20代独身で実家から出て中古マンションを買おうと思います(27歳女性年収380万)
家を買うベストなタイミングとは?
わたしが今のマンションを買う前は実家暮らしでした。当時、結婚を反対されていたわたしは半ばやぶれかぶれに家を買うことを決めて、今の妻と半ば駆け落ち同然に家を出よう…と思ったりもしたのですが、そうなる前に両親が折れて円満に結婚を果たしました。
今考えればなんて危なっかしいことをしようとしていたんだ、と思うのですが、結果オーライということですね。
当時のわたしにかけてやるアドバイスとしては「家を出るなら賃貸で良いよ」ということですが、何というか家を買うことで自分の意思を明確に表したかったのかもしれません。
「しれません」というのも、ずいぶん前のことでその時の自分の精神状態も、ちょっと思い出せないというところがあるんです。
これだけ偉そうに家の購入について講釈を垂れているのにです、あはは。では、今日のご相談者です。家を買う詳細な理由はあえて聞きませんでしたが、20代独身女性で中古のマンション購入を検討されています。
聞けばいいじゃん?
と思われるかもしれませんが、このサイトは住宅ローンの相談サイトであって人生相談サイトでは無いのです。
相談:27歳独身女性会社員、中古マンションを購入します団信は不要ですよね?
はじまして!千日さんのブログで日々勉強させていただいてます。
いま中古マンションの購入を検討しています。
自分なりにいろいろ考えたのですが、こんなプランで大丈夫なんだろうかと不安に思ってきたのでご相談に乗っていただけたら幸いです。
年齢、年収、家の価格、住宅ローン、頭金
年齢 | 27 |
年収(万円) | 380 |
家の価格(万円) | 2,400 |
住宅ローン(万円) | 2,160 |
頭金(万円) | 240 |
- 女性、27歳、正社員、年収380万前後
- 単身で東京都内(沿線、駅ほぼ確定)の中古マンションを購入予定、その際リノベーションもする予定
- フラット35リノベ利用予定
- 平成28年7月に転職をし勤続年数が1年未満(現在10ヵ月目、前職は2年8ヵ月勤務し現職と同業、年収は100万円以上あがりました)
- 頭金240万、40㎡前後の物件を探している
- 月々の住宅関係の支払いを8万円前後で抑えたい(ローンの返済6万・管理費修繕積立金2万etc)
- 楽天銀行に事前審査をいれるつもりでおり、そこでのシュミレーション上の諸費用を払えるだけの現金はべつにある(約70万)
- 行動開始を平成29年7月を目標にしている(6月末にボーナスがはいる、勤続1年たつので)
- 現在実家暮らしで購入は別に急いでいない、ただ家庭の事情でできるだけはやく出ていきたいとは思っている
ご相談したいのは、二つです。
団信に加入する必要は無いですよね?
残される家族がいないので団信に加入するつもりはない、就業不能時に備え債務返済支援保険の加入は多少検討している→この考え方でなにか見落としはないか?
団信に関しては、まだ何か大病を患うような年でもないと思ってますし相続するような家族もいないので団信はいらないかなあと思ってます。
万一両親より先に死ぬことがあったら(父57歳、母52歳)相続放棄してもらえばいいと思ってます。ただ返済までに働けなくなるようなけがや入院をしたらと思うと債務返済支援保険などにははいったほうがいいのかな?と思うようになりました。本音としては加入したくはないのですが…
独身なので40㎡の間取りですが住宅ローン控除は受けられませんよね?
団信に加入したくないのでフラット35の利用を検討中、40㎡前後の物件を探しているので住宅ローン控除の対象にならない→借入額、月々の返済額を増やしてでも50㎡以上の物件にして控除をうけるべきか?
