購入直後に休職(留学)で収入が減る場合の住宅ローンの組み方

マイホームを購入した後、休職して学校へ通いキャリアアップを目指したい

 

住宅ローンを組むときには過去3年間の収入を見られます。それまでの間に収入が乱高下していた場合は、直近の収入が幾ら多くても、住宅ローンの審査の上ではイエローシグナルが点灯します。

ちょっと審査が厳しくなるんですよね。結果として希望の全額の融資を受けられなかったりすることもあります。

しかし、住宅ローンを借りた後の収入の乱高下については、実はノーマークです。本当は金融機関としてもそれをチェックすべきなのでしょうが、約定の返済が滞りなく行われている限りは、収入が増えようと減ろうと関知しないものです。

なので、一時的に収入が減るかもしれないキャリア上のチャレンジをしたい!という場合は、住宅ローンを借りた後の方がオススメです。

もちろん、そのチャレンジに失敗して住宅ローンを返済できなくなったら、そこは文字通りの自己責任ということになります。

では今日のご相談者です。

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相談:夫の収入が減少することが予定されている場合にベストな住宅ローンの組み方とは?

居住予定の家族の年齢と年収 夫30歳(額面517万円、手取り359万円)、
妻(私)30歳(額面360万円、手取り235万円)、
娘1歳
今は別居ですが、私の母(現在私の扶養、収入は年金のみ)も同居予定
自己資金の額 頭金のうち、300万は主人の両親から、300万は私の母から出してもらえる
物件価格 3400万円(土地800万、建物2600万程度の予定)
物件のタイプ 注文住宅
借入予定額 頭金は400〜500万円出し、3000万円程度を借り入れたい(現金を手元に置きたいため、少し余裕をもたせた金額)、期間は35年を希望。
住宅ローン 未定
相談内容 主人は来年の春から二年間学生になる予定(休職扱いだが、7割程度は支給される)です。
主人は、医療関係の専門職で、新しく資格を取るために学校へ通うことになりました。自宅から通えない学校なので、2年間は単身赴任のようになります。幸い寮があったり、同居予定の母も家計を助けてくれるとのことなので、なんとかやっていけそうです。
今後、2人目の子どもも恵まれれば産みたい(育休を取るかもしれない)です。
どんな住宅ローンがベストでしょうか?

主人の収入のみでローンは組めると言われたが、母が同居予定なので、私に何かあった時のためにいくらか持分がほしいと思っています。

住宅ローンや保証の面でペアローンをオススメとよく聞きますが、千日さんはそうではないので、ぜひご意見をいただきたいです。

回答①:住宅ローンは単独でローンを組めるなら単独で組むのが定石

ネット情報では、基本的に売り手である銀行の立場からの耳ざわりの良い説明でペアローンの説明が行われますので、何となく良いものなのか?なんて思ってしまいがちですが、全く違います。

ペアローンに伴う連帯保証には、お互いが全額の支払い責任を負うという重い責任が課せられます。具体的にはこの3つですね。

催告の抗弁が出来ない。 債権者がいきなり保証人に対して請求をしてきた場合、保証人であれば「まずは主債務者に請求してよ」と主張することができますが(催告の抗弁といいます)連帯保証人はそのような主張を出来ず、返済しなければなりません。
検索の抗弁が出来ない。 主債務者が返済できる資力があるにもかかわらず返済を拒否した場合、保証人であれば主債務者に資力があることを理由として主債務者の財産に強制執行をするように主張することができます(検索の抗弁といいます)。しかし連帯保証人はこのような主張をすることができず、債権者に対して返済しなければなりません。
何人いても一人一人が債務全額の責任を負う。 保証人が複数いる場合,保証人はその頭数で割った金額のみを返済すればよいのに対して、連帯保証人はすべての人が全額を返済しなければなりません。

