5年固定から変動への借換vs最初から変動、どっちが得?

2017年10月26日

借換費用と当初固定期間の金利の低さのどちらを取るか

5年以下の当初固定期間の住宅ローンのなかには、変動金利よりも低金利の商品があります。しかし、当初の固定期間が終わると、変動金利よりも高い金利になってしまいます。

高い金利になるとは言っても、優遇幅はそこそこありますので、十分低金利ではあるんですけど、長い住宅ローンのほとんどの期間を高い方の金利で借りることになりますので、トータルでは最初から変動金利で借りておいた方が利息の支払いは少なくなるケースが多いです。

ですから、当初固定型の住宅ローンで借りる場合は以下のいずれかを考えておく必要があります。

  • 多額の繰上げ返済⇒元本を減らす
  • もっと安い金利への借換又は金利交渉か⇒金利を下げる
  • 家の買い替え⇒住宅ローンのリセット

2つ目の選択肢は、銀行の乗り換えがベースになっています。仕事上でのキャリアを積んで年収がアップすれば、今よりも有利な条件で借り換えられます。

また、実際に借り換えなくても「借り換えちゃうよ?」と銀行に突き付けて、金利を下げさせることも可能です。

しかし、数年後の自分がどこまで成長しているか、不確定要因がありますよね。もしも今と変わらない場合、その時の変動金利に借り換えるとどうなるか??

という疑問が出てくると思います。

では今日のご相談者です。

 

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相談:当初固定から変動への借換と最初から変動、どっちが得ですか?

はじめまして、住宅ローンで悩んでいるところこのサイトを見つけ、分かりやすい説明で質問に答えていたため、私もと思いメールさせて頂きました。

  • 年齢41歳 年収約900万
  • 物件価格3,750万(土地1,750万、建物2,000万)

頭金250万入れて住宅ローンの借り入れは3,500万円を予定しています。住宅ローンの借り方で以下の2択で悩んでいます。

  1. 三菱東京UFJ信託の5サインαで当初5年固定0.33%、その後横浜銀行の変動金利0.57%に借り換える。
  2. 横浜銀行の変動金利0.57%でずっと借りる。

上記の2行とも、事前の仮審査には通っています。

金利の予測は出来ないと分かっているのですが、オリンピックも控えていることを考えると、金利は上がるのでは?と考えてしまい、五年固定で様子を見て、五年後借り換えで再検討もありかと考えています。

一方で、巷の情報では当初固定は損するといった記事もあり今一踏ん切りがつきません。借り換え、変動どちらで行くのが得策か?具体的数字の差として御指南頂けないでしょうか?

土地の決済を今月行い、年末引き渡しのスケジュールで進んでおり、そろそろ銀行を決めなければならない為、頭を抱えています。

よろしくお願いします。

 

回答:総支払額は同じ位になるので借換えの手間の分だけ損です

ではお答えしていきます。

  1. 当初5年固定の後、変動金利に借り換える。
  2. 最初から最後まで変動金利で借りる。

この、将来の金利動向が読めない状況下で比較を行うときの考え方からご説明する必要があると思います。

 

5年後の変動金利が何パーセントになるかは予測不可能

大前提がこれです。

5年後のことは予測できません。

1.のケースで5年後に変動金利で借り換えた時はその時の変動金利の水準になっているという前提です。その時に変動金利が上がっていた場合は、2.を選択していても、同じように上がっているでしょう。

変動金利は、銀行間で資金を融通するときのレート=短期プライムレート(以下「短プラ」と言います)に連動して変動するというものです。そして、この短プラは、日銀が民間銀行に融資するときの政策金利の影響を強く受けます。

  • 政策金利が上がる⇒短プラが上がる⇒住宅ローンの変動金利が上がる。
  • 政策金利が下がる⇒短プラが下がる⇒住宅ローンの変動金利が下がる。

こんな感じです。そしてこの政策金利は2008年のリーマンショックで0.1%に下がってからずっと今まで変わっていないのです。

つまり、政策金利が変わらないので、ずっと短プラも変わらず今まで来ているのですね。

でも、去年から銀行の変動金利はすごく下がっているよ?