住みたい沿線・駅が決まっていて月々の住宅関係の支払いのことを考えマンション2,000万+リノベーション400万くらいで検討しています。
そうすると希望の駅になんとか40㎡前後のものが買えそうで、頭金240万円をいれればフラットで融資率90%以下になる計算です。
住宅ローン控除も受けたいので50㎡以上のものにしたいのですがそうするとこれ以上は頭金を増やせないので希望エリアだと融資率90%以上になってしまいます。
金利があがると月々の返済も増えてしまうので、40㎡でも1人なら全然問題ないし住宅ローン控除の対象にならなくてもいいかと思っていたんですが、あと10㎡大きなところを選べばいいだけと思うと、年末調整で最初の10年は残高1%のお金が返ってくるなら多少無理をすべきか?と考えてしまいます。
千日さんのご意見を聞かせてください。
調べた結果このようなプランを考えたのですが、ほかに何かいいアドバイスがあれば教えてください。
回答:フラット35リノベで中古マンションを購入するときの注意点
ではお答えして行きますね。
フラット35 リノベは当初の10年又は5年間、フラット35の金利から0.6%引き下げになる、とてもおトクな制度です。
まずは、このフラット35リノベを使って中古マンションのリノベーションを行う際の注意点についてお答えしましょう。
フラット35リノベで借りるには「条件」を満たさない中古住宅を「条件」を満たすように工事することが必要
大きく立ちはだかる壁がその『条件』です。
フラット35リノベの金利で借りるには、現在『条件』を満たさない中古住宅を購入して、その後リノベ工事により『条件』を満たすようにする。というものです。
上手い具合に特定の駅で『条件』を満たさない2,000万円台の物件を探し、それを400万円以内で『条件』を満たすものにしなければならないというミッションがあります。
その間にフラット35リノベの補助金が無くなってもダメです。ですから、かなり短いスケジュールで行うことが必要になってきますね。
夏から行動開始では遅すぎると思いますよ。
中古マンションをリノベーションする際の注意点
また、中古マンションでリノベーション工事をする場合は建築時期や施工会社によって作り方は様々ですので、希望するリノベーションに向かないマンションを買ってしまわないように、物件探しとリノベーションは同時に検討していく必要があります。
例えばラーメン構造と壁式構造がありますが、ラーメン構造の方が間取りの自由度が高く、壁式構造は間取りの壁が躯体になっていて取り除けない場合があります。
また、マンションの管理規約によって出来る工事と出来ない工事がある場合もあります。例えば床材に指定がありカーペットからフローリングに変更出来ないケースもあるんです。
そして、工事の大小にかかわらずリフォーム工事を行うには上下左右の住人の同意が必要です。同意して貰えなければ、当然リノベーション工事は行えません。
なので物件探しとリノベーション工事をワンストップで出来るようなパートナーとなる業者を探す必要があるでしょう。
今フラット35リノベの『条件』を満たさない物件で、工事によって『条件』を満たせるものになるか?私でも判断は困難です。
回答:賃貸か持家か?
動機は実家からの独立ですね。実家以外の場所に住むことが目的です。そこで、2択があります。
- 賃貸住宅に住むか
- 持家に住むか
今すぐにということでも無いですから、賃貸か持家を持つかという意志決定を夏までにゆっくり見直してみてはいかがでしょうか。
- 賃貸住宅に住むということは、他人の所有する家に住むことです。
- 持家に住むとは自分の所有する家に住むことです。
私は「ある前提では」でどちらも変わらないと考えています。これからするのはシンプルな損得勘定の話です。
賃貸住宅に住むとは
大家さんの所有する家に住むということですね。大家さんとは不動産賃貸業を営む人です。
不動産賃貸業は所有している不動産を他人に貸して、その家賃で儲ける業態です。銀行から融資を受けて不動産を購入し、それを他人に貸してその家賃で銀行のローンを返済していくというビジネスモデルです。
部屋を借りる人が居なくなれば、家賃収入が無くなり、銀行のローンが払えなくなりますので、家賃を下げたり、部屋の設備を充実させたりするのにさらに投資をしたりして、借りてくれる人を集めなければなりません。
大家さんも楽ではないのです。
なので、部屋を借りる我々は、自分の満足のいく立地と間取りで最も安い家賃の物件に入居すればよいのですよね。借金もありませんし、住んでいる家に不具合があったら、大家さんに直してもらえばいいです、嫌になればいつでも出ていけばいい。気楽なものです。
しかし、支払う家賃は、大家さんが銀行から借りた借入金の返済プラス大家さんの取り分に充てられます。家の修繕や投資についても、元を辿れば我々の支払う家賃から賄われています。だって大家さんにはそれ以外に収入の道が無いですからね。
目に見えないだけで、経済的な実態としてはその賃貸物件を購入して維持するのに必要な費用プラスαを「外見的には家賃」という形で支出しているということです。
- メリット:所有に伴う責任から自由で居られる代わりに、
- デメリット:自分で所有するより高い支出を負担する。
これが賃貸物件に住むということです。この支出は自分の現金で賄われます。
病気によるアクシデントやリストラで家賃が払えなくなれば、即出ていかなければなりません。また、老齢年金は65歳から支給開始ですが、定年退職の年齢が60歳である場合は、5年間は無収入となります。
賃貸物件に住むということは、自分と家族の人生と生活を守るために「貯金」という資産と、その源泉になる「収入」に対して妥協の無い意思決定が求められるということです。現役時代だけでなく、リタイア後も生きている限りはどこかに住まなければなりません。
いつまでも親は生きていませんから、自分の仕事が安定したら実家を出て、早い段階から自分の意思決定をスタートさせるのは合理的な選択だと思います。
持家に住むとは
持家に住むということは、自分の責任で資産を持ち、自分の責任で住宅ローンを組むということです。
つまり、賃貸物件に住むときの逆のメリットデメリットということです。
- メリット:賃貸物件に住むより安い支出の負担となる代わりに、
- デメリット:住宅ローンの債務と不動産の所有に伴う責任を負う。
さっきの例でいくと大家さんになるということ?
