JA預金連動型35年固定1.5%の有利な貯蓄方法・返済方法のシミュレーション

2018年10月28日

手持ち資金があるなら預金連動型で利息キャッシュバック

自己資金が多くある人には2つの選択肢があります。

  • 頭金にして利息を節約する。
  • 預金連動型住宅ローンにする。

頭金にしたら、当然のことながら貯金は減ります。お金は返ってきません。でも預金連動型住宅ローンなら、預金の元本の部分だけ利息がかからないということです。つまり、貯金を残したままで繰上げ返済したのと同じ利息の節約効果があります。

頭金にしたら当然のことながらローン残高は減ります。住宅ローン控除はローン残高の1%相当の税金が返金されるというものですから、住宅ローン控除の恩恵も減ってしまいます。しかし預金連動型住宅ローンなら、ローン残高は減りませんよね。つまり住宅ローン控除の恩恵も減らないということです。

以上のようにとても魅力的な住宅ローンなんですけど、適用金利が少しお高めというデメリットがあります。

少しお高めな金利は、預金残高を増やすことによって減らせばいいですね。

今日はそんなご相談者からです。

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相談:JAの預金連動型35年固定1.5%ってどうですか?

こんにちは。
住宅ローンについて検討をしてきまして、現在下記の条件での打診を受けております。35年固定の預金連動ということで、あまり情報も無いため、この度千日様のご意見を伺いたいと思いご相談させて頂くところです。

年齢、年収、家の価格、住宅ローン、頭金

夫年齢 33
夫の年収(万円) 800
妻年齢 不詳
妻の年収(万円) 専業主婦
共働きの世帯年収(万円)
家の価格(万円) 5,000
住宅ローン(万円) 5,000
頭金(万円) 0

自分 33歳、年収800万円(ボーナス抜き)
妻     専業主婦(働く予定無し)
子供 3歳

金額:5,000万円のうち、土地代約2,000万円、建物代約3,000万円の内訳です。

まず11月に土地決済をし、残りは引き渡し時(来年3月頃)に支払うことになります。

自己資金は1,250万円(自己資金+贈与分)がありますが、手元に貯蓄として残しておく分も含まれています。

住宅ローンは、35年固定 1.5%

※JA預金連動50%まで対象。キャッシュバック式

今回、35年固定の金利1.15%に、0.2%の保険、0.15%の預金連動にする分のプラスを加えた、1.5%の35年固定金利の条件で話をしています。

35年固定金利としては最低金利レベルでかつ預金連動にできるという点をメリットと考えておりますが、何分初めてのことですので、千日様のご意見を頂きたい次第です。

預金連動となるので、自己資金分はほぼ全額預金連動対象にできると思いますし、少なく見積もっても年100万円以上の貯蓄予定ですので、預金連動の効果も得られるものと考えています。

あともう1つのメリットとして、土地決済用の融資時に、最終決済時の金利も同時に決まるため、通常の分割融資のように、先の金利が不明なまま契約をしなくても良いという点もメリットと感じています。

私としては、まだ変動との迷いもあるのですが、上記については良い条件かと思っており、特に懸念が無ければこれで決めたいという考えです。

また、預金連動型については情報も少なく、返済方法についてもアドバイス頂ければ幸いです。(預金連動なので頭金や繰り上げは必要無いと思ってはいますが、実際のところどうなのか?預金連動対象分の貯蓄ができた後の対応等)

以上、どうぞよろしくお願い致します。

回答:借入の50%に達するまでは貯金を行いその後繰上げ返済していくシミュレーション

ではお答えしていきます。JAの預金連動型は借入残高の50%までは貯金をする部分の利息がキャッシュバックされるんですよね。ですから借りる金額の50%の貯金を預けておけば、利息が半分になるということですね。

そして住宅ローン控除は、借入残高に対して1%のキャッシュバックですから、固定金利でも当初の10年間については逆に利息が儲かることもあります。

貯蓄計画と有利な返済計画がちょうどマッチしている

最もオトクになる資金計画の方針は以下のようになります。

  • 貯金が借入の50%に達するまでは繰上げ返済せずに貯金を増やしていく。
  • 貯金が借入の50%に達したらその後は繰上げ返済していく。

さらに資金繰りの安全性から以下のことをお勧めします。

  • 住宅ローン控除の10年間は繰上げ返済しない。

そして今計画されているのは以下のような計画ですよね。自己資金が1000万円残るとします。

  • 自己資金1000万円をそのまま貯金にしてフルローンにする。
  • その後年に100万円ずつ貯蓄を増やす。

そうすると、住宅ローン控除の最終回の直後のローン残高は3932万円となり、貯金は1900万円になっています。そこから100万円貯蓄を増やしても50%をこえてしまいますよね。ですから、そこから先は繰上げ返済していきます。繰上げ返済するとローン残高が減りますから、必要な貯蓄(上限50%)も減っていきます。

つまり、下グラフのような推移になるんです。黄色がローン残高、赤が貯蓄残高の推移を表しています。

(単位:円)

埋め込み画像 1

年に100万円ずつ繰上げ返済していくと、299回目に完済となります。25年後ですから年齢としては58歳ですね。定年の2年前に完済ですから、安心です。

上記を前提にした299回の支払い額と住宅ローン控除、利息のキャッシュバックを合計してみました。

(単位:円)

JA預金連動
返済額(299回) 45,038,785
繰上げ返済額 16,000,000
住宅ローン控除 -3,993,200
利息キャッシュバック -4,304,780
合計返済額 52,740,805

5000万円借りて総返済額は5274万円ですから、純粋なコストとしては274万円です。金利にすると約0.4%ということになります。金利が固定されているのですから、これは十分に有利なケースと考えて良いと思います。

資金繰りの安全性の面からもお勧めする方法

単純に損得で考えたら、10年の住宅ローン控除が終わったらごっそり繰上げ返済するという考え方もあるかもしれません。しかし、それによって貯蓄がゼロ近くまで減ってしまうと危険ですよね。

ですから、一気に繰上げ返済ではなく、年に100万円ずつの返済としています。

  • 100万円ずつの繰上げ返済であれば、従来と同じペースの貯金と同じ金額ですから家計に負担はありません。
  • また、それまでに貯蓄した1900万円はそのまま残っています。

預金連動型住宅ローンのメリットは利息のキャッシュバックだけでは無いと思っています。広い意味での保険である貯蓄を確保出来るというのが、質的な面でのメリットであり、これは数字には表れませんが出来るだけ享受すべきでしょう。

50%を超えた部分についてはJAに預けておく必然性が無いということにはなると思います。

JAは繰上げ返済に手数料が必要

但し、JAの住宅ローンは繰上げ返済に手数料が必要になるので、この点で注意が必要ですね。

変動金利型:無料

特約固定金利型(税込み)

  • 50万円未満:5400円
  • 50万円以上100万円未満:10800円
  • 100万円以上1000万円未満:21600円
  • 1000万円以上:32400円

なので、ジャスト100万円を繰上げ返済していくのは、実はちょっと損です。

99万9999円がお勧めですね(笑)。

10年後の手持ちの貯金と、その当時の手数料の仕組みによって繰上げ返済額を検討することをお勧めします。最近の傾向としては、WEBでの手続きで手数料無料というケースが増えてきているので、今後JAもそうなる可能性もあると思います。

最初の方は残りの期間が長いですから、少しでも繰上げ返済した方が得になりますが、完済が近くなってくると手数料の分だけ損になることがあります。その当時の手数料のルールでシミュレーションして検討されることをお勧めします。

以上参考になれば幸いです。

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