このように思われるかもしれませんが、それは、短プラが下がったからではなく、短プラから銀行が独自で値引き(=優遇金利)の幅を広げてきたからです。

住宅ローンの利用者をゲットするために、新しく借りる人にだけ「優遇金利」を適用して、従来から借りている人はその時のまま、という方法をとっているんですよ。

ですから、5年後の変動金利がどうなっているか?という予測はまず不可能です。

  • 短プラに影響する政策金利がどうなるか?予測困難。
  • 短プラに対して銀行がどれだけ優遇金利を付けてくるか?予測困難。

二つの予測困難な変動要因があるからです。

 

銀行間、商品間の金利差は平行移動するという仮定を置く

ただ、それでも比較する方法はあります。ベースになる短プラがどうなるか?は予測できなくても、銀行間の金利差というのは、概ね維持されるだろうことは予測できるからです。

つまり、こういうことです。

  • 政策金利が上がったら各銀行の短プラは同じように上がるだろう。
  • 他行が下げたら自行も下げないと、住宅ローン利用者をゲットできないので、銀行間、商品間の差は概ね維持されるだろう。

ですから、「今」の金利水準でシミュレーションし、その差額にだけ注目して比較するんです。

  • A銀行の変動金利が上がったらB銀行の変動金利だって上がっている。その差は今と変わらない。
  • A銀行の変動金利が下がったらB銀行の変動金利だってさがっている。その差は今と変わらない。

5年後の金利情勢が分からなくても、こういうことであれば、ある程度仮定に入れても大きく外すことは無いと思います。

ではやってみましょう。

 

60歳までの19年で完済するという前提でのシミュレーション

以下の前提を置きました。

  • 借入額:3,500万円
  • 借入期間:35年元利均等返済
  • 60歳の定年の19年後に一括返済する

(単位:円)

支払額比較 5年固0.33%
変動0.57%
変動0.57% 差額
毎月返済額 88,250 91,942 -3,692
91,418 91,942 -524
19年返済額 20,653,228 20,962,723 -309,495
60歳残高 16,771,650 16,867,725 -96,075
住宅ローン控除 -2,979,685 -2,992,945 13,260 
支払い額差額 -392,310 

毎月の返済額は当初の5年間は金利が安いので、その分少ないですね。しかし、どちらをとっても以下の千日メソッドあるように25%の貯蓄をしたうえで4割以内になると思います。

住宅ローンのセオリー

一応の額を計算しましたが、この通りになるとは限りません。予測できると言えるのは「差額」の部分です。

支払い額の差額は19年で39万円になりました。

つまり、

  • 借換にかかるコストが39万円を確実に下回るのであれば、当初5年固定で借りてその後変動に借り換える方が有利。
  • 借換にかかるコストが39万円を確実に上回るのであれば、最初から変動金利で借り続ける方が有利。

このようになります。

では、借換コストがどれだけかかるか?計算してみましょう。

5年後の残高約3千万円を借り換えるのにかかるコストは約40万円

以下のようになります。約40万円ほどですね。

借換前

  • 三菱UFJ信託銀行の住宅ローンの期限前全額返済手数料は10,800円(税込み)です。
  • 三菱UFJ信託銀行で保証料を前払いしていた場合、一部返金されます。概ね38万の返金になると見積もりました。

前払いした保証料がいくらかえって来るか?という返金額の目安については、こちらのご相談者から情報提供がありました。ご一読ください。

知ってて良かった住宅ローン千日メソッドを五七五でご紹介

借換後

  • 横浜銀行の新規借入事務手数料は32,400円(税込み)です。
  • 横浜銀行の保証料(前払い)はHPから概算で53万円と見積もりました。
  • 印紙税は2万円。
  • 登録免許税はその時の借入残高3千万円の0.4%です。
  • 司法書士報酬は5万円から10万円のレンジ内に収まることが多いです。間をとって7万円としました。

ほぼ同額という結果になりました。同額なら借換に手間がかかる分だけ損ですね。

まとめ

もちろん、5年後の住宅ローンの市況は分かりません。借換がすごく優遇される状態になっている可能性もあります。

場合によっては、上記で行ったシミュレーションとは違う結果になることも大いにあり得ることです。あくまで、現時点で公表されている情報に基づいて、千日個人が試算した結果に過ぎません。

用法用量を守ってご利用いただければと思います。

以上、参考になれば幸いです。