北朝鮮リスクで再びマイナス金利に!ベストな住宅ローンの借り換え時とは?

2019年10月1日

北朝鮮弾道ミサイル発射と核実験で下がる長期金利!住宅ローンの借り換えは?

9月に入ってから北朝鮮情勢が急激に緊張度を増してきました。長期金利は昨年の11月ぶりのマイナスとなり9月4日、8日にはマイナス0.01%を記録しましたね。

週が明けて注目された長期金利は、北朝鮮の建国記念日に新たな挑発活動が無かったことで少し上昇しましたが、根本的なリスクが無くなったわけではありません。

状況は緊迫していて、日本に飛び火するかもしれないリスクが上がっています。せめて、住宅ローンの金利の面では安い金利に借り換えることで、支払いを減らしたいところですよね。

今後の動きとしては、固定金利は9月から10月にかけて下がり、変動金利は動かないというのが千日の予想です。

北朝鮮問題と金利について詳しくはこちらの記事でも解説してますので、良かったら読んでくださいね。

フラット35金利予想-千日のブログ

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では今日のご相談者です。

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相談:北朝鮮情勢と住宅ローンの借り換え方針について

現在の金利は変動金利で0.975(1.275から金利交渉で先月下がったところ)このような状況なのですが、変動金利としては安い方ではないし、借り換えを検討しています。

北朝鮮とアメリカ次第ではありますが、千日様は、どうお考えでしょうか。

家族構成と年収

私39歳 妻28歳 長男8歳  長女6歳 次男2歳 次女6カ月です。

今、現在の年収が約395万で、定年は60歳です。

再雇用(給料6~8掛けと聞いてます)65歳までで、今の年齢が39ですので残り21年となります。

現在の住宅ローン

変動金利0.975%、残り年数は26年7ヶ月で、残高は2250万円です。

借り換え案

おそらくですが、年収的な問題で住信SBIネット銀行は審査結果不合格、三菱UFJ信託銀行は減額回答でした。

そこで、今現在はフラット35なら通りそうなので、フラット20とフラット35(26年)のダブルフラットをメインで検討しています。

1. 9月のフラットは下がる見込みなので、借り換える。

2.年収が400万を超えれば、借入先が広がるのでそれまで待つ。

大きく分けて、その2点で考えております。

プラス材料として、私の年収が月給が手当が増えて1万円増額したので、ボーナスさえきちんと出れば、今年は400万円の壁を突破しそうです。また、運良く行けば、来年の1月ごろはフラットの金利が新団信込みでも1.2%ぐらいまでで、おさまるのではないかとも思っています。

よろしくお願い致します。

回答➀:今後の金利動向は、固定は下がり変動は変動せず

冒頭に書いてますが、北朝鮮情勢は待った無しの危機的状況です。捨て身で挑んでくる相手を、全くの無傷で制することは出来ない。そのリスクを反映してのマイナス金利ですから、このまま緊張状態が続くとすれば固定金利は下がるでしょう。

緊張が続く北朝鮮情勢 弾道ミサイルで住宅ローンの今後はどうなる?-千日のブログ

これに対して、変動金利は変動しません。変動金利は短期プライムレートに連動するのですが、短期プライムレートは日銀が民間銀行に融資する政策金利の影響を受けるため、日銀が政策金利を上げない限りは、金利を上げにくいからです。

住宅ローンの金利の決まり方については、

金利ラボ

が参考になると思います。

もう一つの借り換えのベストなタイミング

また、借り換えのタイミングとしては、金利動向だけでなく自分の住宅ローンの残期間にもよりますね。例えば現在は残り26年7カ月ですが、借り換えになると7カ月が切り捨てになって26年になってしまいます。微妙な差ではありますが、あと7カ月については様子を見ても良いと思います。

住宅ローンのベストな借り換えのタイミングとは?金利が底の時だけとは限りません-いえーる すみかる

審査と年収の関係ついては、例えば今の時点で400万であったとしても、回答は変わらなかった可能性が高いと思います。単年度の年収で5万円位の差で回答に変化が出る可能性は低いです。ネット銀行というのもあるかもしれませんが…

