40代年収1千万超の住宅ローンは変動か固定か?資金計画の肝
高年収でも定年までに完済して老後を生きられるかシビアに見極める
入社して20年、社内でのキャリアを上げて年収が1千万円の大台を超えるまでになり、家を買おうと思い立つ人も多いです。そうなってから購入する家となると、やはり目が肥えてきてますから、安かろう悪かろうが一番損だということはよくわかっているんですよね。
- 立地にしても、施工にしてもしっかりした物件を選びたい。
- おそらく、これが終の棲家になる。妥協はしたくない。
当然、お値段の方もそれなりにします。価値に裏打ちされた価格ということです。
物件に問題は無い。
ではその価格を払えるか?が問題になってきます。
- 年収は高いですから、それこそ都銀の最優遇金利で住宅ローンを借りることが出来ます。
- 年齢は40代、住宅ローンを借りることが出来る年齢の上限は80歳に引き上げられていますので、最長の35年で住宅ローンを組むことが出来ます。
じゃあ問題ない?
いいえ、住宅ローンを借りられるということと、払えるということは違います。
そして、払えるということと、老後を生きられるということも違うのです。
老齢年金の支給開始は65歳からに延期されたことに伴い、民間企業の65歳定年制が義務付けられていますが、これを実行できるのは大企業の中でも業績の順調な一部の優良企業だけです。その一部の優良企業であっても旧定年の60歳を越えてからの収入は6割位に減ってしまうそうです。
60歳定年までに退職金に手を付けずに完済する目標を。
これが、40代から住宅ローンを組む人が、リタイア後を視界に捉えつつ、目標とするべき資金計画なんですね。
では、今日のご相談者です。
相談:40代の住宅ローンの金利タイプと返済計画について教えてください
千日さま、はじめまして。
住宅ローンの返済計画を以下の通り考えているのですが、本当に返していけるのか不安に思っています。理解不足のところやその他留意点などがあればご教示いただけると幸いです。
年齢、年収、共働き世帯年収、家の価格、住宅ローン、頭金
夫年齢 | 46 |
夫の年収(万円) | 1,200 |
妻年齢 | 45 |
妻の年収(万円) | 100 |
共働き世帯年収(万円) | 1,300 |
家の価格(万円) | 6,000 |
住宅ローン(万円) | 5,000 |
頭金(万円) | 1,000 |
- 夫(私):46歳(2019年3月時点)、年収1200万円(給与700万円、賞与500万円)
- 妻:45歳(2019年3月時点)、年収100万円(扶養の範囲内)
- 子:なし(将来的には1人は欲しいと思っています)
住宅ローン返済計画(案)
- 住宅取得控除を最大限受けられるよう、頭金を少なめに設定、かつ10年後でのローン残高を4000万円にする。
- 住宅取得控除が終わった11年目に繰り上げ返済を行い、繰り上げ返済で何とか65歳までに完済する予定です。ローン残額は65歳に完済する(繰り上げ返済貧乏にならない範囲で・・・)。
- 住宅ローンはネット銀行かメガ銀行の変動金利を検討(毎月返済額の25%は金利上昇リスクに備えて蓄える)。
- ボーナス払いはしない、退職金での返済は行わない。
ざっくりとしていますが、上のイメージで考えています。
60歳以降の年収はあまり期待できないので、60歳になるまでにできるだけローン残高を少なくしておきたいところですが、年齢が年齢なので、あまりローン年数に余裕がありません。
ローン先をまだ決めていないので、具体的な計算はまだできていないのですが、毎月の返済額+25%分の備え+マンションの共益費など(3万円〜)を合わせると、現在の手取額(35万円)の4割(14万円)に収まらないように思います。
ある程度、貯蓄はあるので住宅取得控除は期待せず、もっと頭金を支払ってローン額を減らすのも一手かも・・・と思っています。もしくはボーナス払いをするかどうか。。。
アドバイスをいただけると助かります。よろしくお願いします。
回答:固定で手堅くか変動で貯蓄するか、資金計画の肝
お答えします。やはり46歳からスタートならば65歳までは必要ですよね。
住宅ローンの毎月の返済額を手取り額の4割以内にするのは、ひとつの目安ではありますが、年収が高い場合は4割を超えていても問題ないと考えています。要は、住居費を払っても十分に生活が出来て、貯蓄も可能であれば良いのです。
早速ですが、固定金利と変動金利でシミュレーションしてみました。
【前提条件】
- 借入額5,000万円
- 借入期間33年
- 元利均等返済
- 65歳(19年)で完済
(単位:円)
固定と変動比較 | 固定1.06% | 変動0.6% | 差額 |
---|---|---|---|
毎月返済額 | 149,686 | 139,206 | 10,480 |
19年返済額 | 34,128,406 | 31,739,040 | 2,389,366 |
65歳残高 | 23,360,483 | 22,425,758 | 934,725 |
住宅ローン控除 | 3,941,290 | 3,919,803 | 21,487 |
固定金利で問題なく返済可能
まず、固定で見てみます。固定でシミュレーションする目的は、この住宅ローンの金額が支払えるものかどうかを判定することにあります。
- 金利変動リスクを負わない条件で毎月の元利均等返済が払えるか?
