注文住宅で施工ミスが発覚!住宅ローンの実行は延ばすべき?

2017年10月26日

注文住宅での施工ミスで残代金の支払はどこまで拒めるか?交渉方法は?

注文住宅を建てている人のブログを見ていると、まずほとんどの人が大なり小なりの施工ミスを経験していますね。これから注文住宅を建てようという人にとっては、厳しい現実ですが、施工ミスは基本的に避けられないと思った方が良いです。

図面どおりに施工するのが施工業者の義務なんですけど、これを一つのミスも無く行うことというのは実際かなり困難なことであるようです。

いや、うちには施工ミスなんて無かった。

こんな風に言うひともいるかもしれませんが、それは気づいていないだけです。無いことを証明するのは困難なんですよ。

施工ミスを図面と違っていることと定義しますと、図面と違っていても、家屋の性能として問題なければ、気づいてなくても結果的には問題ないと思っています。タイルの角の納まりが違うとか、そういうのもこの定義で言うと施工ミスですからね。

では、ちょっと軽微とは言えないような施工ミスがあって、工務店からは「補修工事しますから」ということで、残代金の支払いを求められたらどうします?

今日のご相談者はそんなケースです。

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相談:施工ミスで工期が延びそうです、住宅ローンの実行は今月と来月どっちがいいですか?

お世話になっております。先日は、色々と相談にのっていただき、本当にありがとうございました。いよいよ引き渡し予定なのですが、ハウスメーカーの提携ローンの30年固定で借りることになりました。

内覧会で施工ミスが発覚!しかしハウスメーカーは予定通りの引渡しを要求

金利が5月と6月で変わりがなかったこともあり、6月末引き渡しで納得していたのですが、数日前の内覧会で施工ミスが見つかり、手直しはどう考えても引き渡しまでに間に合わないという事態に陥りました。

ハウスメーカーは予定通り6月末に引き渡しを終えて、引き渡し後に手直しをするつもりのようですが、けっこう大掛かりな修正を要するため、私としてはきちんと手直しが終わってからの引き渡しが希望です。

でも、もし7月の金利が大幅に上がったりするようなら、責任もって施工してもらうことを前提に予定通り6月末の引き渡しでもいいかな?という気持ちもあります。

施工ミスの発覚前に引渡しの延期を打診した時は露骨に拒否したハウスメーカーの営業マン

月末の引き渡しなので7月の金利が下がりそうなら、7月にずらすことは可能か?と聞いてみたところ、提携ローンはいろいろとメリットがある分、そのような融通はきかない。どうしても、というならつなぎローンを利用してもらうようになります、と言われました。

7月に引き渡しがずれるなら、つなぎ融資を使ってください、とまで言っているハウスメーカー
に、このタイミングから引き渡しの変更を了解させることは可能だと思われますか?図面通りに施工できていない、というミスですので明らかに非は相手にあります。

あと、7月の金利(長期固定)は現時点で、千日さまはどのように予想されていますか?

よろしくお願いいたします。

回答:施工ミスによる工事の未完成を理由とした施主からの支払拒否は認められにくいです

お急ぎですね、さっそくお答えしていきます。うちの実家も約15年前に建てたのですが、基礎の高さが違っていて玄関に10センチほどの段差が設けられています。

冒頭にも書いていますが、注文住宅については軽微な施工ミスというのは避けられない部分がありますが、明らかに大きなミスについては毅然とした態度で臨みたいところですね。

注文住宅は売買契約ではなく請負契約です

注文住宅の場合、施工業者との間では「請負契約」を結びます。「売買契約」ではないのですね。感覚的に同じようなものなんですけどこの違いがポイントになってきます。

  • 請負契約:請負者がある仕事の完成を約し、発注者がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを内容とする契約
  • 売買契約:売主が特定の財産権を買主に引き渡すことを約し、買主は売主に対して代金を支払うことを約する契約