夫婦が一枚岩のときには、こうしたことは関係ないですが、問題は夫婦が一枚岩であるという前提が無くなった場合です。

離婚をしても住宅ローンが残っている限りは、住宅ローン全額の債務について上記の重い責任を負い続けるということです。

そして、特に妻の方が負うリスクが高くなる傾向にあります。子どもを予定しているのであれば、出産によって生命のリスクを負い、育児によってキャリアが中断しやすい妻の方がより高いリスクを負うことになります。

また、家の購入の後から学校へ通い休職扱いとなる期間というのは、リスクが高まることですよね。なおさらのこと自分からリスクを取るべきではありません。また、休職するということがまだ確定したことでなければ、銀行に申告するのは義務ではありません。

回答②:ベストな住宅ローンの組み方

では、住宅ローンの組み方を見ていきましょう。まずは幾ら借りるのがベストか?という視点です。 幾ら借りるのかをまず決めましょう。私の著書の家を買うときに「お金で損したくない人」が読む本でも詳しく書いていますが、それに沿って説明していきます。

4つのルールで導き出す無理のない借入額

無理なく返済できる住宅ローンの金額を知るためのシミュレーションのルールは以下の4つです。

  1. 毎月の返済は手取り月収の4割以下でボーナス払いなし
  2. 返済額が一定になる元利均等返済方式
  3. シミュレーションの金利は固定金利(2018年フラット35の予想金利は1.38%)
  4. 定年時のローン残高は1000万円以下

固定金利を1.38%とすると、月収と年齢でざっくりとした目安をつくることが出来ます。下表は頭金ゼロで購入できる家の値段の表です。言い換えれば無理なく返済できる住宅ローンの金額ということになります。

(単位:万円)

 年齢/月収 15万 20万 25万 30万 35万 40万
25歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
30歳 1997 2663 3329 3995 4661 5327
35歳 1997 2663 2972 3535 4125 4714
40歳 1997 2357 2630 3043 3550 4057
45歳 1768 2029 2263 2515 2934 3354

前提条件:元利均等返済、ボーナス払いなし、定年60歳、固定金利1.38%

  • 夫30歳月収22.5万 2663万と3329万の間
  • 妻30歳月収16.5万 1997万と2663万の間

なので、旦那様単独で約3000万円の住宅ローンは妥当な額です。この後収入が7割になるとしても奥様の収入と合算すれば2年間を乗り切れるでしょう。

住宅ローン控除を有効活用できる借入額

また、住宅ローン控除には、物件による上限と所得による上限があります。

詳しくは

税金のセオリー

をどうぞ。

まず物件による上限は以下のようになっています。

  • 一般の住宅:最高40万円(売主が個人で消費税が非課税又は5%消費税の場合20万円)
  • 認定長期優良又は低炭素住宅:最高50万円

注文住宅であれば一般の住宅として40万円というケースが多いです。ただ認定長期優良又は低炭素住宅であれば上限は50万となります。営業マンに確認してください。

税込み年収と住宅ローン控除の上限とそれに相当する年末借入残高は以下のようになります。

税込年収⇒控除上限(年末借入残高)

  • 200万円⇒9万円(900万円)
  • 300万円⇒17.3万円(1,730万円)
  • 400万円⇒22.3万円(2,230万円)
  • 500万円⇒27.9万円(2,790万円)
  • 600万円⇒34.3万円(3,430万円)
  • 700万円⇒40.0又は45.8万円(4,000万円又は4,580万円)
  • 800万円⇒40.0又は50.0万円(4,000万円又は5,000万円)

年収500万であれば2790万円が住宅ローン控除を使える上限ということですね。

当初の2年間は休職によってこの上限は下がってしまいますが、それはあくまで2年間だけのことと考えれば良いと思います。トータルとしてキャリアアップによって収入を増やすための留学なのですから。