それよりは過去3年間の収入の推移の方が重視されます。例えば来年になって3年が一つズレますよね。年収が順調に伸びているような感じに見える3年であれば結果が変わる可能性があると思います。そういう意味では来年に再度チャレンジする意味はあるかもしれません。

最新年度の年収が高くても、それまでの年収に上下が激しいと、厳しい目で見られます。一つだけではなく様々な面から総合的に判断されます。こちらも参考に読んでみてください。

金融機関の審査ラボ

回答②:毎月の返済と定年時残高で検討する

小学校低学年を筆頭にお子さんが4人おられますので、今後は教育費の増加が予想できますね。今後の方針としては学費の確保が喫緊の課題になるでしょう。住宅ローンの借り換えについては毎月の返済を低く抑えることが第一の課題になると思います。

まずは毎月の返済と定年時残高での比較を行います。

住宅ローンとは毎月、決まった額を、決まった回数だけ払いきれば終わるものです。そしてそれは定年退職で終わらせるのが理想です。なので、毎月の返済額と定年時の残高というのが重要なポイントなのですね。

結論から申しますと、住信SBIの変動金利については借り換えメリットがありますが、ダブルフラットについてはメリットはありません。そして、住信SBIについてはメリットがあるものの、そこまで大きなメリットでは無いように思います。その点を詳しく説明しますね。

現在の条件

  • 残高2250万円、変動金利0.975%、残り26年7カ月

住信SBI変動金利

  • 残高2250万円、変動金利0.444%、残り26年

ダブルフラット(10月以降の新制度で9月金利と同じと仮定)

  • 残高1125万円、20年1.02%+団信0.28%=1.3%、残り20年
  • 残高1125万円、26年1.08%+団信0.28%=1.36%、残り26年

(単位:円)

毎月返済と定年時残高の比較 現在
変動0.975%
住信SBI
変動0.444%
ダブルフラット
20年1.3%
26年1.36%
毎月返済 80,096 76,371 53,258
毎月返済 42,828
定年時残高 5,220,945 4,530,959 2,482,889

現在の条件で毎月の返済は少しオーバーだが定年時の残高は安全圏

千日のお勧めしている住宅ローンのセオリーは、毎月の返済は手取り月収の4割以下にすることです。また変動金利の場合は金利の上昇リスクがありますので、毎月の返済額の25%を貯蓄した上で手取り月収の4割以下とすることを推奨しています。

住宅ローンのセオリー

変動金利での毎月の返済が8万円ということは25%を貯蓄すると考えると10万円になります。仮に年収395万円の手取り月収を20万円としますとその4割は8万円ですから、金利上昇に備えるべき分をオーバーしています。今の金利がずっと続くのであれば問題ないですが、上がったときに同じ分だけ収入が追い付いていないと、家計を圧迫する状況ですね。それもあってフラット35への借り換えも視野に入れておられるのだと思います。

一方で、定年時の残高は522万円です。今後21年ありますので、貯蓄ないし繰上げ返済によって退職金に手を付けずに完済できる安全圏にあると思います。

このまま行く場合の方針としては、収入の増加分を今後成長していくに従って増加する4人のお子さんの学費用に貯蓄していくことだと思います。

借り換え案の分析~計算上のメリットだけで判断しない

住信SBIであれば、毎月の返済は7万6千円ですから、毎月約4千円節約することが可能となります。そして定年時の残高は453万円ですから69万円少なく済みます。しかし、7万6千円であっても25%の貯蓄を加味すると、現在の手取り月収の4割を超えてしまいます。どういう事が言いたいのか?といいますと…

『計算上ではメリットがあるが、根本的なリスクはなんら変わらない』

ということです。変動金利としては相対的には高いですが、もともとの金利水準が安いので、金利が安くなったことによる恩恵は自ずと小さくなるわけです。

続いてダブルフラットを見てみましょう。毎月の返済は合計で9万6千円です。金利の上昇に備える必要はありませんが、手取り月収の4割を超えています。金利が上がっていないのに、上がった状態を既に先取りしたような支払い額になっています。あまり借り換えにうま味があると言えません。