こんな風に思われるかもしれませんが、似て非なるものです。マイホームから家賃なんて入ってきませんよね?負債である住宅ローンの支払いは家賃ではなく自分の給料によって賄われます。
住宅ローンで家を購入するということは?と聞かれたら、私は次のように答えます。
35年ならば420回、銀行に決まったお金を払うことだよ。
これが正確な定義でないことは、百も承知です。しかし、住宅ローンで家を購入しているほとんどの人に当てはまる本質なんです。元利均等返済ならば、毎月同じ金額ですよね。それを最大420回クリアすれば、住宅ローンは終わりゲームクリアです。
問題になるのは、420回のミッションの中でミスをしてしまうリスクです。自分が420回ノーミスでできることを想像してみてください。縄跳びや住所のあて名書きのようによほどハードルを下げないと難しいですよね?
家賃という考え方で、手取り20万円の4割を住居費と考え、月8万円に抑えるというのは一般的に妥当なラインですが、実際に自分がそれを実行できるか?どの程度のことなのか?これを実体験したことが無いのはリスクであると思います。
最長35年の期間で行う420回の支払いについて、リストラや病気による休業で収入が途絶え、一定期間の間住宅ローンの支払いが滞り、銀行が「この人はもう払えない」と判断すればどうなるか?銀行に対して設定していた抵当権が実行され、家を売却した代金で住宅ローンの返済に充てられることになります。
危ないのはリストラや病気だけではありません。老齢年金は65歳から支給開始ですが、定年退職の年齢が60歳である場合は、5年間は無収入となります。
ご質問の団信は、自分にもしものことがあった場合に、現在住んでいる家をそのまま家族に残せるというメリットがあるんですね。
もう一つのご質問の住宅ローン控除は、当初の10年間はローン残高の1%が源泉徴収された税金から還付される減税制度ですので、購入当初に最も少なくなる貯金を増やせる点で大きなメリットがあります。
極端な例では住宅ローンを組んだ瞬間に貯金がゼロでは危なすぎますが中にはそういう人もいます、この制度によって年末に源泉徴収された税金が返ってくるのです。
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住宅ローンで家を買うということは、様々なリスクから家族の人生と生活を守るために「貯金」という資産と、その源泉になる「収入」に対して妥協の無い意思決定が求められるということです。現役時代だけでなく、リタイア後も生きている限りはどこかに住まなければなりません。
それにはお金が必要です。
ここまで読んで「…あれ?同じこと言ってんじゃん」と思われるでしょう。そう。同じなんです。賃貸も持家も「ある前提では」で同じと冒頭で言ったのは、このことです。
その前提とは守るべき家族のあることです。
実家からの独立を機に住まいを選ぶ今、は守るべき家族が未だ存在しない段階です。ここから先はご自身で決める領域ですので、私の出る幕ではありません。
もしもご提示の方法で家を手に入れると決めたのであれば、夏と言わず今すぐ行動を開始し、自身でも様々な勉強をして情報を集めるべきタイミングです。
しかし現時点では、持家を持つ前にその是非を考える、というプロセスがまだ十分ではないようにお見受けしました。