回答②:金利タイプと金融機関の選び方

2018年のこれからの住宅ローンの組み合わせとしては以下の3つを通しておくことをお勧めしています。

  1. フラット35
  2. 変動金利
  3. 地銀や信金の当初固定金利

この3つです。

詳しくは千日のブログでも記事にしています。

  1. 国が操作し金利上昇を緩和させるフラット35 については「省エネ住宅」でフラット35Sの当初10年0.25%金利引き下げできます。さらに2割の頭金を用意できるのでアルヒスーパーフラット8で全期間0.1%の引き下げにできます。
  2. 低金利の変動金利のなかでもトップクラスに金利が安いうえに、全疾病保障が無料で付帯する住信SBIネット銀行に魅力を感じます。
  3. 申込日~実行日までで一番低い金利が適用される地銀がありました。10年固定で0.85%ですので、住信SBIネット銀行の金利と比べても遜色ない低金利です。

2018年の住宅ローンはスーパーフラット8Sと住信SBI変動と地銀当初固定どれがオススメか?プロによるシミュレーション-千日のブログ

フラット35で自己資金が十分にあるのでスーパーフラットがおすすめ

物件価格が3400万円で頭金を400万円入れるということは、アルヒのスーパーフラット9の適用になる可能性が高いですね。

さらに、あと280万円追加で頭金を入れれば頭金が2割となり、アルヒのスーパーフラット8となります。

これはフラット35の金利から0.1%引き下げになるもので、フラット35を選択するのであれば、今のところ総支払額でもっとも有利な選択となります。

詳しい条件は以下のようになっています。

なお、スーパーフラットは新規借入の人向けの住宅ローンです。

商品名 (通常のフラット35との金利差) 頭金(手持金) 返済負担率
スーパーフラット8 (金利▼0.10%) 2割以上 30%以内(年収400万円未満) 35%以内(年収400万円以上)
スーパーフラット9 (金利▼0.05%) 1割以上 20%以内

 

さらにこのスーパーフラットはフラット35Sとの併用も可能です。

省エネルギー性、耐震性などに優れた住宅を取得してフラット35を借りると、当初の10年又は5年間、0.25%引き下げになるのがフラット35Sです。満たすべき性能基準の厳しさで引下げの期間が変わってきます。

当初の期間の金利が低いという商品は民間金融機関の当初固定金利にもあります。しかし、民間住宅ローンは当初の期間が終わったら、その時の基準金利が適用されるので金利が上がっていた時は高い金利が適用されてしまいます。また基準金利からの優遇幅も減ってしまうのですが、フラット35は現時点の金利で固定されているのでそういうことがありません。まさにS(スペシャル)なフラット35なのです。

Sの他にも子育て支援など色々あります。どれもスーパーフラットと併用可能です。

タイプ 引下げの内容 予算
フラット35S 当初10年(金利Aプラン)又は5年間(金利Bプラン)0.25%引き下げ
フラット35リノベ 当初10年(金利Aプラン)又は5年間(金利Bプラン)0.6%引き下げ
フラット35子育て支援型及び地域活性化型 当初5年間0.25%引き下げ 都道府県、市町村

変動金利ならば住信SBIネット銀行かじぶん銀行

変動金利に関しては最も低金利を出しているうえに、疾病保障特約が無料で付帯するネット銀行がオススメしやすいです。

ネット銀行は審査が厳しいというのが難点なのですが、自己資金が多く、頭金を2割以上入れること、そして新築マンションという査定のしやすい物件という点から、ネット銀行も通りやすいと思います。

ネット銀行の中でも、おすすめは住信SBIネット銀行とじぶん銀行です。シンプルに低金利という事に加えて、通常は金利に上乗せとなる疾病保障が無料で付くからです。

住信SBIネット銀行全疾病保障 じぶん銀行がん50%保障
精神障害等を除く全ての病気やケガで働けなくなったらローン返済がゼロ円になる。 6カ月の余命宣告をされたら住宅ローン残高がゼロ円になる。
8疾病で12カ月継続して働けなくなったらローン残高がゼロ円になる。 医師にガンと正式診断されたらその時点のローン残高が50%になる。
8疾病以外の病気やケガの場合でも入院により12カ月継続して働けなかったら、ローン残高がゼロ円になる。 入院などの条件なし。
住信SBIネット銀行の審査へのリンク(マネープラザの実店舗) じぶん銀行はauユーザならさらにポイントバックあり(サイトへのリンク)

