賃貸より買った方が得なのか?公認会計士の考え方

2017年12月27日

今買わなければずっと賃貸だと思う…進むか戻るかどっち?

すこしご無沙汰しましたね。何件かご相談は頂いていたのですが、千日太郎に直接相談-千日太郎オフィシャルサイトで公開できない相談ケースが増えて来ておりまして、ご了承ください。

今日はいくつか相談を受けた中で、皆が最後に迷うポイントについて、私の思うところを書きたいと思います。東京五輪を前に建設費が高騰して新築マンションを中心として高値が続いています。

ちょっと高いよな…

でも、少し頑張れば買えない値段でもない。審査も通る。

どうするべきか?

少し待つ。という手もありますが、だんだん定年が近づいてきます。千日メソッドでは定年までに完済することをお勧めしています。しかも、定年時に一括返済できるようにするため、定年時(60歳)のときの残高を1000万円以下にしておく必要があります。

住宅ローンのセオリー

40代になってくると、そろそろ定年までの年数が気になってくるんですよね。

多分、今買わないと、もうずっと賃貸だろう…

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自分の身の丈に合った価格の家か?を測ってみる

まず、その家の価格を大まかに自分の身の丈に合ったものなのか?を測ってみましょう。簡単です。以下の表にあてはめてみてください。

《頭金ゼロで購入できる家の価格》

(単位:万円)

  月収15万 月収20万 月収25万 月収30万 月収35万 月収40万
25歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
30歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
35歳 1997 2663 2972 3535 4125 4714
40歳 1997 2357 2630 3043 3550 4057
45歳 1768 2029 2263 2515 2934 3354

月収と年齢で当てはまる部分の金額に頭金として入れられる金額を足せば、それが現時点で無理なく購入できる家の価格です。60歳定年を前提に作っていますので、65歳定年であれば年齢を5歳若くして、当てはめてください。

今欲しいと思っている家の価格がこれを超える場合、どうすればいいか?前に進むのであれば、3つの方法があります。

  1. 頭金を貯める。
  2. 親に援助を頼む。
  3. 家計を見直し、月収のレンジを超える毎月の返済をやり抜く。

しかし、その前に根本的な「問い」があるはずです。

何故そこまでして家を買うの?間違いだらけの家を買う動機

実際に新築マンションを買った人たちの動機を見てみましょう。

なぜこのマンションを買ったのですか?という民間企業が行ったアンケートに対する回答、上位5つです。(カッコ)内のパーセンテージは複数回答可で答えた人の割合です。

子どもや家族のため家を持ちたいと思ったから(40.3%)

家族の幸せに「持ち家」であることは条件なのでしょうか?逆に賃貸だと家族の幸せに必要な何かが不足するのでしょうか?そんなことは無いと思います。

家賃を払うだけで自分のものにならないのはもったいないから(28.5%)

所有には責任やコストも伴います。不動産にチラシにある「家賃なみの返済額で買えます!」は住宅ローンの返済額だけであって、しかも今後金利が上がるかもしれない変動金利です。定額の家賃を払ってさえいれば住まいを維持できるというのは、ある意味とてもお得なことかもしれません。

金利が低く買い時だと思ったから(25.7%)

いくら金利が安くても借りなければ損、なんて事はありません。金利が低い理由は、将来の不安から投資を差し控える人が多いからです。金利が低い今、人生最大の買い物をする=投資をするということは、むしろ大勢に反した決断をしている「逆張り」ということなのです。

資産を持ちたいと思ったから(19.9%)

資産とは利益を生み出す為に企業が保有する財貨を言います。そもそも自分が住む家は厳密には資産ではありません。不動産は賃貸したり、買ったときより高値で売却する局面では資産ですけど、自分で住む目的で持っている限り一円も利益を生まないのです。マイホームを持つということは、資産を持つということではありません。「不動産」とか「資産」という言葉だけが先走りした自己満足なのです。

老後の安心のため住まいを持ちたいと思ったから(16.5%)

老後の安心というなら、住居よりも預金残高ですよ。新築マンションで最も人気の間取りは3LDK、老夫婦2人で住むにはもてあます部屋数です。子供が独立した頃に自分が50代から60代として、残り30年超を夫婦2人で使い、そして最後はどちらかが1人で使います。老後には持て余してしまうスペースの家賃を前払いしているようなものですね。これは限られた生涯収入の配分方法として、必ずしも効率的であるとは言えないのです。

