30代後半からの変動金利 完済までのシナリオの立て方

2017年10月26日

30代後半から確実な完済を目指す住宅ローンの返済計画

現在30代の人が35年ローンを組んだとしたら、その年数より先に定年退職を迎える人が多いですよね。ですから、定年の60歳の時の残高が幾らになるか?というのは重要です。その金額を定年退職までに繰上げ返済しないと、収入のある現役のうちに住宅ローンが終わらないからです。

千日メソッドでは定年時の残高は1千万円以下に抑えることを推奨しています。一般的なサラリーマンの給料で1千万円を貯めるというのは結構な年数が必要です。

またこの年代は、まだこれから先に子どもの大学入学や親の介護費用など、大きな支出を控えている時期でもあります。

✓残り期間が短いのでミスは出来ない(リカバリーする時間は残されていない)。
✓まだ先には大きな出費が予定されている。

こういう状況での資金計画を立てる必要がある年齢層なのですね。住宅ローンの完済だけでなく、いざという時の為や、子どもの教育費、親の介護費用の為に手許に残す貯蓄にも気を配らなくてはなりません。

現役時代に稼ぐ給料を貯蓄して完済し、退職金には手を付けず、住宅ローンとは別に貯める老後資金にオンするような返済計画を立てるのです。

これはあらゆる金利タイプに共通の千日メソッドです。では今日のご相談者です。

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相談:目先の安さから変動金利を選んだのは失敗だったのでしょうか?

地方銀行の保証料が仮申請の結果二十万円ほど安くなり、団信の事も考えると目先の安さに心が揺らいでしまい結局、地銀の変動金利(0.67%)を選択しました。

(単位:円)

初期の支出 フラット35
頭金1割
アルヒスーパーフラット
頭金2割
地銀変動金利
フルローン
頭金 1,880,000 3,760,000 0
融資手数料 263,952 324,864 32,400
保証料 0 0 387,468
合計 2,143,952 4,084,864 419,868

やはりフラットの方がオススメだったのでしょうか。。。アルヒのスーパーフラットは全く知らなかったので勉強になりました。ただ、2割プラス諸費用となると正直厳しいのが現状です。

繰り上げ返済プラス、変動対応貯金を頑張りたいと思いますが、返済計画についてアドバイス頂ければ幸いです。

家族構成と年収

  • 妻:37歳 年収450万
  • 夫:40歳 年収270万
  • 子供:3歳、0歳

私(妻)名義で1880万円の建売を購入予定です。繰り上げ返済して20年での完済を目指せればと考えています。

回答①:失敗ではありません金利変動リスクを冷静に評価しましょう

住宅ローンの契約条件は借りる時点で決まり、それが全期間に亘って適用されることになるので、後になってから「本当にこれで良かったのか?」と不安になることがあると思います。それは皆が思うことですよ。

変動金利を選ぶにあたっても、少し心が揺れている部分があったのだと思います。なので今回は変動金利で返済を継続していく上でのポイントと、完済までのシナリオについてお話しておこうと思います。

実のところ、金利の上昇リスクはそれほど怖くないのです。やっぱり元本が数千万という未知の領域ですから、みんな金利の上昇リスクを過大評価する傾向があるんです。

変動金利の5年ルールと125%ルールで支払いは『固定』されている

5年ルールとは、金利が上昇しても5年間は直前の元利均等返済額を維持するというものです。つまり、急に金利が上がったからといって毎月の支払いが急に増えるわけでは無いんですよね。

そして125%ルールとは、金利が上昇してから5年経過して毎月の元利均等返済額を増やす時には、直前の125%までを上限にするというものです。つまり大きく金利が上がっても毎月の支払いは125%までしか上がらないということです。この125%はまた5年間は維持されます。

ですから、元本が多い当初の10年間の元利均等返済額については、最大でも最初の125%までしか上がることは無いのです。

とは言っても、金利が上がって返済額が変わらないと元本の減りが遅くなりますよね?でも、大丈夫なんです。

金利が上がっても10年間は住宅ローン控除で緩和される

住宅ローン控除とは当初の10年間について、住宅ローン残高の1%を税金からマイナスする減税措置です。変動金利だと今金利は0.67%位ですよね。つまり、払う利息よりも税金から返金される(還付される)金額の方が大きいので、逆に利息が貰えるような状態なんです。