特に、住信SBIネット銀行はマネープラザという実店舗での案内もしていて、現在はキャンペーン中ですね。ネット銀行は基本的にメール、電話、郵送でのやりとりになるので、書類の不備があると、それがどんな些細なものであっても手戻りになるのがネックなんです。

それが実店舗で対応してもらえるのでこれは良いサービスだと思います。

もちろんWEBでの申し込みもできます。こちらもキャンペーン中です。キャッシュバックは実店舗を通した方が地味に多いです(笑)。

変動金利で借りるときは、いくら今が低金利であっても今後上がる可能性は否定できません。

上がった場合のことを考えてそれに対応できるかを検討する必要があります。ただ金利が上がっても、5年ルールと125%ルールがあるので支払額は低く固定されています。

休職中に金利が上がったら?

ということについては必要以上にナーバスになる必要はありません。ただ、いずれは完済しなければ終わらないのが住宅ローンというものです。

変動金利で住宅ローン金利が上がったら繰り上げ返済すべき金額の一覧表-千日のブログ

が参考になると思います。

資金繰り面の比較

(単位:円)

2720万円 ①スーパーフラット8S1.05%/1.3% ②SBI変動0.457% ③地銀10年固定
0.85%
前半毎月返済 77,417 70,091 74,894
後半毎月返済 79,758 70,091
10年後残高 20,419,093 19,867,180 20,235,322
60歳残高 4,630,903 4,157,058
住宅ローン控除 2,422,100 2,387,600 2,410,600

本で詳しく書いていますが、毎月の返済と定年時の残高でクリアしなければならないハードルをクリアできているかを確認しましょう。

①毎月返済のハードル

固定金利ならば、毎月返済は手取り月収の4割以下にします。

変動金利ならば、毎月返済の4分の1を貯蓄した上で、返済額と貯蓄を合わせて月収の4割以下にします。

10年固定金利ならば、10年後の残高2千万円を十分に減らせる貯金を作る(上記だと60歳残高を繰り上げ返済できるくらいの貯蓄が基準です) というものです。

どれもクリアできていますね。

②60歳残高のハードル

60歳の残高は1000万以下とすることをお勧めしています。

固定金利のケースで60歳残高は463万円ですので、どのケースでもクリアできていると思います。

総支払額での比較

(単位:円)

2720万円 ①スーパーフラット8S1.05%/1.3% ②SBI変動0.457% 差異
借入費用 781,120 716,320 64,800
60歳まで返済額 28,431,960 25,232,760 3,199,200
60歳残高 4,630,903 4,157,058 473,845
住宅ローン控除 -2,422,100 -2,387,600 -34,500
合計 31,421,883 27,718,538 3,703,345

一見すると変動金利が安いように見えますが、これには金利変動リスクがあります。キャリアの面でリスクを取るので、金利面ではリスクを取らないという考え方もあるかなと思います。

今の段階では、どのプランが絶対に正解というものは無いです。

この3つを通しておいてそれぞれでの返済プランで自分たちにどれが一番合っているかをじっくり検討しておき、金利の変動にあわせて即座に決断できるような準備をしておくことをお勧めします。

オススメの順番としては、

1位がアルヒスーパーフラット8Sです。これは新規借入のときしか選べないので、優先的におさえておきたい住宅ローンです。

同率2位でネット銀行の変動金利か、申込~実行までの安い方の金利を選べる地銀です。これらは後から借り換えするという手も取れます。

以上、参考になれば幸いです。