ここまで読んで「そうか、家なんて、マンションなんてやっぱり要らないナ」と気が変わる人は少数派だと思います。

営業マンに刷り込まれた「合理的な理由」にすがると後悔する

つまり、合理的な理由など無い、これは、わたしと同じです。わたしは自己紹介のページに書いているように、合理的な理由をもって家を買っていません。

人間は自分が思うほどには合理的な生き物ではありません。なのに私たちは自分の考えや行動に対して合理的であるべき、合理的なはずだ、と思いこみがちです。特に家を買うという重要な局面ではそうなります。

上に挙げた5つの「動機」は営業マンが家を売るための営業トークであり「だから家を買うのが合理的だ」と思い込ませるための仕掛けです

これを刷り込まれたまま家を買うと、こんなはずでは無かった…という後悔に繋がってしまうのです。動機は『ただ、自分が欲しい』それでよいのです。しかし、なればこそ、それを最後までやりぬきハッピーエンドを迎えるには、売り手のバイアスを排除した理詰めの方法論が必要でしょう。

賃貸と持ち家の経済的な違いは生涯賃金とリスクの配分

私は損得勘定の専門家ですから、ここでお話するのは、哲学的な話ではなく、経済的な面の本質です。

賃貸とは生涯賃金とリスクを定年退職後に持ってくる戦略

定年退職すると、毎月のサラリーの代わりに年金と貯蓄が生命線となります。賃貸ということは、そういう収入の仕組みがガラッと変わる、また年金で貰える金額に期待できない、という状況下で、定額の家賃を払い続けるということです。

  • 収入面はどうなるかわからない、でも支出はある程度固定されている。

このリスクを和らげるのは、老後の貯蓄ですね。

つまり、賃貸というのは、定年退職後にリスクを取り、生涯賃金を定年後のためにより多く配分していくという戦略をとることになります。

持ち家とは生涯賃金とリスクを定年前の現役時代に持ってくる戦略

家を買う理由にダメ出しを出したように、今の家族構成でジャストサイズの家というのは、定年後に持て余す広さの家です。その後半に不要となるスペースを購入するために毎月のキツい支払をやっていかなければならない。

最長35年、420回のミッション(元利均等返済)に失敗すると家を取り上げられ、その時点からゼロスタートを強いられます。

その代わり、定年後は維持費(管理費、修繕積立金、固定資産税)だけで住居を維持し続けることが出来ます。

つまり、持ち家というのは、現役時代にリスクを取り、生涯賃金を現役時代により多く配分していく戦略です。これが基本です。

ただ、今後我々が直面する少子高齢化社会においては、年金がどこまで減るか全く見えません。現役時代に多く配分しすぎて、定年後の最低限の貯蓄すら無くなってしまうというリスクに対してもケアしなければなりません。

まとめ~どっちを選ぶか?それは損得ではなくポリシー

タイトルにもありますが、本の出版を機に公認会計士の肩書をオープンにすることにしました。いわば、損得勘定のプロですが、そのプロの目から見て、どちらかが圧倒的に得とか損ということで簡単に割り切れるものではありません。

家を買う決断というのは、ファイナンシャルプランナーであろうが公認会計士であろうが決して簡単なことではありません。普通の人であればなおの事です。

  • 家を買うには、年収の何倍もの見たことのないようなお金が必要です。
  • どんな人にとっても、何十年という住宅ローンの期間は未知の期間です。
  • たまたま、住宅ローンという形でそれが目に見えるようになっているのです。

賃貸なら安全ということも無いし、持ち家なら安心ということもありません。

どちらにするか?

これはどちらが正解か?という問いではなく、自分がどういうポリシーで今後の収入とリスクを配分していくのか?という問いなのだと思いますよ。

最後に宣伝させてください。日本実業出版社から私の著書が出版されることになりました。この少子高齢化社会で家を買おう、建てようと思っている全ての人に読んで欲しいと思い書きました。

Amazonと楽天で注文を開始しています。

これからの決断の参考にしていただければ嬉しいです。