定年時の残高は248万円とかなり少なくなりますが、それよりも4人のお子さんにお金がかかる時期(これから20年以内の間)の支払い額が増えてしまうことによる家計負担の方がデメリットであると思います。団信が安くなるのは良いですが、金利に上乗せとなることで、途中で脱退するということが出来ません。これが払えないということはイコール返済できないということになるのです。良い点ばかりでは無いのですね。

回答③:借り換え費用込みの総支払額で検討する

次に総支払額で比較してみましょう。これは老後資金をどれだけ厚くできるか?という視点です。払いきれても、それによって老後資金が無くなってしまっては意味がありません。ここでは借り換え費用も加味して検討します。

住信SBIネット銀行は事務手数料ゼロ円、保証料ゼロ円です。ただ、融資手数料が2.2%と高いのが玉にきずですね。

フラット35については、メジャーなところで楽天銀行を例にとりました。同じく事務手数料ゼロ円、保証料ゼロ円ですが、融資手数料が1.1%です。少し安いです。ただダブルフラットということは2枚の契約書が必要になりますので印紙が2枚分必要になります。また、フラット35を借りる場合は物件の適合証明書が必要になりますので、その費用がオンされます。

その他の費用はだいたいの目安です。もし、今の銀行で保証料を前払いしている場合は、いくらか返金があると思います。その場合は借り換え費用からマイナスになります。以下のシミュレーションには入れていません。銀行に確認してみてください。

(単位:円)

これを加味して定年までの総支払い額を比較してみました。

(単位:円)

支払い総額の比較 現在
変動0.975%
住信SBI
変動0.444%
ダブルフラット
20年1.3%
26年1.36%
借り換え費用 0 676,800 518,600
定年まで返済額 20,184,304 19,245,562 23,574,475
定年時残高 5,220,945 4,530,959 2,482,889
支払い合計 25,405,249 24,453,321 26,575,964

住信SBIに借り換えることで、約95万円の支払い額の減少になります。=老後資金が増えます。
ダブルフラットに借り換えることで、約117万円の支払い額の増加になります。=老後資金が減ります。

住信SBIの方は変動金利同士ですので、この差はその後の金利変動があっても変わらないでしょう。これに対してダブルフラットの方は固定金利ですから、117万円というのは金利を固定する費用と読み取れることになります。

一見住信SBIの方であれば、確実に安くなるので有利だと思えると思います。しかし、資金繰りという面から考えると、それほどのメリットではありませんよ。

最初に借り換え費用67万円払う。→定年時の残高が69万円安くなる。

つまり、約95万円の支払い減少は毎月の返済額の減少分(約4千円)の積み上げという訳です。月に4千円というのは1日に換算すると133円ほどですね。これくらいならば、なにも借り換えずとも理に適った家計の節約法を継続することでも出せる効果だと思いませんか?

続いて、ダブルフラットの方は金利の固定で117万円という支払いでしたね。これに幾ら払うかについては人によるところだと思います。しかし、前の節でご説明したように、毎月の返済の増加が最も学費のかかる時期と被るという点で資金繰り面でのデメリットが大きいと思います。

金利の上昇については、繰上げ返済でも対応することが可能です。お子さんの手がかからなくなってから、奥様がパートに出るなどして貯蓄を増やす方向でも備えることのできるものではないでしょうか。

まとめ~資金繰りを軽くする借り換えを!

支払いに余裕が無くなってからでは借り換えも金利交渉も困難になります。銀行というのは、高い金利でも余裕で返せる人には低金利で貸します。だって、返せなくなる危険性は低いのですから、安い金利でも安心してお金を貸すことが出来ますよね。

借り換えによって総支払額が減っても、資金繰りが厳しくなるような借り換えであれば見送る方が良いと考えています。

住宅ローンとは何か?と問われたら私は「決まったお金を35年なら420回銀行に払うことだよ」と答えます。これが正確な定義でないことは百も承知ですが、それが住宅ローンの本質なんです。借り換えによってこのハードルの高さを上げるということは、再び来るかもしれない借り換えのチャンスを自ら狭めてしまうことに繋がるんです。

以上、参考になれば幸いです。

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