40代で購入する6千万超の中古億ションの住宅ローンは完済できますか?
築年数の割に高いけど魅力的な中古億ションの住宅ローン返済計画
好立地はもちろんのこと、堅牢な構造、豊かな間取りの高級分譲マンション(億ション)は、その機能性・利便性とステータスで都心の住まいとして皆の憧れの的ですよね。
億ションと言われる高級分譲マンションは、その価格を反映して立地も良く、大手のデベロッパーが手掛けているのでブランド価値があり、築年数が進んでもなかなか値崩れしないのが特徴です。
1億を超える物件はなかなかサラリーマンには手が出ませんけど、ある程度の年数が経過すると何とか手の届く範囲に来るものも出てきているのですよね。
1994年~2002年にかけての第6次マンションブーム(バブル崩壊、地価下落、都心回帰現象、大規模化、超高層化、高機能・高付加価値・高安全化)に建築された大規模、超高層マンションがそうです。
長期にわたり地価が下落が起き、都心回帰現象が発生し、マンションの大規模化、超高層化の始まりでした。
今日は、そんな時代に建築された高級分譲マンションを購入された方からのご質問です。モノは間違いなく良いのですが、その分やはり高いのには違いないです。
相談:中古の高級分譲マンションの住宅ローンは固定か変動か?
はじめまして。ブログを拝読しぜひアドバイスいただきたくメール差し上げます。
中古物件の購入を決め既に手付金を支払い、4月末の引き渡しに向けローンプラン確定直前といった状況です。
年齢、年収、共働き世帯年収、家の価格、住宅ローン
夫年齢 | 42 |
夫の年収(万円) | 1,100 |
妻年齢 | 不詳 |
妻の年収(万円) | 350 |
共働き世帯年収(万円) | 1,450 |
家の価格(万円) | 6,300 |
住宅ローン(万円) | 6,300 |
頭金(万円) | 0 |
築年数19年です。諸費用込みで約6,500万円に対し手付として200万円、残金の6,300万円をローンにする予定でおります。
残貯金は400万円ほどありますが、リフォームや引越しで100万円ほど使い、残りは頭金にせず残しておくつもりです。
夫単体で6,300万円のフルローンという条件で、三井住友・みずほは仮審査通過済みです。
4歳の子供がひとり。1〜2年以内にもうひとり増える可能性ありなので学資保険と、個人年金もやっていて、貯金は月9万円ですがここは変えたくないと考えています。
- 三井住友 変動0.625% 35年固定1.54%(0.24%優遇あり)
- みずほ 変動0.625% 35年固定1.11%(3/20本申込まで)
- より金利の安いネット銀行の仮審査も通すか検討中
固定か変動か、10年後に売却か、やはり高すぎたか…?
気に入っている街なので出来れば長く住みたい気もしつつ、10年経ってもその考えが変わらないとも言えず、一生住むつもりで35年固定で借りるか、住宅ローン控除が終わる10年後に手放すつもりで変動で借りるかなど、いまだに悩んでおります。
固定の場合は月の返済額の負担が大きく定年までに完済できるか不安があり、変動で借りた場合に返済額の25%の貯金は出来ると思っていますがやはり金利上昇の不安はあり、また10年後に売ったとしても年齢的に次またローンが組めるのかなども不安があり・・。
固定と変動のどちらが良いかなど比べられないとは理解しつつも、かなり背伸びをした借入だとは思っているので、(住み続けることを含め)手放す時期が全くの未定の場合にどういったローンプランでいくべきかなどアドバイスいただけますと有り難いです。
回答:売れるので完済しないという考え方もあります
ではお答えしていきますね。
築19年のマンションで6,300万円というのは、かなりの高級分譲マンションですね!売り出し時はいわゆるところの億ションだったのではないでしょうか?
通勤や生活にも便利で、家族4人(予定)で十分な広さがあり、お子さんにそれぞれ自室を与えてかつ夫婦の寝室、上手く使えばDEN(書斎)のスペースも出来る、なかなかに理想的な物件です。というのは、完全なる私の想像です(笑)が当たらずとも遠からずと思います。
変動か固定かというお悩みですね。既に色々なパターンでシミュレーションをされていると思います。また、みずほ銀行35年固定の3月金利1.11%が適用されるのは明日20日の本申込までということですが、ギリギリまで決めかねている理由は「最安とは言え決め手に欠ける」というところですね。
既にお読みかとは思いますが、こちらの千日メソッドに沿いながら、パーソナルな状況を加味して回答します。
変動金利と固定金利の比較は元利均等返済額で行う
住宅ローンの比較を行うときは、金利だけで比較するのではなく、実際に幾ら払うのか?「金額」で比較します。つまり月々の元利均等返済額です。
また、40歳を越えてから住宅ローンをスタートする場合は、定年が目視可能なところにありますので、定年時の残高にフォーカスします。残高ももちろん金額ですよね。
変動、固定どっちにするか?