- すくなくとも65歳で完済できるか?
これを判定します。毎月の手取りが35万円とのことですので、その4割は14万円ですね。たしかに固定で4割を超えてしまいますが、住宅ローンを払ってなお、20万円が残ることになります。そこから管理費等3万円を払い、残るのは17万円です。
この17万円で夫婦2人の毎月の通常の生活が納まるのであれば問題ないと思います。ボーナスが500万円もあり、これを貯蓄に回せるからです。確かにボーナスは不確定要素ではありますが、約定返済の資金計画をボーナスに依存していなければ、ゴーサインを出してよいと思いますよ。
返済をボーナスに依存する⇒絶対NGですリスクが高すぎます。
しかし、
貯蓄をボーナスに依存するのは、特段リスキーなものでは無いと思います。仮に出ない時があっても、即それによって返済困難となることは無いからです。
変動金利ではリスクありだが貯蓄を優先するならアリ
変動金利ならば、毎月の返済は約1万円ほど楽になりますよね。しかし、
https://jutakuloan-muryousoudan.com/theory-jutakuloan/
にあるように、返済額の25%の余裕は見ておきたいです。14万円の1.25倍は17万5千円ですね。これに3万円の管理費などを足すと20万5千円です。手取り35万円から引くと14万5千円となります。さすがに、少し厳しいかなと思います。
普通に年収から考えて、返済比率を見ると変動金利でも余裕なんです(おそらく銀行の担当者はそう言うと思います)。しかし、あくまでボーナスは除いて返済余裕を判断するのが千日の考え方です。
年収に占めるボーナスの割合は、こちらのご相談者の方とよく似ています。
https://jutakuloan-muryousoudan.com/2017/01/25/%E5%B9%B4%E5%8F%8E%E3%81%AE4%E5%89%B2%E3%81%8C%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B9%E3%81%A7%E3%82%82%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B9%E6%89%95%E3%81%84%E3%81%AF%E3%83%80%E3%83%A1/
これは、お聞きになっていないことですが、もちろんボーナス払いはダメです。しかし、変動金利を選択してはいけないということは無いと思います。
25%の余裕を見るというのは、あくまで保守的な見地からのものです。19年の期間での返済額の差は240万円ほどありますよね。そして、19年の約半分の10年間は住宅ローン控除があり、残高に対して1%の税金が返ってきます。
つまり、
- 半分以上の期間について
- ローン残高の高い前半の期間について
1%の防波堤が国によって築かれている状況だということです。
購入後に残る貯蓄についてはお聞きしていませんが、65歳の残高である22百万円~23百万円の貯蓄を作ることがミッションです。これとの見合いで決定することになると思います。
- 無理なく貯められそうであれば固定金利。
- ちょっと頑張らないと難しそう…であれば変動金利。
このような考え方ではいかがでしょうか?