共働きなら誰もが一度は考えるペアローンのメリットデメリット

2017年10月26日

住宅ローン控除の上限が上がるメリットと連帯保証のデメリットを冷静に比較しましょう

共働き夫婦で住宅ローンを組むときに、一度は必ず考えるのが「ペアローン」によって住宅ローン控除の上限を上げる方法です。

住宅ローン控除には2つの上限があります。

  • 借入額による上限:年末の借入残高の1%を上限とする(制度上の上限は40万円又は50万円)
  • 収入による上限:その年度の所得税と翌年の住民税の一部を上限とする(払った税金以上は控除されない)

詳しくは

税金のセオリー

をご一読ください。

一つ目の上限よりも、二つ目の上限に引っかかって、住宅ローン控除が満額受けられないというケースがあるのです。

そうした場合、夫婦合わせて住宅ローンを組めば、夫婦それぞれの税金から控除できますので、住宅ローン控除を満額受けられるということですね。

これは、メリットですが一方で夫婦合わせて住宅ローンを組む場合には、『連帯保証』というデメリット(リスク)を漏れなく負うことになります。

夫婦それぞれが、住宅ローンの全額について等しく責任を負うというものです。

一般的に、このパターンで過重なリスクを負うのは、出産という身体的リスクをも負っている妻の方です。

そして、『誰が住宅ローンの責任を負うのか』という点は、『家を買うのかどうか』と同じくらい根本的な部分ですのでこの部分を決めずに頭金や住宅ローンの金利タイプについて検討しても、なかなか結論が出ないのですよね。

では、今日の相談者です。

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相談:仕事にも出産にも意欲的な妻と共働きでの住宅ローンの決め方について

お世話になります。

住宅購入にあたり、住宅ローンの検討を進めていくうちに貴ブログを見つけ、参考にさせていただいております。

この度は具体的なプランについてご相談したく、ご連絡差し上げました。

前提となる条件は下記のとおりです。

【年  齢】 30
【勤続年数】 6年
【雇用形態】 正社員
【年  収】 600万
【世帯収入】 1,100万(妻は9月に産休に入る予定。半年~1年で復職するつもりです)
【家族構成】 妻(9月出産予定)
【所有資産・貯蓄】 預金1,600万 投信200万
【物件金額+諸費用】 4,600万+250万の新築マンション
【自己資金(頭金・諸費用)】 800~1,300万
【借り入れ予定金額】 3,500~4,000万
【金利種類】35年
【ローン実行時期】2017年4月

頭金500万の条件で、みずほ銀行、三菱UFJ信託、三井住友信託、住信SBI、じぶん銀行の事前審査を通しています。みずほ、三菱UFJ信託、三井住友信託は不動産会社の提携ローンです。

当初不動産営業の方に勧められるまま、借り入れ当初の金利の安さのみで変動金利で審査を進めていたのですが、自分なりに検討を進めていくうちに下記の件について悩み始めてしまい、ローン選択に迷ってしまいました。私に合ったプランについて、アドバイスいただけますでしょうか?

迷っているポイントは下記のとおりです。

金利タイプはなにを選ぶのが良いか

はじめは変動金利の当初金利の安さに魅力を感じていましたが、何分35年と長い期間のローンのため、当初金利は高くても固定金利で組んで返済計画を立てやすくする方がいいのでは、、、今後は金利上昇していくという意見が大半かと思いますが、どの程度上昇するかは全く分からずどれを選べばよいのか迷ってしまっています。

ペアローンにして住宅ローン控除を有効利用すべきか

私の年収は600万円のため、4000万円のローンを組んでも住宅ローン控除をフルで受けることができません。

妻は早期に復職し、バリバリ働く意思を持っているためペアローンも視野に入れています。

頭金を多めに入れて私のみでローンを組むのが良いのか、4000万円を下回る金額まではあえて頭金を入れず、妻との合わせ技で住宅ローン控除をフル活用し、控除の切れる10年後に当初入れる予定だった頭金を用いて繰り上げ返済をするのがよいか、迷っています。

今後10年の住み替えの可能性は半分半分

今回購入するマンションの地域に永住する予定は今のところなく、またマンションに住み続ける予定は半々くらいという結論になったのですが、このような場合は10年固定がいいのでしょうか?

回答①:まずはペアローンにするか否かをメリットとデメリットを正確に把握して決めるところから始めましょう

ではお答えしていきます。

住宅ローンの金利タイプと頭金(借入額)についてのご相談ですね。こうして客観的に見てみると、ほぼ全部といった感じです。

なぜこうなるのか?