こんな感じです。

売買契約であれば、建物の引き渡しが出来ていなければ、代金を払う義務はありません。つまり、補修工事でまだ家具など運び込むことが出来ない状態であれば引渡を受けられませんから、代金の支払い義務は生じないということです。中古住宅を購入する場合などはこれに当たります。

しかし、今回のケースは請負契約です。請負契約の場合、仕事が完成していればその仕事に対して報酬を支払う義務があります。建物を引き渡されて住んでいるかどうかというのはポイントになっていないんですよ。

つまり、仕事が完成しているかどうか?というのがこのケースでのポイントということです。

未完成を理由とした発注者の支払拒否は認められないことが多い

  • 建物が完成しているなら、工務店は残代金の請求が出来ます。
  • 建物が未完成なら、請求できません。
  • ただし、予定された工程を終了しているなら建物は完成していると評価された判例が出ています。

工事が途中で中断し、予定された最後の工程を終えない場合には、仕事の未完成ということになるが、他方、予定された最後の工程まで一応終了し、ただそれが不完全なため補修を加えなければ完全なものとはならないという場合には仕事は完成したが仕事の目的物に瑕疵があるときに該当するものと解する。

(東京地裁判例S57.4.28)

これを翻訳するとこういう意味です。

『工事が途中で中断してまだ家が完成していない場合には、工事代金を支払う必要はないが、他方、出来上がりに瑕疵(かし)があったとしても、補償の範囲で補修して完全なものになるのであれば、そうさせればよいのであって、補修が終了するまで工事代金の支払いを拒むのはやりすぎでしょう。』

瑕疵の程度は分かりませんが、一応全ての工程が終了していて家としての形をなしているのであれば、予定された期日に住宅ローンの実行をしなければならない可能性が高いです。つまり、融資を7月に延ばすのは、任意に工務店がOKを出さないと難しいでしょう。これが売買契約であれば、引渡を受けていないという主張をすれば延ばせるんですけど、工事の完成というのはこちらでコントロールできない要素です。

むろん、瑕疵が重大であれば完成しているということにはなりません。ただ、これ以上の個別具体的な法律上の問題については、ウェブでの無料相談の範疇を超えるものですので、ご容赦ください。

住宅ローン金利は6月と7月どちらが得か?

あくまで前述の結論は法廷で徹底的に争った場合のことです。実際にはそうなる前の段階で交渉してお互いが合意するのがベターですよね。まずこちらの損得としては、6月実行と7月実行のどちらが得か?という点だと思います。

結論としては6月の方が安全です。フラット35の金利は6月から7月にかけて0.01%上昇する予測だからです。

7月以降のフラット35金利動向と日銀のイールドカーブ・コントロール政策の動向-千日のブログ

フラット35と民間の長期固定は絶対に同じ動きになるとは限りませんが、どちらも金融市場から資金を調達する以上、似通った動きになる傾向にあります。フラット35が上がる見込みであるということは、民間銀行の長期固定金利が上がる可能性もあるということです。

交渉を有利に運ぶポイントはハウスメーカーの実務にあり

法律面での判断として、引渡しが終わっていなくても仕事が完成していれば、代金の支払いを拒めないということを書きましたが、これはあくまで法廷で裁判にまでなったときの裁判所の判断です。裁判まで行く前の段階、つまり社内的に世間的に、やはり施主が完成を認めているということが重視されるんですよ。

つまり、工務店が売上を計上するには「工事完了証」や「引渡書」など名前は様々ですが、工事が完了したという証憑書類にハンコをもらわなくてはならないのです。でなければ、会社としてその仕事を完成させたという処理が出来なくなるということです。

ですから、この工事完了証を人質にとって「引渡を延ばしたければ繋ぎ融資を使ってください」などとのたまう生意気な営業マンから追加の値引を引き出したり、その他のオマケ的なサービスを引き出したりということは、やっておきたいところですね。

ただし出るところに出た場合、つまり裁判まで行った場合、こちらの損害は大したことは無いですので、深追いせずに適度なところで手を打つのが賢いと思います。

以上、参考になれば幸いです。