今回挙げられている住宅ローンの商品の中から固定金利と変動金利を比較してみましょう。
【借入金額】6,300万円(フルローン)
【返済期間】35年
【返済方法】元利均等返済ボーナス払いなし
- みずほ銀行35年固定1.11%
- 三井住友銀行変動0.625%
(単位:円)
固定か変動か? | 毎月元利均等返済額 | 18年後60歳残高 | 23年後65歳残高 |
---|---|---|---|
みずほ35年固定1.11% | 181,088 | 33,651,597 | 24,404,014 |
三井住友変動0.625% | 167,043 | 32,320,880 | 23,168,460 |
みずほ銀行35年固定金利での元利均等返済額は18万円、三井住友銀行変動金利での元利均等返済額が17万円弱です。
- 固定金利では、手取り月収の4割以下に抑える。
- 変動金利では、返済額の25%を貯蓄した上で、手取り月収の4割以下に抑える。
年収1,100万円の手取り月収を保守的に65万円位とするとその4割は26万円です。つまり、固定でも変動でもどちらも可能です。
定年までの完済も一応可能ですが…
現在、月9万円の貯金をされています。18年後の60歳のときには1,944万円になります。そして23年後の65歳(定年)のときには2,484万円になります。
単純計算でいくと、今後住宅ローンを払いながら行っていく予定の貯金で、定年時にはほぼジャスト完済できる計算ですね。
しかし、この貯蓄は住宅ローンのためだけではないはずです。老後の資金やお子さんの教育費も入っていると思います。
なので、今後年収が上がりも下がりもしないという仮定を置いたとして、住宅ローンを完済した後にまるまる残る退職金と年金(個人年金含む)が老後資金ですね。
資金計画の弱点と病気のリスク
計算上、可能なことは可能です。しかし、できればもう少し豊かな老後にしたいですよね。それにほぼ今後の貯金の成否に依存しますので、イレギュラーな出費があると詰んでしまうので、その点が心配です。
また、お子さんが大学入学で最も学費のかかる時期は50代後半から60代前半ですね。若いころの不摂生や激務などのツケが来て健康上の問題が出やすい時期です。
家族4人でジャストサイズの家は子どもが独立して夫婦2人になると持て余す
冒頭で私が「想像」した家の広さや間取りですが、もしもそれが当たっているのであれば、老後には持て余す広さですよ。つまり、今支払いがキツイ部分の一部は老後には持て余す「物置きスペース」に対して払う住宅ローンなのです。
これも想像なのですが、今回の売主さんも同じ境遇ではないでしょうか?
子どもたちが独立して、ここまでのスペースは必要なくなった。
築19年、ということですから、想像に難くないですね。つまり、19年後のYさまもまた、同じ考えに至る可能性が高いということです。
気に入った土地で、住み心地のよい広いマンションですから10年(上のお子さんが中学生)で売る気にはならないかもしれません。しかし、一人お子さんが減ると、ぐっと広くなってしまいます。
元が億ションであれば、ある程度古くなっても立地の良さと希少性から売却しやすいと思います。私ならば、完済せず売却して残債と相殺し、貯蓄と年金で同じ地域のジャストサイズな広さのマンションに住み替えることを考えます。
基本的には売却を前提にする考え方です。
とするならば、利息負担の少ない「変動金利」という所に落ち着きます。金利が低い分だけ定年時点の残高も約130万円少なくなるのも良い点ですね。売却後の老後資金や住居の購入にプラスとなります。もちろん金利変動リスクはありますが。
病気のリスクに備える疾病保障付団信
もう一つは、病気のリスクですよね。三井住友銀行などの大手銀行の住宅ローンには金利に0.3%上乗せすれば疾病保障団信が付きます。
また、みずほ銀行はちょっと変わっていて、いわゆる保険商品として疾病保障の保険が付けられます。
どちらも有償となりますが、ネット銀行であればこれらの保障を金利上乗せ無しで付けられます。よく「無料で付帯する」という表現が取られますけど、私はこの表現があまり好きではありません。
無料のものなど無いからです。
つまり、ネット銀行の疾病保障付きの団信が金利上乗せ無しで付帯するのは、その金利でちゃんと元が取れているだけのことです。内訳は明らかにされませんので、推し量る位しかできませんが、ネット銀行単体で保険料を賄っているのではなく、親会社の団信とまとめている可能性もあると思っています。
何はともあれ、あちらでどういう計算になっていようが、同じ保障が受けられるのであれば、負担が少ない方が得ですよね。
そこで三井住友銀行と住信SBIの変動金利で、8大疾病保障付にした場合で比較してみました。
- 三井住友銀行変動金利0.625%+8大疾病保障付団信0.3%=0.925%
- 住信SBI変動金利(頭金20%未満)は8大疾病保障付団信込み=0.568%
(単位:円)
疾病保障は? | 毎月元利均等返済額 | 18年後60歳残高 | 23年後65歳残高 |
---|---|---|---|
三井住友8大疾病団信0.925% | 175,646 | 33,144,844 | 23,931,131 |
住信SBI8大疾病団信0.568% | 165,439 | 32,164,096 | 23,024,202 |
いかがでしょうか。疾病保障が付いた上で1万円も支払いが減る計算です。さらに定年後の残高も100万円近く少なくなりますね。金利変動リスクは同じだけありますからこの「差額」については、ほぼ固定でしょう。
こちらの千日のブログの記事も参考になると思います。
住宅ローンは変動か固定か金利タイプの決め方を分かりやすく解説します-千日のブログ
まとめ
それにしてもいいですね!うらやましいです。億ションにはメイドの土産に私も一度住んでみたいです。ウチは子供がいませんので、あんまり広い家は必要ないので、夫婦二人なら50平米くらいの1LDKがベストです。
タワマンの上の方とかに、そんな間取りは…無さそうですね。
私は結婚前に3LDKのマンションを購入し、壁をぶち抜いて2LDKにして、妻と留学生(ブルータス)との3人暮らしです。彼が独立したら、一つ部屋が余ってしまいます(笑)。
思えば一つ部屋が余ってたので彼を受け入れる気になったんですよね。(あまり一般的にはおすすめしませんが)他人が家にいることで、風通しのいい感じで結果オーライで満足しています。
子どもが出来たらまた壁を作って3LDKにしてもいいですが、先のことは分かりませんね。