私なりに考えた原因は、一番基礎になる部分が固まっていないからだと思っています。

最後の方に少し触れられている、債務者を単独にするかペアローンにするかです。

重要なことを決める場合、まず大きな方針から決めて、徐々に細部に行きますよね。

今回のケースで、その順番を箇条書きしてみました。

  1. 単独ローンにするかペアローンにするか
  2. 住宅ローンの金額(頭金と借入額)
  3. 金利タイプ

この順番です。

ペアローンのメリットとデメリットを比較する方法

ペアローンは住宅ローン控除のために、便宜上そうする。というのは悪しき法則だと思っています。メリットだけで連帯保証のリスクがクローズアップされていません。

連帯保証のリスクについては、ペアローン、収入合算、クロスサポートのメリットデメリット-千日のブログをご一読ください。基本的に出産のリスクを抱えた妻側にとって過重なリスク配分になるのです。

住宅ローン控除の計算では、ペアローンの額だけ借入があるという計算になります。

しかし、

  • 実態としては、住宅ローン全額の連帯債務を負っています。
  • なのに、主張できる住宅の所有権は持分割合だけです。

あとすこし住宅ローン控除が足りないので1割だけ妻でペアローンを組む場合、妻は住宅の所有権を1割主張できますが、住宅ローンの債務については10割の連帯債務を負うことになります。

今の前提で、夫単独と妻とのペアローンでの比較をしてみました。

住宅ローン控除の恩恵を最大に得られる(当初10年の金利が低く固定されている)10年固定0.5%での当初10年間での比較です。

  • 借入額4,000万円
  • 35年元利均等返済、ボーナス払いなし
  • 夫のみの住宅ローン控除の最大は34万1千円

(単位:円)

10年固定0.5% 単独ローン ペアローン
元利均等返済 103,834 103,834
10年利息 1,736,374 1,736,374
住宅ローン控除 3,291,532 3,441,477
差引費用 -1,555,157 -1,705,103
10年後残高 29,276,276

単独ローンの場合の差引費用は-155万円、ペアローンでは-170万円、10年でその差は約15万円です。

つまり、年間で平均すると1万5千円の費用削減効果がそのメリットです。

これに対してデメリットは、出産を控えた妻が4,000万円の住宅ローンに対して夫と連帯して35年間にわたり全額の責任を負うことですね。

ペアローンを使わず住宅ローン控除の恩恵を増やす方法

至ってシンプルな方法です。

今後夫の年収が上がればいいのです。年収が700万円になれば、ほぼ年間40万円の住宅ローン控除を受けられる計算です。

あくまでザックリ計算ですので、お子さんが増えて扶養家族が増えると税金は減ります。しかし、年収や扶養家族の数は今後の10年間でいかようにも増えることなんですよね。

今の状況で住宅ローン控除にマッチする債務の割合は今後10年の変化によってマッチしなくなる可能性は高いです。

ならば、将来の状況にマッチするように今の住宅ローンを計画すればいいですね。

そうなると、千日の答えは夫の単独ローンという結論になります。

仕事上でもう一つステージを上げれば、収入が増えると同時に住宅ローン控除の戻りも増えるんですから、まさに良いことづくしなのです。

住宅ローンの金額(借入額と頭金)

最低限残すべき貯金については、以下の相談例が参考になると思います。

家を買うときに残すべき貯金の最低額はいくら?

今、仮審査を通されている金額で良いと思いますよ。

回答②:金利タイプは今後10年のライフスタイルの変化による

大きな方針として、今後10年で住み替えの可能性があるかどうか?で決めます。

現時点で住み替えの可能性が半々と思われる場合の方針の立て方についてお話します。

購入時点で住み替えの可能性が半々という事は、かなり住み替えの可能性は高いと見て良いと思います。

特に、購入する地域について漠然と『ここは今の所便利だけど、ずっと住む場所ではない』と考えているというのは、永住よりも、売却時の価値や売却しやすさも考えて選ばれているのですよね。

ただ、住めば都という言葉もある通り、意外に住み心地が良く結果として永住する事になる可能性も否定出来ない、という事でしょう。

ならば、10年固定か変動金利かという2択になるかと思います。

金利は似通っていますが、タイプが全然違いますね。

  • 10年固定は残高重視です。
  • 変動金利は元利均等返済額重視です。

10年固定を選ぶケース

以下の2つに当てはまるならば、10年固定が適しています。

  1. 10年以内という期間で確実に住み替えがある。
  2. 10年後の残高(29百万円)にストレスを感じない。

ポイントは、10年後までに確実に何らかのアクション(住み替えか、まとまった金額の繰上げ返済か、借りかえor金利交渉)をしなければ、最初から変動で借りた方が得だったという結果になることです。

借り換えor金利交渉は、その時の金利情勢とご自身の信用力の程度に依存します。

しかしくれぐれも、10年後の金利情勢を見越して決めようとしてはいけません。それは自分にコントロールできることでは無いからです。

  • 10年後の残高をどれだけ減らせるか。(繰上げ返済資金を貯蓄できるか)
  • 10年後の自分の収入がどれだけ上がっているか。

これを軸に決めます。

10年固定の借り方と返済の考え方については10年固定で10年後の金利動向に左右されない返済方法を教えます-千日のブログが参考になると思います。

変動金利を選ぶケース

以下の2つに当てはまるならば変動金利が適しています。

  1. いつかは住み替えるとしても、その時期は全く白紙である。
  2. 10年後の残高(29百万円)にストレスを感じる。

5年ルール(5年は元利均等返済額を据え置く)と125%ルール(一度に上がる元利均等返済額は125%まで)がありますので、金利の上昇に伴う支払い額の上昇に関するリスクは抑えられています。

金利が上がったときのために対応できる貯蓄(支払いの25%)を維持しながらの返済で金利上昇リスクに備える方法です。

変動金利の借り方と返済の考え方についてはこちらが参考になると思います。

金利タイプ選びのセオリー

このあたりをポイントにして考えてみてくださいね。

以上、参考になれば幸いです。