0.67%-1%=-0.33%の利息を払う。つまり、0.33%利息が貰えるということです。

例えばこの10年の間に金利が0.67%から1.67%に上がったとしても、こういう式になります。

1%-1.67%=0.67%の利息を払う。つまり、当初払うつもりだった利息を払うだけということです。

当初の10年間というのは、元本が多くなかなか減らない時期です。そんな時期に金利が上がると、さらに元本の減りが遅くなってしまいますよね。でも、住宅ローン控除は元本が多い方がその恩恵も多いです。元本の減りが遅い方が有利に働くわけです。

金利の上昇リスクが無いとは言いません。上がるときには上がるでしょう。

しかし、上がったとしてもそれが家計に及ぼすダメージは、変動金利のルール(5年ルールと125%ルール)と住宅ローン控除によってかなりの部分が緩和されるように設計されているのです。

 

回答②:変動金利で完済するまでのシナリオの立て方

ではこの変動金利で完済するまでの返済計画の立て方を千日メソッドに沿ってお話します。

住宅ローンのセオリー

金利の上昇リスクに備えるには?二つの「4」

金利の上昇リスクにはある程度の備えが必要です。住宅ローンの千日メソッドでは、変動金利で借りる場合は以下の2つの条件をクリアすることをお勧めしています。題して『変動金利の2つの「4」』です。

✓毎月の元利均等返済額の4分の1以上を貯金する。
✓上記の貯金と元利均等返済額を手取り月収の4割(40%)以下にする。

これをクリアできているか?確認してみましょう。

(単位:円)

毎月の返済額 フラット35
頭金1割
アルヒスーパーフラット
頭金2割
地銀変動金利
フルローン
当初5年 46,357 42,596 50,228
6年目以降 48,389 44,444 50,228

年収450万円の手取り月収を22万円とすると、その4割は8万8千円ですね。地銀の変動金利の返済が月5万円ですから、この4分の1を貯金するならば、6万2千5百円です。つまり、変動金利に付き物である金利変動リスクに対応することが出来る収入があるということになります。

定年時のローン残高は1000万円以下にする

現在37歳で35年ローンを組んだとしたら、その年数より先に定年になりますよね。そういった理由から20年での繰上げ返済を考えておられるのだと思います。では冒頭に書いているとおり、その時の残高が無理なく一括返済できる金額なのか?というところがポイントになりますよね。

支払い総額と同時に、20年後の残高を確認してみましょう。

(単位:円)

全支払額 フラット35
頭金1割
アルヒスーパーフラット
頭金2割
地銀変動金利
フルローン
初期の支出 2,143,952 4,084,864 419,868
毎月返済 11,491,425 10,555,611 12,054,627
団信 917,220 0 0
住宅ローン控除 -1,483,324 -1,324,052 -1,640,390
20年後残高 8,014,264 7,254,036 8,599,224
合計 21,083,537 20,570,459 19,433,328

フルローンにしたとしても、地銀の変動金利で20年後の残高は860万円(四捨五入)となりました。1千万円以下ですからレンジ内に入っています。もちろん金利が上がれば、残高の減少は遅くなります。しかし、住宅ローン控除に注目してください。

164万円あります。仮に金利が上がって残高の減りが遅くなったとしても住宅ローン控除によって164万円までは影響が相殺されるということです。金利にすると1%相当ですね。

20年後に繰上げ返済するためには4分の1よりも多い貯金が必要

さきほど、変動金利の場合は返済額の4分の1の貯金が必要だと書きました。しかし、これは金利変動リスクに最低限対応するための備えです。20年後の860万円の繰上げ返済をするには1年あたり43万円、1カ月平均3万6千円の貯蓄が必要になってきます。

1カ月あたり3万6千円の貯蓄というのは返済額5万円の4分の1=1万2千5百円よりも多いですよね。ただこれを毎月の貯蓄とする必要はありません。なぜならこれを払うのは20年後だからです。ボーナスや旦那様の収入を原資にして貯蓄を進めていけばよいと思います。

金利が低いうちは当初の10年は繰上げ返済しない

これから完済までの20年間では今のお子様が二人とも成人する年数ですね。学費などに想定外の出費がかかることが考えられます。また、ご両親の介護が必要となる可能性もあります。

繰上げ返済したお金は返ってきません。金利が低く、住宅ローン控除があるうちは、あえてローンを借りておき貯蓄を温存させておくことをお勧めします。

以上、参考になれば幸いです。