築古マンションを買ってフルリノベする場合にオススメの住宅ローンは?
フラット35リノベが適用になれば200万円以上おトク
築古マンションでも内装をフルリノベーションして新築同様の住空間を手に入れることが出来ます。さらに躯体がしっかりしていることが、新耐震基準の証明書などで確認できるのであれば、今後何十年の間住居として使用に耐えそうですよね。
それに新耐震基準の証明書がとれるのであれば、住宅ローン控除も受けられますので、中古であることによるデメリットはほとんど無くなってきます。
最近は東京オリンピックの影響で都心を中心として新築マンションの価格が上がり、普通のサラリーマンには高値の花ですが、築古マンションならばある程度値下がりしていて手が届きますよね。
築古マンションのリノベは、経済面で無理をせず、利便性の良い場所に自分好みの住空間を手に入れられるので、注目されています。
また、国も中古住宅のリノベーションを後押ししているのです。
寿命になりそうな中古住宅や、昔の建築基準で建てられた「既存不適格物件」となっている建物を再生し、現在の建築基準、今後の高齢化社会に適合した物件にしていくことが、これからやってくる少子高齢化社会のために必要なんです。
なので、各種の補助金があります。特にリノベーションについては「フラット35リノベ」を検討しないのは本当にもったいないですよ。これの適用があれば、200万円くらい違ってきますからね。
では、今日のご相談者です。
相談:築34年のマンションをフルリノベーションするのにオススメの住宅ローンは?
居住予定の家族の年齢と年収 | 私(夫)33歳 年収700万(手取り520万円) 妻31歳 手取り280万円(2017年12月から産休に入り、2019年3月まで育休予定) 息子(0歳) |
自己資金の額 | 1700万円(親からの贈与500万含む) |
物件価格 | 4080万円 |
物件のタイプ | 中古マンション(築34年)新耐震基準には合格しているようなので、耐震証明などで住宅ローン控除を受ける予定 |
借入予定額 | 4080万円 |
住宅ローン | みずほ銀行が最も安くなる。変動金利の場合(当初期間固定プランも含む)、1.95%の優遇となる。 全期間固定金利の場合は0.4%の優遇。 住宅性能向上がリノベーションの目的ではないためフラット35リノベの適用は無いと思います。 |
相談内容 | 金利上昇のリスクはありますが、それでも35年に渡って1.85%の優遇を受けられるのであれば、全期間固定以外の選択肢を検討してみるのもありなのではないかと思ったのです。 こういった場合、どのように考えればいいのか、アドバイスをいただけるとうれしいです。 |
リノベーションといっても間取り変更や意匠変更がメインになるので、住宅性能を向上させるような感じにはならない気がします。
ただ、今回、リノベーション会社(不動産仲介もかねる)も銀行もフラット35はさほどメリットがないと言って、詳しく説明はしてくれなかったので、私自身、そこまでしっかりと調べていません。
銀行がシミュレーションで出してくれたのは、通常のフラット35ですが、金利が1.50%くらいだったので、それであれば、みずほの金利の方が優秀ということで、フラットは選択肢に入れていませんでした。
回答:顧客にとって一番有利なフラット35リノベは売り手に儲けとならないので、オススメしてもらえなかったケースです
- フラット35リノベの適用になるようなリノベの仕様変更が面倒。
- フラット35にしても、提携ローンにならないので、キックバックが入らない。
この二つの理由から、ハナからフラット35リノベを選ばないように、誘導されたケースとお見受けしました。
フラット35リノベとは、
- 中古住宅を購入して性能向上リフォームを行う、
- 又は住宅事業者から性能向上リフォーム済みの中古住宅を購入したときに
フラット35の借り入れ金利から一定金利を引き下げる補助金制度です。
この性能向上リフォームというのは、例えば以下のようなものです(金利Aプランで当初10年間の金利引き下げ)。
下記の1.から6.までのうちいずれか1つ以上の基準に適合させる性能向上リフォームを行うことが条件です。
- 認定低炭素住宅
- 一次エネルギー消費量等級5の住宅
- 性能向上計画認定住宅(建築物省エネ法)
- 耐震等級(構造躯体の倒壊防止)3の住宅
- 高齢者等配慮対策等級4以上の住宅(共同住宅の専用部分は等級3でも可)
- 長期優良住宅
例えば5.の高齢者等配慮対策というのは早い話が「バリアフリー」です。
- 住戸内の床は段差なし
- 通路は介助用車いすが使える幅を確保(78センチ以上)
- 会談は手すりを設置し勾配と形は安全なものに
- 出入口は介助用車いすが使える幅を確保(75センチ以上)
- 浴室・トイレには手すりを世知し介助可能な広さに
- 玄関・脱衣所には手すりの設置準備
普通に築古マンションをスケルトンにしてフルリノベーションするならば、当てはまりそうな項目が多いのではないでしょうか。
築30年超のマンションだと大抵は室内の廊下が狭かったり、老化と部屋の間に段差があったりするものです。
そして、特に風呂場やトイレが狭いのが特徴的ですよね。もちろん手すりなど有りません。
それを一度完全にスケルトンにして、間取りを作り直し、現代のスペックでのトイレやユニットバスを入れるわけです。
そのときに幅や仕様に気を配ることで、このバリアフリーはクリアできるはずなんですよ。逆にフルリノベするのに、これらの条件を満たさない方向でリノベする方がかえってレアな気がします。
回答:フラット35リノベで最も有利な住宅ローンとみずほ銀行の住宅ローンを比較
そこまで私が言う理由は、実際にどれだけ金額が違ってくるのか、本当の数字でシミュレーションしたからです。
銀行の人は自分の銀行で借りて欲しいですから、フラット35リノベが適用できない前提で、しかも実勢の金利よりも高い金利でシミュレーションして見せたわけです。
フラット35リノベの適用がある場合、最も有利な住宅ローンはアルヒのスーパーフラットとの併用です。ご相談者の条件であれば、自己資金が住宅購入代金+リノベ費用の2割以上ありますので、スーパーフラット8の適用が可能だからです。
アルヒのスーパーフラット8とは
概要は以下の通りです。フラット35の金利から一律0.1%引き下げになります。従来は頭金2割だけでしたが、今は1割の場合にも0.05%引き下げとなります。
なお、スーパーフラットは新規借入の人向けの住宅ローンです。
商品名 (通常のフラット35との金利差) | 頭金(手持金) | 返済負担率 |
スーパーフラット8 (金利▼0.10%) | 2割以上 | 30%以内(年収400万円未満) 35%以内(年収400万円以上) |
スーパーフラット9 (金利▼0.05%) | 1割以上 | 20%以内 |
フラット35リノベと併用すると最も有利!
