の10年固定と20年固定のミックスローンで競合できる?
2017年1月時点の最優遇金利は以下のようになってます。
- 当初10年0.5%
- 当初20年0.95%
それぞれ半々ずつの借入残高で融資を実行すれば、当初の10年は0.725%の金利が適用されたような感じになりますね。
そして11年目から20年は0.95%です。
千日による追記:
当サイトの「ミックスローン」普通のミックスローンではありません。下記のスキームです。
紺と黄色が10年固定の支払利息の推移です。
水色と赤が20年固定の支払利息の推移です。
紺と水色は当初の固定期間の利息を意味します。その間、金利が上がることはなく、固定されています。
黄色と赤は当初の固定期間の終了後の利息を意味します。急激に上がっているのは優遇金利が減ることが分かっている分だけ増やしているからです。
10年固定を固定期間終了後に一括繰上げ返済すれば黄色い折れ線グラフで表した多額の利息は発生しません。
20年固定の固定期間終了後は、元本もかなり減っていますから少々金利が上がっても影響は小さいですね(赤い折れ線グラフ)。
その時の金利が高ければ20年固定も一括返済しちゃっても良いですね。
つまり、当初固定金利の低さというのを利用し、当初固定期間が終わった瞬間に一括返済してしまう方法です。
但し伊予銀行との比較では以下のデメリットがあります。
- お示しの条件からすると、つなぎ融資が出来ないようです。
- 融資実行時の金利適用になるので建物完成までの金利変動リスクを負います。
- 10年後に必ず繰上げ返済しなくてはならないです。
かなり前提が異なって来ますし、繰上げ返済が前提になりますので、銀行としては良い顔はしない感じですよね。
なぜこれほどまでの条件の差があるのか?
考えられることは色々ありますが、競合させて他行が乗ってこれるレベルを遥かに超えています。
全く伊予銀行の肩を持つ気はありませんけど、私のような第三者の立場から見ても破格の条件です。競合は難しいと思います。
まとめ~融資申し込み時点の金利と実行時の低い方を選べる地銀のメリット
いかがでしたでしょうか。都銀の住宅ローンがすでに決まっていて、引渡しは来月、再来月という方もおられると思います。
地銀の多くは、融資申し込み時点の金利と実行時の金利の低い方で住宅ローンを借りられるところが多いです。
こちら過去記事にも書きましたが、そういう銀行は申し込み日から実行日までの金利変動リスクを銀行側で負ってくれているわけです。都銀でそういう銀行は、ほぼ皆無ですね。
金利上昇時に必見!申込日や契約日の金利を選べる住宅ローンもある
この伊予銀行もそうですが、地銀に多いのです。
都銀だけではありません。もう少し視野を広くとれば、思わぬ住宅ローン商品があるものです。トランプ大統領の就任後の金利変動リスクを少しでもヘッジする観点から、地銀にも目を向けてみることをお勧めします。