35歳の住宅ローンの固定期間は20年と30年どっちがいいか?
定年まで30年以上ある人の住宅ローンの組み方を考える
昨日は定年まであと10年の住宅ローンの借換はどうする?という記事を投稿しました。だから、という訳でもないのですが、今日は定年まで30年以上ある人の住宅ローンの組み方についてです。
35歳まででしたら、今の時点で定年退職までの期間は30年以上ありますね。
年齢的には、社会人として10年以上、脂の乗りにのった時期です。こういう時期にこそ『そろそろオレも家でも買っちゃおうかな?』と考え始める時期だと思います。
では始めましょう。
相談:35歳の住宅ローンは20年固定か30年固定か?
ブログ等楽しく拝見させていただいています。
今回、
年齢、年収、家の価格、住宅ローン、頭金
夫年齢 | 35 |
夫の年収(万円) | 600 |
妻年齢 | 35 |
妻の年収(万円) | 専業主婦 |
共働き世帯年収(万円) | |
家の価格(万円) | 3,000 |
住宅ローン(万円) | 3,000 |
頭金(万円) | 0 |
2歳の娘、頭金600万ほど。この状況で3000万に収まるように土地と物件を購入予定です。
①地元の地銀に仮審査が通り、団信の結果待ち。
②住信SBIの住宅ローンの仮審査に通り団信にも通りました。
この状況で色々調べ、変動金利・固定金利のメリット・
ネット銀行で借りるとして
- ①20年固定で支払う。
- ②30年固定で支払う。
の2つで迷っています。
何かアドバイスがあればよろしくお願いします。
ミックスローンも少し興味が湧いてきています。
よろしくお願いします。
回答:物件売却の可能性と固定期間の終わりに何があるか?がポイントです
ではお答えしていきますね。
20年固定と30年固定どちらか?
こちらについては、昨日千日のブログで公開した記事が参考になると思います。
実際に元本に金利をかけて出てくる住宅ローンの『価格』を見て決めるんですよ。要するに『ナンボやねん?』という世界です。
固定期間が10年と20年でどれだけ金利が違うか?
これに意味はありません。固定期間が10年と20年でどれだけ元利均等返済額が違うか?
これを見て決める訳です。つまり、住宅ローンの利用者の世界には『イールドカーブ』のような統計的な線引きはありません。
もし仮にできたとして、例えば平均年収とか平均物件価格とかで書けたとして『だから何?』です。
実態として自分に合った住宅ローンでなければ意味無いんですよね。フルオーダーメイドなんです。
タイトルは10年固定と20年固定ですが仕組みは同じですよね。元利均等返済額を比較してみて下さい。
ただ、繰上げ返済を考えておられるのであれば、30年固定は長いかも知れませんね。
しかし、もしもお子さんがもう一人という事になると、20年固定の終わりと大学進学が重なる可能性もあります。
この辺りを勘案して決めるのが良いと思います。
千日による補足:
さらにもう一つ、若い間に購入する場合は、転勤などによってずっとそこに住むとは限らないということもあります。
また、子どもの成長や、自分自身の年収の増加に伴い、住まいを買い替える可能性も考えられます。
長い固定期間の住宅ローンであるほど金利が高くなりますので、それだけの期間借りることを前提として初めてメリットが取れる場合が多いのです。
注文住宅などのように、その家そのものにこだわって購入する場合を除いては、あまり長い固定期間にする必要は無いかなと思います。あくまで一般論ですが。
10年と20年のミックスローンも取れる
ミックスローンであれば、3,000万円の物件であえて頭金の600万円を温存する方法ではどうでしょうか?