2018年3月(実績)と4月(予想)でスーパーフラット8とリノベを併用した場合の金利は以下のようになります。
4月の申込受付からは引き下げ幅は0.5%に減ってしまいますので、申し込むなら3月中がお勧めです。
借入期間21年~35年 | 2018年3月金利 | 2018年4月金利(予想) | ||
---|---|---|---|---|
金利引き下げ期間 | 引き下げ期間終了後 | 金利引き下げ期間 | 引き下げ期間終了後 | |
フラット35団信加入 | 1.36% | 1.36% | ||
フラット35リノベ団信加入 | 0.76% | 1.36% | 0.86% | 1.36% |
スーパーフラット8リノベ団信加入 | 0.66% | 1.26% | 0.76% | 1.26% |
いかがでしょうか?
これに対して、みずほ銀行の変動金利と35年固定金利は以下のようになりますね。
- 変動金利:0.525%
- 35年固定:1.28%
当初の10年はみずほ銀行の変動金利ともそん色がなく、しかも金利は固定です。
そして、当初の金利引き下げ期間が終わった後もみずほ銀行の35年固定よりも低金利です。
なので、フラット35リノベで頭金が2割あるのであれば、詳細なシミュレーションをするまでもなく、わたしならアルヒを検討するでしょう。
これは、別にアルヒの肩を持っているのではなく、明らかにこれが数字の上で客観的に有利なことが明白だからです。
資金繰り面のシミュレーション
(単位:円)
4080万円 | ①スーパーフラット8リノベ0.66%/1.26% | ②みずほ35年固1.28% | ③みずほ変動0.525% |
---|---|---|---|
前半毎月返済 | 108,821 | 120,573 | 106,362 |
後半毎月返済 | 116,967 | 120,573 | 106,362 |
10年後残高 | 30,087,537 | 30,941,336 | 29,897,194 |
60歳残高 | 10,676,286 | 10,996,399 | 9,997,085 |
住宅ローン控除 | 2,000,000 | 2,000,000 | 2,000,000 |
毎月の返済と60歳残高に注目します。詳しくはこちらをご一読ください。
毎月の返済で無理が無いか?は手取り月収の4割以下になっているか?で判断します。
旦那様の手取りが32万5千円とすると、その4割は13万円ですね。①と②の固定金利はどちらもクリアしていますが、やはりアルヒのフラット35リノベの方が余裕があります。③の変動金利には金利変動リスクがありますので、4分の1を貯蓄した上で、月収の4割以下にする必要があります。だとすると、少しオーバーしますね。
なので、固定金利、特にフラット35リノベの要件を満たすことがお勧めということになります。
これで一応の結論としては出るのですが、総支払額でどれだけ違ってくるのか?
つまりフラット35リノベの要件を満たすリフォーム仕様にするための労力に見合うものなのか?を見てみましょう。
総支払額のシミュレーション
(単位:円)
4080万円 | ①スーパーフラット8リノベ0.66%/1.26% | ②みずほ35年固1.28% | ③みずほ変動0.525% |
---|---|---|---|
借入費用 | 1,129,280 | 1,067,288 | 1,056,488 |
60歳まで返済額 | 36,919,788 | 39,065,652 | 34,461,288 |
60歳残高 | 10,676,286 | 10,996,399 | 9,997,085 |
住宅ローン控除 | -2,000,000 | -2,000,000 | -2,000,000 |
保証料払い戻し | 0 | -19,584 | -19,584 |
合計 | 46,725,354 | 49,109,755 | 43,495,277 |
- スーパーフラット8リノベ:4672万円
- みずほ35年固定:4911万円
- みずほ変動金利:4350万円
こういう結果になりました。
スーパーフラット8リノベとみずほ35年固定の差額は239万円です。つまり、「リノベ」の要件を満たすように仕様を調整する価値は239万円あるということです。
逆の言い方をすれば、これをやらずにいると239万円をみずほ銀行に儲けさせてやることを意味するんですね。
スーパーフラット8リノベとみずほ変動金利の差額は322万円です。これはいわば金利変動リスクに対する保険料のようなものですね。33歳から60歳までの27年間ですから1年で約12万円、1カ月1万円という保険料になります。
変動金利で借りて、今後金利が上がったときに幾らの繰上げ返済が必要か?については、こちらをご一読ください。
変動金利で住宅ローン金利が上がったら繰り上げ返済すべき金額の一覧表 -千日のブログ
5年後に2.5%まで上がったら約864万円、10年後に2.5%まで上がったら約624万円の繰上げ返済をすれば、最初の毎月返済額を維持できる計算です。
保険料として322万円払えば、上記の繰上げ返済をかんがえなくてよいのであれば、割安な保険料だと思います。