なお、当サイトでのミックスローンと言えば、10年固定と20年固定のミックスです。
紺と黄色が10年固定の支払利息の推移です。
水色と赤が20年固定の支払利息の推移です。
紺と水色は当初の固定期間の利息を意味します。その間、金利が上がることはなく、固定されています。
黄色と赤は当初の固定期間の終了後の利息を意味します。急激に上がっているのは優遇金利が減ることが分かっている分だけ増やしているからです。
10年固定を固定期間終了後に一括繰上げ返済すれば黄色い折れ線グラフで表した多額の利息は発生しません。
20年固定の固定期間終了後は、元本もかなり減っていますから少々金利が上がっても影響は小さいですね(赤い折れ線グラフ)。
その時の金利が高ければ20年固定も一括返済しちゃっても良いですね。
つまり、当初固定金利の低さというのを利用し、当初固定期間が終わった瞬間に一括返済してしまう方法です。
一般的な変動と固定のミックスではありません。
1月の三井住友信託銀行の10年固定0.5%20年固定0.95%でシミュレーションしてみました。
借入期間は毎月の返済を少なくし、また住宅ローン控除の恩恵を受けるためにあえて35年とします。
(単位:円)
金利タイプ | 借入元本 | 月返済 | 期間経過後残高 |
---|---|---|---|
10年固定0.5% | 1,500万円 | 38,938 | 10,978,604 |
20年固定0.95% | 1,501万円 | 41,994 | 7,042,487 |
当初の10年間の元利均等返済額は10年固定と20年固定の合計で8万円ほどです。
10年固定の終わりでは約1,100万円の残高がありますが、そこで600万円の頭金を投入します。つまり10年間に繰上げ返済用の資金として5百万円の貯蓄を行うことで可能となります。
その後は20年固定しか残っていませんから、毎月の返済は4万円ほどに減ります。
10年間のボーナスを貯蓄に回せば、通常の貯蓄とは別に繰上げ返済分は貯められそうですよね。
あくまでこの貯蓄は繰上げ返済だけのために、プラスαで行う貯蓄だということがポイントです。他の用途には使えません。
現時点の金利水準なら、ミックスも十分に現実的だと思います。
千日による追記:
例えば売却して住み替えすることも視野に入っているのなら、10年経過後、20年経過後と二つの節目がありますね。
- 10年経過後は住宅ローン控除の終わりと10年固定期間の終わり
- 20年経過後は20年固定期間の終わり
このような節目をあえて設定するという考え方もアリです。
もちろん売らなければならないということではありません。
頭金について
トータル3,000万円で600万円の頭金という事は、2割近い頭金をご用意されるのですね。
ただ、融資手数料や登録免許税などは手持ちの600万円から払いますから2割を少し下回る感じになると思います。
この2割というのが一つのラインだということは、住信SBIのホームページを見れば分かりますよね。金利がさらに優遇されるのです。
フラット35でもそういう金融機関がありますよ。こちらをご一読下さい。
ARUHIスーパーフラット35は頭金2割だと金利が0.1%割引-千日のブログ
頭金を入れた分だけ住宅ローン控除の恩恵は少なくなりますが、トータルでは2割用意した上で金利優遇を受ける方が得です。
ネット銀行の注意点としてはこちらもどうぞご一読ください。
安さの反面その利用には幾つかの注意点(デメリット)があります。
審査が厳しめ=明確な既定の審査基準を満たした人だけ。
適用金利は公開されているものだけ=金利の融通が利かない。
延滞や条件変更に厳しめ=融通が利かない。
まとめ
いかがでしたでしょうか。住宅ローンの面だけで考えると、若いうちにスタートして完済しておいた方がトクです。
しかし、一方で若いうちはこれからのキャリアアップの方向性について、まだあまり固まってはいないことが多いですね。
20代の頃と違うのは『これからもやっていけそうだ』という自信がついてくることですけど、その方向性という点においてはまだ未分化なんです。
家を買ったことによって、自分の可能性を狭めてしまうのはもったいないです。
家なんて、家族の入れ物にすぎません。
『大事なものを入れるもの』ではあるのですけど、所詮は入れ物なんです。
そういった感じで一歩引いてみるくらいの感覚でちょうど良いのではないかな?と思います、特に若いうちは。